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公開番号2024148936
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023062530
出願日2023-04-07
発明の名称軸圧潰衝撃吸収部材
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人
主分類F16F 7/12 20060101AFI20241010BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】軸圧潰衝撃吸収部材の単位質量当たりのエネルギー吸収性能を向上する。
【解決手段】軸圧潰衝撃吸収部材10は、軸方向に沿って延びる複数の稜線1aと、複数の稜線1aの間の壁部1bとを備える。稜線と壁部により閉断面が形成される。複数の壁部1bの各々は、軸方向に離間した複数の厚肉の桟部12と、桟部12の間における薄肉壁部13とを含む。複数の稜線1aの各々において、薄肉壁部13よりも厚い柱部11が形成される。桟部12の軸方向の最大幅L1よりも、軸方向に隣り合う2つの桟部12の間の軸方向の最短距離L2の方が長い(L1<L2)。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
軸圧潰衝撃吸収部材であって、
軸方向に沿って延びる複数の稜線と、
前記複数の稜線の間の壁部とを備え、
軸方向に垂直な断面において、前記複数の稜線と前記複数の壁部により、閉断面が形成され、
前記複数の壁部の各々は、軸方向に離間した複数の厚肉の桟部と、前記複数の桟部の間における前記桟部より厚みが薄い薄肉壁部とを含み、
前記複数の稜線の各々において、前記薄肉壁部よりも厚い柱部が形成され、
前記複数の桟部の各々の両端が前記柱部に接続されており、
前記複数の壁部の各々において、前記複数の桟部の中央部の軸方向の最大幅L1よりも、前記複数の桟部のうち軸方向に隣り合う2つの桟部の中央部の間の軸方向の最短距離L2の方が長く(L1<L2)、
前記複数の壁部の各々において、前記各壁部の両側の稜線の間の最小幅Wは、前記各壁部の前記複数の桟部のうち軸方向に隣り合う2つの桟部の中央部の軸方向一方端の間の軸方向の最大距離Dより長い(W>D)、軸圧潰衝撃吸収部材。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
請求項1に記載の軸圧潰衝撃吸収部材であって、
前記複数の稜線は、直線状に延びる、軸圧潰衝撃吸収部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の軸圧潰衝撃吸収部材であって、
前記複数の柱部のそれぞれは、前記稜線に加えて、前記稜線から隣接する前記壁部の一部に延び、前記軸圧潰衝撃吸収部材の軸方向の一方端部から他方端部へ至る領域に形成される、前記薄肉壁部より厚い柱壁部を含む、軸圧潰衝撃吸収部材。
【請求項4】
請求項3に記載の軸圧潰衝撃吸収部材であって、
前記複数の壁部の各々において、前記柱壁部の軸方向に垂直且つ壁部の面に沿った方向の最小幅L3は、前記桟部の軸方向の最大幅L1より大きい(L1<L3)、軸圧潰衝撃吸収部材。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の軸圧潰衝撃吸収部材であって、
前記複数の壁部における前記複数の桟部のうち少なくとも1つは、両端部において、前記両端部の間よりも軸方向の幅が大きくなるコーナー部を含む、軸圧潰衝撃吸収部材。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の軸圧潰衝撃吸収部材であって、
前記複数の壁部における前記複数の桟部のうち少なくとも1つは、両側の柱部にそれぞれ接続され、互いに離間した一対の桟肉厚部で形成され、前記一対の桟肉厚部の間の壁部の厚みは、前記桟肉厚部より薄い、軸圧潰衝撃吸収部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、軸圧潰衝撃吸収部材に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、自動車車体部品には、自動車衝突時の衝撃エネルギーを塑性変形で吸収し、客室部(以下、キャビンと記す)の変形を最小限に抑えることが求められる。例えば、クラッシュボックス、フロントサイドメンバー、リアサイドメンバー等には、長手方向すなわち軸方向の衝撃に対して軸圧潰することでエネルギーを吸収する軸圧潰衝撃吸収部材が用いられることがある。
【0003】
