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公開番号
2024068643
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-05-20
出願番号
2023186386
出願日
2023-10-31
発明の名称
食塩電解用酸素還元電極とその製造方法
出願人
東ソー株式会社
代理人
主分類
C25B
11/065 20210101AFI20240513BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】 従来公知の食塩電解用酸素還元電極に比べて低過電圧を示すため、食塩電解プロセスの省エネルギー化に寄与する効果を奏する。
【解決手段】 多孔性導電性基材と該多孔性導電性基材上に白金と導電性カーボンを含有する触媒層を有し、該白金と該導電性カーボンの総重量を100wt%としたときに、該白金重量が21wt%以上であり、かつ、該触媒層表面の白金(Pt)と炭素(C)の重量比Pt/Cが0.18以上1.0以下である食塩電解用酸素還元電極とその製造方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
多孔性導電性基材と該多孔性導電性基材上に白金と導電性カーボンを含有する触媒層を有し、該白金と該導電性カーボンの総質量を100wt%としたときに、該白金質量が21wt%以上であり、かつ、該触媒層表面の白金(Pt)と炭素(C)の質量比Pt/Cが0.18以上1.0以下である食塩電解用酸素還元電極。
続きを表示(約 640 文字)
【請求項2】
前記白金の担持量が、電極の幾何面積当たり0.1mg/cm
2
以上10mg/cm
2
以下である請求項1に記載の食塩電解用酸素還元電極。
【請求項3】
前記白金の結晶子径が2nm以上20nm以下である請求項1又は請求項2に記載の食塩電解用酸素還元電極。
【請求項4】
サイクリックボルタンメトリー法を用いて測定した電極の幾何面積当たりの水素脱着電気量が10mC/cm
2
以上200mC/cm
2
以下である請求項1又は請求項2に記載の食塩電解用酸素還元電極。
【請求項5】
前記触媒層がフッ素樹脂を含有し、該フッ素樹脂と前記導電性カーボンの質量比が1:0.1~10である請求項1又は請求項2に記載の食塩電解用酸素還元電極。
【請求項6】
前記多孔性導電性基材がカーボン繊維である請求項1又は請求項2に記載の食塩電解用酸素還元電極。
【請求項7】
少なくとも前記白金と前記導電性カーボンを含み、該白金と該導電性カーボンの総質量を100wt%としたときに、該白金質量が21wt%以上である触媒インクを前記多孔性導電性基材上に塗布する塗布工程、60℃以上120℃以下での乾燥工程、及び250℃以上400℃以下の不活性ガス雰囲気下での焼成工程、を含む請求項1又は請求項2に記載の食塩電解用酸素還元電極の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
食塩電解工業では一般に、陽極に塩素発生電極、陰極に水素発生電極を用い、陽極と陰極との間をフッ素系陽イオン交換膜で区画した、所謂、イオン交換膜法食塩電解が主流である。一方で、陰極を酸素還元電極に置き換えることで、既存の水素発生型イオン交換膜法食塩電解に対して、理論的な電解電圧を1V以上下げることが可能とされており、省エネルギー化の手段として注目されている。しかし、実際には酸素還元反応の高い過電圧に起因して、電圧削減効果は0.7V程度に留まり、エネルギー源として再利用が可能な水素が副生されない問題と相まって、大規模な実用化には至っていない。
続きを表示(約 1,900 文字)
【0002】
過電圧を低減する食塩電解用酸素還元電極としては、これまでに触媒として銀を用いたものが広く研究されてきた。
【0003】
例えば、炭素粉末と銀、白金、パラジウムのうち少なくとも一種類の貴金属類を含有してなる親水性触媒を含む食塩電解用酸素還元電極が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5178959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、カーボンニュートラル推進に向けてより低電圧で動作する食塩電解プロセスが望まれている。特許文献1では、食塩電解の稼働電流密度(4.0~8.0kA/m
2
)に適用した際、高い過電圧が生じ、食塩電解プロセスの省エネルギー化を妨げていた。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされ、従来公知の食塩電解用酸素還元電極に比べて低過電圧を示し、食塩電解プロセスの省エネルギー化に寄与する効果を奏する食塩電解用酸素還元電極の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した。その結果、電極表面に特定の質量比で白金と炭素を含有する食塩電解用酸素還元電極を用いることで、上記の課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本開示は特許請求の範囲に記載のとおりであり、また、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1]多孔性導電性基材と該多孔性導電性基材上に白金と導電性カーボンを含有する触媒層を有し、該白金と該導電性カーボンの総質量を100wt%としたときに、該白金質量が21wt%以上であり、かつ、該触媒層表面の白金(Pt)と炭素(C)の質量比Pt/Cが0.18以上1.0以下である食塩電解用酸素還元電極。
[2]前記白金の担持量が、電極の幾何面積当たり0.1mg/cm
2
以上10mg/cm
2
以下である前記[1]に記載の食塩電解用酸素還元電極。
[3]前記白金の結晶子径が2nm以上20nm以下である前記[1]又は[2]に記載の食塩電解用酸素還元電極。
[4]サイクリックボルタンメトリー法を用いて測定した電極の幾何面積当たりの水素脱着電気量が10mC/cm
2
以上200mC/cm
2
以下である前記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載の食塩電解用酸素還元電極。
[5]前記触媒層がフッ素樹脂を含有し、該フッ素樹脂と前記導電性カーボンの質量比が1:0.1~10である前記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載の食塩電解用酸素還元電極。
[6]前記多孔性導電性基材がカーボン繊維である前記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載の食塩電解用酸素還元電極。
[7]少なくとも前記白金と前記導電性カーボンを含み、該白金と該導電性カーボンの総質量を100wt%としたときに、該白金質量が21wt%以上である触媒インクを前記多孔性導電性基材上に塗布する塗布工程、60℃以上120℃以下での乾燥工程、及び250℃以上400℃以下の不活性ガス雰囲気下での焼成工程、を含む前記[1]~[6]のいずれかひとつに記載の食塩電解用酸素還元電極の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、従来公知の食塩電解用酸素還元電極に比べて低過電圧を示し、食塩電解プロセスの省エネルギー化に寄与する食塩電解用酸素還元電極を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示について、その実施形態の一例を示して説明する。なお、本開示には、本明細書に開示した構成及び数値の任意の組合せ、並びに、本明細書で開示した数値の上限及び下限の任意の組合せによる範囲、を含むものとする。
【0010】
本実施形態の食塩電解用酸素還元電極(以下、「本電極」ともいう。)は、多孔性導電性基材と該多孔性導電性基材上に白金(白金材料)と導電性カーボンを含有する触媒層を有する。すなわち、本電極は、多孔性導電性基材、並びに、白金(白金材料)及び導電性カーボンを含有する触媒層を含み、なおかつ、該多孔性導電性基材の少なくとも表面に該触媒層が存在する構造を有する酸素還元電極である。
(【0011】以降は省略されています)
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