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公開番号2024091479
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-04
出願番号2023204452
出願日2023-12-04
発明の名称多環芳香族化合物
出願人国立大学法人京都大学,エスケーマテリアルズジェイエヌシー株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C07F 5/02 20060101AFI20240627BHJP(有機化学)
要約【課題】新規な多環芳香族化合物およびそれを用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】一般式(A-1)で表される多環芳香族化合物。
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024091479000269.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">80</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">118</com:WidthMeasure> </com:Image>
式中、Ra1~Ra3、Rb1~Rb4、およびRc1~Rc4は、水素等、Y1は、B等、X1およびX2は、N-アリール等である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(A-1)で表される多環芳香族化合物、または前記式(A-1)で表される単位構造の少なくとも2つを有する多環芳香族化合物の多量体:
TIFF
2024091479000239.tif
82
119
上記式(A-1)中、

a1
~R
a3
、R
b1
~R
b4
、およびR
c1
~R
c4
は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
また、R
a1
~R
a3
、R
b1
~R
b4
、およびR
c1
~R
c4
の隣接する2つの基は互いに結合して、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環およびヘテロアリール環の少なくとも1つの水素は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルで置換されていてもよく、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
ただしR
a1
~R
a3
の少なくとも1つは、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、


は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si-R、またはGe-Rであり、前記Si-Rおよび前記Ge-RのRは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり;


およびX

は、それぞれ独立して、O、N-R、C(-R)

、Si(-R)

、S、またはSeであり、前記N-RのRは水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または式(G-1)で表される基であり、前記C(-R)

、およびSi(-R)

のRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、前記C(-R)

および前記Si(-R)

の2つのRは互いに結合して環を形成していてもよく、また、前記N-RのRおよび/または前記C(-R)

のRは連結基または単結合によりa環および/もしくはb環、またはa環および/もしくはc

環と結合していてもよく、
ただし、X

およびX

の少なくとも1つは、N-Rであり、この際、前記N-RのRは式(G-1)で表される基であり、
TIFF
2024091479000240.tif
77
78
(上記式(G-1)中、

d1
~R
d8
は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルであり、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
また、R
d1
~R
d4
およびR
d5
~R
d8
の隣接する2つの基は互いに結合して、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環およびヘテロアリール環は、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換もしくは無置換のジアリールボリル、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリールオキシ、置換もしくは無置換のアリールチオ、または置換シリルで置換されていてもよく、前記ジアリールアミノの2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、前記ジアリールボリルの2つのアリールは互いに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
ただし、R
d1
~R
d8
のいずれか1つは窒素原子との結合手である)
前記式(A-1)で表される化合物または単位構造における、a環、b環、c

環、アリール環またはヘテロアリール環の少なくとも1つは、少なくとも1つのシクロアルカンで縮合されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、当該シクロアルカンにおける少なくとも1つの-CH

続きを表示(約 3,000 文字)【請求項2】
前記式(G-1)が、式(G-2)~式(G-44)のいずれかで表される基である、請求項1に記載の多環芳香族化合物、またはその多量体:
TIFF
2024091479000241.tif
183
170
TIFF
2024091479000242.tif
162
170
式中、Meはメチルである。
(上記式(G-2)~(G-44)中、


は、それぞれ独立して、アルキル、アリールであり、
*は、窒素原子との結合手である。)
【請求項3】
前記式(A-1)が、下記式(A-2)~(A-13)のいずれかで表される、請求項1に記載の多環芳香族化合物、またはその多量体:
TIFF
2024091479000243.tif
231
170
(上記式(A-2)~(A-13)中、

a2
は置換もしくは無置換のアリールまたは置換もしくは無置換のヘテロアリールであり、

b2
およびR
b3
は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、または置換もしくは無置換のアルキルであり、

c2
およびR
c3
は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のジアリールアミノ、または置換もしくは無置換のアルキルであり、
2つのRは、一方が式(G-1)で表される基であり、もう一方が置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のシクロアルキル、または式(G-1)で表される基であり、


