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公開番号2024151070
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-24
出願番号2023064195
出願日2023-04-11
発明の名称鋼板およびその製造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20241017BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】大ひずみ領域における加工硬化能が改善された鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】所定の化学組成を有し、ミクロ組織が体積分率でフェライト:80~95%およびパーライト:5~20%を含み、フェライトの平均結晶粒径が2~16μmであり、フェライト粒内に含まれる析出強化粒子の密度が1.0×1022個/m3以下であり、フェライト粒内に含まれるセメンタイト粒子の密度が1.0×1010個/m2以下であり、パーライトからなる島状領域の平均円相当直径が8.0μm以下であり、パーライトのラメラ構造を形成するセメンタイトの平均長径とセメンタイトが存在するパーライトからなる島状領域の円相当直径との比が平均で0.20以上であり、パーライトのラメラ構造を形成するフェライト内部に含まれる析出強化粒子の密度が1.0×1022個/m3以下である鋼板およびその製造方法が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
化学組成が、質量%で、
C:0.075~0.240%、
Si:1.25%以下、
Mn:0.50~2.00%、
P:0.030%以下、
S:0.0100%以下、
N:0.0150%以下、
O:0.0030%以下、
Al:1.000%以下、
Ti:0.004~0.030%、
Nb:0~0.015%、
V:0~0.100%、
Cu:0~0.10%、
Ni:0~3.00%、
Cr:0~1.50%、
Mo:0~1.00%、
W:0~1.00%、
B:0~0.0050%、
Sn:0~1.000%、
Sb:0~0.200%、
Ca、Mg、Zr、La、Ce、Te、HfおよびREMの1種または2種以上の合計:0~0.0050%、ならびに
残部:Feおよび不純物からなり、
下記式(1)および式(2)を満たし、
表面から板厚方向に板厚の1/8の位置~前記表面から前記板厚方向に前記板厚の3/8の位置の範囲におけるミクロ組織が、体積分率で、
フェライト:80~95%、
パーライト:5~20%、ならびに
マルテンサイト、ベイナイト、ベイニティックフェライトおよび残留オーステナイトの合計:0~5%であり、
前記フェライトの平均結晶粒径が2~16μmであり、
前記フェライト粒内に含まれる析出強化粒子の密度が1.0×10
22
個/m
3
以下であり、
前記フェライト粒内に含まれるセメンタイト粒子の密度が1.0×10
10
個/m
2
以下であり、
前記パーライトからなる島状領域の平均円相当直径が8.0μm以下であり、
前記パーライトのラメラ構造を形成するセメンタイトの平均長径と前記セメンタイトが存在するパーライトからなる島状領域の円相当直径との比が平均で0.20以上であり、
前記パーライトのラメラ構造を形成するフェライト内部に含まれる析出強化粒子の密度が1.0×10
22
個/m
3
以下であることを特徴とする、鋼板。
2.44×10
-2
×(1.00-0.20[Si]+7.00[Nb])×(1.00-10[B]
0.5
)×(117+17[Si]+11[Si]
2
-33[Mn]+4[Mn]
2
+79[Al]+59[Al]
2
-26[Ni]-12[Cr])×(1+1.3[Si]+12[Mo]+35[Nb])
-1
≧1.00 ・・・式(1)
-0.003≦[Ti]-3.42[N]≦0.015 ・・・式(2)
ここで、[Si]、[Nb]、[B]、[Mn]、[Al]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[Ti]および[N]は、各元素の含有量[質量%]であり、元素を含有しない場合は0である。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記化学組成が、質量%で、
Nb:0.004~0.012%、
V:0.020~0.080%、
Cu:0.02~0.08%、
Ni:0.15~2.30%、
Cr:0.10~1.00%、
Mo:0.03~0.50%、
W:0.03~0.50%、
B:0.0005~0.0025%、
Sn:0.015~0.300%、
Sb:0.005~0.080%、ならびに
Ca、Mg、Zr、La、Ce、Te、HfおよびREMの1種または2種以上の合計:0.0008~0.0030%
から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の鋼板。
【請求項3】
前記フェライトにおける結晶粒の平均アスペクト比が2.00以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の鋼板。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化学組成を有するスラブを鋳造し、次いで500℃以下まで冷却する鋳造工程、
前記スラブを加熱する加熱工程であって、前記スラブの最高加熱温度が1000~1150℃であり、1000℃以上の温度における総滞在時間が下記式(3)を満たす加熱工程、
前記スラブの温度が1000℃以上の温度域での累計圧下率が25%以上となるように前記スラブに粗圧延を施し、次いで30秒以上の停留を施す粗圧延工程、
得られた圧延材の温度が950℃以下の温度域での累計圧下率が30%以上となるように前記圧延材に仕上げ圧延を施す仕上げ圧延工程であって、仕上げ圧延の完了温度が850~920℃である仕上げ圧延工程、および
得られた鋼板を水冷する冷却工程であって、仕上げ圧延工程完了から前記鋼板の温度が630℃に達するまでの経過時間が60秒以上であり、水冷開始温度が600~630℃であり、水冷停止温度が400~450℃であり、水冷後の復熱により前記鋼板の温度が450℃を超えないように制御される冷却工程
を含むことを特徴とする、鋼板の製造方法。
JPEG
2024151070000008.jpg
62
144

