TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024045403
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-02
出願番号2024014876,2019032046
出願日2024-02-02,2019-02-25
発明の名称有機よう素除去剤およびフィルタベント装置
出願人日立GEニュークリア・エナジー株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G21F 9/02 20060101AFI20240326BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】複雑な構造を不要とし、また湿分の影響を受けず、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に除去する機能を有する有機よう素除去剤を提供する。
【解決手段】有機よう素吸着剤は、原子炉格納容器内の有機よう素を除去する有機よう素除去剤であって、前記有機よう素除去剤がカチオンとアニオンから構成され、100~200℃において液体となり、前記カチオンはよう化メチルを溶解する物質であり、前記カチオンの構造がリン元素、硫黄元素または窒素元素に単結合で炭素または酸素が結合しており、前記アニオンは前記アニオンで炭素元素に電荷が存在するH3C-、H2RC-、NC-、RCC-で構成された物質であること、または、前記アニオンは窒素元素に電荷が存在するN3 -、H2N-、HRN-で構成された物質である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
原子炉格納容器内の有機よう素を除去する有機よう素除去剤であって、
前記有機よう素除去剤がカチオンとアニオンから構成され、100~200℃において液体となり、
前記カチオンはよう化メチルを溶解する物質であり、
前記カチオンの構造がリン元素、硫黄元素または窒素元素に単結合で炭素または酸素が結合しており、
前記アニオンは炭素元素に電荷が存在するH
3

-
、H
2
RC
-
、NC
-
、RCC
-
で構成された物質であること、または、前記アニオンは窒素元素に電荷が存在するN
3
-
、H
2

-
、HRN
-
で構成された物質であること
を特徴とする有機よう素除去剤。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
放射性物質を除去するためのフィルタベント装置であって、
内部にスクラビング水および放射性物質除去用のフィルタを有するフィルタベント容器と、
原子炉格納容器に連結したベント配管と、
一端が前記ベント配管に連結され、他端が前記フィルタベント容器内に導入された入口配管と、
前記フィルタベント容器内の前記フィルタに連結する出口配管と、
前記フィルタベント装置内に配置される有機よう素除去剤と、を備え、
前記有機よう素除去剤がカチオンとアニオンから構成され、100~200℃において液体となり、
前記カチオンはよう化メチルを溶解する物質であり、
前記カチオンの構造がリン元素、硫黄元素または窒素元素に単結合で炭素または酸素が結合しており、
前記アニオンは炭素元素に電荷が存在するH
3

