TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024058068
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-25
出願番号2022165197
出願日2022-10-14
発明の名称薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物
出願人東レ・セラニーズ株式会社
代理人個人
主分類C08L 67/00 20060101AFI20240418BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明は、一体成形時における薄肉形状の複合成形体の寸法安定性に優れ、柔軟性かつ高い耐衝撃性と良流動性を兼ね備える、薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするハードセグメント(H)40~85質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメント(L)15~60質量%とを構成成分とし、かつ該ハードセグメント(H)が2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とから構成される熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)およびガラス転移温度が150℃以下である非晶性樹脂(B)を含有し、前記熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対し、前記非晶性樹脂(B)を10~80質量部含む、薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするハードセグメント(H)40~85質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメント(L)15~60質量%とを構成成分とし、かつ該ハードセグメント(H)が2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とから構成される熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)およびガラス転移温度が150℃以下である非晶性樹脂(B)を含有し、前記熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対し、前記非晶性樹脂(B)を10~80質量部含む、薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
さらに芳香族ビニル単位の含有量が20~50質量%である熱可塑性スチレン系エラストマー(C)を含有し、前記熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対し、前記熱可塑性スチレン系エラストマー(C)を5~60質量部含む、請求項1に記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
【請求項3】
前記非晶性樹脂(B)がポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂より選ばれる少なくとも一種である、請求項1または2記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性スチレン系エラストマー(C)の重量平均分子量が100,000~300,000である、請求項2記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
【請求項5】
樹脂100質量部に対し、0.1~2.0質量部の紫外線吸収剤(D)および0.1~2.0質量部のヒンダードアミン化合物(E)を含有する、請求項1または2に記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物
【請求項6】
JIS K7152に従い、成形した60mm×60mm×1mm厚み角板の成形収縮率が0.2%以上、0.8%以下であり、金型ゲートからキャビティ内に向かって、樹脂流動方向の収縮率MD(%)と直行方向の収縮率TD(%)との比MD/TDが以下の式1を満たす、請求項1または2に記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
(式1):0.8≦MD/TD≦1.2
【請求項7】
樹脂100質量部に対し、カーボン系導電性フィラー(F)を0.1~5.0質量部含有し、60mm×60mm×1mm厚み角板に成形した際の表面抵抗率が1.0×10
10
(Ω/sq.)以下である、請求項1または2に記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物に関する。より詳細には、薄肉の複合成形体成形時における寸法安定性に優れ、柔軟性かつ高い耐衝撃性と良流動性を兼ね備える熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体から構成される熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、ポリエステル樹脂が有する強度、耐衝撃性、弾性回復性などの機械特性と、溶融時の良加工性とのバランスに優れ、高温から低温の広範囲にわたって特性を損なわないだけでなく、さらにはエラストマーとしての柔軟性、耐屈曲疲労性を兼ね備えた特性を有することから、機械駆動部品や電気・電子部品、自動車部品、家電製品部品、日常生活用品や産業用資材など様々な用途に対して用いられている。
【0003】
しかしながら、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂は、他のポリエステル樹脂と同様に、溶融射出成形後に成形品の寸法形状変化が生じるため、その優れた異種材料との一体成形性を活かす際においては、複合成形体に収縮歪みや反りが発生することがある。特に薄肉形状での適用においては、成形後樹脂の成形収縮歪みや反りが顕著となることから、成形収縮性の低減が望まれている
熱可塑性ポリエステル樹脂においては、射出成形で得られる成形品の反りや寸法収縮を改善するため、従来から様々な検討が行われており、例えばポリエステルブロック共重合体にスチレン成分とアクリロニトリル成分をグラフト共重合させた、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)を特定比率で配合した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献1)が開示されている。また、ABS樹脂とポリカーボネート樹脂(PC樹脂)を特定比率で配合した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献2)が開示されている。さらには、熱可塑性ポリエステル樹脂にエポキシ基含有ビニル共重合体とABS樹脂、変性スチレン系樹脂あるいはポリカーボネート樹脂を配合した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物(例えば、特許文献3)、熱可塑性ポリエステル樹脂にアクリロニトリル-スチレン(AS樹脂)とアクリル-スチレン共重合体を特定比率で配合した熱可塑性ポリエステル樹脂(例えば、特許文献4)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5240680号
特許第5024754号
特開2007-314619号公報
特許第6869640号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物は、機械的強度と柔軟性とのバランスに優れ、良好な溶融加工性を有しているが、得られる成形体の成形収縮率が大きいという課題があった。分子構造中に結晶性の芳香族ポリエステル単位を有するため、溶融状態で金型に充填されて固化する際に、分子が規則的に折りたたみ配列した結晶構造を形成することにより体積が減少する傾向がある。特に複雑な形状や異種材料との一体成形体などにおいては、薄肉部分の体積減少による収縮差が大きくなることによって成形体の歪みが生じてソリが発生するなど、ねらい通りの形状の成形体を得ることが困難になることがある。熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を薄肉複合成型体用途へ展開する場合、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物自体の成形収縮率を小さくすることが重要である。