10
は、1000℃以上の温度における総滞在時間を10等分して上記計算式に従って得られる数値であり、
tは1000℃以上の温度における総滞在時間を10等分した時間[秒]であり、

i
は10等分した滞在時間のi番目の時間が経過した後の温度[℃]であり、

1
、A
2
、A
3
、A
4
、A
5
およびA
6
は定数であって、それぞれ4.04×10
3
、-3.14×10
4
、1.55×10
3
、6.12×10
-8
、6.28×10
4
および5.46×10
2
であり、


およびt

は、上記計算式に従って1番目からi番目まで順に計算して得られる数値である。
【請求項5】
加熱工程における前記最高加熱温度が1070~1150℃であり、
仕上げ圧延工程における前記累計圧下率が45%以上であり、前記仕上げ圧延の完了温度が875~920℃であることを特徴とする、請求項4に記載の鋼板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板およびその製造方法に関し、より詳しくは加工硬化能が改善され、それゆえ衝突による変形中のひずみ集中を抑制し、破孔発生を抑制するのに有用な鋼板およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
船舶、浮体、および海洋構造物において、海洋上で航路を外れた船舶等との衝突のリスクが存在することから、その設計に当たっては想定される衝突を受けても復元性を失わないことが必要となる。復元性を失わないよう、防舷材等を設置することによる衝撃の緩和や、構造を複数のブロックに分けて衝突による破孔発生の影響を小さく留める設計がなされる。このような衝突に備えた設計は本来の用途に要する設計に付加的に考慮されるものであり、船舶、浮体、および海洋構造物の建造コストの増大をもたらす。
【0003】
船舶、浮体、および海洋構造物と同様に、自動車においても、乗員の安全を守るため、衝突時に車体の損傷を制御し、想定される衝突に対して許容可能な範囲に収めることが求められている。自動車においては、非特許文献1に記載の通り、この課題に対する解の1つとして、使用する鋼材の強度の向上が採用されている。強度が高く、かつ、容易に破壊しない鋼材を車体に適用することで、従来と同様の設計を踏襲した車体であっても衝突時の安全性を大きく高めることができる。
【0004】
同様に、船舶においても、材料の特性を向上させることで、衝突時の損傷の程度を下げることができる。例えば、特許文献1では、船舶の衝突において船舶側面部の破孔発生を抑制する手段として、ミクロ組織を制御し、軟質なフェライト粒内の転位密度を低減し、板厚方向の硬さ分布を均質とした、高強度高延性鋼板が提案されている。具体的には、特許文献1に記載の高強度高延性鋼板は、全伸び(T.EL)の下限値を一般鋼の1.5倍である23%以上とし、降伏強度(YP)を355~500MPaとし、引張強度(TS)を490~620MPaとするものである。
【0005】
また、特許文献2では、耐延性破壊特性に優れた低降伏比高強度鋼板として、ベイナイト組織に島状マルテンサイト組織を分散させた、二軸応力状態での延性き裂の発生を抑制した鋼板とした、ベイナイトの面積分率を30~90%、島状マルテンサイトの面積分率を2~10%とする鋼板が提案されている。
【0006】
更に、特許文献3には、降伏強度235MPa以上、引張強度460MPa以下、均一伸び15%以上で、0℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーが100J以上である船体用厚鋼板が提案されている。但し、この鋼板は、船体の衝突において衝突する側の鋼板の特性を向上させることで衝突を受ける側の損傷を軽減する目的で用いられるものであり、衝突を受ける側における損傷制御の手段として意図されたものでは必ずしもない。
【0007】
一方、衝突時の損傷軽減を目的とせず、鋼板の高強度化を進める観点から、特許文献4では、高強度鋼による船舶の重量軽減を狙い、化学組成、圧延条件、および、圧延後の冷却条件を制御し、Ca系介在物を鋼中に微細分散させた、大入熱溶接性および延性に優れた降伏強さ460MPa以上、板厚50mm以下の高張力鋼板の製造方法が示されている。
【0008】
また、特許文献5には、一様伸びに優れた厚鋼板として、フェライトからなる第一相とパーライトからなる第二相からなる金属組織を有し、該第二相の硬さが260HV以下である、炭素含有量が0.04~0.06質量%の鋼板が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2016-125077号公報
特開2013-139602号公報
国際公開第2011/062000号
特開2015-193920号公報
特開2018-193605号公報
【非特許文献】
【0010】
高橋学:「薄板技術の100年-自動車産業と共に歩んだ薄鋼板と製造技術-」、鉄と鋼、Vol.100、2014、No.1、p82-93
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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