-
、H
2
RC
-
、NC
-
、RCC
-
で構成された物質であること、または、前記アニオンは窒素元素に電荷が存在するN
3
-
、H
2

-
、HRN
-
で構成された物質であること
を特徴とするフィルタベント装置。
【請求項3】
放射性物質を除去するためのフィルタベント装置であって、
内部にスクラビング水および放射性物質除去用のフィルタを有するフィルタベント容器と、
原子炉格納容器に連結したベント配管と、
一端が前記ベント配管に連結され、他端が前記フィルタベント容器内に導入された入口配管と、
前記フィルタベント容器内の前記フィルタに連結する出口配管と、
前記フィルタベント装置内に配置される有機よう素除去剤と、を備え、
前記有機よう素除去剤がカチオンとアニオンから構成され、100~200℃において液体となり、
前記カチオンはよう化メチルを溶解する物質であり、
前記アニオンは電荷を帯びた元素が末端に存在する物質であり、
前記カチオンの構造がリン元素、硫黄元素または窒素元素に単結合で炭素または酸素が結合しており、
前記アニオンの構造が炭素元素、硫黄元素、窒素元素、酸素元素またはハロゲン元素にアニオン電荷が存在する物質であり、
前記アニオンは、硫黄元素に電荷が存在するRS
-
で構成された物質であること
を特徴とするフィルタベント装置。
【請求項4】
放射性物質を除去するためのフィルタベント装置であって、
内部にスクラビング水および放射性物質除去用のフィルタを有するフィルタベント容器と、
原子炉格納容器に連結したベント配管と、
一端が前記ベント配管に連結され、他端が前記フィルタベント容器内に導入された入口配管と、
前記フィルタベント容器内の前記フィルタに連結する出口配管と、
前記フィルタベント装置内に配置される有機よう素除去剤と、を備え、
前記有機よう素除去剤がカチオンとアニオンから構成され、100~200℃において液体となり、
前記カチオンはよう化メチルを溶解する物質であり、
前記アニオンは電荷を帯びた元素が末端に存在する物質であり、
前記カチオンの構造がリン元素、硫黄元素または窒素元素に単結合で炭素または酸素が結合しており、
前記アニオンの構造が炭素元素、硫黄元素、窒素元素、酸素元素またはハロゲン元素にアニオン電荷が存在する物質であり、
前記アニオンは、酸素元素に電荷が存在するHO
-
、NO
2
-
、NO
3
-
、RO
-
、RCO
2
-
、RPO
3
-
、RSO
3
-
、RPO
4
-
、R
2
PO
2
-
、R
3
CO
-
、FO
3
-
、ClO
3
-
、BrO
3
-
、IO
3
-
、FO
4
-
、ClO
4
-
、BrO
4
-
、IO
4
-
で構成された物質であること
を特徴とするフィルタベント装置。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1項に記載のフィルタベント装置であって、
前記有機よう素除去剤が収納された収納容器を更に備え、
前記収納容器は、前記フィルタベント容器の外に設置されたこと
を特徴とするフィルタベント装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉から放出される放射性有機よう素をはじめ、蒸気等の気体中に含まれる有機よう素を除去する有機よう素除去剤およびフィルタベント装置に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
原子炉施設には、原子炉から放出された放射性物質が環境中に漏洩するのを防止するために、フィルタベント装置が設置されている。原子炉の事故で炉心損傷に伴い、格納容器内の圧力が異常上昇したりすると、格納容器が破損して大規模漏洩に至るため、格納容器内の蒸気を未然にベントして格納容器の過圧破損を防止する。高温・高圧の蒸気は、原子炉から格納容器内に放出されると、フィルタベント装置に通され、大気中に放出される前に主要な放射性物質が除去される。
【0003】
原子炉の事故時に発生する放射性物質としては、希ガス、エアロゾル、無機よう素、有機よう素等がある。フィルタベント装置にて、希ガスを除くこれらの放射性物質が容器内で捕捉され、環境への放出が抑制される。一般に、フィルタベント装置は、特許文献1に記載されるように、容器内に、湿式フィルタとして働くスクラビング水を保持し、さらに乾式フィルタである金属フィルタを内蔵している。
【0004】
スクラビング水は、チオ硫酸ナトリウムと水酸化ナトリウム等を溶解した水溶液であり、ベントされた蒸気は、スクラビング水中に放出される。チオ硫酸ナトリウムとの反応により、イオン化した無機よう素(元素状よう素)や、エアロゾルはスクラビング水に溶解、捕集することで除去される。また、スクラビング水を経て気相に放出された一部のエアロゾルは、金属フィルタに付着・衝突して除去される。一方、上記の機構では除去されにくい有機よう素は、特許文献2に記載されるように、銀ゼオライトや活性炭等の乾式フィルタで除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-522161号公報
特開平7-209488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原子炉から放出される有機よう素は、よう化メチルをはじめとして水に難溶であり、ベント時に圧力抑制室のプール水やスクラビング水に導入されても、十分には除去されない。また、よう化メチル等の有機よう素は、原子炉からの排気過程で、元素状よう素の反応によって新生することもある。これらの理由で、有機よう素を効率的に除去できる有機よう素除去剤が求められている。
【0007】
有機よう素除去剤としては、銀ゼオライトや活性炭が知られている(特許文献2参照)。しかし、これらの有機よう素除去剤は、有機よう素除去剤に水分が付着した場合に除去効率が低下するため、湿分の影響が懸念される場合は湿分を除去する機構を必要とする。そのため、フィルタベント装置の構造を複雑化させる。また、これらの有機よう素除去剤は大量に必要なため、特許文献2のように特別な装置設計や複雑な装置構造を要したりする。
【0008】
そこで、本発明は、複雑な構造を不要とし、また湿分の影響を受けず、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に除去する機能を有する有機よう素除去剤およびフィルタベント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明に係る有機よう素除去剤は、原子炉格納容器内の有機よう素を除去する有機よう素除去剤であって、前記有機よう素除去剤がカチオンとアニオンから構成され、100~200℃において液体となり、前記カチオンはよう化メチルを溶解する物質であり、前記カチオンの構造がリン元素、硫黄元素または窒素元素に単結合で炭素または酸素が結合しており、前記アニオンは炭素元素に電荷が存在するH
3

