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公開番号2024063245
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-10
出願番号2024036941,2019562519
出願日2024-03-11,2018-12-28
発明の名称接着性幹細胞を含む細胞集団とその製造方法、及び医薬組成物
出願人株式会社カネカ
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 5/0775 20100101AFI20240501BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】正常核型を維持している安全な接着性幹細胞を含む細胞集団、その製造方法、並びに上記細胞集団を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】接着性幹細胞を含む細胞集団の製造方法であって、前記細胞集団において、KCNAB1が陽性を呈する接着性幹細胞の比率が85%以上である細胞集団を取得することを含む、製造方法が提供される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
接着性幹細胞を含む細胞集団の製造方法であって、
前記細胞集団において、KCNAB1が陽性を呈する接着性幹細胞の比率が85%以上である細胞集団を取得することを含む、製造方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
接着性幹細胞を含む細胞集団であって、
前記細胞集団において、KCNAB1が陽性を呈する接着性幹細胞の比率が85%以上である、細胞集団。
【請求項3】
前記細胞集団が、SDHA遺伝子の発現量に対するSULT1E1遺伝子の相対発現量が0.1以上である、請求項2に記載の細胞集団。
【請求項4】
前記細胞集団が、SDHA遺伝子の発現量に対するMN1遺伝子の相対発現量が0.7以上である、請求項2又は3に記載の細胞集団。
【請求項5】
前記細胞集団が、SDHA遺伝子の発現量に対するRARRES2遺伝子の相対発現量が0.4以下である、請求項2から4の何れか一項に記載の細胞集団。
【請求項6】
前記接着性幹細胞が、胎児付属物に由来するものである、請求項2から5の何れか一項に記載の細胞集団。
【請求項7】
請求項2から6の何れか一項に記載の細胞集団と、製薬上許容し得る媒体とを含む、医薬組成物。
【請求項8】
請求項2から6の何れか一項に記載の細胞集団と、投与可能な他の細胞とを含む、医薬組成物。
【請求項9】
ヒトへの接着性幹細胞の1回の用量が10
12
個/kg体重以下である、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が、注射用製剤である、請求項7から9の何れか一項に記載の医薬組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、間葉系幹細胞などの接着性幹細胞の細胞集団に関する。本発明は、上記細胞集団の製造方法、並びに上記細胞集団を含む医薬組成物に関する。さらに本発明は、細胞集団における特定のマーカーを発現する接着性幹細胞の比率を指標として利用する、接着性幹細胞の核型異常のモニタリング方法、ドナー及び/又はドナーから採取した生体試料の評価方法、並びに酵素処理条件の判断及び/又は予測方法にも関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
間葉系間質細胞(Mesenchymal stromal cells)ともよばれる間葉系幹細胞などの接着性幹細胞は、骨髄、脂肪組織、歯髄などに存在することが報告されている体性幹細胞であり、最近では、胎盤、臍帯、卵膜などの胎児付属物にも存在することが明らかになっている。また、前記接着性幹細胞は、免疫抑制能を有しており、急性移植片対宿主病(GVHD)及び炎症性腸疾患であるクローン病などに対する実用化が進んでいる。
【0003】
さらに近年、細胞治療用途としての使用に耐え得る安全な接着性幹細胞を提供することが求められており、例えば、非特許文献1では、細胞治療に使用する間葉系幹細胞の核型解析の判断基準が示されている。また、非特許文献2では、複数ドナーの骨髄由来間葉系幹細胞における核型異常の発生頻度、及び継代数と核型異常発生頻度の相関性について記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Lisbeth Barkholt他、Risk of tumorigenicity in mesenchymal stromal cellebased therapies-Bridging scientific observations and regulatory viewpoints, Cytotherapy, 2013, 15, 753-759
Brian G. Stultz他、Chromosomal Stability of Mesenchymal Stromal Cells During In Vitro Culture, Cytotherapy, 2016, 18(3), 336-343