特開2010-236560号公報(特許文献1)には、構造部材が開示されている。この構造部材は、オーステナイト系ステンレス調質圧延鋼板を素材としたハット型閉断面構造を有する。構造部材の各壁面鋼板に、軸方向に直角な帯状の低強度部が、軸方向に所定の間隔を空けて形成される。この構造部材は、軸方向の衝撃荷重に対し、軸方向の複数箇所で座屈を生じて蛇腹状に圧潰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010-236560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軸圧潰衝撃吸収部材は、エネルギー吸収性能に加えて、軽量であることが求められる場合がある。そこで、本開示は、単位質量当たりのエネルギー吸収性能を向上できる軸圧潰衝撃吸収部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態における軸圧潰衝撃吸収部材は、
軸方向に沿って延びる複数の稜線と、
前記複数の稜線の間の壁部とを備える。
軸方向に垂直な断面において、前記複数の稜線と前記複数の壁部により、閉断面が形成される。
前記複数の壁部の各々は、軸方向に離間した複数の厚肉の桟部と、前記複数の桟部の間における前記桟部より厚みが薄い薄肉壁部とを含む。
前記複数の稜線の各々において、前記薄肉壁部よりも厚い柱部が形成される。
前記複数の桟部の各々の両端が前記柱部に接続されている。
前記複数の壁部の各々において、前記複数の桟部の中央部の軸方向の最大幅L1よりも、前記複数の桟部のうち軸方向に隣り合う2つの桟部の中央部の間の軸方向の最短距離L2の方が長い(L1<L2)。
前記複数の壁部の各々において、前記各壁部の両側の稜線の間の最小幅Wは、前記各壁部の前記複数の桟部のうち軸方向に隣り合う2つの桟部の中央部の軸方向一方端間の軸方向の最大距離Dより長い(W>D)。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、本実施形態における軸圧潰衝撃吸収部材の例を示す斜視図である。
図2は、図1のII-II線断面図である。
図3は、図1のIII-III線断面図である。
図4は、衝撃吸収部材の軸荷重に対する変形挙動の一例を示す図である。
図5は、比較例の衝撃吸収部材の変形挙動の一例を示す図である。
図6は、比較例の衝撃吸収部材の変形挙動の一例を示す図である。
図7は、本実施形態の変形例における衝撃吸収部材の斜視図である。
図8は、本実施形態の他の変形例における衝撃吸収部材10の正面図である。
図9は、桟部のコーナー部の寸法を説明するための図である。
図10は、衝撃吸収部材の断面構造の例を示す図である。
図11は、衝撃吸収部材の変形例を示す図である。
図12は、衝撃吸収部材の変形例を示す図である。
図13は、CAE解析におけるモデルを示す図である。
図14は、CAE解析におけるモデルの実施例及び比較例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明者らは、軸圧潰衝撃吸収部材のエネルギー吸収性能と軽量化との両立を検討した。軽量化の観点からは、部材の板厚は薄い方が好ましい。しかし、発明者らはあえて、部材の一部を厚肉化し、その厚肉部の配置を工夫することで、単位質量当たりのエネルギー吸収性能を向上させることを検討した。鋭意検討の結果、部材の軸方向に延びる稜線に沿う厚肉部と、壁部における軸方向に離間した複数の位置に軸方向に垂直に細長い厚肉部とを設けることで、単位質量当たりのエネルギー吸収性能を向上できることを見出した。下記実施形態は、この知見に基づくものである。
【0009】
(構成1)
本実施形態における軸圧潰衝撃吸収部材は、
軸方向に沿って延びる複数の稜線と、
前記複数の稜線の間の壁部とを備える。
軸方向に垂直な断面において、前記複数の稜線と前記複数の壁部により、閉断面が形成される。
前記複数の壁部の各々は、軸方向に離間した複数の厚肉の桟部と、前記複数の桟部の間における前記桟部より厚みが薄い薄肉壁部とを含む。
前記複数の稜線の各々において、前記薄肉壁部よりも厚い柱部が形成される。
前記複数の桟部の両端が前記柱部に接続されている。
前記複数の壁部の各々において、前記複数の桟部の中央部の軸方向の最大幅L1よりも、前記複数の桟部のうち軸方向に隣り合う2つの桟部の中央部の間の軸方向の最短距離L2の方が長い(L1<L2)。
前記複数の壁部の各々において、前記各壁部の両側の稜線の間の最小幅Wは、前記各壁部の前記複数の桟部のうち軸方向に隣り合う2つの桟部の中央部の軸方向一方端の間の軸方向の最大距離Dより長い(W>D)。
【0010】
上記構成1によれば、薄肉壁部の軸方向の両側に厚肉の桟部が配置され、薄肉壁部の両側の稜線に沿って柱部が配置される構成となる。桟部の両端と柱部が接続されているため、柱部と桟部の剛性が共に増加する。また、桟部は、L1<L2、W>Dとなるよう配置される。これにより、軸圧潰衝撃吸収部材に軸方向の荷重が印加された場合に、壁部の変形自由度が、特に柱部及び桟部で減少する。変形自由度の減少により面外変形量が減少する。そのため、薄肉壁部の面外変形量が、桟部の面外変形量に比べて大きくなる。すなわち、薄肉壁部を腹、桟部を節とする変形が発生しやすくなる。これにより、座屈波長が短縮できる。結果として、軸方向の荷重に対して、稜線の柱部で座屈時のピーク荷重を高めるとともに、座屈波長が短縮できる。そのため、単位質量当たりのエネルギー吸収性能が向上する。
(【0011】以降は省略されています)

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