-
、H
2
RC
-
、NC
-
、RCC
-
で構成された物質であること、または、前記アニオンは窒素元素に電荷が存在するN
3
-
、H
2

-
、HRN
-
で構成された物質である。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、原子炉格納容器内の有機よう素を効率的に除去する機能を有する有機よう素除去剤およびフィルタベント装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
核融合炉
1か月前
個人
X線遮蔽具及びX線遮蔽セット
24日前
王水興産株式会社
放射性廃棄物処理用固化材
4日前
株式会社三幸
放射線遮蔽材組成物
2か月前
個人
直下型地震に耐え、放射線に耐えうる地上マンション
1か月前
国立大学法人東北大学
放射線防護具
1か月前
三菱重工業株式会社
注水装置
2か月前
北海道電力株式会社
シリコン油の処理方法
26日前
株式会社大林組
汚泥処理方法及び汚泥処理システム
2か月前
個人
α崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法
2か月前
三菱重工業株式会社
試験装置及び試験方法
2か月前
華能核能技術研究院有限公司
高温ガス冷却炉吸収ボール落下駆動装置
23日前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
廃樹脂回収装置
1か月前
株式会社昭和冷凍プラント
トリチウム汚染水の処理装置及び処理方法
1か月前
三菱重工業株式会社
臨界防止方法および臨界防止装置
1か月前
エックス-エナジー, エルエルシー
原子炉中性子反射体
23日前
三菱重工業株式会社
放射性物質の収納装置および保管方法
23日前
三菱重工業株式会社
放射性物質の臨界管理方法および装置
24日前
太平電業株式会社
ブロックアイスの処理方法
1か月前
東京電力ホールディングス株式会社
汚染水の放射性炭素除去方法および除去システム
1か月前
清華大学
高温ガス炉の吸引装置
2か月前
清華大学
高温ガス炉の流れ止め装置
2か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
フィルタベント装置
2か月前
株式会社プロテリアル
シンチレータ構造体およびシンチレータの評価方法
1か月前
三菱重工業株式会社
駆動力伝達装置、隔離弁ユニットの着脱装置および方法
2日前
株式会社日立製作所
放射性核種製造システムおよび放射性核種製造方法
1か月前
株式会社サイコックス
陰極部材、陰極、高速原子ビーム源および接合基板の製造方法
4日前
浜松ホトニクス株式会社
エネルギー線照射装置
1か月前
三菱重工業株式会社
高レベル放射性物質処理システム及び高レベル放射性物質処理方法
25日前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
保全工程管理装置及び保全工程管理方法
2か月前
株式会社オーセンアライアンス
水処理システム及び水処理方法
1か月前
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
薬液注入配管および薬液注入配管の製造方法
2か月前
三菱重工業株式会社
制御棒案内シンブル固定装置、固定方法、並びに燃料集合体用上部ノズル
2か月前
個人
福島第1原子力発電所(以下、略して、福1とする)にて発生をしている、汚染水を昇華させて気化をさせて処分をする方法。
2か月前
株式会社東芝
放射性同位体製造装置および放射性同位体製造方法
2か月前
三菱重工業株式会社
グリーンハウスの運用支援装置、グリーンハウスの運用支援方法およびプログラム
1か月前
続きを見る