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公開番号2024071346
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-24
出願番号2023174495
出願日2023-10-06
発明の名称溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物及びその製造方法
出願人東ソー株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 33/50 20060101AFI20240517BHJP(測定;試験)
要約【課題】本発明の課題は、従来液体状態で供給されてきた血液の分析に用いられる溶血及び希釈液の輸送及び保管コストを低減し得る手段を提供することにある。
【解決手段】
キレート作用を有する少なくとも2種以上の有機酸塩と、
以下の特性:
(1)融点が30℃から80℃の範囲;
(2)平均分子量が1000~6000の範囲;
(3)pHが4から8(50g/L,25℃);
(4)水への溶解度が0.5g/L以上;及び
(5)非イオン性
を有する第三の成分と
を含む、塊として形成された、溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物、及びそれを製造する方法を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
キレート作用を有する少なくとも2種以上の有機酸塩と、
以下の特性:
(1)融点が30℃から80℃の範囲;
(2)平均分子量が1000~6000の範囲;
(3)pHが4から8(50g/L,25℃);
(4)水への溶解度が0.5g/L以上;及び
(5)非イオン性
を有する第三の成分と
を含む、塊として形成された、溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物を製造する方法であって、以下(i)~(vi)のいずれか:
(i)前記少なくとも2種以上の有機酸塩と前記第三の成分とを混合して粉砕処理を施すことにより微粉末化し、それを前記第三の成分の融点以上に加熱して前記第三の成分を融解させ、その後25℃以下に冷却することで前記少なくとも2種以上の有機酸塩を包含する塊としての錠剤化組成物を形成すること;
(ii)微粉末化された前記少なくとも2種以上の有機酸塩及び前記第三の成分を混合し、それを前記第三の成分の融点以上に加熱して前記第三の成分を融解させ、その後25℃以下の冷却することで、前記少なくとも2種以上の有機酸塩を包含する塊としての錠剤化組成物を形成すること;
(iii)前記少なくとも2種以上の有機酸塩と前記第三の成分とを混合して粉砕処理を施すことにより微粉末化し、それを加圧することで塊としての錠剤化組成物を形成すること;
(iv)微粉末化された前記少なくとも2種以上の有機酸塩及び前記第三の成分を混合し、それを加圧することで塊として錠剤化組成物を形成すること;
(v)前記少なくとも2種以上の有機酸塩と前記第三の成分とを混合しして粉砕処理を施すことにより微粉末化し、それを前記第三成分の融点以下の温度を加えながら加圧することで塊としての錠剤化組成物を形成すること;又は
(vi)微粉末化された前記少なくとも2種以上の有機酸塩及び前記第三の成分を混合し、それを前記第三成分の融点以下の温度を加えながら加圧することで塊としての錠剤化組成物を形成すること;
を含む、方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記第三の成分がポリエチレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸塩、クエン酸塩、フィチン酸塩、及びグルコン酸塩からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム-カリウム、及びエチレンジアミン四酢酸トリエタノールアミンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸二カリウム及びエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記錠剤化組成物が、さらに界面活性剤を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
請求項1又は2により作製される錠剤化組成物を水に溶解し、溶血用溶液を調製する方法。
【請求項8】
請求項7で得られる溶血用溶液を溶血および希釈液として用いるグリコヘモグロビンを分析する方法。
【請求項9】
キレート作用を有する少なくとも2種以上の有機酸塩と、
以下の特性:
(1)融点が30℃から80℃の範囲;
(2)平均分子量が1000~6000の範囲;
(3)pHが4から8(50g/L,25℃);
(4)水への溶解度が0.5g/L以上;及び
(5)非イオン性
を有する第三の成分と
を含み、
前記少なくとも2種以上の有機酸塩は、粒形が均等になるよう微粉末化された有機酸塩であって、
塊として形成されている溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物。
【請求項10】
前記第三の成分がポリエチレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテルである、請求項9に記載の錠剤化組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物及びその製造方法に関する。また、本発明は、溶血用溶液、溶血用溶液を調製する方法およびそれにより得られる溶血用溶液を用いるグリコヘモグロビンを分析する方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
糖尿病の指標とされるヘモグロビンA1c(以下、「HbA1c」もしくは「SA1c」と称する)の測定法は、その目的や処理可能な検体数により複数存在する。そのなかで、HPLC(High Performance Liquid Chromatography:高速液体クロマトグラフィ)法は、患者血液検体の遠心分離等の前処理が必要なく、処理数も比較的多いことから頻繁に用いられる測定法であり、患者血液検体を溶血および希釈した後、陽イオン交換カラムに導入し、電荷の差によりヘモグロビンの各成分を分離定量し、HbA1cを算出する方法である(例えば、非特許文献1)。
【0003】
患者血液検体に含まれるHbA1cを測定するためには、通常、赤血球を溶血し、希釈する必要がある。HPLC法において、「溶血および希釈」の工程は、通常1種類の試薬溶液で、溶血と希釈を同時に行われる(以降、溶血と希釈を同時に行う試薬溶液を「溶血/希釈液」と呼ぶ)。溶血/希釈液は有機酸塩や各種界面活性剤で構成されることが多い(特許文献1)。溶血/希釈液は文字通り液体の状態であり、使用量も多いことから数L程度のプラスチック容器に封入した状態で提供される。溶血/希釈液は容量が大きく、常に輸送及び保管コストが問題視されている。更に、近年では、廃プラスチック削減が社会的に求められるようになっており、この溶血/希釈液を封入する廃プラスチック容器の処理も課題とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-80390号
