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公開番号2024094516
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-10
出願番号2022211108
出願日2022-12-28
発明の名称着床能増強胚の作製方法
出願人株式会社リコー
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 5/073 20100101AFI20240703BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】胚のダメージを最小限に留め、簡便かつ短時間の工程で所望のタイミングで、着床能が増強された移植用の胚を作製する方法を開発し、提供する。
【解決手段】胚表面にRGDモチーフを含むポリペプチドの溶液をインビトロで接触させることで着床能の増強された胚を作製する方法を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
着床能増強胚の作製方法であって、
有胎盤類の胚表面にRGDモチーフを含むポリペプチドの溶液をインビトロで接触させる接触工程
を含む前記作製方法。
続きを表示(約 220 文字)【請求項2】
前記溶液の前記ポリペプチド濃度が50μg/mL~2mg/mLである、請求項1に記載の作製方法。
【請求項3】
接触時間が5分~90分である、請求項1又は2に記載の作製方法。
【請求項4】
前記RGDモチーフを含むポリペプチドが細胞接着タンパク質である、請求項1に記載の作製方法。
【請求項5】
RGDモチーフを含むポリペプチドを細胞表面に付着した移植用の着床能増強胚。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、着床能を増強した移植用胚の作製方法、及びその方法で作製された移植用胚に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、先進国をはじめとする各国では、晩婚化等を背景に不妊治療を受ける夫婦が増加している。例えば、2020年の日本における出生児14人のうち1人は、胚移植による出産である(非特許文献1及び2)。
【0003】
ところが、不妊治療における体外受精又は顕微授精による成功率は高いとは言い難い。例えば、2020年の日本における体外受精の成功率(胚移植あたりの出生率)は、新鮮胚を用いた場合は14.7%、凍結胚を用いた場合は25.5%に過ぎない(非特許文献1)。インビトロでの受精、受精卵から胚盤胞までの成長、及び着床から妊娠までの各成功率はいずれも50%以上であることから、前述の成功率の低さは、母体子宮内に移植された移植胚の子宮内膜への着床率の低さが原因とされている。
【0004】
胚の着床は、胚表面の細胞接着タンパク質と子宮内膜細胞上の受容体タンパク質との相互作用によって行われる。したがって、移植胚の着床率を向上させて体外受精等の成功率を高めるには、子宮内膜への胚の接着性を増強することが有効と考えられ、それに関連する研究が行われている。
【0005】
例えば、非特許文献3は、胚盤胞と子宮上皮細胞との接着を向上させる目的で、培養液中にIGF-1(インスリン様成長因子1:Insulin-like growth factor 1)を添加することによって、胚表面におけるフィブロネクチンの産生を向上させる手法を開示している。しかし、この方法はIGF-1を介して接着タンパク質であるフィブロネクチンの産生を間接的に亢進させるため、フィブロネクチンの産生量や発現のタイミングを制御することが困難である。フィブロネクチン量は、接着性の強化、及び胚の成長に直接的な影響を与え、その発現のタイミングは不妊治療等における移植時の着床率に大きな影響を及ぼすことが知られている。したがって、この方法では胚の着床率を向上させることができないという問題があった。
【0006】
また、非特許文献4は、初期胚の成長とフィブロネクチン濃度との関係を開示している。具体的には、初期胚の培養液にフィブロネクチンを異なる濃度で添加して、フィブロネクチンが胚に与える影響について評価している。その結果、フィブロネクチン濃度が5μg/mL及び300μg/mLのときは2細胞期から胚盤胞まで成長したサンプルが0%であり、50μg/mLにおいても成長したのは約7%に過ぎなかったことが報告されている。この結果は、高濃度のフィブロネクチンを胚に長時間作用させることは、胚の成長を阻害することを示唆している。
【0007】
さらに、非特許文献5は、胚盤胞を含む培養液に15.2±3.1μg/mLのフィブロネクチンを添加してフィブロネクチン処理による胚盤胞の体外移植率(in vitro-implantation rate)について開示している。本文献は、使用する胚が、受精から胚盤胞期までを体内で発育させた胚盤胞の場合、インビトロでのフィブロネクチン添加による着床能の向上効果が認められたが、体内受精後に採取し、2細胞期から後期胚盤胞期までを体外で培養した胚盤胞の場合、フィブロネクチン添加による向上効果は認められなかったことを報告している。この結果は、低濃度のフィブロネクチン添加では体外で培養された胚盤胞は、着床能の効果を向上できないことを示唆している。
【0008】
以上のように、従来の研究報告から、接着タンパク質が胚の着床率の向上に関与していることは判明しているものの、高濃度の接着タンパク質で処理した場合は胚へのダメージが生じて、胚の成長が阻害されてしまうことや、逆に低濃度の接着タンパク質処理では胚の細胞接着性の向上が得られないため、胚の着床率の向上に接着タンパク質を利用できないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記問題を解決するために、処理による胚のダメージを最小限に抑え、簡便かつ短時間の工程により所望のタイミングで細胞接着性が増強された移植用の胚を作製する方法を開発し、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決方法を開発するため、本発明者が鋭意研究を重ねた結果、インビトロ操作で移植前の胚に高濃度の細胞接着タンパク質を短時間接触させた場合、胚の細胞接着性を増強し、かつ胚へのダメージを最小限に抑えることに成功した。本発明は、当該研究結果に基づくものであって、以下の着床能増強胚の作製方法及び移植用の着床能増強胚を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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