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公開番号2024142642
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023054876
出願日2023-03-30
発明の名称鋼の連続鋳造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類B22D 11/128 20060101AFI20241003BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】中心偏析及びポロシティを低減しつつ、鋳片の内部割れを抑制することのできる鋼の連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】連続鋳造方法では、連続鋳造機(1)を用いる。連続鋳造機(1)は、鋳造方向に配列された複数の軽圧下ロール対(6)を備える。軽圧下ロール対(6)のうち少なくとも一方の軽圧下ロールは、幅方向中央部の直径が両端部の直径より大きく、幅方向中央部の幅をWr(mm)、鋳片の幅をWs(mm)、鋳片の厚みをD(mm)としたとき、下記の式(1)を満たす。連続鋳造方法は、圧下工程(#10)を備える。圧下工程(#10)では、鋳片(10)の中心固相率が0.3に達してから中心固相率が1.0に達するまで、複数の軽圧下ロール対(6)を用いて、0.5mm/min以上且つ1.3mm/min以下の圧下速度で鋳片(10)を厚み方向に軽圧下する。
Ws-1.15×D≦Wr≦Ws-1.15×D+250 (1)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
鋳片の鋳造方向に配列された複数の軽圧下ロール対を備える連続鋳造機を用いた鋼の連続鋳造方法であって、
前記軽圧下ロール対のうち少なくとも一方の軽圧下ロールは、幅方向中央部の直径が両端部の直径より大きく、前記幅方向中央部の幅をWr(mm)、前記鋳片の幅をWs(mm)、前記鋳片の厚みをD(mm)としたとき、下記の式(1)を満たし、
前記連続鋳造方法は、
前記鋳片の中心固相率が0.3に達してから前記中心固相率が1.0に達するまで、前記複数の軽圧下ロール対を用いて、0.5mm/min以上且つ1.3mm/min以下の圧下速度で前記鋳片を厚み方向に軽圧下する圧下工程を備える、連続鋳造方法。
Ws-1.15×D≦Wr≦Ws-1.15×D+250 (1)
続きを表示(約 140 文字)【請求項2】
請求項1に記載の連続鋳造方法であって、
前記連続鋳造機は、電磁ブレーキを含む鋳型を備え、
前記連続鋳造方法は、前記電磁ブレーキにより前記鋳型内の溶鋼に磁束密度が1000Gauss以上の磁場を印加する印加工程をさらに備える、連続鋳造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、鋼の連続鋳造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
鋼の連続鋳造において、鋳片が凝固収縮することにより、鋳片に中心偏析及びポロシティといった欠陥が発生する。連続鋳造によって得られた鋳片は、圧延されて、製品となる。近年、製品の厚肉化及び高強度化が進み、これに伴い鋳片の内部品質に対する要求が一段と高まっている。このため、鋳片の厚み方向中心部での中心偏析及びポロシティをより低減することが求められる。これらの欠陥による内部品質を改善するため、通常、連続鋳造機内で鋳片を厚み方向に軽圧下することが行われる。軽圧下には、通常、鋳片の鋳造方向に配列された複数の圧下ロールが用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、鋳片両端部のクレータエンド形状が上流側にシフトした場合でも中心偏析及びポロシティの悪化を防ぐため、軽圧下帯の上流側部分に幅方向中央部のロール径が両端部のロール径よりも大きい凸型ロールを配置する技術が開示されている。特許文献1に記載の連続鋳造方法では、鋳片が軽圧下帯に達する前に幅方向の温度分布を測定する。そして、鋳片の幅方向中央部の温度が両端部の温度より所定の温度低い場合には、凸型ロールを用いて鋳片の幅方向中央部を中心とした軽圧下を行う、と特許文献1には記載されている。
【0004】
特許文献2には、軽圧下時の圧下荷重を低減させるために、鋳片をバルジングさせる技術が開示されている。特許文献2に記載の連続鋳造方法では、サポートロールの厚み方向の間隔を徐々に大きくすることにより鋳片を意図的にバルジングさせ、その後、鋳片を複数のガイドロールで圧下する。
【0005】
特許文献3には、スラブのセンターポロシティ(中心偏析)を改善するために、連続した2つ以上の圧下ロール対において、圧下ロール対の圧下ロールの一方又は両方を凸型ロールとする技術が開示されている。特許文献3に記載の連続鋳造方法では、鋳片の中心固相率が0.7以上の範囲において、凸型ロールを含む圧下ロール対を用いて鋳片を圧下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2012-66302号公報
国際公開第2019/167855号
特開2016-78083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、製品の厚肉化要求に伴い鋳片の厚肉化が進んでおり、鋳片の中心偏析やポロシティを十分低減するのに必要な圧下ロールの圧下力が増大している。圧下力を増加させるためには、油圧装置等の設備を大型化するのに加え、増大する圧下力に耐え得るように、圧下ロールの剛性及びセグメントフレームの剛性を大きくする必要がある。圧下ロールの剛性を高めるためには、例えば圧下ロールの直径を大きくすることが考えられる。しかしながら、圧下ロールの直径を大きくすると、鋳造方向において隣接する圧下ロール間の距離が必然的に増加する。すると、隣接する圧下ロール間で鋳片にバルジングが発生しやすくなり、逆に中心偏析が増加する可能性がある。また、圧下ロールの剛性を高めるために、圧下ロールを幅方向に複数に分割し、各圧下ロール間に軸受を設けることも考えられる。しかしながら、この場合、圧下ロール間の軸受部分では鋳片が圧下されないため、中心偏析やポロシティが悪化する可能性がある。
【0008】
特許文献1に記載された技術では、軽圧下帯の上流において凸型ロールで圧下が行われ、凸型ロールよりも下流側ではフラットロールで圧下が行われる。一般に、鋳造方向下流側では、上流側と比較して鋳片の温度が下がるため、必要な圧下ロールの圧下力は増加する。そのため、下流側においてフラットロールで鋳片を圧下したとしても、鋳片の幅方向中央部を十分に圧下できず、中心偏析やポロシティが悪化する場合がある。また、凸型ロールにより鋳片の幅方向中央部にへこみが転写される。フラットロールではこのへこみ部分を圧下できないため、条件によっては中心偏析やポロシティが悪化する恐れがある。さらに、特許文献1には、軽圧下を開始すべき具体的な中心固相率や軽圧下量が明記されていない。
【0009】
特許文献2の技術は、軽圧下前に鋳片を意図的にバルジングさせる。しかしながら、鋳片の鋼種やバルジング量によっては内部割れが発生する場合があり、製品品質に悪影響を与える恐れがある。特許文献3の技術は、鋳片の中心固相率が0.7以上の範囲において、圧下ロール対を用いて鋳片を圧下するが、この範囲よりも前に発生する中心偏析に対しては改善しきれない可能性がある。
【0010】
本開示の目的は、中心偏析及びポロシティを低減しつつ、鋳片の内部割れを抑制することのできる鋼の連続鋳造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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