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公開番号2024054736
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-17
出願番号2022161158
出願日2022-10-05
発明の名称豚舎、およびそれを利用した養豚方法
出願人個人
代理人個人
主分類A01K 1/00 20060101AFI20240410BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】豚舎の大型化を回避し、断熱・暖房設備、給水・給餌器などの各種設備を、より効率的に配設可能とし、より効率的なウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)を実現化できる新たな豚舎技術を提供する。
【解決手段】先行離乳子豚群を収容する床面積とされた第1WtoF部屋4が設けられ、該第1WtoF部屋4と開閉可能な第1可動壁40を介して隣接され、該第1可動壁40を開き、連通された場合に、該第1WtoF部屋4と合算した床面積が該先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋5が設けられ、該交番肥育部屋5に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋6が、第2可動壁60を介して開閉可能に隣接されたWtoFユニットが少なくとも1つ屋内に設置されたものとしてなる豚舎2である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置されたものとしてなることを特徴とする豚舎。
続きを表示(約 5,700 文字)【請求項2】
一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置され、先行離乳子豚群および後続離乳子豚群の収容床面積を合理的に抑制しながら、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)が可能なものとされた豚舎。
【請求項3】
30ないし2400頭の一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置されたものとしてなることを特徴とする豚舎。
【請求項4】
第1WtoF部屋および第2WtoF部屋が、夫々0.30ないし0.72m

/頭の床面積に設定され、且つ、第1WtoF部屋および交番肥育部屋と、交番肥育部屋および第2WtoF部屋とが、夫々0.7ないし1.2m

/頭の床面積に設定された、請求項1ないし請求項3何れか一記載の豚舎。
【請求項5】
第1WtoF部屋および第2WtoF部屋の夫々の一部に、子豚育成用の断熱設備および暖房設備が設けられた補助居住房が設けられたものとしてなる請求項1ないし請求項4何れか一記載の豚舎。
【請求項6】
第1WtoF部屋と交番肥育部屋との間に設けられた第1隔壁の一方と他方とに合計少なくとも2つの第1可動壁が設けられ、交番肥育部屋と第2WtoF部屋との間に設けられた第2隔壁の一方と他方とに合計少なくとも2つの第2可動壁が設けられ、全ての第1可動壁が開かれ、全ての第2可動壁が閉じられた場合に、第2WtoF部屋に隣接する区画が仕切り柵に囲まれて出荷豚房となる第1WtoF部屋用の可変出荷豚房が、一方の第2可動壁に臨むと共に、豚舎外に開閉可能な出荷経路を有して設けられ、全ての第2可動壁が開かれ、全ての第1可動壁が閉じられた場合に、第1WtoF部屋に隣接する区画が仕切り柵に囲まれて出荷豚房となる第2WtoF部屋用の可変出荷豚房が、一方の第1可動壁に臨むと共に、豚舎外に開閉可能な出荷経路を有して設けられ、当該第1WtoF部屋用の可変出荷豚房と第2WtoF部屋用の可変出荷豚房との間に配され、他方の第1可動壁および他方の第2可動壁に臨む入り口、当該第1WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨む自動開閉送出ゲート、当該第2WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨む自動開閉送出ゲート、当該入り口と各動開閉送出ゲートとの間に配され肥育豚の体重を自動計測する体重計測部、肥育豚が出荷体重に達している場合に、当該第1WtoF部屋用または第2WtoF部屋用の可変出荷豚房の何れか出荷豚房とされたがわの自動開閉送出ゲートを開き、肥育豚が一頭通過する毎に自動閉鎖し、また、肥育豚が未だ出荷体重に達していない場合に、当該第1WtoF部屋用または第2WtoF部屋用の可変出荷豚房の何れか出荷豚房とされず、一方の第1可動壁かまたは一方の第2可動壁かの何れか開かれたがわの自動開閉送出ゲートを開き、肥育豚が一頭通過する毎に自動閉鎖するよう制御される自動選別部が設けられた自動体重計測・選別装置を有し、当該第1WtoF部屋内および第2WtoF部屋の夫々に給餌器または給水器の少なくとも何れか一方が設けられ、全ての第1可動壁が開かれ、且つ全ての第2可動壁が閉じられ、当該自動体重計測・選別装置の一方の自動開閉送出ゲートが、出荷豚房とされた当該第1WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨み、他方の自動開閉送出ゲートが、開かれた一方の第1可動壁に臨むものとされた場合に、当該一方の第1可動壁に臨む自動体重計測・選別装置の他方の自動開閉送出ゲートと、当該第1WtoF部屋内に設けられた給餌器または給水器の何れか一方との間か、または、同給餌器または給水器の何れか一方と、他方の第1可動壁に臨む当該自動体重計測・選別装置の入り口との間かの何れか一方に、同自動体重計測・選別装置を通過しないと第1WtoF部屋内の給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するワンウェイ・ゲートが設けられた仕切り柵を有するものとされ、さらに、全ての第1可動壁が閉じられ、且つ全ての第2可動壁が開かれ、当該自動体重計測・選別装置の他方の自動開閉送出ゲートが、出荷豚房とされた当該第2WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨み、一方の自動開閉送出ゲートが、開かれた一方の第2可動壁に臨むものとされた場合に、当該一方の第2可動壁に臨む自動体重計測・選別装置の一方の自動開閉送出ゲートと、当該第2WtoF部屋内に設けられた給餌器または給水器の何れか一方との間か、または、同給餌器または給水器の何れか一方と、開かれた他方の第2可動壁に臨む当該自動体重計測・選別装置の入り口との間かの何れか一方に、同自動体重計測・選別装置を通過しないと第2WtoF部屋内の給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するワンウェイ・ゲートが設けられた仕切り柵を有するものとされた請求項1ないし請求項5何れか一記載の豚舎。
【請求項7】
第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が体重45ないし60kgの/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、体重110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚群の全頭を出荷し、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群が体重45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となったとき、第2可動壁を自由通行可能に開き、当該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、体重110kg/頭以上に達した該後続肥育豚群の全頭を出荷し、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした構成を特徴とする、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の豚舎を利用した養豚方法。
【請求項8】
第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群の子豚育成を開始から11ないし14週後に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該先行離乳子豚群が子豚育成の開始から11ないし14週後に先行肥育豚群となり、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、同先行肥育豚群の全頭を出荷し、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上同第1WtoF部屋に一定頭数の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群が子豚育成の開始から11ないし14週後に後続肥育豚群となり、第2可動壁を自由通行可能に開き、該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、同後続肥育豚群の全頭を出荷し、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした構成を特徴とする、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の豚舎を利用した養豚方法。
【請求項9】
第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、体重が110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚から順に出荷し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に同先行肥育豚群の全頭の出荷を終え、当該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群の子豚育成を開始してから11ないし14週経過し、体重が45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となったとき、第2可動壁を自由通行可能に開き、当該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、体重が110kg/頭以上に達した該後続肥育豚から順に出荷し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に同後続肥育豚群の全頭の出荷を終え、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした構成を特徴とする、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の豚舎を利用した養豚方法。
