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公開番号2024085078
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-26
出願番号2022199415
出願日2022-12-14
発明の名称高炉の操業方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C21B 5/00 20060101AFI20240619BHJP(鉄冶金)
要約【課題】コークス比、微粉炭比及び水素系還元ガスの吹込量の配分を適切に調整することにより、プロセス全体の熱バランスを満たしながら、高い炭素消費削減効果を得る。
【解決手段】羽口から水素系還元ガスを吹き込む高炉の操業方法において、高炉内の炭素削減率の目標値である目標炭素削減率を達成するための還元材設定工程を有し、前記還元材設定工程において、水素系還元ガスの吹込量、コークス比及び微粉炭比を設定することを特徴とする、高炉の操業方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
羽口から水素系還元ガスを吹き込む高炉の操業方法において、
高炉内の炭素削減率の目標値である目標炭素削減率を達成するための還元材設定工程を有し、
前記還元材設定工程において、水素系還元ガスの吹込量、コークス比及び微粉炭比を設定する
ことを特徴とする、高炉の操業方法。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記還元材設定工程は、
水素系還元ガスの吹込量を設定するガス吹込量設定工程と、
前記ガス吹込量設定工程で設定された吹込量に基づいて水素系還元ガスを吹き込む吹込条件において、前記目標炭素削減率を達成するためのコークス比及び微粉炭比を設定する、コークス比・微粉炭比設定工程と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の高炉の操業方法。
【請求項3】
前記還元材設定工程において、少なくとも出銑量、炉頂ガス温度及び溶銑温度が基準操業と同一となるように、水素系還元ガスの吹込量、コークス比及び微粉炭比を設定する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
【請求項4】
前記還元材設定工程において、
少なくとも出銑量、炉頂ガス温度及び溶銑温度が基準操業と同一となるように求められた、所定のガス吹込量におけるコークス比と高炉内の炭素削減率との関係を、第1関係情報として準備するとともに、
少なくとも出銑量、炉頂ガス温度及び溶銑温度が基準操業と同一となるように求められた、所定のガス吹込量におけるコークス比と微粉炭比との関係を、第2関係情報として準備し、
前記ガス吹込量設定工程で設定された吹込量における前記第1関係情報が、コークス比が増加するにつれて高炉内の炭素削減率が増加する単調増加関数である場合、
前記コークス比・微粉炭比設定工程は、微粉炭比を0に設定するとともに、前記ガス吹込量設定工程で設定された吹込量に対応した前記第2関係情報における、微粉炭比が0であるときのコークス比を設定すべきコークス比として設定する
ことを特徴とする、請求項2に記載の高炉の操業方法。
【請求項5】
前記還元材設定工程において、
少なくとも出銑量、炉頂ガス温度及び溶銑温度が基準操業と同一となるように求められた、所定のガス吹込量におけるコークス比と高炉内の炭素削減率との関係を、第1関係情報として準備するとともに、
少なくとも出銑量、炉頂ガス温度及び溶銑温度が基準操業と同一となるように求められた、所定のガス吹込量におけるコークス比と微粉炭比との関係を、第2関係情報として準備し、
前記ガス吹込量設定工程で設定された吹込量における前記第1関係情報が、コークス比が増加するにつれて高炉内の炭素削減率が増加する単調増加部分と、コークス比が増加するにつれて高炉内の炭素削減率が減少する単調減少部分と、を有する関数である場合、
前記目標炭素削減率は、炭素削減率の最大値であり、
前記コークス比・微粉炭比設定工程におけるコークス比設定工程は、
それぞれの吹込量に対応する前記第1関係情報ごとに、高炉内の最大炭素削減率に対応するコークス比であるピークコークス比を求める、ピークコークス比設定工程と、
前記ピークコークス比設定工程において求めたピークコークス比に基づいて、前記目標炭素削減率を達成するためのコークス比を求める予測式を算出する予測式算出工程と、
前記予測式に基づき、前記ガス吹込量設定工程で設定された吹込量における前記目標炭素削減率を達成するためのコークス比を算出するコークス比算出工程と、
を備え、
前記コークス比・微粉炭比設定工程における微粉炭比設定工程は、前記ガス吹込量設定工程で設定された吹込量における前記第2関係情報から、前記コークス比算出工程で算出されたコークス比に対応する微粉炭比を求める
ことを特徴とする、請求項2に記載の高炉の操業方法。
【請求項6】
前記予測式は、水素系還元ガスの吹込量とコークス比との関係式である
ことを特徴とする、請求項5に記載の高炉の操業方法。
【請求項7】
前記予測式算出工程において、前記予測式は、前記ピークコークス比設定工程において前記第1関係情報ごとに設定されたピークコークス比と、高炉の実操業で想定される炭素削減率の予測変動幅と、に基づいて算出される
ことを特徴とする、請求項6に記載の高炉の操業方法。
【請求項8】
前記第1及び第2関係情報を、高炉数学モデルにより求める
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の高炉の操業方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、羽口を有する高炉の操業方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
銑鉄を製造する製銑工程では、鉱石原料及びコークスを高炉内に交互に層状に装入し、羽口から微粉炭とともに熱風を吹き込むことによって、鉱石原料を還元する処理が行われる。
【0003】
ここで、微粉炭は、一般的に燃焼速度が遅いため、炉内に吹き込まれたときに未燃チャー等の未燃物が生成される場合がある。この未燃物が炉内に蓄積されると、高炉の安定操業が阻害される。そこで、着火が早く燃焼性に優れた気体状の還元材(気体還元材)を、微粉炭とともに高炉内に吹き込むことによって、微粉炭の燃焼を促進させる高炉の操業方法が種々提案されている。
【0004】
特許文献1には、10~80kg/tに調整された気体還元材と、50~150kg/tに調整された微粉炭と、を羽口から吹き込む高炉の操業方法が開示されている。特許文献1によれば、気体還元材と微粉炭との混焼によって、炉内の燃焼性を改善することができる。
【0005】
近年、地球温暖化を抑制する観点から、高炉における炭素消費量を減らし、製鉄所内で発生するCO

