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公開番号2024085269
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-26
出願番号2022199711
出願日2022-12-14
発明の名称身体貼付用シート
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類A61K 9/70 20060101AFI20240619BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】身体への粘着性(タック力)を維持しつつ、動作追従性に優れ、炭酸ガスによる血行促進効果の高い身体貼付用シートの提供。
【解決手段】ゲル層を有する身体貼付用シートであって、該ゲル層は、(A)炭酸ガス 100ppm以上20000ppm以下、(B)ポリアクリル酸及び/又はその塩、(C)アルミニウム原子、(D)水 60質量%以上90質量%以下を含有し、該ゲル層の、JIS Z0237:2009に従って傾斜板の角度30°、温度23℃、50%R.H.の条件下で行われるボールタック試験におけるボールナンバーが15以上30以下であり、温度25℃、周波数0.1Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.20以上0.50以下であり、周波数10Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.25以上0.50以下であり、坪量が800g/m2以上2500g/m2以下である、身体貼付用シート。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ゲル層を有する身体貼付用シートであって、
該ゲル層は、次の成分(A)~(D):
(A)炭酸ガス 100ppm以上20000ppm以下
(B)ポリアクリル酸及び/又はその塩
(C)アルミニウム原子
(D)水 60質量%以上90質量%以下
を含有し、
該ゲル層の、JIS Z0237:2009に従って傾斜板の角度30°、温度23℃、50%R.H.の条件下で行われるボールタック試験におけるボールナンバーが15以上30以下であり、
該ゲル層の、温度25℃、周波数0.1Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.20以上0.50以下であり、
該ゲル層の、温度25℃、周波数10Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.25以上0.50以下であり、
該ゲル層の坪量が、800g/m

以上2500g/m

以下である、
身体貼付用シート。
続きを表示(約 580 文字)【請求項2】
前記ゲル層が、更に(E)カルボキシメチルセルロース及び/又はその塩、並びに(F)ポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の身体貼付用シート。
【請求項3】
前記ゲル層が、更に(F)ポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の身体貼付用シート。
【請求項4】
前記成分(B)と前記成分(C)との質量比[(B)/(C)]が、250以上900以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の身体貼付用シート。
【請求項5】
前記ゲル層の、(温度25℃、周波数0.1Hzでの動的粘弾性測定における損失正接)/(温度25℃、周波数10Hzでの動的粘弾性測定における損失正接)が、1.3未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の身体貼付用シート。
【請求項6】
前記ゲル層全量(成分(A)を除く)中の前記成分(B)の含有量が、3.0質量%以上10.0質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の身体貼付用シート。
【請求項7】
前記成分(B)全量中に含まれる、アクリル酸単位とアクリル酸塩単位とのモル比(アクリル酸単位/アクリル酸塩単位)が、0.1以上3.0以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の身体貼付用シート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、身体貼付用シートに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚疾患の予防治療効果や、美容効果、疲労回復効果等を得ることを目的として、炭酸ガス(二酸化炭素)の血行促進作用が得られる身体貼付用シート(含水ゲルシート)が開発されている。
例えば、特許文献1には、含水ゲル中の炭酸ガスの保持性の高い含水ゲル物品を生産性よく製造することを目的として、水溶性高分子、架橋剤及び水を含有し、特定の損失正接を有する含水ゲル物品を調製し、該含水ゲルの損失正接を尺度として水溶性高分子の架橋の程度を評価しながら、炭酸ガスを含水ゲルに吸収させる、炭酸ガス含有含水ゲル物品の製造方法が記載されており、含水ゲル物品としてシート状の物品が記載されている。
特許文献2には、簡便かつ安価に製造でき、かつ十分な量の身体に対して生理活性のある気体を皮膚に持続的に供給することができる製剤を提供することを目的として、特定の気泡率の気泡を含有する発泡ゲル層又は発泡液層と樹脂フィルムとの積層シートを気体難透過性容器内に密封してなり、保存時の容器中の空隙部に、酸素又は二酸化炭素などの身体に対して生理活性のある気体を含有する容器入り身体貼付用シートが記載されている。
特許文献3には、皮膚に対する刺激性がなく、皮膚に持続的に二酸化炭素を供給でき、かつ使用性の良好な皮膚への二酸化炭素供給手段を提供することを目的として、二酸化炭素難透過性の包装ピロー内に、二酸化炭素とともにシート状貼付剤を密封してなる身体貼付用シート材であって、シート状貼付剤が特定量の二酸化炭素を溶存するpH3.5~6.5の液又はゲルを有し、包装ピローの内表面積から計算される容積に対する前記液又はゲルの充填比を規定した身体貼付用シート材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-165252号公報
特開2010-202609号公報
特開2005-170937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの特許文献記載の含水ゲルシートでは、炭酸ガス量を上げようとすると、ゲル層の含水率および坪量を増加させる必要があり、シートが厚くなる。その為、動作追従性が十分でなく、特に首や肩、ふくらはぎやひざなどの動きの大きい部位に貼付する場合、身体への貼付状態を維持することが困難となり、含水ゲルシートが浮いたり、剥がれたりする現象が生じることが分かった。このような含水ゲルシートは、身体に貼付して使用する為には、身体への密着性(粘着性)と、貼付後の身体(皮膚)の動きに対する追従性(動作追従性)が必要とされることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]に関する。
[1] ゲル層を有する身体貼付用シートであって、
該ゲル層は、次の成分(A)~(D):
(A)炭酸ガス 100ppm以上20000ppm以下
(B)ポリアクリル酸及び/又はその塩
(C)アルミニウム原子
(D)水 60質量%以上90質量%以下
を含有し、
該ゲル層の、JIS Z0237:2009に従って傾斜板の角度30°、温度23℃、50%R.H.の条件下で行われるボールタック試験におけるボールナンバーが15以上30以下であり、
該ゲル層の、温度25℃、周波数0.1Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.20以上0.50以下であり、
該ゲル層の、温度25℃、周波数10Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.25以上0.50以下であり、
該ゲル層の坪量が、800g/m