【請求項10】
全ての第2可動壁を閉じ、全ての第1可動壁を開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとし先行肥育豚群の肉豚肥育を行う工程中に、該先行肥育豚群が出荷体重に達する直前まで、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋の全域を往来できるよう各部の開閉柵を開いた状態を維持し、該先行肥育豚群が出荷体重に達する頃に、第1WtoF部屋用の可変出荷豚房の開閉柵を閉じて出荷豚房とし、自動体重計測・選別装置を起動すると共にワンウェイ・ゲートを、当該自動体重計測・選別装置を通過しないと給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するようにし、また、全ての第1可動壁を閉じ、全ての第2可動壁をを開き、第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとし後続肥育豚群の肉豚肥育を行う工程中に、該後続肥育豚群が出荷体重に達する直前まで、該第2WtoF部屋と交番肥育部屋の全域を往来できるよう各部の開閉柵を開いた状態を維持し、該後続肥育豚群が出荷体重に達する頃に、第2WtoF部屋用の可変出荷豚房の開閉柵を閉じて出荷豚房とし、自動体重計測・選別装置を起動すると共にワンウェイ・ゲートを、当該自動体重計測・選別装置を通過しないと給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するようにし、肥育豚の空腹感や喉の渇きなどの生理現象を伴う移動を利用し、1日に複数回、当該自動体重計測・選別装置を通過するよう誘導し、出荷体重に達した肥育豚を出荷豚房とされた可変出荷豚房に自動的に誘導、選別するようにした、前記請求項6記載の豚舎を利用した養豚方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、離乳後の子豚育成期ないし肉豚肥育期に渡ってウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の養豚を可能とする豚舎技術に関連するものであり、特に、床面積および付帯する生産設備をより効率的に利用し、より生産効率に優れた豚舎を建築、提供する分野は勿論のこと、その建築資材の輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、当該豚舎を利用した養豚方法の実施、およびその養豚方法技術の提供に及ぶ技術分野など、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
(着目点)
我が国の養豚業界における一般的な大・中規模農場は、種豚舎、分娩豚舎、離乳豚舎および肥育豚舎からなり、離乳子豚は、分娩豚舎から離乳豚舎へ移動され、該離乳豚舎で子豚育成を経て肥育豚となった後に、該離乳豚舎から肥育豚舎へ移動され、該肥育豚舎で出荷体重まで肥育された上、出荷されることとなるが、こうした従来型の養豚農場、および、それを利用した養豚方法では、豚の成長の過程で分娩豚舎から離乳豚舎への移動、および、離乳豚舎から肥育豚舎への移動が不可欠であり、その都度の移動のストレス、および、移動後の群れ同士の合流によるストレスやそれに起因する闘争など、様々なストレスを受けるため、回復に時間を要し、その間成長が一時的に停滞してしまい、生産効率が悪化してしまう上、日齢(週令)が異なる群れの合流による感染症の予防が困難になってしまうという欠点があった。
【0003】
こうした、豚舎間の移動や群れ同士の合流などによるストレスの軽減や感染症を予防する技術として、離乳子豚が、離乳と同時に分娩豚舎から離乳兼肥育用の豚舎に移され、そのまま出荷まで移動させられることなく飼養されるように、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の技術を可能とする豚舎が近年採用されるようになってきているが、10kg未満で離乳される子豚を、約120kgの出荷体重の豚にも対応できる大きな豚舎に入れることから、離乳子豚の子豚育成期間に必要とされる豚房床面積が、従来型の離乳豚舎に比べて大きくなり、施設費用の負担が課題となっていた。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、多頭飼育用の大部屋(大豚房)と、その大部屋(大豚房)に連接させた発育不良豚用と肥満豚用との2つの小部屋(小豚房)よりなり、前記大部屋(大豚房)と各小部屋(小豚房)との間に管理者によって開閉される鉄格子などの透視可能な扉を設け、且つその大部屋(大豚房)と各小部屋(小豚房)との連接部分に便所と給水器とを設置すると共に、その大部屋(大豚房)および各小部屋(小豚房)内に夫々給餌器を設けてなり、離乳子豚群を大部屋(大豚房)に収容し、成長に伴い発育不良の豚を発育不良豚用の小部屋(小豚房)に移し、透視可能な扉を閉じて隔離し、また、肥満の豚を肥満豚用の小部屋(小豚房)に移し、透視可能な扉を閉じて隔離し、大部屋(大豚房)の豚の頭数を減