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公開番号2024052646
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2023170652
出願日2023-09-29
発明の名称ミズワタクチビルケイソウの特異的検出
出願人国立大学法人九州大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 15/11 20060101AFI20240404BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】環境DNAからの迅速・高感度なミズワタクチビルケイソウの検出法の開発。
【解決手段】特定の塩基配列のうち、90番目のアデニンを含み、且つ連続する少なくとも14塩基からなる塩基配列又はそれに相補的な塩基配列を含む核酸、当該核酸を含む、ミズワタクチビルケイソウの検出用マーカー、プライマー、又はプローブ。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
配列番号1で示される塩基配列のうち、90番目のアデニンを含み、且つ連続する少なくとも14塩基からなる塩基配列又はそれに相補的な塩基配列を含む核酸。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
請求項1の核酸を含む、ミズワタクチビルケイソウの検出用マーカー、プライマー、又はプローブ。
【請求項3】
以下の(1)~(4)からなる群から選択される、いずれかのプライマーセット:
(1)配列番号2に示される塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセット;
(2)配列番号2に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセットであって、遺伝子増幅法により配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウ(Cymbella janischii)の28S rRNA遺伝子またはその転写産物由来のDNA断片を特異的に増幅できる、プライマーセット;
(3)配列番号2に示される塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセットであって、遺伝子増幅法により配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子またはその転写産物由来のDNA断片を特異的に増幅できる、プライマーセット;及び
(4)配列番号2に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセットであって、遺伝子増幅法により配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子またはその転写産物由来のDNA断片を特異的に増幅できる、プライマーセット。
【請求項4】
請求項1の核酸を含む、ミズワタクチビルケイソウの検出用プライマー、若しくはプローブ、又は請求項3に記載のプライマーセットを含有する、ミズワタクチビルケイソウの検出用キット。
【請求項5】
配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片及び/又は配列番号5の配列を含むCymbella mexicanaの28S rRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片を対照試料として含む、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
3’末端ミスマッチ伸長の高度選択性を有するDNAポリメラーゼを更に含む、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
請求項2に記載のマーカー、プライマー、又はプローブ、或いは請求項3に記載のプライマーセットを用いて、環境試料からミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子又はその転写産物を検出することを特徴とする、ミズワタクチビルケイソウの検出方法。
【請求項8】
配列番号6に示される塩基配列を含む核酸と、配列番号7に示される塩基配列を含む核酸と、配列番号8に示される塩基配列を含む核酸の組合わせ物。
【請求項9】
請求項8記載の組合わせ物を含有する、ミズワタクチビルケイソウの検出用キット。
【請求項10】
配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片及び/又は配列番号5の配列を含むCymbella mexicanaの28S rRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片を対照試料として含む、請求項9に記載のキット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ミズワタクチビルケイソウ(Cymbella janischii)の特異的検出を可能にするプライマー等に関し、より詳しくは、ミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子またはその転写産物由来のDNA断片を特異的に増幅できる、プライマー等、該プライマー等を含むキット、及び該プライマー等を用いるミズワタクチビルケイソウの検出方法等に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
ミズワタクチビルケイソウは近年日本に侵入した外来珪藻であり、国内の分布を急速に拡大している(非特許文献1)。大量発生すると川底の石を覆い尽くすことから、景観を損なうだけでなくアユの漁場被害が報告されるなど、河川生態系への影響が懸念されている(非特許文献2)。ミズワタクチビルケイソウの同定は、現在、形態的特徴に基づく顕微観察で行われているが、珪藻の形態分類の専門家を必要とする事、目視観察では群生形成前の初期侵入時の検出が難しいなどの問題があり、環境DNAによる迅速・高感度な検出系の開発が望まれている。珪藻は世界に約20万種存在していると言われるが(非特許文献3)、その遺伝子情報は全世界から登録が進むrbcLのメタバーコーディング領域においてもわずか約1500種であり、全体の1%にも満たない(https://www6.inrae.fr/carrtel-collection_eng/Barcoding-database/Description)。ミズワタクチビルケイソウとその近縁種の遺伝子配列はNakovら(非特許文献4)によって登録されているが、サンプルは主にアメリカの種に限られているために種内変異の情報が乏しく、また国内に侵入した本種および国内近縁種の配列は不明であった。また、C.janischiiに最も近縁なCymbella mexicanaは、C.janischiiとの配列間距離(p-disdance)が登録遺伝子領域で最も変異が高い遺伝子(28S)でも0.035であることから、従来法(プローブ法)による設計は困難が予想された。遺伝子による特異的検出は主に蛍光プローブ法で行われるが、種間変異の少ない領域では特異性を出せないために設計領域はかなり限られる。また、割高な蛍光プローブと蛍光を検出する高価なリアルタイムPCR装置が必要になることから、開発コストとランニングコストの面でデメリットがある。遺伝子変異の高い領域にはITS領域があるが、本種と近縁種にはこのITS領域の配列情報がない。ITS領域で設計するためには、海外を含めたサンプルを収集し、新たに配列を取得する必要が生じるため、労力・時間の面で現実的ではなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
BioInvasions Rec.2022;11:409-415.
Bull Yamanashi Prefect Fish Technol Cent.2019;46:34-38.
Front Mar Sci.2021;8:698331.