以上2500g/m

以下である、
身体貼付用シート。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、身体への粘着性(タック力)、及び動作追従性に優れ、炭酸ガスによる血行促進効果の高い身体貼付用シートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[身体貼付用シート]
本発明の身体貼付用シート(以下、単に「本発明のシート」ともいう)は、ゲル層を有する身体貼付用シートであって、該ゲル層は、次の成分(A)~(D):
(A)炭酸ガス 100ppm以上20000ppm以下
(B)ポリアクリル酸及び/又はその塩
(C)アルミニウム原子
(D)水 60質量%以上90質量%以下
を含有し、
該ゲル層の、JIS Z0237:2009に従って傾斜板の角度30°、温度23℃、50%R.H.の条件下で行われるボールタック試験におけるボールナンバーが15以上30以下であり、
該ゲル層の、温度25℃、周波数0.1Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.20以上0.50以下であり、
該ゲル層の、温度25℃、周波数10Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.25以上0.50以下であり、
該ゲル層の坪量が、800g/m

以上2500g/m

以下である。
本発明の身体貼付用シートによれば、上記特定の組成を有し、ボールタック試験におけるボールナンバーが所定範囲にあり、特定周波数の動的粘弾性測定における損失正接が特定の範囲にあり、かつ、ゲル層の坪量が特定範囲にあることによって、身体への粘着性と、動作追従性とを両立しつつ、炭酸ガスによる血行促進効果を高めることができる。
【0008】
<ゲル層>
本発明の身体貼付用シートは、次の成分(A)~(D):
(A)炭酸ガス 100ppm以上20000ppm以下
(B)ポリアクリル酸及び/又はその塩
(C)アルミニウム原子
(D)水 60質量%以上90質量%以下
を含有し、
JIS Z0237:2009に従って傾斜板の角度30°、温度23℃、50%R.H.の条件下で行われるボールタック試験におけるボールナンバーが15以上30以下であり、
温度25℃、周波数0.1Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.20以上0.50以下であり、
温度25℃、周波数10Hzでの動的粘弾性測定における損失正接が0.25以上0.50以下であり、
坪量が800g/m

以上2500g/m

以下であるゲル層を有する。
該ゲル層中で、成分(B)は成分(C)により架橋された架橋構造を有している。該ゲル層を有する本発明のシートは、身体への粘着性と、動作追従性とを両立しつつ、炭酸ガスによる血行促進効果を高めることができる。
【0009】
以下、該ゲル層に含有される各成分について説明する。
なお、成分(A)以外の成分の含有量は、特に記載がない限り、成分(A)を除くゲル層全量中での含有量である。
(成分(A):炭酸ガス)
本発明のシートを構成するゲル層は、炭酸ガスを100ppm以上20000ppm以下含有することで、本発明のシートを身体に貼付した際の血行促進効果を高めることができる。
ゲル層全量中の成分(A)の含有量は、血行促進効果を向上させる観点から、100ppm以上、好ましくは200ppm以上、より好ましくは500ppm以上、さらに好ましくは800ppm以上、よりさらに好ましくは900ppm以上である。そして、製造容易性の観点から、20000ppm以下、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは3000ppm以下、よりさらに好ましくは2000ppm以下である。
ゲル層中の炭酸ガスの含有量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0010】
(成分(B):ポリアクリル酸及び/又はその塩)
本発明のシートを構成するゲル層は、成分(B)として、ポリアクリル酸及び/又はその塩を含有する。成分(B)は、カルボキシ基(-COOH)又はカルボキシレート基(-COO

)を有するポリマーであり、成分(C)とのイオン間相互作用により架橋構造を形成し得る。
ポリアクリル酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。入手容易性及び動作追従性を向上させる等の観点から、ポリアクリル酸の塩としては、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩が好ましく、ポリアクリル酸のナトリウム塩(ポリアクリル酸ナトリウム)がより好ましい。
成分(B)として用いられる市販のポリアクリル酸としては、例えば、ダウ・ケミカル日本(株)製のアキュゾールシリーズが挙げられる。また、市販のポリアクリル酸ナトリウムとしては、例えば、東亞合成(株)製のアロンビスシリーズ、ジュリマーシリーズ、(株)日本触媒製のアクアリックシリーズが挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)

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