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公開番号2024089334
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-03
出願番号2022204626
出願日2022-12-21
発明の名称胎児発育不全の妊娠被検体を鑑別するための情報を提供する方法、それに用いられるマーカー及び試薬
出願人国立大学法人 東京大学,東ソー株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 33/68 20060101AFI20240626BHJP(測定;試験)
要約【課題】早期診断、早期管理を要する胎児発育不全の診断に有用な定量的な検査結果に関する情報を提供する事。
【解決手段】本発明は、妊娠期間の少なくとも2つの異なる時点で採取された同一の妊娠被検体由来の血液のオートタキシン濃度をそれぞれ測定し、前記少なくとも2つの異なる時点の間のオートタキシン濃度の変動を指標として、胎児発育不全の妊娠被検体を鑑別するための情報を提供する方法を提供する。また、本発明は、当該方法に用いるためのマーカー及び試薬を提供する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
妊娠期間の少なくとも2つの異なる時点で採取された同一の妊娠被検体由来の血液のオートタキシン濃度をそれぞれ測定し、前記少なくとも2つの異なる時点の間のオートタキシン濃度の変動を指標として、胎児発育不全の妊娠被検体を鑑別するための情報を提供する方法。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記少なくとも2つの異なる時点が、妊娠初期(10~17週)の1つの時点と妊娠中後期(26~33週)の1つの時点である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの異なる時点の間のオートタキシン濃度の変動が0.58mg/Lから0.59mg/Lの範囲をカットオフ値とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの異なる時点が、妊娠中期(18~25週)の1つの時点と妊娠中後期(26~33週)の1つの時点である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの異なる時点の間のオートタキシン濃度の変動が-0.15mg/Lから0.13mg/Lの範囲をカットオフ値とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変動が、1日あたりのオートタキシン濃度の変動である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの異なる時点が妊娠初期から中期(10~25週)の1つの時点と妊娠中後期(26~33週)の1つの時点である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1日あたりのオートタキシン濃度の変動が2.45μg/L/dayから5.66μg/L/dayの範囲をカットオフ値とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法に用いられる、オートタキシンからなる、胎児発育不全の妊婦を鑑別するためのマーカー。
【請求項10】
オートタキシンを特異的に認識する抗体を含有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の胎児発育不全の妊娠被検体を鑑別するための情報を提供する方法に使用するための試薬。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、胎児発育不全の妊娠被検体を鑑別するための情報を提供する方法、それに用いられるマーカー及び試薬に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
産科における代表的な異常妊娠として、母体管理の場面では妊娠高血圧症候群、分娩管理の場面では早産、胎児発育不全(以下、「FGR」と記載することもある)などがあげられる。妊娠により妊婦血清中のオートタキシン濃度が上昇することが報告(特許文献1、2、非特許文献1)されており、妊娠の週数が進むにつれ血液中のオートタキシン濃度が上昇し、分娩後速やかに濃度が低下することが示されている。また、オートタキシン濃度の上昇機序として胎盤での産生亢進によることが示唆されている(特許文献2、非特許文献2)。妊娠高血圧症候群は妊婦全体の7~10%が発症すると言われており、特に妊娠高血圧腎症に進まないよう注意が必要とされている。妊娠高血圧症候群において正常妊娠に比較し血液中のオートタキシンの濃度変動が異なることが報告されており、妊娠高血圧症候群のマーカーになるとの報告がある(特許文献2、非特許文献1)。具体的には、妊娠第1期、第3期で低値である事、また第1期あるいは第2期から第3期への変動が正常妊娠に比較し濃度上昇が少ないことが示されている。早産については、正常妊娠と有意な差が認められていない。