【非特許文献】
【0005】
柴田真衣子ら、HPLC法による新規HbA1c測定機器HLC-723G11の基本的性能評価、医学検査、65巻1号、84-90、2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、液体状態で供給されてきた血液の分析に用いられる溶血及び希釈液の輸送及び保管コストを低減し得る手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明者らが鋭意研究、開発を行った結果、本発明を開発するに至った。すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
【0008】
[1] キレート作用を有する少なくとも2種以上の有機酸塩と、
以下の特性:
(1)融点が30℃から80℃の範囲;
(2)平均分子量が1000~6000の範囲;
(3)pHが4から8(50g/L,25℃);
(4)水への溶解度が0.5g/L以上;及び
(5)非イオン性
を有する第三の成分と
を含む、塊として形成された、溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物を製造する方法であって、以下(i)~(vi)のいずれか:
(i)前記少なくとも2種以上の有機酸塩と前記第三の成分とを混合して粉砕処理を施すことにより微粉末化し、それを前記第三の成分の融点以上に加熱して前記第三の成分を融解させ、その後25℃以下に冷却することで前記少なくとも2種以上の有機酸塩を包含する塊としての錠剤化組成物を形成すること;
(ii)粒形が均等になるように微粉末化された前記少なくとも2種以上の有機酸塩及び前記第三の成分を混合し、それを前記第三の成分の融点以上に加熱して前記第三の成分を融解させ、その後25℃以下の冷却することで、前記少なくとも2種以上の有機酸塩を包含する塊としての錠剤化組成物を形成すること;
(iii)前記少なくとも2種以上の有機酸塩と前記第三の成分とを混合して粉砕処理を施すことにより微粉末化し、それを加圧することで塊としての錠剤化組成物を形成すること;
(iv)粒形が均等になるように微粉末化された前記少なくとも2種以上の有機酸塩及び前記第三の成分を混合し、それを加圧することで塊として錠剤化組成物を形成すること;
(v)前記少なくとも2種以上の有機酸塩と前記第三の成分とを混合しして粉砕処理を施すことにより微粉末化し、それを前記第三成分の融点以下の温度を加えながら加圧することで塊としての錠剤化組成物を形成すること;又は
(vi)粒形が均等になるように微粉末化された前記少なくとも2種以上の有機酸塩及び前記第三の成分を混合し、それを前記第三成分の融点以下の温度を加えながら加圧することで塊としての錠剤化組成物を形成すること;
を含む、方法。
[2] 前記第三の成分がポリエチレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテルである、項目1に記載の方法。
[3] 前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸塩、クエン酸塩、フィチン酸塩、及びグルコン酸塩からなる群から選択される、項目1又は2に記載の方法。
[4] 前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム-カリウム、及びエチレンジアミン四酢酸トリエタノールアミンからなる群から選択される、項目1又は2に記載の方法。
[5] 前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸二カリウム及びエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを含む、項目1又は2に記載の方法。
[6] 前記錠剤化組成物が、さらに界面活性剤を含む項目1又は2に記載の方法。
[7] 前記錠剤化組成物が防腐剤を含まない、項目1又は2に記載の方法。
[8] 前記錠剤化組成物が防腐剤を含む、項目1又は2に記載の方法。
[9] 項目1又は2により作製される錠剤化組成物を水に溶解し、溶血用溶液を調製する方法。
[10] 項目9で得られる溶血用溶液を溶血および希釈液として用いるグリコヘモグロビンを分析する方法。
【0009】
[11] キレート作用を有する少なくとも2種以上の有機酸塩と、
以下の特性:
(1)融点が30℃から80℃の範囲;
(2)平均分子量が1000~6000の範囲;
(3)pHが4から8(50g/L,25℃);
(4)水への溶解度が0.5g/L以上;及び
(5)非イオン性
を有する第三の成分と
を含み、
前記少なくとも2種以上の有機酸塩は、粒形が均等になるよう微粉末化された有機酸塩であって、
塊として形成されている溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物。
[12] 前記第三の成分がポリエチレングリコール又はポリオキシエチレンラウリルエーテルである、項目11に記載の錠剤化組成物。
[13] 前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸塩、クエン酸塩、フィチン酸塩、及びグルコン酸塩からなる群から選択される、項目11又は12に記載の錠剤化組成物。
[14] 前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム-カリウム、及びエチレンジアミン四酢酸トリエタノールアミンからなる群から選択される、項目11又は12に記載の錠剤化組成物。
[15] 前記少なくとの2種以上の有機酸塩が、エチレンジアミン四酢酸二カリウム及びエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを含む、項目11又は12に記載の錠剤化組成物。
[16] 前記錠剤化組成物が、さらに界面活性剤を含む項目11又は12に記載の錠剤化組成物。
[17] 前記錠剤化組成物が防腐剤を含まない、項目11又は12に記載の錠剤化組成物。
[18] 前記錠剤化組成物が防腐剤を含む、項目11又は12に記載の錠剤化組成物。
[19] 項目11に記載の錠剤化組成物が水に溶解された、溶血用溶液。
[20] グリコヘモグロビン分析ための溶血および希釈液として用いられる、項目19に記載の溶血用溶液。
【発明の効果】
【0010】
一般的に、溶血/希釈液は、文字通り液体の状態で、また、使用量も多いことから数L程度のプラスチック容器に封入した状態で提供される。容量が大きく、常に輸送/保管コストが問題視される。本発明の手法で得られた「溶血用溶液を調製するための錠剤化組成物」は、例えば、10mmφ程度と極端に小さくできることから、輸送/保管コストを大幅に圧縮することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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