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公開番号2024104031
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-02
出願番号2023008036
出願日2023-01-23
発明の名称転動部材
出願人NTN株式会社
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240726BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】鋼材コストを低下させつつ、水素脆性に起因する剥離寿命、表面起点型剥離に起因する剥離寿命及び疲労強度が改善された転動部材を提供する。
【解決手段】転動部材(10,20,30)は、表面を有する鋼製の転動部材である。転動部材は、表面に、表層部(50)を備えている。鋼は、炭素と、シリコンと、マンガンと、クロムと、モリブデンと、バナジウムと、アルミニウムと、リンと、硫黄と、窒素と、酸素とを含み、残部が鉄及び不可避不純物からなる。表層部には、浸窒処理が行われている。表面からの深さが5μm以下となる表層部の第1領域では、圧縮残留応力が80MPa以上になっている。表面からの深さが20μm以下となる表層部の第2領域では、窒素の含有量が0.2質量パーセント以上0.8質量パーセント以下であり、比較面積率が30パーセントにおけるマルテンサイトブロック粒の平均粒径が2.0μm以下である。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
表面を有する鋼製の転動部材であって、
前記表面に表層部を備え、
前記鋼は、0.80質量パーセント以上1.10質量パーセント以下の炭素と、0.15質量パーセント以上0.50質量パーセント以下のシリコンと、0.30質量パーセント以上0.70質量パーセント以下のマンガンと、1.30質量パーセント以上1.60質量パーセント以下のクロムと、0.10質量パーセント以上0.50質量パーセント以下のモリブデンと、0.12質量パーセント以上0.50質量パーセント以下のバナジウムと、0.005質量パーセント以上0.050質量パーセント以下のアルミニウムと、0.020質量パーセント以下のリンと、0.010質量パーセント以下の硫黄と、0.015質量パーセント以下の窒素と、0.0015質量パーセント以下の酸素とを含み、残部が鉄及び不可避不純物からなり、
前記表層部には、浸窒処理が行われており、
前記表面からの深さが5μm以下となる前記表層部の第1領域では、圧縮残留応力が80MPa以上になっており、
前記表面からの深さが20μm以下となる前記表層部の第2領域では、窒素の含有量が0.2質量パーセント以上0.8質量パーセント以下であり、比較面積率が30パーセントにおけるマルテンサイトブロック粒の平均粒径が2.0μm以下である、転動部材。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記表面からの距離が50μm以下となる前記表層部の第3領域では、120℃で2000時間の加熱を行った後の残留オーステナイト量が120℃で2000時間の加熱を行う前の残留オーステナイト量の60パーセント以上である、請求項1に記載の転動部材。
【請求項3】
前記第2領域では、マルテンサイトブロック粒の最大粒径が5.0μm以下である、請求項1に記載の転動部材。
【請求項4】
前記第2領域では、クロム又はバナジウムを主成分とする析出物の最大粒径が0.5μm以下であり、前記析出物の平均面積率が2.0パーセント以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の転動部材。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の前記転動部材を備える、転動部品。
【請求項6】
請求項4に記載の前記転動部材を備える、転動部品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、転動部材に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、自動車や産業機械等の分野では、低燃費化が加速している。それに伴って、自動車や産業機械等に用いられる軸受、歯車、シャフト等の小型化や軽量化が求められる。軸受、歯車、シャフト等は、小型化や軽量化されると使用条件が過酷になるため、高耐久化や高強度化が求められる。
【0003】
例えば自動車や産業機械等の動力伝達装置に用いられる軸受では、高振動、高荷重、急加減速、高温等の厳しい負荷条件で使用される結果、軌道面や転動面にすべりが生じ、潤滑油に混入した水分や潤滑油が分解されて発生した水素が軌道面や転動面から鋼内部に侵入し、水素脆化が発生することがある。水素脆化は、軌道面や転動面において、早期剥離の原因となることがある。また、自動車や産業機械等の動力伝達装置に用いられる軸受では、動力伝達装置に含まれている歯車の摩耗や欠けに伴って、硬質の異物が軸受内部に侵入することがある。このような硬質の異物は、表面損傷や異物に起因した表面起点型剥離の原因となる。
【0004】
例えば自動車や産業機械等の動力伝達装置に用いられる歯車は、接触面(歯車同士が噛み合う面)におけるすべりを伴いながら転動するため、接触面から鋼内部に侵入した水素により水素脆化が引き起こされることがある。また、自動車や産業機械等の動力伝達装置に用いられる歯車は、繰り返し負荷が加わることで歯元に微小な亀裂が発生し、歯元において折損(疲労破壊)が生じることがある。
【0005】
例えば自動車や産業機械等の動力伝達装置に用いられるシャフト(アクスルシャフト、ドライブシャフト)では、自動車や産業機械等の高速旋回等が繰り返されることにより亀裂が発生し、折損(疲労破壊)が生じてしまうことがある。
【0006】
上記のような問題に対応するための技術としては、特開2009-7614号公報(特許文献1)、特許第6735589号公報(特許文献2)及び特許第6356881号公報(特許文献3)に記載の技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2009-7614号公報
特許第6735589号公報
特許第6356881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、トランスミッション用の部材を構成している鋼にニッケルが添加されている。しかしながら、ニッケルは高価であるため、鋼材へのニッケルの添加は、鋼材コストの上昇を招く。特許文献2や特許文献3では、水素脆性に起因する剥離寿命、表面起点型剥離に起因する剥離寿命及び疲労強度に改善の余地がある。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、鋼材コストを低下させつつ、水素脆性に起因する剥離寿命、表面起点型剥離に起因する剥離寿命及び疲労強度が改善された転動部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の転動部材は、表面を有する鋼製の転動部材である。転動部材は、表面に、表層部を備えている。鋼は、0.80質量パーセント以上1.10質量パーセント以下の炭素と、0.15質量パーセント以上0.50質量パーセント以下のシリコンと、0.30質量パーセント以上0.70質量パーセント以下のマンガンと、1.30質量パーセント以上1.60質量パーセント以下のクロムと、0.10質量パーセント以上0.50質量パーセント以下のモリブデンと、0.12質量パーセント以上0.50質量パーセント以下のバナジウムと、0.005質量パーセント以上0.050質量パーセント以下のアルミニウムと、0.020質量パーセント以下のリンと、0.010質量パーセント以下の硫黄と、0.015質量パーセント以下の窒素と、0.0015質量パーセント以下の酸素とを含み、残部が鉄及び不可避不純物からなる。表層部には、浸窒処理が行われている。表面からの深さが5μm以下となる表層部の第1領域では、圧縮残留応力が80MPa以上になっている。表面からの深さが20μm以下となる表層部の第2領域では、窒素の含有量が0.2質量パーセント以上0.8質量パーセント以下であり、比較面積率が30パーセントにおけるマルテンサイトブロック粒の平均粒径が2.0μm以下である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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