発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、ハプテンの分析方法、及びキットに関し、より詳細には抗イムノコンプレックス抗体を用いたデジタルイムノアッセイによるハプテンの分析方法、及び当該方法において用いるためのキットに関する。 続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】 【0002】 金ナノ粒子は、局在表面プラズモン共鳴に起因する特徴的な光散乱特性を有しており、暗視野顕微鏡を用いて金ナノ粒子を観察すると、1粒子(又は1つのクラスター)を、1つの輝点として観察することができる(非特許文献1及び2を参照)。これまでに、暗視野顕微鏡を用いた金ナノ粒子のイメージングによりDNA及びタンパク質など様々な分子を検出する手法が開発されている(非特許文献3~5を参照)。 【0003】 また、最近では、金ナノ粒子1粒子を観察可能な暗視野イメージングの特性を活かして、デジタルイムノアッセイにより測定の高感度化を行った例も報告もされている(非特許文献6を参照)。デジタルイムノアッセイの基礎となるデジタル計測の利点は、ターゲットの有無を0又は1の信号として計測可能な点であり、デジタル計測は、シグナル強度の計測によるアナログの手法に比べて信頼性が高いことで知られている(非特許文献6)。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0004】 Nehl, C. L.; Grady, N. K.; Goodrich, G. P.; Tam, F.; Halas, N. J.; Hafner, J. H. Scattering Spectra of Single Gold Nanoshells. Nano Lett. 2004, 4 (12), 2355-2359. Fan, J. A.; Bao, K. ; Lassiter, J. B.; Bao, J.; Halas, N. J.; Nordlander, P.; Capasso, F., Near-Normal Incidence Dark-Field Microscopy: Applications to Nanoplasmonic Spectroscopy. Nano Lett. 2012, 12 (6), 2817-2821. Bu, T.; Zako, T.; Fujita, M.; Maeda, M. Detection of DNA Induced Gold Nanoparticle Aggregation with Dark Field Imaging. Chem. Commun. 2013, 49 (68), 7531-7533. Yoshimura, K.; Patmawati, P.; Maeda, M.; Kamiya, N.; Zako, T. Protein-Functionalized Gold Nanoparticles for Antibody Detection Using the Darkfield Microscopic Observation of Nanoparticle Aggregation. Anal. Sci. 2021, 37 (3), 507-511. Yano-Ozawa, Y.; Lobsiger, N.; Muto, Y.; Mori, T.; Yoshimura, K.; Yano, Y.; Stark, W. J.; Maeda, M.; Asahi, T.; Ogawa, A.; Ogawa, A.; Zako, T. Molecular Detection Using Aptamer-Modified Gold Nanoparticles with an Immobilized DNA Brush for the Prevention of Non-Specific Aggregation. RSC Adv. 2021, 11 (20), 11984-11991. Zhu, L.; Li, G.; Sun, S.; Tan, H.; He, Y. Digital Immunoassay of a Prostate-Specific Antigen Using Gold Nanorods and Magnetic Nanoparticles. RSC Adv. 2017, 7 (44), 27595-27602. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 一般的に、デジタルイムノアッセイは、直径数ミクロンのビーズ表面に固定化した捕捉抗体と、抗原、酵素又はナノ粒子などで標識化した標識抗体とのサンドイッチイムノアッセイを利用する(非特許文献6を参照)。よって、一般的なデジタルイムノアッセイは、ビーズ表面の抗体で抗原を捕捉し、さらに標識抗体でターゲットを検出する必要があるため、ターゲットとなる抗原は、2つの抗体が結合可能な、ある程度の大きさを有する必要がある。 【0006】 しかしながら、免疫診断の分野で分析のターゲットとなる抗原の中には、タンパク質のような大きな分子だけでなく、甲状腺ホルモン及びステロイドホルモンなどの低分子(ハプテン)も存在する。免疫診断の分野において、ハプテンは、濃度の上昇に応じて得られるシグナルが低下する「競合法」と呼ばれる方法により検出されることが多いが、抗原抗体反応の阻害を利用した競合法は、デジタルイムノアッセイへの適用が困難であった。 【0007】 本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、本発明の一態様は、デジタルイムノアッセイを用いたハプテンの分析方法を実現することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るハプテンの分析方法は、ハプテンを抗ハプテン抗体と反応させ、得られた前記ハプテンと前記抗ハプテン抗体との複合体である第1複合体を抗イムノコンプレックス抗体と反応させて、前記ハプテンと前記抗ハプテン抗体と前記抗イムノコンプレックス抗体との複合体である第2複合体を得る反応工程であって、前記抗ハプテン抗体及び前記抗イムノコンプレックス抗体のいずれか一方の抗体が標識を有する、反応工程と、前記反応工程の後、前記第2複合体を未反応成分から分離する分離工程と、前記分離工程の後、前記第2複合体に含まれていた前記標識を計数する計数工程と、を含む。 【0009】 本発明の第2の態様に係るハプテンの分析方法は、第1の態様に係るハプテンの分析方法の構成に加えて、前記抗イムノコンプレックス抗体が前記標識を有する。 【0010】 本発明の第3の態様に係るハプテンの分析方法は、第1の態様又は第2の態様に係るハプテンの分析方法の構成に加えて、前記反応工程において、前記標識は、前記いずれか一方の抗体が固定化されているナノ粒子であり、前記計数工程は、暗視野顕微鏡を用いて前記ナノ粒子を輝点として計数することを含む。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する