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公開番号2024087261
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-01
出願番号2022201988
出願日2022-12-19
発明の名称質量分析による化合物判定方法及び化合物判定システム
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 27/62 20210101AFI20240624BHJP(測定;試験)
要約【課題】質量分析により試料中に所定の化合物が含まれているか否かを判定した後に、新たに判定が必要となった別の化合物が前記試料に含まれていたか否かを容易に判定できるようにする。
【解決手段】試料に対し、質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって質量分析データを取得し(11)、該データに基づいて所定の化合物が前記試料に含まれているか否かを判定し(14)、前記質量分析データと、判定済みの化合物を特定する情報とを、前記試料のIDに対応付けて成るデータセットを作成し(16)、複数の試料について作成された前記データセットを蓄積してデータベースを構築し、前記複数の試料のうち再判定対象の試料に関するデータセットを前記データベースから読み出して、該データセットに含まれる質量分析データに基づいて前記判定済みの化合物以外の化合物を含む再判定対象化合物が前記再判定対象の試料に含まれていたか否かを判定する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
判定対象試料に対し、質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって質量分析データを取得する質量分析工程と、
前記質量分析データに基づいて一つ以上の化合物の各々が前記判定対象試料に含まれているか否かを判定する判定工程と、
前記質量分析データと、前記一つ以上の化合物である判定済化合物を特定する情報とを、前記判定対象試料を特定する情報に対応付けて成るデータセットを作成するデータセット作成工程と、
複数の試料の各々を前記判定対象試料として、前記質量分析工程、前記判定工程、及び前記データセット作成工程を行い、該複数の試料の各々について作成された前記データセットを蓄積することによってデータベースを構築するデータベース構築工程と、
前記複数の試料のうち再判定の対象とする試料に関する前記データセットを前記データベースから読み出し、該データセットに含まれる前記質量分析データに基づいて、該データセットから特定される前記判定済化合物以外の化合物を含む一つ以上の化合物である再判定対象化合物の各々が、前記再判定の対象とする試料に含まれていたか否かを判定する再判定工程と、
を有する、質量分析による化合物判定方法。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記再判定工程において、前記判定済化合物以外の化合物のみを前記再判定対象化合物とする、
請求項1に記載の質量分析による化合物判定方法。
【請求項3】
前記質量分析装置の質量分解能が10000以上である、
請求項1又は2に記載の質量分析による化合物判定方法。
【請求項4】
判定対象試料に対して質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって得られた質量分析データに基づいて、一つ以上の化合物の各々が前記判定対象試料に含まれているか否かの判定を行う判定部と、
前記質量分析データと、前記一つ以上の化合物である判定済化合物を特定する情報とを、前記判定対象試料を特定する情報に対応づけてデータベースに記憶させるデータベース登録部と、
ユーザから、前記データベースに登録されている複数の判定対象試料のうち再判定の対象とする試料の指定を受け付ける再判定対象試料指定受付部と、
ユーザから、前記再判定の対象とする一つ以上の化合物である再判定対象化合物の指定を受け付ける再判定対象化合物指定受付部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記判定済化合物を特定する情報を読み出し、前記再判定対象化合物のうち、該判定済化合物に含まれない化合物である未判定化合物を特定する未判定化合物特定部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記質量分析データを読み出し、該質量分析データに基づいて前記未判定化合物の各々が該再判定の対象とする試料に含まれていたか否かを判定する再判定部と、
を有する質量分析による化合物判定システム。
【請求項5】
判定対象試料に対して質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって得られた質量分析データに基づいて、一つ以上の化合物の各々が前記判定対象試料に含まれているか否かの判定を行う判定部と、
前記質量分析データと、前記一つ以上の化合物である判定済化合物を特定する情報とを、前記判定対象試料を特定する情報に対応づけてデータベースに記憶させるデータベース登録部と、
ユーザから、前記データベースに登録されている複数の判定対象試料のうち再判定の対象とする試料の指定を受け付ける再判定対象試料指定受付部と、
ユーザから、前記再判定の対象とする一つ以上の化合物である再判定対象化合物の指定を受け付ける再判定対象化合物指定受付部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記質量分析データを読み出し、該質量分析データに基づいて前記再判定対象化合物の各々が該再判定の対象とする試料に含まれていたか否かを判定する再判定部と、
を有し、
前記再判定対象化合物指定受付部が、前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記判定済化合物を特定する情報を読み出し、該判定済化合物については、前記再判定対象化合物としてユーザが指定できないようにするものである、
質量分析による化合物判定システム。
【請求項6】
判定対象試料に対して質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって得られた質量分析データに基づいて、一つ以上の化合物の各々が前記判定対象試料に含まれているか否かの判定を行う判定部と、
前記質量分析データと、前記一つ以上の化合物である判定済化合物を特定する情報とを、前記判定対象試料を特定する情報に対応づけてデータベースに記憶させるデータベース登録部と、
ユーザから、前記データベースに登録されている複数の前記判定対象試料のうち再判定の対象とする試料の指定を受け付ける再判定対象試料指定受付部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記判定済化合物を特定する情報を読み出してユーザに提示する判定済化合物提示部と、
ユーザから、再判定の対象とする一つ以上の化合物である再判定対象化合物の指定を受け付ける再判定対象化合物指定受付部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記質量分析データを読み出し、該質量分析データに基づいて前記再判定対象化合物の各々が該再判定の対象とする試料に含まれていたか否かを判定する再判定部と、