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、細胞治療用途としての使用に耐え得る安全な接着性幹細胞を提供するための検討を行ったところ、接着性幹細胞の培養過程において核型異常が高頻度で発生し、さらに継代を重ねるにつれ核型異常が蓄積されるという問題を確認した。上記問題は、造腫瘍性リスクにつながるため、核型異常が確認された接着性幹細胞が少しでも含まれるような接着性幹細胞集団は全て廃棄するしかない。さらに、染色体の構造を1つずつ解析して核型異常の頻度を評価する核型解析の手法は、解析に多大な時間及び労力を必要とするため、迅速な品質保証が出来ない原因にもなる。従って、本発明者らは、上記問題を解決するために、核型異常のない細胞集団を調製しなければならないこと、並びに核型異常の発生を経時的にモニタリングしなければならないという課題を見出した。
【0006】
本課題を解決するために、非特許文献1について検討した。非特許文献1には、細胞治療に使用する間葉系幹細胞について、染色体の構造異常の頻度に対する判断基準が記載されている。また、非特許文献1では、細胞の増殖速度及び倍加回数をできるだけ低く抑えるように培養条件を設定することが、核型異常を含まない細胞集団の取得につながることを示唆している。しかしながら、本発明者らは、増殖速度及び倍加回数を下げても、高頻度で核型異常が発生することを確認した。また、非特許文献1では、核型異常の有無をモニタリングする方法については記載がない。
【0007】
非特許文献2には、複数ドナーの骨髄由来間葉系幹細胞における核型異常の発生頻度及び継代数と核型異常発生頻度の相関性について記載されている。非特許文献1とは異なり、継代の回数が増え、倍加回数が増えるにつれて、核型異常の頻度が低下する傾向が確認されている。このように、細胞の倍加回数と核型異常の関係は文献によって傾向が異なり、核型異常の発生機序についても十分に解明されていない。また、非特許文献2では、継代毎に取得した間葉系幹細胞の核型解析が、拡大培養時の間葉系幹細胞の染色体安定性をモニタリングするために有用であると言及している。しかしながら、核型解析の方法は、間葉系幹細胞を取得した後に、核型解析に供する17個~144個の細胞から染色体を抽出し、染色体の構造を1つずつSKY(Spectral Karyotyping)法で観察している。上記解析には多大な時間と労力を必要としており、核型異常の発生を経時的にモニタリングすることが困難なうえ、核型異常の有無を迅速に評価することができない。また、核型異常を含まない細胞集団を調製する方法については記載がない。
【0008】
以上の課題に鑑み、本発明は、正常核型を維持している接着性幹細胞を含む細胞集団を取得し、かつ接着性幹細胞を含む細胞集団において、核型異常の発生を経時的にモニタリングし、核型異常の有無を迅速に評価する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、接着性幹細胞を含む細胞集団において、KCNAB1が陽性を呈する接着性幹細胞の比率が所定値以上に維持される条件下で培養すると、正常核型を維持している接着性幹細胞を含む細胞集団を取得できることを見出した。さらに本発明者らは、接着性幹細胞を含む細胞集団においてKCNAB1が陽性を呈する接着性幹細胞の比率が所定値以上であることを指標として利用することによって、接着性幹細胞の核型異常の有無をモニタリングできることを見出した。さらに、正常核型を維持している接着性幹細胞を効率的に取得するという観点から、ドナー及び/又はドナーから採取した生体試料の品質を迅速に評価でき、さらに、ドナーから採取した生体試料の最適な酵素処理条件を判断及び/又は予測できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本明細書によれば、以下の発明が提供される。
(1) 接着性幹細胞を含む細胞集団の製造方法であって、
前記細胞集団において、KCNAB1が陽性を呈する接着性幹細胞の比率が85%以上である細胞集団を取得することを含む、製造方法。
(2) 接着性幹細胞を含む細胞集団であって、
前記細胞集団において、KCNAB1が陽性を呈する接着性幹細胞の比率が85%以上である、細胞集団。
(3) 前記細胞集団が、SDHA遺伝子の発現量に対するKCNAB1遺伝子の相対発現量が0.05以上である、(2)に記載の細胞集団。
(4) 前記細胞集団が、SDHA遺伝子の発現量に対するSULT1E1遺伝子の相対発現量が0.1以上である、(2)又は(3)に記載の細胞集団。
(5) 前記細胞集団が、SDHA遺伝子の発現量に対するMN1遺伝子の相対発現量が0.7以上である、(2)から(4)の何れか一に記載の細胞集団。
(6) 前記細胞集団が、SDHA遺伝子の発現量に対するRARRES2遺伝子の相対発現量が0.4以下である、(2)から(5)の何れか一に記載の細胞集団。
(7) 前記接着性幹細胞が、胎児付属物に由来するものである、(2)から(6)の何れか一に記載の細胞集団。
(【0011】以降は省略されています)

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