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公開番号2024085553
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022200125
出願日2022-12-15
発明の名称マンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料及びその製造方法
出願人国立研究開発法人理化学研究所,東ソー株式会社
代理人弁理士法人T.S.パートナーズ,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C25B 11/079 20210101AFI20240620BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】 水電解における酸素発生用電極として使用される、安価で、高触媒活性を有するマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料及び該マンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法を提供する。
【解決手段】 導電性繊維がマンガン酸化物によって被覆されている割合(導電性繊維被覆率)が60%以上100%以下であるマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料、及びマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
導電性繊維がマンガン酸化物によって被覆されている割合(導電性繊維被覆率)が60%以上100%以下であるマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
導電性繊維の幾何面積当たりのマンガン酸化物の含有量が、0.1mg/cm

以上100mg/cm

以下である請求項1に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
【請求項3】
マンガン酸化物のマンガンの金属原子価が3.5以上4.0以下である請求項1又は2に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
【請求項4】
マンガン酸化物が電解二酸化マンガンである請求項1又は2に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
【請求項5】
マンガン酸化物が、γ型、β型、ε型、若しくはα型のいずれかの基本結晶構造を有する結晶相、又は、これらの結晶構造が混合された混晶の二酸化マンガンである請求項1又は2に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
【請求項6】
上記導電性繊維が、カーボン、チタン、及び白金被覆されたチタンからなる群から選択される少なくとも1種で構成される請求項1又は2に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料と、高分子電解質膜とを有する膜-電極接合体。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法であって、硫酸-硫酸マンガンを含む混合溶液を用いて、導電性繊維を通過させながら流通させて、導電性繊維にマンガン酸化物を電解析出させた後にアニール処理するマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
【請求項9】
上記硫酸-硫酸マンガンを含む混合溶液の硫酸濃度が5g/L以上65g/L以下である請求項8に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
【請求項10】
上記硫酸-硫酸マンガンを含む混合溶液のマンガン(硫酸マンガンのマンガンイオン)の濃度が5g/L以上50g/L以下である請求項8又は9に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水分解触媒用のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料、及び該マンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法に関する。より詳しくは、アルカリ性条件下、中性条件下、又は酸性条件下で行われる工業的な水電解や、固体高分子膜(PEM)型電解槽を用いる水電解において、酸素発生用陽極として使用されるマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料を用いた電極、膜-電極接合体及びこれらの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
化石燃料の枯渇問題や環境汚染問題から、クリーンなエネルギーとしての水素の利用とその製造手法に注目が集まっている。水電解法は、水を電気分解して陰極から高純度の水素ガスを製造する有効な手段のひとつであるが、この際、対極の陽極からは酸素発生が同時に起こることが特徴である。水電解法において水分解反応を効率よく進行させるには、陰極では水素過電圧の低い電極触媒を、陽極では酸素過電圧の低い電極触媒を用いて、電気分解にかかる電解電圧を低く保ちながら電解する必要がある。このうち、陽極の低酸素過電圧に優れた電極触媒材料として、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)などの希少な白金族金属や、それらの元素を含んだ酸化物をはじめとする化合物が提案されている(特許文献1、2、非特許文献1~3)。
【0003】
一方で、このような白金族金属で構成される電極触媒は非常に高価であることから、安価な遷移金属を用いた電極触媒の開発が進められてきている。例えば、近年では、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などで構成される遷移金属材料が提案されている(特許文献3~5、非特許文献4~7)。
【0004】
しかしながら、安価な遷移金属で構成され、且つ、PtやIrなどの白金族金属系に匹敵する高い触媒活性を有する酸素発生電極触媒材料は実現されていなかった。
このような課題に対して、白金族金属元素の中で最も高活性を示すとされるIr系の触媒に匹敵するマンガン酸化物も見出されたが、これもまたIrを含んでおり、完全な非白金族金属系且つ白金族金属に匹敵する性能の触媒開発が待ち望まれていた(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平8-269761号公報
特表2007-514520号公報
特開2015-192993号公報
国際公開(WO)2009/154753
国際公開(WO)2019/117199
国際公開(WO)2021/193467
【非特許文献】
【0006】
S.Trasatti,G.Buzzanca,J.Electroanal.Chem.,1971,29,A1.
A.Harriman,I.J.Pickering,J.M.Thomas,P.A.Christensen,J.Chem.Soc.,Faraday Trans.1,1988,84,2795.
Y.Zhao,N.M.Vargas-Barbosa,E.A.Hernandez-Pagan,T.E.Mallouk,Small,2011,7,2087.
M.M.Najafpour,G.Renger,M.Holynska,A.N.Moghaddam,E.-M.Aro, R.Carpentier,H.Nishihara,J.J.Eaton-Rye,J.-R.Shen,S.I.Allakhverdiev,Chem.Rev.,2016,116,2886.
T.Takashima,K.Ishikawa,H.Irie,J.Phys.Chem.C,2016,120,24827.
J.B.Gerken,J.G.McAlpin,J.Y.C.Chen,M.L.Rigsby,W.H.Casey,R.D.Britt,S.S.Stahl,J.Am.Chem.Soc.,2011,133,14431.
M.Dinca,Y.Surendranath,D.G.Nocera,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2010,107,10337.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、水分解触媒用のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料及び該マンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法の提供に関するものである。
より詳しくは、アルカリ性条件下、中性条件下、又は酸性条件下で行われる工業的な水電解や、固体高分子膜(PEM)型電解槽を用いる水電解における酸素発生用陽極触媒材料であって、安価で、高い酸素発生触媒活性を有する水分解触媒用のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料(以下、本発明のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料という場合がある。)及び該マンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、水電解の酸素発生電極触媒として使用される触媒材料について鋭意検討を重ねた結果、少なくとも導電性繊維を構成する繊維一本の外周を覆うマンガン酸化物の被覆率が60%以上のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料が高い酸素発生電極触媒活性と優れた耐久性を示すことを見出し、本発明を開発するに至った。すなわち、本発明は特許請求の範囲のとおりであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]導電性繊維がマンガン酸化物によって被覆されている割合(導電性繊維被覆率)が60%以上100%以下であるマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
[2]導電性繊維の幾何面積当たりのマンガン酸化物の含有量が、0.1mg/cm