を削減することが求められている。
【0006】
その解決策として、高炉の羽口から水素系還元ガスを吹き込む操業方法が検討されている。「水素系還元ガス」には、COG(コークス炉から排出されるコークス炉ガス)や都市ガス、天然ガス、LPG、メタンガス、水素ガス等が含まれる。水素系還元ガスを羽口から吹き込むことで発生する水素ガスによって鉱石原料の還元が促進されるため、コークス比(溶銑1tを製造するのに必要なコークスの質量)及び微粉炭比(溶銑1tを製造するのに必要な微粉炭の質量)を低減することができ、高炉における炭素消費量を削減することができる。
【0007】
ここで、羽口から水素系還元ガスを吹き込む操業方法では、以下の(1)~(3)に示す理由により、羽口前温度が低下する。
(1)水素系還元ガスには、炭化水素(CH

、C



、C



等)が含まれており、炉内に水素系還元ガスが吹き込まれると、熱分解により水素及びCOが生成され、熱分解時に熱エネルギーが消費されるため、羽口前温度が低下する。
(2)通常の高炉操業では、常温の水素系還元ガスが吹き込まれるため、羽口前の熱エネルギーが水素系還元ガスの昇温に用いられ、羽口前温度が低下する。
(3)羽口から高炉に吹き込まれた微粉炭の熱分解に熱エネルギーが使われるため、羽口前温度が低下する。
羽口前温度が低下すると、微粉炭が燃焼不良となり、高炉の安定操業が阻害されるおそれがある。なお、羽口前温度とは、羽口の炉内側先端部における炉内温度のことであり、公知の計算法(例えばラムの計算式)に基づき理論燃焼温度として算出することができる。
【0008】
羽口前温度の低下を抑制するためには、羽口から熱風として吹き込まれる酸素富化空気の酸素富化率(酸素富化空気の酸素濃度から大気の酸素濃度(21%)を引いた値)を上げ、炭化水素や微粉炭の分解に使用される分解熱や、水素系還元ガスの昇温に用いられる顕熱を補償する必要がある。一方、炭素原単位が同じであれば羽口から吹き込む酸素富化空気に含まれる酸素量は、基本的に一定としなければならない。酸素富化空気に含まれる酸素量を増加させると、銑鉄の過剰生産となるからである。
【0009】
出銑量を一定に保ちながら、羽口から吹き込む酸素富化空気の酸素富化率を上げるためには、炭素原単位に応じて、酸素富化空気に含まれる酸素量のバランスを取る必要があるが、このとき炉内に吹き込まれる酸素富化空気中の窒素量を減少させることで酸素富化空気量が減少するため、酸素富化空気量に対する燃焼熱の割合が増加し、羽口前温度を上昇させることができる。しかしながら、空気流量を下げることにより、炉内に吹き込まれる窒素量が少なくなり、酸素富化空気の流量が減少するため、高炉内を流通するガス量やガスの顕熱量が減少してしまう。
【0010】
高炉内を流通するガスは、羽口から上昇しながら、炉頂に装入された後に降下する装入物と接触して熱交換を行う。ここで、上記のように酸素富化率を増加させると、羽口前でのガスの燃焼温度が高くなる一方で、炉上部では高炉内を流通するガス量が減少するため、炉内装入物を所定の温度まで昇温するのに必要な熱交換距離が長くなる、すなわち、原料の昇温速度が低下してしまう。その結果、炉頂におけるガス温度(炉頂ガス温度)が相対的に低下する。
また、水素ガスによる間接還元は、吸熱反応であるため、更に炉内温度を低下させるとともに原料の昇温速度を低下させることになる。上述の通り高炉内に吹き込まれる窒素量が少なくなると、ボッシュガスの量が少なくなり熱容量が低下するとともに水素還元による吸熱作用のため、炉頂に到達するまでの炉内ガスの温度低下幅が相対的に大きくなる。
(【0011】以降は省略されています)

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