【0006】
熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形した際の成形収縮率を小さくする方法として、例えば文献1および文献2に記載されているように熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂に非晶性樹脂のABS樹脂を特定比率で含有させた熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、成形収縮率の改善については不十分であり、具体的な記載もない。また、文献3のような熱可塑性ポリエステル樹脂に、エポキシ基含有ビニル共重合体とABS樹脂、変性スチレン系樹脂あるいはポリカーボネート樹脂を特定比率で配合した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、成形品の成形収縮性低減には一定の改善がみられるものの、柔軟性の観点からは不十分であった。また、特許文献4のような熱可塑性ポリエステル系樹脂に、アクリロニトリル-スチレン系共重合体、およびアクリル-スチレン系共重合体を特定量で配合することにより、成形収縮率の低減に一定の改善がみられるものの十分ではなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、一体成形時における複合成形体の寸法安定性に優れ、柔軟性かつ高い耐衝撃性と良流動性を兼ね備えた、薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の構成単位を有する熱可塑性ポリエステルブロック共重合体に特定の非晶性樹脂を特定量配合することにより、前述の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物の一体成形時における薄肉複合成形体の寸法安定性に優れ、柔軟性かつ高い耐衝撃性と良流動性を兼ね備えた特性が効果的に達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のポリエステルエラストマー成形体は以下の構成を有する。
(1)結晶性芳香族ポリエステル単位を主な構成単位とするハードセグメント(H)40~85質量%と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位を主な構成単位とするソフトセグメント(L)15~60質量%とを構成成分とし、かつ該ハードセグメント(H)が2種以上の酸成分と1種以上のグリコール成分とから構成される
熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)およびガラス転移温度が150℃以下である非晶性樹脂(B)を含有し、前記熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対し、前記非晶性樹脂(B)を10~80質量部含む、薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
(2)さらに芳香族ビニル単位の含有量が20~50質量%である熱可塑性スチレン系エラストマー(C)を含有し、前記熱可塑性ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対し、前記熱可塑性スチレン系エラストマー(C)を5~60質量部含む、(1)に記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
(3)前記熱可塑性非晶性樹脂(B)としてポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、PMMA樹脂より選ばれる少なくとも一種を含む、(1)または(2)記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
(4)前記熱可塑性スチレン系エラストマー(C)の重量平均分子量Mwが1000,000~3000,000である、(2)記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
(5)樹脂100質量部に対し、0.1~2.0質量部の紫外線吸収剤(D)および0.1~2.0質量部のヒンダードアミン化合物(E)を含有する、請求項(1)~(4)いずれかに記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物
(6)JIS K7152に従い、成形した60mm×60mm×1mm厚み角板の成形収縮率が0.2%以上、0.8%以下であり、金型ゲートからキャビティ内に向かって、樹脂流動方向の収縮率MD(%)と直行方向の収縮率TD(%)との比MD/TDが以下の式1を満たす、(1)~(5)いずれかに記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
【0009】
(式1):0.8≦MD/TD≦1.2
(7)樹脂100質量部に対し、カーボン系導電性フィラー(F)を0.1~5.0質量部含有し、60mm×60mm×1mm厚み角板に成形した際の表面抵抗率が1.0×10
10
(Ω/sq.)以下である、請求項(1)~(6)いずれかに記載の薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、薄肉複合成形体の一体成形時における複合成形体の寸法安定性に優れ、柔軟性かつ高い耐衝撃性と良流動性を兼ね備えた、薄肉複合成形体用熱可塑性ポリエラストマー樹脂組成物を提供することが可能となり、自動車内装部品、電気電子部品、工業用材料など、特に薄肉形状でかつ成形体の柔軟性および耐衝撃性と寸法安定性のバランスが必要な製品に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東ソー株式会社
ゴム組成物
3日前
三菱ケミカル株式会社
積層体
1か月前
株式会社ナリス化粧品
構造体
10日前
東ソー株式会社
ソールゴム用改質剤
3日前
東レ株式会社
ポリアミド樹脂組成物
1か月前
株式会社松風
光硬化性組成物
1か月前
アイカ工業株式会社
ホットメルト組成物
24日前
AGC株式会社
水性分散液
1か月前
ユニチカ株式会社
多孔質ポリアミドイミド
1か月前
三菱ケミカル株式会社
成形体
3日前
東レ株式会社
ポリエステル組成物の製造方法
25日前
松本油脂製薬株式会社
樹脂粒子及びその用途
18日前
松本油脂製薬株式会社
樹脂粒子及びその用途
24日前
株式会社日本製鋼所
プリプレグ製造装置
1か月前
東レ株式会社
二軸配向ポリオレフィンフィルム
1か月前
日本ユピカ株式会社
成形材
27日前
東ソー株式会社
両親媒性ポリマー溶液の調液方法
17日前
松本油脂製薬株式会社
ポリマー粒子及びその用途
24日前
東ソー株式会社
廃プラスチックのリサイクル方法
1か月前
東京応化工業株式会社
感光性組成物
3日前
東京応化工業株式会社
熱硬化性組成物
5日前
東京応化工業株式会社
熱硬化性組成物
5日前
アキレス株式会社
農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
24日前
三菱ケミカル株式会社
フィルム
19日前
株式会社カネカ
樹脂組成物、成形体およびフィルム
1か月前
東レ株式会社
プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料
24日前
株式会社レゾナック
ポリマー
25日前
横浜ゴム株式会社
タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ
1か月前
セイコーエプソン株式会社
成形用材料
27日前
セイコーエプソン株式会社
成形用材料
27日前
株式会社ミライ化成
再生補強繊維の製造方法
9日前
三菱ケミカル株式会社
ポリエステルフィルム
17日前
三菱ケミカル株式会社
ポリエステルフィルム
1か月前
UBE株式会社
ポリアミド樹脂組成物
11日前
東ソー株式会社
ポリエチレン系熱分解ワックスの製造方法
1か月前
株式会社ジェイエスピー
発泡粒子の製造方法
1か月前
続きを見る