以上100mg/cm

以下である上記[1]に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
[3]マンガン酸化物のマンガンの金属原子価が3.5以上4.0以下である上記[1]又は[2]に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
[4]マンガン酸化物が電解二酸化マンガンである上記[1]~[3]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
[5]マンガン酸化物が、γ型、β型、ε型、若しくはα型のいずれかの基本結晶構造を有する結晶相、又は、これらの結晶構造が混合された混晶の二酸化マンガンである上記[1]~[4]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
【0009】
[6]上記導電性繊維が、カーボン、チタン、及び白金被覆されたチタンからなる群から選択される少なくとも1種で構成される上記[1]~[5]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料。
[7]上記[1]~[6]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料と、高分子電解質膜とを有する膜-電極接合体。
[8]上記[1]~[6]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法であって、硫酸-硫酸マンガンを含む混合溶液を用いて、導電性繊維を通過させながら流通させて、導電性繊維にマンガン酸化物を電解析出させた後にアニール処理するマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
[9]上記硫酸-硫酸マンガンを含む混合溶液の硫酸濃度が5g/L以上65g/L以下である上記[8]に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
[10]上記硫酸-硫酸マンガンを含む混合溶液のマンガン(硫酸マンガンのマンガンイオン)の濃度が5g/L以上50g/L以下である上記[8]又は[9]に記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
【0010】
[11]上記硫酸-硫酸マンガンを含む混合溶液の電解が、導電性繊維の幾何面積あたり0.3mA/cm

以上20mA/cm

以下の電流密度で行われる上記[8]~[10]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
[12]上記電解時の上記混合溶液の導電性繊維の幾何面積に対する供給速度が0.01L/(cm

・h)以上0.60L/(cm

・h)以下である上記[8]~[11]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
[13]上記アニール処理が、100℃以上600℃以下、10分以上24時間以内で行われる上記[8]~[12]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料の製造方法。
[14]上記[1]~[6]のいずれかひとつに記載のマンガン酸化物-導電性繊維複合電極材料を含む水電解における酸素発生電極。
[15]上記[14]に記載の酸素発生電極と、高分子電解質膜とを有する膜-電極接合体。
(【0011】以降は省略されています)

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