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公開番号2024047245
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-05
出願番号2022152767
出願日2022-09-26
発明の名称物質生産性を向上させるターゲット代謝物質の決定方法、および物質生産方法
出願人日本電信電話株式会社,国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
主分類C12P 7/64 20220101AFI20240329BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 藻類の物質生産と増殖とを両立させることで物質生産性を向上させることが可能な技術を提供すること。
【解決手段】 量を減少させることによって物質生産性を向上させるターゲット代謝物質の決定方法であって、第1藻類株、および前記第1藻類株と比較して、物質を高蓄積するが増殖速度が低下していない第2藻類株のそれぞれについて、中央代謝経路における複数種類の代謝物質の量を測定することと、前記第1藻類株と比較して前記第2藻類株の方が量が少ない代謝物質をターゲット代謝物質と決定することとを含む方法。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
量を減少させることによって物質生産性を向上させるターゲット代謝物質の決定方法であって、
第1藻類株、および前記第1藻類株と比較して、物質を高蓄積するが増殖速度が低下していない第2藻類株のそれぞれについて、中央代謝経路における複数種類の代謝物質の量を測定することと、
前記第1藻類株と比較して前記第2藻類株の方が量が少ない代謝物質をターゲット代謝物質と決定することと
を含む方法。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記中央代謝経路が、解糖系、TCA回路、並びに解糖系およびTCA回路の代謝物質から派生する有機物の生合成経路である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機物の前記生合成経路が、ヌクレオチド、アミノ酸、糖、脂肪酸、および脂質の生合成経路である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の方法に従って決定されたターゲット代謝物質の少なくとも一つを、前記第1藻類株と比較して低減した量で産生するように、藻類を培養することを含む物質生産方法。
【請求項5】
前記培養が、前記ターゲット代謝物質の少なくとも一つの産生が抑制される条件下で前記藻類を培養することにより行われる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記培養が、前記ターゲット代謝物質の少なくとも一つを前記第1藻類株と比較して低減した量で産生するように遺伝子改変した変異株を培養することにより行われる請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲット代謝物質が、2-ホスホグリセリン酸、ホスホエノールピルビン酸、乳酸、アセチルCoA、2-オキソグルタル酸、コハク酸、フマル酸、1-デオキシ-D-キシルロース5-リン酸、2-C-メチル-D-エリスリトール4-リン酸、2-C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロ二リン酸、セリン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、およびトレオニンである請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記物質生産方法が油脂生産方法である請求項4に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、物質生産性を向上させるターゲット代謝物質の決定方法、および物質生産方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
藻類を培養して油脂などの有用物質を生産することが行われている。例えば、藻類により生産された油脂(すなわち、藻類油脂)は、液体燃料の原料として利用することができる。藻類油脂の炭素は、光合成によって固定された空気中の二酸化炭素に由来するため、藻類油脂の生産とその利用は、環境負荷の低減に寄与する。一般に、油脂などの有用物質を高蓄積する藻類は、その増殖が低下する。このように、油脂などの有用物質の蓄積と藻類細胞の増殖はトレードオフの関係であるため、藻類を培養して油脂などの有用物質を生産した場合、物質生産性の低下を招いている。
【0003】
油脂蓄積量を向上させる技術として、藻類において油脂合成に関わる特定の遺伝子の発現を強化する手法(非特許文献1)や、培地から窒素やリンなどを除去して、藻類を栄養飢餓状態にする手法(非特許文献2および3)が知られている。
【0004】
非特許文献1の方法では、油脂合成に関わる酵素遺伝子の発現を強化すると、その酵素が基質とする物質は専ら油脂合成に使用され、その物質から中央代謝経路へ向かう代謝が減少し、増殖に悪影響を及ぼすことが考えられる。また、非特許文献2および3の方法では、生育に必須な栄養素を培地から除去するため、物質生産と増殖を両立させることはできない。このように従来法では、物質生産と増殖の両立は難しい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Camilo F. Munoz, Ruud A. Weusthuis, Sarah D’Adamo and Rene H. Wijffels “Effect of Single and Combined Expression of Lysophosphatidic Acid Acyltransferase, Glycerol-3-Phosphate Acyltransferase, and Diacylglycerol Acyltransferase on Lipid Accumulation and Composition in Neochloris oleoabundans”, Front. Plant Sci., 29 November 2019 | https://doi.org/10.3389/fpls.2019.01573