を有する質量分析による化合物判定システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析による化合物判定方法及び化合物判定システムに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、食品中の残留農薬検査、環境水中の汚染物質検査、又は薬毒物検査など様々な分野において、質量分析装置を用いた多成分一斉分析が一般的に行われている。
【0003】
こうした多成分一斉分析では、試料に含まれる可能性がある多数の化合物に関する情報が予めデータベース(化合物ライブラリ)に登録されており、試料を質量分析することで得られたデータに基づいて、前記化合物ライブラリに登録されている全化合物(又はその中からユーザが指定した化合物)の各々が前記試料に含まれているか否かの判定が行われる。
【0004】
このような多成分一斉分析においては、トリプル四重極型質量分析装置等のタンデム型質量分析装置による多重反応モニタリング(MRM:Multiple Reaction Monitoring)測定が行われることが多い(例えば、特許文献1を参照)。タンデム型質量分析装置は、試料をイオン化するイオン源と、イオン源で発生したイオンをm/z(質量電荷比)に基づいて選別する前段質量分離部と、前段質量分離部を通過したイオン(プリカーサイオン)を開裂させるコリジョンセルと、コリジョンセルで生じたプロダクトイオンをm/zに基づいて選別する後段質量分離部と、後段質量分離部を通過したイオンを検出する検出器とを備えている。MRM測定では、前段質量分離部と後段質量分離部を通過させるイオンのm/zをそれぞれ固定し、特定のプリカーサイオンから生成された特定のプロダクトイオンの強度を測定する。MRM測定では、前後2段の質量分離部によって測定対象外の成分や夾雑成分由来のイオン、及びイオン化されなかった中性粒子が除去されるため、複数の目的成分を含む試料の一斉分析や、夾雑成分を多く含む試料の分析においても高いS/N比でイオン強度信号を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-136266号公報
国際公開第2018/008149号([0003]-[0004])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような多成分一斉分析において、MRM測定による試料の分析を行った後に、該試料の分析を行った時点では想定していなかった化合物が当該試料に混入していた可能性が発覚したり、新たに規制対象となった化合物が前記試料に含まれていたか否かを判定する必要が生じたりする場合がある。しかしながら、MRM測定では、予め、判定対象とする化合物毎に、前段質量分離部を通過させるイオンのm/zと後段質量分離部を通過させるイオンのm/zの組み合わせ(これをMRMトランジションとよぶ)が設定され、各MRMトランジションについてイオン強度信号が取得されるため、試料の分析が完了した後に、事前に想定していなかった化合物が試料に含まれていたか否かを判定することはできなかった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、質量分析によって試料中に所定の化合物が含まれているか否かの判定を行った後に、新たに判定が必要となった別の化合物について、当該化合物が前記試料に含まれていたか否かを容易に判定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析による化合物判定方法は、
判定対象試料に対し、質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって質量分析データを取得する質量分析工程と、
前記質量分析データに基づいて一つ以上の化合物の各々が前記判定対象試料に含まれているか否かを判定する判定工程と、
前記質量分析データと、前記一つ以上の化合物である判定済化合物を特定する情報とを、前記判定対象試料を特定する情報に対応付けて成るデータセットを作成するデータセット作成工程と、
複数の試料の各々を前記判定対象試料として、前記質量分析工程、前記判定工程、及び前記データセット作成工程を行い、該複数の試料の各々について作成された前記データセットを蓄積することによってデータベースを構築するデータベース構築工程と、
前記複数の試料のうち再判定の対象とする試料に関する前記データセットを前記データベースから読み出し、該データセットに含まれる前記質量分析データに基づいて、該データセットから特定される前記判定済化合物以外の化合物を含む一つ以上の化合物である再判定対象化合物の各々が、前記再判定の対象とする試料に含まれていたか否かを判定する再判定工程と、
を有するものである。
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析による化合物判定システムは、
判定対象試料に対して質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって得られた質量分析データに基づいて、一つ以上の化合物の各々が前記判定対象試料に含まれているか否かの判定を行う判定部と、
前記質量分析データと、前記一つ以上の化合物である判定済化合物を特定する情報とを、前記判定対象試料を特定する情報に対応づけてデータベースに記憶させるデータベース登録部と、
ユーザから、前記データベースに登録されている複数の判定対象試料のうち再判定の対象とする試料の指定を受け付ける再判定対象試料指定受付部と、
ユーザから、前記再判定の対象とする一つ以上の化合物である再判定対象化合物の指定を受け付ける再判定対象化合物指定受付部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記判定済化合物を特定する情報を読み出し、前記再判定対象化合物のうち、該判定済化合物に含まれない化合物である未判定化合物を特定する未判定化合物特定部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記質量分析データを読み出し、該質量分析データに基づいて前記未判定化合物の各々が該再判定の対象とする試料に含まれていたか否かを判定する再判定部と、
を有するものである。
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析による化合物判定システムは、
判定対象試料に対して質量分析装置によるスキャン測定を行うことによって得られた質量分析データに基づいて、一つ以上の化合物の各々が前記判定対象試料に含まれているか否かの判定を行う判定部と、
前記質量分析データと、前記一つ以上の化合物である判定済化合物を特定する情報とを、前記判定対象試料を特定する情報に対応づけてデータベースに記憶させるデータベース登録部と、
ユーザから、前記データベースに登録されている複数の判定対象試料のうち再判定の対象とする試料の指定を受け付ける再判定対象試料指定受付部と、
ユーザから、前記再判定の対象とする一つ以上の化合物である再判定対象化合物の指定を受け付ける再判定対象化合物指定受付部と、
前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記質量分析データを読み出し、該質量分析データに基づいて前記再判定対象化合物の各々が該再判定の対象とする試料に含まれていたか否かを判定する再判定部と、
を有し、
前記再判定対象化合物指定受付部が、前記データベースから、前記再判定の対象とする試料について記憶されている前記判定済化合物を特定する情報を読み出し、該判定済化合物については、前記再判定対象化合物としてユーザが指定できないようにするものであってもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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