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公開番号
2024109093
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-13
出願番号
2024011624
出願日
2024-01-30
発明の名称
アセトバニロン変換酵素遺伝子及びそれを用いた有用物質生産
出願人
国立大学法人弘前大学
,
国立大学法人長岡技術科学大学
代理人
個人
主分類
C12N
15/52 20060101AFI20240805BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】本発明の目的は、スフィンゴビウム・スピーシーズSYK-6株が保有するアセトバニロン変換酵素遺伝子群と比べて、より少ない遺伝子から構成され、かつ高効率でアセトバニロンからバニリン酸へ変換することができる遺伝子群及び該遺伝子群を保有する微生物、並びにこれらを利用したバニリン酸の製造方法を提供することにある。
【解決手段】上記目的はアセトバニロンをα-ヒドロキシアセトバニロンへ変換する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、
acpA
遺伝子及び
acpB
遺伝子並びにα-ヒドロキシアセトバニロンをバニリン酸へ変換する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、
acpC
遺伝子、これらの遺伝子を保有する微生物及び形質転換微生物、並びにそれらを利用した製造方法などにより解決される。
【選択図】図13B
特許請求の範囲
【請求項1】
acpA
遺伝子及び
acpB
遺伝子が外来遺伝子として導入されており、かつ該導入された遺伝子を発現する、形質転換微生物。
続きを表示(約 2,100 文字)
【請求項2】
前記形質転換微生物は、宿主微生物がシュードモナス・スピーシーズ(
Pseudomonas
sp.) NGC7株(受託番号:NITE BP-03043)である、請求項1に記載の形質転換微生物。
【請求項3】
アセトバニロンを、
acpA
遺伝子及び
acpB
遺伝子の発現産物に作用させることにより、又は請求項1若しくは2に記載の形質転換微生物に作用させることにより、α-ヒドロキシアセトバニロンを得る工程
を含む、α-ヒドロキシアセトバニロンの製造方法。
【請求項4】
acpA
遺伝子、
acpB
遺伝子及び
acpC
遺伝子が外来遺伝子として導入されており、かつ該導入された遺伝子を発現する、形質転換微生物。
【請求項5】
前記形質転換微生物は、宿主微生物が染色体上にあるバニレート
O
-デメチラーゼ遺伝子を欠失しているシュードモナス・スピーシーズ(
Pseudomonas
sp.) NGC7株(受託番号:NITE BP-03043)の形質転換微生物である、請求項4に記載の形質転換微生物。
【請求項6】
アセトバニロンを、
acpA
遺伝子、
acpB
遺伝子及び
acpC
遺伝子の発現産物に作用させることにより、又は請求項4若しくは5に記載の形質転換微生物に作用させることにより、バニリン酸を得る工程
を含む、バニリン酸の製造方法。
【請求項7】
前記形質転換微生物は、宿主微生物が染色体上にある
pobA
遺伝子を欠失しているシュードモナス・スピーシーズ(
Pseudomonas
sp.) NGC7株(受託番号:NITE BP-03043)の形質転換微生物である、請求項4に記載の形質転換微生物。
【請求項8】
4’-ヒドロキシアセトフェノンを、
acpA
遺伝子、
acpB
遺伝子及び
acpC
遺伝子の発現産物に作用させることにより、又は請求項7に記載の形質転換微生物に作用させることにより、4-ヒドロキシ安息香酸を得る工程
を含む、4-ヒドロキシ安息香酸の製造方法。
【請求項9】
下記(1)~(4)のいずれかのヌクレオチド配列であって、アセトバニロンをα-ヒドロキシアセトバニロンへ変換する反応を触媒する活性を有する、及び/又は4’-ヒドロキシアセトフェノンを2,4’-ジヒドロキシアセトフェノンへ変換する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、
acpA
遺伝子。
(1)配列表の配列番号1又は4に記載のヌクレオチド配列又は該ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ該配列番号1又は4に記載のヌクレオチド配列において、塩基数100個からなる一単位あたり、1個~10個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有するヌクレオチド配列
(2)配列番号1又は4に記載のヌクレオチド配列からなる遺伝子と80%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列
(3)配列番号50に記載のアミノ酸配列と50%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
(4)配列番号50に記載のアミノ酸配列において、アミノ酸数100個からなる一単位あたり、1個~10個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【請求項10】
下記(1)~(4)のいずれかのヌクレオチド配列であって、アセトバニロンをα-ヒドロキシアセトバニロンへ変換する反応を触媒する活性を有する、及び/又は4’-ヒドロキシアセトフェノンを2,4’-ジヒドロキシアセトフェノンへ変換する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、
acpB
遺伝子。
(1)配列表の配列番号2又は5に記載のヌクレオチド配列又は該ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ該配列番号2又は5に記載のヌクレオチド配列において、塩基数100個からなる一単位あたり、1個~10個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有するヌクレオチド配列
(2)配列番号2又は5に記載のヌクレオチド配列からなる遺伝子と80%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列