らし、一頭当たりの床面積を大きく確保できるようにしながら、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)を可能とする抱き合わせ豚舎や、同特許文献1(2)に見られるような、中央通路を挟んで該通路の一方がわに多頭飼育用大部屋(大豚房)を設けると共に、他方がわに発育不良豚用と肥満豚用との2つの小部屋(小豚房)を設け、該各部屋(豚房)の通路と反対がわに便所を設けて両側集尿方式にすると共に中央通路より入気するようにし、該中央通路より従来型の豚舎に比べて側壁の数が減少し、建設費が安くなる上、該中央通路沿いに給水、給餌が可能となり、管理が容易となり、便所を両側集尿方式にしたため、便所から発生する有毒ガスが豚舎内に留まるのを防止可能とした抱き合わせ豚舎などが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)、および後者特許文献1(2)などに示されているような抱き合わせ豚舎は、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)を可能とするものであるが、オールイン・オールアウト(AI・AO)を前提とした構造とはなっておらず、豚舎内では、日齢差のある豚が接触するものとなっているから疾病の問題が発生するリスクが高く、無理にオールイン・オールアウト(AI・AO)を行うと、小分けされた多数の部屋が必要となり、建築コストが上昇し、管理コストが高騰してしまうという欠点を残すものであった。
(1)特公昭50-33943号公報 (2)実開昭61-139172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のあるウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)を可能とする各豚舎は、離乳子豚群の離乳育成期間、ないし肥育豚群となってから肉豚肥育期間を経て出荷体重に達し、出荷豚群となるまでの間に渡り、離乳子豚の当初から肥育豚と同等の床面積を確保せざるを得ず、豚舎の大型化が必須のものとなってしまう上、離乳子豚の育成に必須となる断熱・暖房設備を離乳・肥育用の部屋の全体に設置するには、従来型の豚舎よりも多くの設備費を要するものとなり、また、離乳・肥育用の部屋の一部を離乳子豚の育成に必要な床面積を囲むよう仕切り柵などで仕切り、その範囲内のみに、断熱・暖房設備を設置して暖房設備の設置費用およびその稼働に要する光熱費を抑制できたとしても、離乳子豚群が肥育豚群となるまでの間、仕切り柵で仕切られた余りとなる床面積が有効に利用できるものとはならず、無駄な空間となってしまうという欠点を残すものであり、こうした従来型の豚舎の欠点を解消し、豚舎の大型化を回避して断熱・暖房設備、給水・給餌器などの各種設備を、より効率的に配設可能とし、さらに、当該従来型の豚舎が開発された当初は、豚の発育のバラツキが大きく、オールイン・オールアウト(AI・AO)の飼育を効率的に行える環境ではなかったが、現在では品種改良によって豚の発育のバラツキが改善され、オールイン・オールアウト(AI・AO)による効率的な飼育が可能となって来ているという事情もあり、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)を実現化すると共に、必要となる床面積を効率的に削減し、建築・設備費用および光熱費や保守管理のためのランニングコストを大幅に削減できる新規の豚舎、およびそれを利用した新規な養豚方法の開発の可能性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、豚舎の大型化を回避し、断熱・暖房設備、給水・給餌器などの各種設備を、より効率的に配置可能とし、より効率的なウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)を実現化できる新たな豚舎技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡って幾多の試行錯誤を繰り返した上、新たに建築費用を投じて新型の豚舎の試作、および、新たな養豚方法の実験を行った結果、今回、遂に新規な構造の豚舎、およびそれを利用した新規な養豚方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の豚舎は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置された構成を要旨とする豚舎である。
【0009】
この基本的な構成からなる豚舎は、その表現を変えて示すならば、一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置され、先行離乳子豚群および後続離乳子豚群の収容床面積を合理的に抑制しながら、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)が可能なものとされた構成からなる豚舎となる。
【0010】
より具体的には、30ないし2400頭の一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置された構成からなる豚舎となる。
(【0011】以降は省略されています)

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