は、それぞれ独立して、水素、またはアルキルであり、


およびX

は、それぞれ独立して、O、N-R

、またはC(-R



であり、


は、それぞれ独立して、アルキル、置換もしくは非置換のアリールであり、
ここで、隣接するR

およびR

は互いに結合してシクロヘキシルを形成してもよく、


およびX

は、それぞれ独立して、O、N-R

、またはC(-R



であり、


は、それぞれ独立して、アルキル、置換もしくは非置換のアリールである。)
【請求項4】
下記式のいずれか1つで表される、請求項1に記載の多環芳香族化合物、またはその多量体:
TIFF
2024091479000244.tif
203
164
TIFF
2024091479000245.tif
252
158
TIFF
2024091479000246.tif
251
158
TIFF
2024091479000247.tif
209
158
TIFF
2024091479000248.tif
247
158
TIFF
2024091479000249.tif
214
168
TIFF
2024091479000250.tif
229
149
TIFF
2024091479000251.tif
214
166
TIFF
2024091479000252.tif
254
170
TIFF
2024091479000253.tif
206
170
TIFF
2024091479000254.tif
199
170
TIFF
2024091479000255.tif
209
170
TIFF
2024091479000256.tif
209
152
TIFF
2024091479000257.tif
223
161
TIFF
2024091479000258.tif
224
161
TIFF
2024091479000259.tif
202
166
TIFF
2024091479000260.tif
255
157
TIFF
2024091479000261.tif
248
158
TIFF
2024091479000262.tif
239
149
TIFF
2024091479000263.tif
239
149
TIFF
2024091479000264.tif
239
149
TIFF
2024091479000265.tif
239
149
TIFF
2024091479000266.tif
239
149
TIFF
2024091479000267.tif
239
166
TIFF
2024091479000268.tif
239
166
式中、Meはメチル、tBuはt-ブチル、tAmはt-アミル、Dは重水素である。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の多環芳香族化合物またはその多量体を含有する、有機デバイス用材料。
【請求項6】
有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料、有機薄膜太陽電池用材料、または波長変換フィルタ用材料である、請求項5に記載の有機デバイス用材料。
【請求項7】
前記有機電界発光素子用材料が発光層用材料である、請求項6に記載の有機デバイス用材料。
【請求項8】
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項1~4のいずれか1項に記載の多環芳香族化合物またはその多量体を含有する有機層とを有する、有機電界発光素子。
【請求項9】
前記有機層が発光層である、請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記発光層が、請求項1~4のいずれか1項に記載の多環芳香族化合物またはその多量体であるドーパントと、ホストとを含む、請求項9に記載の有機電界発光素子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多環芳香族化合物およびその多量体と、これを用いた有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜太陽電池、および波長変換フィルタ等の有機デバイス、並びに、表示装置および照明装置に関する。なお、本明細書中で、「多環芳香族化合物」およびその「多量体」をまとめて「多環芳香族化合物」、「有機電界発光素子」のことを「有機EL素子」または単に「素子」と表記することがある。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
【0003】
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
【0004】
例えば、有機EL素子や有機薄膜太陽電池に使用する材料としてトリフェニルアミン誘導体を改良した材料も報告されている(国際公開第2012/118164号公報)。この材料は既に実用化されていたN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)を参考にして、トリフェニルアミンを構成する芳香環同士を連結することで、窒素を環構造の中心に配置しながらその平面性を高めたことを特徴とする材料である。この文献では例えばNO連結系化合物(63頁の化合物1)の電荷輸送特性が評価されているが、NO連結系化合物以外の材料の製造方法については記載されておらず、また、連結する元素が異なれば化合物全体の電子状態が異なるため、NO連結系化合物以外の材料から得られる特性も知られていなかった。
【0005】
有機EL素子のホスト材料は、一般に、ベンゼンやカルバゾールなどの既存の芳香環を単結合やリン原子やケイ素原子で複数連結した分子である。これは、比較的共役系の小さな芳香環を多数連結することで、ホスト材料に必要とされる大きなHOMO-LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)が担保されるからである。さらに、燐光材料や熱活性型遅延蛍光材料を用いた有機EL素子のホスト材料には、高い三重項励起エネルギー(E

)も必要となるが、分子にドナーあるいはアクセプター性の芳香環や置換基を連結することで、三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2を局在化させ、両軌道間の交換相互作用を小さくすることで、三重項励起エネルギー(E

)を向上させることが可能となる。しかし、共役系の小さな芳香環はレドックス安定性が十分ではなく、既存の芳香環を連結していった分子をホスト材料として用いた素子は寿命が十分ではない。一方、拡張π共役系を有する多環芳香族化合物は、一般に、レドックス安定性は優れているが、HOMO-LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)や三重項励起エネルギー(E

)が低いため、ホスト材料に不向きと考えられてきた。
【0006】
このような状況において、近年ではホウ素などを中心原子として複数の芳香族環を縮合した化合物も報告されている(国際公開第2015/102118号公報)。この文献では発光層のドーパント材料として当該複数の芳香族環を縮合した化合物を用いた有機EL素子評価が実施されている。また、このような化合物をさらに多量化した例(国際公開第2018/212169号公報)や、分子内において連結基により共役系を拡張した例が報告されている(韓国公開特許第10-2020-0121228号、国際公開第2020/217229号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2012/118164号公報
国際公開第2015/102118号公報
国際公開第2018/212169号公報
韓国公開特許第10-2020-0121228号
国際公開第2020/217229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1~5で報告するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。特に、窒素を環構造の中心に配置したNO連結系化合物以外の材料から得られる有機EL特性やその製造方法を模索することは有益である。
【0009】
また、特許文献2~5では、ホウ素を含む多環芳香族化合物とそれを用いた有機EL素子が報告されているが、当該文献には極めて多数の化合物が開示されており、更に素子特性を向上させるべく、発光効率や素子寿命などの有機EL特性を向上させることができる発光層用材料、特にドーパント材料などを模索することは有益である。
【0010】
また、有機EL素子を構成する有機層の形成方法として、現在では真空蒸着法の他に湿式成膜法も用いられているため、特に、正孔注入層、正孔輸送層および発光層を形成するための湿式成膜用インク材料の開発が積極的に行われており、このようなインク材料を模索することも有益である。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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