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公開番号2024095007
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-10
出願番号2022211975
出願日2022-12-28
発明の名称顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C09D 17/00 20060101AFI20240703BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供する。
【解決手段】〔1〕顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂Aが、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び〔2〕前記〔1〕に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体と、水溶性有機溶剤とを含有する、水系インクである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、
該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂Aが、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
前記アクリル樹脂Aのカルボキシ基が、アミン化合物で中和されてなる、請求項1に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
【請求項3】
前記アクリル樹脂Aの酸価が100mgKOH/g以上260mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
【請求項4】
前記アクリル樹脂Aの全構成単位中のシクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位の含有量が25質量%以上85質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体と、水溶性有機溶剤とを含有する、水系インク。
【請求項6】
前記水溶性有機溶剤が、アルカンジオールを含む、請求項5に記載の水系インク。
【請求項7】
樹脂フィルムを印刷基材とする印刷に用いられる、請求項5又は6に記載の水系インク。
【請求項8】
インクジェット印刷用である、請求項5~7のいずれか1項に記載の水系インク。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式を用いる印刷方法は、微細なノズルからインク液滴を吐出し、直接印刷基材に付着させて、文字や画像が記録された印刷物等を得る方法である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、普通紙やラベル紙、樹脂フィルム等の様々な印刷基材が使用可能、被印刷基材に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。特に印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いるものが主流となってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、普通紙や光沢紙での高い発色性と光沢紙での高い光沢性を併せ持つインクジェット記録用インクの提供を目的として、水、ポリマーの構成成分として少なくとも50重量%以上のベンジルアクリレート若しくはシクロヘキシルアクリレートまたはこれらの混合物と、15重量%以下の(メタ)アクリル酸とが重合され、酸価が50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が20000以上120000以下であるポリマーを用いて分散されたカーボンブラック顔料を含むインクジェット記録用インクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008-222944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食料品等のパッケージ印刷等の産業印刷市場においては、耐久性の観点から印刷基材として主に樹脂フィルムが用いられている。印刷基材として樹脂フィルムを用いる特有の課題として、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性、特に耐テープ剥離性が挙げられる。印刷物のインク塗膜の耐テープ剥離性が不足する場合、インク塗膜が樹脂フィルムから剥離し易く、印刷物の美粧性を損ない、食料品等の内容物の保存性を低下させる。そのため、樹脂フィルムへ印刷する際に得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)の向上が求められている。特に水系インクを用いて樹脂フィルムへ印刷する場合、水系インクにより形成されるインク塗膜が樹脂フィルムに十分に密着する必要がある。
しかしながら、特許文献1のインクジェット記録用インクを疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いた際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)が不十分であることが判明した。
本発明は、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、前記アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂が、(メタ)アクリル酸由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が特定の値以下であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むことにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]及び[2]を提供する。
[1]顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、
該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂Aが、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体。
[2]前記[1]に記載の顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体と、水溶性有機溶剤とを含有する、水系インク。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体]
本発明の顔料を含有するアクリル樹脂粒子(以下、「顔料含有アクリル樹脂粒子」ともいう)の水系分散体(以下、「本発明の水系分散体」又は「水系分散体」ともいう)は、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体であって、該アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂A(以下、「アクリル樹脂A」ともいう)が、(メタ)アクリル酸(a-1)由来の構成単位、シクロアルキルアクリレート(a-2)由来の構成単位、及び単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(a-3)由来の構成単位を含む。
本発明において、顔料含有アクリル樹脂粒子は水系媒体に分散されてなる。
本発明において「水系」とは、液体成分において水が質量基準で最大の比率を占めていることを意味する。
水系媒体の水としては、脱イオン水、イオン交換水、又は蒸留水が好ましく用いられる。
水系媒体は、更に有機溶媒を含有してもよい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等の炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上8以下のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の水に溶解する水溶性有機溶媒が挙げられる。
水系媒体中の水の含有量は、環境性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
【0009】
また、本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を示し、「アルキル(メタ)アクリレート」とは、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを示す。
本発明に係る印刷基材における「非吸液性」とは、印刷基材と純水との接触時間100m秒における該印刷基材の吸水量が1g/m

以下であることを意味する。
本発明に係る印刷基材における「疎水的」とは、表面自由エネルギー(濡れ張力)が、45mN/m以下であることを意味する。印刷基材の表面自由エネルギー(濡れ張力)は、JIS K6768の濡れ張力試験法に準拠した方法で、濡れ張力試験用混合液(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いて測定される。
本発明における「基材密着性」とは、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に得られる印刷物のインク塗膜の耐テープ剥離性を意味し、単に「基材密着性」と称することがある。
【0010】
本発明によれば、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いる際に、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れる、顔料を含有するアクリル樹脂粒子の水系分散体、及び該水系分散体を含有する水系インクを提供することができる。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系分散体は、顔料含有アクリル樹脂粒子が水系媒体に分散されてなり、該顔料含有アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂はシクロアルキルアクリレート由来の構成単位を含む。このシクロアルキルアクリレートのシクロアルキルエステル部位は、印刷基材として用いる樹脂フィルム表面に存在する極性官能基との極性値が近いことで、本発明の水系分散体を水系インクに用いる際の樹脂フィルムに対する濡れ性が向上すると考えられる。さらに、前記極性官能基と該シクロアルキルエステル部位との間で水素結合を形成し、また、樹脂フィルムの疎水性部位とシクロアルキルアクリレートのシクロアルキル部位及び該シクロアルキルアクリレート由来の構成単位を含むアクリル樹脂の主鎖との間にファンデルワールス相互作用を効率的に発現することができるため、樹脂フィルムに対するインク塗膜の基材密着性が向上すると考えられる。
また、前記アクリル樹脂に含まれる単独重合体にした時のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位は、前記シクロアルキルアクリレートが樹脂フィルムとの相互作用を強く発現できるよう該シクロアルキルアクリレートの配座の自由度を高めることに寄与し、強い相互作用を効率的に発現させることでき、また、該アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位は、アクリル樹脂を可塑化し、該アクリル樹脂のガラス転移温度を低下させる作用を有し、印刷基材からインク塗膜が剥離する際の応力を緩和させる作用も有するため、樹脂フィルムに対するインク塗膜の基材密着性をより向上させることができると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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