(3)配列番号51に記載のアミノ酸配列と50%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
(4)配列番号51に記載のアミノ酸配列において、アミノ酸数100個からなる一単位あたり、1個~10個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトバニロンからバニリン酸中間体を経てバニリン酸へ変換する反応を触媒するアセトバニロン変換酵素及びそれを用いたバニリン酸等の有用物質の生産系に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラル社会の実現から、石油原料に代えて非可食バイオマスから機能性材料を製造することが求められている。その中で、非可食バイオマスを原料とした、セルロース誘導体及び脂肪族ポリマー原料の開発が進められている。しかし、これまでに、剛性、耐熱性などが満足できるポリマーはほとんど知られていない。
【0003】
非可食バイオマスの一種にリグニンがある。リグニンは植物の維管束細胞壁成分として存在する無定形高分子物質であって、フェニルプロパン系の構成単位が複雑に縮合したものであり、メトキシ基を含有することが化学構造上の大きな特徴になっている。リグニンは木質化した植物細胞を相互に膠着し、組織を強化する働きをしており、木材中に約18%~36%、草本中には約15%~25%存在する。そこで、木材を有効利用するために、リグニンを分解し、有用化合物を得ようとする試みがなされている。木材などのバイオマスに由来するリグニンには、
p
-ヒドロキシフェニルリグニン(H型リグニン)、グアイアシルリグニン(G型リグニン)及びシリンギルリグニン(S型リグニン)の3種があることが知られている。
【0004】
リグニンを分解して得られる化合物の中には、分子内に芳香環を有するモノマーとして使用できるものがある。このような芳香族モノマーを原料とするポリマーは、剛性、耐熱性などの機能性が優れたものになり得る。
【0005】
リグニン由来の芳香族モノマーの候補物質の一つとして、バニリン酸がある。バニリン酸を重合してなるポリマーは融点が非常に高いという特徴がある。例えば、バニリン酸を修飾等して得たモノマーを原料として得られる高機能性ポリマーは、融点が高く、機能性が高いことが知られている。しかし、リグニンを分解してもバニリン酸をほとんど得ることができない。
【0006】
リグニンを分解して得られる化合物の中に、アセトバニロンがある。アセトバニロンはリグニンの酸化分解によって生成する主要な芳香族単量体である。針葉樹、広葉樹、草本によらずに、いずれの植物系バイオマスからもアセトバニロンは生成する。例えば、工業レベルで行われている木材パルプ製造工程であるクラフト蒸解などの廃液(黒液)にもアセトバニロンは含まれている。そこで、アセトバニロンをバニリン酸へ変換することができれば、リグニンからのバニリン酸生産においてバニリン酸収率の向上や目的生産物の純度向上に繋がる。
【0007】
例えば、アセトバニロンを資化する能力を有する微生物又はその酵素を用いれば、微生物学的又は生化学的にアセトバニロンをバニリン酸へ変換できる可能性がある。これまでに知られているアセトバニロン資化性の微生物としては、スフィンゴビウム・スピーシーズ(
Sphingobium
sp.) SYK-6株(例えば、非特許文献1及び2)、ロドコッカス・ロドクラウス(
Rhodococcus
rhodochrous
) GD01株(例えば、非特許文献3)、ロドコッカス・ロドクラウス(
Rhodococcus
rhodochrous
) GD02株(例えば、非特許文献3及び4)及びアルスロバクター・スピーシーズ(
Arthrobacter
sp.) TGJ4株(例えば、非特許文献5)がある。しかし、アセトバニロンの変換に関わる酵素メカニズムの詳細が明らかにされているのはスフィンゴビウム・スピーシーズ SYK-6株(以下、SYK-6株ともよぶ。)とロドコッカス・ロドクラウス GD02株(以下、GD02株ともよぶ。)のみである。
【0008】
SYK-6株は、
acvA
遺伝子、
acvB
遺伝子、
acvC
遺伝子、
acvD
遺伝子、
acvE
遺伝子及び
acvF
遺伝子の6遺伝子によりコードされる酵素システムにより、アセトバニロン及びアセトシリンゴンをそれぞれvanilloyl acetic acid及び3-(4-hydroxy-3,5-dimethoxyphenyl)-3-oxopropanoic acidへカルボキシル化することが知られている(例えば、非特許文献1)。また、SYK-6株は、
vceA
遺伝子及び
vceB
遺伝子の2遺伝子によりコードされる酵素システムにより、vanilloyl acetic acid及び3-(4-hydroxy-3,5-dimethoxyphenyl)-3-oxopropanoic acidをそれぞれバニリン酸及びシリンガ酸へ変換することができる(例えば、非特許文献2)。したがって、SYK-6株は、上記の合計8遺伝子からなるアセトバニロン変換酵素遺伝子群によりコードされる酵素システムにより、アセトバニロンからバニリン酸を生産できる。
【0009】
SYK-6株の上記8遺伝子を他の宿主微生物へ導入することにより、SYK-6株以外の微生物でアセトバニロンからバニリン酸を合成し得る。そのような宿主微生物として、シュードモナス・スピーシーズ(
Pseudomonas
sp.) NGC7株(寄託番号:NITE BP-03043;以下、NGC7株ともよぶ。)が挙げられる(例えば、特許文献1)。NGC7株は、リグニン由来の芳香族化合物である
p
-ヒドロキシ安息香酸及びシリンガ酸を分解することができる。また、NGC7株は、バニレート
O
-デメチラーゼ遺伝子を保有することにより、バニリン酸を分解することができる。したがって、NGC7株を用いてバニリン酸を生産するには、染色体上にあるバニレート
O
-デメチラーゼ遺伝子を不活化する必要がある。
【0010】
そこで、本発明者らは、染色体上にあるバニレート
O
-デメチラーゼ遺伝子を不活化したNGC7株にSYK-6株の上記8遺伝子を導入し、得られた形質転換微生物によりアセトバニロンからバニリン酸を生産することを試みた(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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