【0003】
以上のとおり妊娠高血圧症候群ならびに早産については報告があるが、胎児発育不全についての報告はこれまでなかった。胎児発育不全は、在胎期間に相当した胎児の発育が見られない状態であり、その診断基準は、胎児体重基準値を用いて、基準範囲からのずれの程度(-1.5SD値以下)を目安に診断されるが、胎児の体重計測はあくまでも超音波計測による推定体重であるため、その測定方法や検査をする術者、胎児の向きなどによっては測定誤差があるとされる。胎児発育不全は慎重な管理が必要であり、特に分娩時期の決定が重要であり重症度と早産による未熟性とのバランスを考慮し、胎児の予備能力が決定的に低下する前に予測し、適切な分娩時期、分娩方法を決定が必要であり、必要に応じ2次、3次周産期医療機関への紹介も考慮する必要がある。以上のとおり、胎児発育不全を定量的に診断補助できるバイオマーカー検査の開発が期待されている。
【0004】
ヒトオートタキシンは分子量約125KDaの糖蛋白質であり、そのリゾホスホリパーゼD活性によりリゾホスファチジルコリンを基質としリゾホスファチジン酸(LPA)を産生する酵素であり、免疫測定法によりサンプル中のオートタキシン濃度が測定可能であること(非特許文献1)は既に知られている。
【0005】
また、オートタキシンが有するリゾホスフォリパーゼD活性が、オートタキシン濃度と良好に相関することが知られている(非特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許5700461
特許5831723
【非特許文献】
【0007】
Clinica Chimica Acta 412、1944-1950、2011
American Journal Reproductive Immunology 62、90-95、2009
Clinica Chimica Acta 388、51-58、2008
Clinica Chimica Acta 412、1201-1206、2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまで胎児発育不全の診断基準は、胎児体重基準範囲からのずれを目安に診断されているが、超音波計測による推定体重であるため様々な測定誤差があるとされている。胎児発育不全は適切な分娩時期、分娩方法を決定が必要であり、必要に応じ2次、3次周産期医療機関への紹介も考慮するなど慎重な管理が必要である。本発明の目的は定量的数値により胎児発育不全診断を補助する検査法であり、早期診断、早期管理を要する胎児発育不全の診断に有用な定量的な検査結果に関する情報を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、妊娠被検体の血液中のオートタキシン濃度を測定し、鋭意検討を重ねた結果、正常妊娠と胎児発育不全とを鑑別できることを見いだし本発明に到達した。即ち本発明は下記の発明を包含する:
【0010】
[1] 妊娠期間の少なくとも2つの異なる時点で採取された同一の妊娠被検体由来の血液のオートタキシン濃度をそれぞれ測定し、前記少なくとも2つの異なる時点の間のオートタキシン濃度の変動を指標として、胎児発育不全の妊娠被検体を鑑別するための情報を提供する方法。
[2] 前記少なくとも2つの異なる時点が、妊娠初期(10~17週)の1つの時点と妊娠中後期(26~33週)の1つの時点である[1]に記載の方法。
[3] 前記少なくとも2つの異なる時点の間のオートタキシン濃度の変動が0.58mg/Lから0.59mg/Lの範囲をカットオフ値とする、[2]に記載の方法。
[4] 前記少なくとも2つの異なる時点が、妊娠中期(18~25週)の1つの時点と妊娠中後期(26~33週)の1つの時点である[1]に記載の方法。
[5] 前記少なくとも2つの異なる時点の間のオートタキシン濃度の変動が-0.15mg/Lから0.13mg/Lの範囲をカットオフ値とする、[4]に記載の方法。
[6] 前記変動が、1日あたりのオートタキシン濃度の変動である、[1]に記載の方法。
[7] 前記少なくとも2つの異なる時点が妊娠初期から中期(10~25週)の1つの時点と妊娠中後期(26~33週)の1つの時点である[6]に記載の方法。
[8] 1日あたりのオートタキシン濃度の変動が2.45μg/L/dayから5.66μg/L/dayの範囲をカットオフ値とする、[7]に記載の方法。
(【0011】以降は省略されています)

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