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公開番号2024044761
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-02
出願番号2022150501
出願日2022-09-21
発明の名称タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ
出願人横浜ゴム株式会社
代理人個人
主分類C08L 7/00 20060101AFI20240326BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】タイヤリサイクルのために再生カーボンブラック(再生CB)をスタッドレスタイヤに使用するに際し、発熱性およびスノー性能が実用上十分であることが求められる。
【解決手段】ジエン系ゴム、シリカ、カーボンブラック(CB)および再生CBを含有し、再生CBのDBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP)の差(ΔDBP)が20ml/100g未満、再生CBの窒素吸着比表面積N2SAと沃素吸着量IAの比であるN2SA/IAが0.8以上2.0未満、ジエン系ゴム100質量部中、NRおよびBRの割合が30質量部以上であり、ジエン系ゴム100質量部に対しシリカを20~100質量部および再生CBを1~10質量部配合してなり、CBおよび再生CBの合計の総量が、ジエン系ゴム100質量部に対し、5~80質量部であるタイヤ用ゴム組成物によって上記課題を解決した。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
天然ゴムおよびブタジエンゴムを含むジエン系ゴム、シリカ、カーボンブラックおよび再生カーボンブラックを含有するタイヤ用ゴム組成物であって、
前記再生カーボンブラックのDBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP)の差(ΔDBP)が20ml/100g未満であり、
前記再生カーボンブラックの窒素吸着比表面積N

SA(単位m

/g)と沃素吸着量IA(単位mg/g)の比であるN

SA/IAが0.8以上2.0未満の範囲にあり、
前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムおよび前記ブタジエンゴムの割合が30質量部以上であり、
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを20~100質量部および前記再生カーボンブラックを1~10質量部配合してなり、
前記カーボンブラックおよび前記再生カーボンブラックの合計の総量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5~80質量部である
ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに液状ブタジエンゴムを1~30質量部配合してなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに中空ポリマーを0.5~20質量部配合してなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
天然ゴムおよびブタジエンゴムを含むジエン系ゴム、シリカ、カーボンブラックおよび再生カーボンブラック並びに加硫系成分を混合する工程を有するタイヤ用ゴム組成物の製造方法であって、
前記再生カーボンブラックを100℃未満で投入し混練する第1工程と、
前記第1工程後、加硫系成分を投入しさらに混練する最終工程と、を有し、
前記再生カーボンブラックのDBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP)の差(ΔDBP)が20ml/100g未満であり、
前記再生カーボンブラックの窒素吸着比表面積N

SA(単位m

/g)と沃素吸着量IA(単位mg/g)の比であるN

SA/IAが0.8以上2.0未満の範囲にあり、
前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムおよび前記ブタジエンゴムの割合が30質量部以上であり、
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを20~100質量部および前記再生カーボンブラックを1~10質量部配合してなり、
前記カーボンブラックおよび前記再生カーボンブラックの合計の総量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5~80質量部である
ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびタイヤに関するものであり、詳しくは再生カーボンブラックを配合しても、発熱性を悪化させることなく、優れたスノー性能を有するタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものである。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、資源の保全や環境保護が注目される中、タイヤにおいてもリサイクル率の向上が求められている。そこで廃タイヤなど使用済みのゴム製品を熱分解して得られる再生カーボンブラックや(例えば下記特許文献1~3参照)、非石油原料由来の再生カーボンブラックの使用が提案されている。
しかし再生カーボンブラックにはタイヤの原材料である補強材、タイヤコード等由来の不純物が含まれ、および/または、製造時の熱分解工程由来の不純物が含まれるため、タイヤの強度や発熱性が大幅に低下するという問題点がある。
一方で、スタッドレスタイヤにおいても、再生カーボンブラックを使用して環境保護に配慮しつつ、優れたスノー性能(氷雪上路面での制動性)を付与する技術が模索されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許6553959号公報
特開2012-1682号公報
特許6856781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、再生カーボンブラックを配合しても、発熱性を悪化させることなく、優れたスノー性能を有するタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ジエン系ゴム、シリカ、カーボンブラックおよび再生カーボンブラックを含むタイヤ用ゴム組成物において、再生カーボンブラックのDBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP)の差(ΔDBP)並びに窒素吸着比表面積N

SA(単位m

/g)と沃素吸着量IA(単位mg/g)の比であるN

SA/IAを適切な範囲に定め、かつシリカ並びにカーボンブラックおよび再生カーボンブラックの配合量を特定の範囲に定めることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
【0006】
すなわち本発明は、天然ゴムおよびブタジエンゴムを含むジエン系ゴム、シリカ、カーボンブラックおよび再生カーボンブラックを含有するタイヤ用ゴム組成物であって、
前記再生カーボンブラックのDBP吸油量と圧縮DBP吸油量(24M4DBP)の差(ΔDBP)が20ml/100g未満であり、
前記再生カーボンブラックの窒素吸着比表面積N

SA(単位m

/g)と沃素吸着量IA(単位mg/g)の比であるN

SA/IAが0.8以上2.0未満の範囲にあり、
前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムおよび前記ブタジエンゴムの割合が30質量部以上であり、
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを20~100質量部および前記再生カーボンブラックを1~10質量部配合してなり、
前記カーボンブラックおよび前記再生カーボンブラックの合計の総量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、5~80質量部である
ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物を提供するものである。
また本発明は、前記タイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
上述のように、再生カーボンブラックにはタイヤの原材料である補強材、タイヤコード等由来の不純物が含まれ、および/または、製造時の熱分解工程由来の不純物が含まれるため、発熱性が悪化するという問題点があった。また、当業界においてオールシーズンタイヤやスタッドレスタイヤにおいてスノー性能をさらに高めることが求められている。本発明者は鋭意検討を重ねた結果、再生カーボンブラックに不純物(例えば灰分)が存在する場合でも、特定範囲の前記ΔDBPおよび前記N

SA/IAを満たす再生カーボンブラックを採用することにより、前記課題を解決できることを見出した。
これにより本発明によれば、再生カーボンブラックを配合しても、発熱性を悪化させることなく、優れたスノー性能を有するタイヤ用ゴム組成物およびタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0009】
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、スノー性能向上のために、天然ゴム(NR)およびブタジエンゴム(BR)を必須成分とする。なお、イソプレンゴム(IR)は本発明でいうNRに含まれるものとする。本発明において、前記ジエン系ゴム100質量部中、NRおよびBRは、30質量部以上、好ましくは40質量部以上を占めることが好ましい。なお、本発明の前記効果が向上するという観点から、本発明で使用されるジエン系ゴム全体を100質量部としたときに、NRの配合量が20質量部以上、好ましくは30~80質量部であるのがよい。
なお、前記ジエン系ゴムには、前記NRおよびBR以外にも必要に応じてスチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
また、ジエン系ゴムは、ガラス転移温度(Tg)が-50℃以下であることが好ましい。このようにTgを規定することにより、スノー性能が向上する。
なおジエン系ゴムが複数種類含まれる場合において、本明細書で言うTgは、各ゴムのガラス転移温度に、各ゴムの重量分率を乗じた積の合計、すなわち加重平均に基づき算出される値とする。なお計算時には各成分の重量分率の合計を1.0とする。本発明で言うガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度を指すものとする。
【0010】
(シリカ)
本発明で使用されるシリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカは、スノー性能向上の観点から、CTAB吸着比表面積が90~250m

/gであるのが好ましく、100~210m

/gであるのがさらに好ましい。
なお、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面への臭化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムの吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
(【0011】以降は省略されています)

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