Masako Iwai, Keiko Ikeda, Mie Shimojima, Hiroyuki Ohta. “Enhancement of extraplastidic oil synthesis in Chlamydomonas reinhardtii using a type-2 diacylglycerol acyltransferase with a phosphorus starvation-inducible promoter.” Plant Biotechnol J. 2014 Aug; 12(6):808-19. doi: 10.1111/pbi.12210
Yu Zhang, Yufang Pan, Wei Ding, Hanhua Hu, Jin Liu. “Lipid production is more than doubled by manipulating a diacylglycerol acyltransferase in algae”, GCB-Bioenergy (2020) DOI: 10.1111/gcbb.12771
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、藻類において物質生産と増殖とを両立させることで物質生産性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面によると、量を減少させることによって物質生産性を向上させるターゲット代謝物質の決定方法であって、
第1藻類株、および前記第1藻類株と比較して、物質を高蓄積するが増殖速度が低下していない第2藻類株のそれぞれについて、中央代謝経路における複数種類の代謝物質の量を測定することと、
前記第1藻類株と比較して前記第2藻類株の方が量が少ない代謝物質をターゲット代謝物質と決定することと
を含む方法が提供される。
【0008】
本発明の第2側面によると、第1側面に係る方法に従って決定されたターゲット代謝物質の少なくとも一つを、前記第1藻類株と比較して低減した量で産生するように、藻類を培養することを含む物質生産方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、藻類において物質生産と増殖とを両立させることで物質生産性を向上させることが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、カルビン回路(CBB回路)、解糖系、およびTCA回路、並びにこれら代謝経路の代謝物質から派生する有機物の生合成経路を示す図である。
図2は、カルビン回路(CBB回路)、解糖系、およびTCA回路、並びにこれら代謝経路の代謝物質から派生する有機物の生合成経路を示す図である。
図3は、2-PGA(2-ホスホグリセリン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図4は、PEP(ホスホエノールピルビン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図5は、Lac(乳酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図6は、AcCoA(アセチルCoA)の量の測定結果を示すグラフである。
図7は、Cit(クエン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図8は、2-OG(2-オキソグルタル酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図9は、Suc(コハク酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図10は、Fum(フマル酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図11は、Mal(リンゴ酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図12は、DXP(1-デオキシ-D-キシルロース5-リン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図13は、MEP(2-C-メチル-D-エリスリトール4-リン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図14は、MEcPP(2-C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロ二リン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図15は、Ser(セリン)の量の測定結果を示すグラフである。
図16は、Gly(グリシン)の量の測定結果を示すグラフである。
図17は、Ala(アラニン)の量の測定結果を示すグラフである。
図18は、Val(バリン)の量の測定結果を示すグラフである。
図19は、Leu(ロイシン)の量の測定結果を示すグラフである。
図20は、Glu(グルタミン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図21は、Gln(グルタミン)の量の測定結果を示すグラフである。
図22は、GABA(γ-アミノ酪酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図23は、Pro(プロリン)の量の測定結果を示すグラフである。
図24は、Arg(アルギニン)の量の測定結果を示すグラフである。
図25は、His(ヒスチジン)の量の測定結果を示すグラフである。
図26は、Asp(アスパラギン酸)の量の測定結果を示すグラフである。
図27は、Asn(アスパラギン)の量の測定結果を示すグラフである。
図28は、Lys(リシン)の量の測定結果を示すグラフである。
図29は、Met(メチオニン)の量の測定結果を示すグラフである。
図30は、Thr(トレオニン)の量の測定結果を示すグラフである。
図31は、Ile(イソロイシン)の量の測定結果を示すグラフである。
図32は、Phe(フェニルアラニン)の量の測定結果を示すグラフである。
図33は、Tyr(チロシン)の量の測定結果を示すグラフである。
図34は、Trp(トリプトファン)の量の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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