Phycologia.2014;53:359-373.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、環境DNAからの迅速・高感度なミズワタクチビルケイソウの検出法の開発である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、先行研究で近縁種の配列情報が充実している既存の領域で国内本種の配列(rbcL、psaB、psbA、18S、28Sの部分配列)を決定した後、28S rRNAの配列に対して、限られた領域の中で本種を特異的に検出するジェノタイピングを開発した。
【0006】
ミズワタクチビルケイソウ(C.janischiiの国内種)の28S rRNAの部分配列とBLAST Searchでヒットした類似の他種(アメリカのC.janischiiを含む)の89配列とのアラインメント結果によると、配列番号1の90番目の塩基はアデニンであるが、上記89配列では、配列データが表示されない場合を除き、すべてチミンであった。この発見により、本願発明によるC.janischiiの国内種の高度に特異的な検出が可能になった。
【0007】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1] 配列番号1で示される塩基配列のうち、90番目のアデニンを含み、且つ連続する少なくとも14塩基からなる塩基配列又はそれに相補的な塩基配列を含む核酸。
[2] [1]の核酸を含む、ミズワタクチビルケイソウの検出用マーカー、プライマー、又はプローブ。
[3] 以下の(1)~(4)からなる群から選択される、いずれかのプライマーセット:
(1)配列番号2に示される塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセット;
(2)配列番号2に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセットであって、遺伝子増幅法により配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子またはその転写産物由来のDNA断片を特異的に増幅できる、プライマーセット;
(3)配列番号2に示される塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセットであって、遺伝子増幅法により配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子またはその転写産物由来のDNA断片を特異的に増幅できる、プライマーセット;及び
(4)配列番号2に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーと、配列番号3に示される塩基配列の5’末端側10塩基からなる塩基配列において、1個又は2個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなるプライマーとからなるプライマーセットであって、遺伝子増幅法により配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子またはその転写産物由来のDNA断片を特異的に増幅できる、プライマーセット。
[4] [1]の核酸を含む、ミズワタクチビルケイソウの検出用プライマー、若しくはプローブ、又は[3]に記載のプライマーセットを含有する、ミズワタクチビルケイソウの検出用キット。
[5] 配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片及び/又は配列番号5の配列を含むC.mexicanaの28SrRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片を対照試料として含む、[4]に記載のキット。
[6] 3’末端ミスマッチ伸長の高度選択性を有するDNAポリメラーゼを更に含む、[4]又は[5]に記載のキット。
[7] [2]に記載のマーカー、プライマー、又はプローブ、或いは[3]に記載のプライマーセットを用いて、環境試料からミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子又はその転写産物を検出することを特徴とする、ミズワタクチビルケイソウの検出方法。
[8] 配列番号6に示される塩基配列を含む核酸と、配列番号7に示される塩基配列を含む核酸と、配列番号8に示される塩基配列を含む核酸の組合わせ物。
[9] [8]記載の組合わせ物を含有する、ミズワタクチビルケイソウの検出用キット。
[10] 配列番号1の配列を含むミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片及び/又は配列番号5の配列を含むCymbella mexicanaの28S rRNA遺伝子の全長DNA若しくはその断片を対照試料として含む、[9]に記載のキット。
[11] [8]に記載の組合せ物を用いて、環境試料からミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子又はその転写産物を検出することを特徴とする、ミズワタクチビルケイソウの検出方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、環境試料からミズワタクチビルケイソウの存在を特異的に、迅速・高感度に検出することができる。本検出法はPCR産物のバンドの有無だけでも在・不在を推定できることから、汎用のPCR装置で安価に実施できる。さらに、リアルタイムPCRを伴う本発明の実施形態によれば、感度・特異性の面で難易度が高い河川水サンプルからもミズワタクチビルケイソウの存在を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、水底のミズワタクチビルケイソウの群体(左)及びミズワタクチビルケイソウの個体の顕微鏡写真(右)である。
図2は、ミズワタクチビルケイソウ及びその最も近縁なケイソウを含む3つの28S rRNA遺伝子部分配列間の比較を示す図である。下から順に、それぞれ、最も近縁なC.mexicana、米国内のC.janischii、日本国内で採取されたミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子部分配列を示す。最上段の配列は次世代配列決定(NGS)により同定された日本国内で採取されたミズワタクチビルケイソウの28S rRNAの部分配列を示す。P2-F及びP2-Rは本発明のプライマー(それぞれ配列番号2及び3)の配列を示す。
図3は、ミズワタクチビルケイソウ検出のワークフローを示す図である。
図4は、本発明のプライマーを用いたPCRによるミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子部分配列の増幅における反応液組成(左)及びプロトコル(右)の例を示す。
図5は、実施例1の実験手順を示す図である。
図6は、実施例1の結果を示す図である。本発明のプライマーセットを用いたPCRによるミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子部分配列の増幅は定量PCR(qPCR)により検出した。
図7は、本発明のプライマーセットを用いたPCRによるミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子部分配列の増幅をアガロースゲル電気泳動法により検出した結果を示す図である。
図8は、各プライマーセット(P2-FとP2-R、P1-FとP1-R)及びP1-プローブの位置関係を示す図である。
図9は、実施例1で設計したプライマーセット(P2)と実施例2で設計したプライマーセット(P1)の検出感度を比較した結果を示す図である。
図10は、P1プローブを用いる場合と用いない場合の検出感度の比較を示す図である。
図11は、P1プローブの特異性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.核酸
本発明は、配列番号1で示される塩基配列のうち、90番目のアデニンを含み、且つ連続する少なくとも14塩基からなる塩基配列又はそれに相補的な塩基配列を有する核酸を提供する。配列番号1は、ミズワタクチビルケイソウの28S rRNA遺伝子の断片を表す。
(【0011】以降は省略されています)

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