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公開番号2024005497
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-17
出願番号2022105698
出願日2022-06-30
発明の名称原子炉建屋内の水素対策用パージシステム
出願人日立GEニュークリア・エナジー株式会社
代理人ポレール弁理士法人
主分類G21C 9/06 20060101AFI20240110BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】
原子炉建屋内の小部屋に対して、直接的に水素処理が可能であり、電源喪失時にも使用可能な自立性を備え、かつ、小部屋内の温度上昇が抑えられること。
【解決手段】
本発明の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムは、原子炉建屋内の小部屋内に水素濃度を低減させるためのパージ用ガスを供給するガス供給部と、前記小部屋内の温度上昇を計測する温度計測部と、該温度計測部で計測された前記小部屋内の温度上昇に基づき、前記小部屋内の水素濃度を推定する水素濃度推定部と、該水素濃度推定部で推定した水素濃度に応じて、前記ガス供給部による前記パージ用ガスの供給量を調整する調整部と、を備え、前記調整部で調整された前記ガス供給部からの前記パージ用ガスを前記小部屋内に供給して、前記小部屋内の前記水素濃度を前記水素濃度に応じて希釈し、前記小部屋内の前記水素濃度を可燃限界未満にすることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
原子炉建屋内に、原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器の外周側に所定の間隔を介して設置された原子炉格納容器と、該原子炉格納容器の内部から貫通部を介して連通し、前記原子炉圧力容器より容積が小さい小部屋とが収納されており、前記原子炉格納容器から前記小部屋へ漏洩した水素濃度を抑制する原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記水素対策用パージシステムは、前記小部屋内に水素濃度を低減させるためのパージ用ガスを供給するガス供給部と、前記小部屋内の温度上昇を計測する温度計測部と、該温度計測部で計測された前記小部屋内の温度上昇に基づき、前記小部屋内の水素濃度を推定する水素濃度推定部と、該水素濃度推定部で推定した水素濃度に応じて、前記ガス供給部による前記パージ用ガスの供給量を調整する調整部と、を備え、
前記調整部で調整された前記ガス供給部からの前記パージ用ガスを前記小部屋内に供給して、前記小部屋内の前記水素濃度を前記水素濃度に応じて希釈し、前記小部屋内の前記水素濃度を可燃限界未満にすることを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
請求項1に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記水素対策用パージシステムは、前記小部屋の内部又は外部に設置された前記ガス供給部であるガスボンベと、一端が前記ガスボンベに接続され、他端から前記ガスボンベ内の前記パージ用ガスを前記小部屋内に噴出するパージガス配管と、前記温度計測部の機能及び前記水素濃度推定部の機能を備えた温度計測及び水素濃度推定器と、前記パージガス配管の途中に設置され、前記調整部の機能を備えた調整弁と、から成り、
前記調整弁で調整された前記ガスボンベからの前記パージ用ガスを前記小部屋内に噴出して前記小部屋内の前記水素濃度を前記水素濃度に応じて希釈し、前記小部屋内の前記水素濃度を可燃限界未満にすることを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記温度計測及び水素濃度推定器は、触媒を備えているものと触媒を備えていないものとが複数ある接触燃焼式センサであり、
前記接触燃焼式センサは、触媒を備えたセンサが水素と反応することで温度が上昇し、センサの温度が上昇することで抵抗値が増加し、触媒を備えていないセンサとの間に不均衡電流が流れ、この不均衡電流の大きさが分かることで前記水素濃度を推定することを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記温度計測及び水素濃度推定器で推定された前記水素濃度に応じて前記調整弁の開度を調整し、前記ガスボンベから前記パージガス配管を経由して噴出する前記パージ用ガスの量を調整することを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記水素濃度が高ければ前記パージ用ガスの噴出量を多くし、前記水素濃度が低ければ前記パージ用ガスの噴出量を少なくすることを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記小部屋は、パージされた水素を前記小部屋の外に排気する開口部又は配管を有することを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記小部屋の内部に、水素処理時の反応熱を抑制する触媒式再結合装置が設置されていることを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記水素対策用パージシステムは、前記小部屋の内部に設置された前記ガス供給部である空調機と、一端が前記空調機に接続され、他端から前記空調機からの前記パージ用ガスを前記小部屋内に噴出するパージガス配管と、前記温度計測部の機能及び前記水素濃度推定部の機能を備えた温度計測及び水素濃度推定器と、前記パージガス配管の途中に設置され、前記調整部の機能を備えた調整弁と、から成り、
前記調整弁で調整された前記空調機からの前記パージ用ガスを前記小部屋内に噴出して前記小部屋内の前記水素濃度を前記水素濃度に応じて希釈し、前記小部屋内の前記水素濃度を可燃限界未満にすることを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記温度計測及び水素濃度推定器は、触媒を備えているものと触媒を備えていないものとが複数ある接触燃焼式センサであり、
前記接触燃焼式センサは、触媒を備えたセンサが水素と反応することで温度が上昇し、センサの温度が上昇することで抵抗値が増加し、触媒を備えていないセンサとの間に不均衡電流が流れ、この不均衡電流の大きさが分かることで前記水素濃度を推定することを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の原子炉建屋内の水素対策用パージシステムであって、
前記温度計測及び水素濃度推定器で推定された前記水素濃度に応じて前記調整弁の開度を調整し、前記空調機から前記パージガス配管を経由して噴出する前記パージ用ガスの量を調整することを特徴とする原子炉建屋内の水素対策用パージシステム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は原子炉建屋内の水素対策用パージシステムに係り、特に、原子炉建屋内の原子炉圧力容器より容積が小さい小部屋に備えられているものに好適な原子炉建屋内の水素対策用パージシステムに関する。
続きを表示(約 1,100 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、原子力プラントでは、原子炉圧力容器内に配置された炉心が万が一溶融するような事態(以下、重大事故という)が発生した場合、原子炉格納容器内では、金属-水反応により水素ガスが発生すると共に、水の放射性分解により水素や酸素ガスが発生する可能性がある。原子炉格納容器内で発生した水素等の可燃性ガス濃度は、可燃性ガス濃度制御系によって、可燃限界未満に制御できるように設計されている。
【0003】
しかし、重大事故等時に原子炉格納容器内で発生した水素等の可燃性ガスが、原子炉建屋内の小部屋に漏洩する可能性があり、想定を大幅に超える水素等の可燃性ガスの漏洩が生じた場合には、小部屋内に水素が蓄積し、燃焼が生じる可能性はゼロではない。
【0004】
原子炉建屋内における水素対策として、例えば、特許文献1には、非常用ガス処理系による排気が提案されている。
【0005】
この特許文献1によれば、非常用ガス処理系を作動することで、原子炉格納容器から原子炉建屋内に漏洩した水素を、主蒸気筒から外気へ放出し、原子炉建屋内での水素の燃焼を防ぐことが可能である。
【0006】
また、原子炉建屋内の水素を処理する方法として、例えば、特許文献2に記載された技術がある。
【0007】
この特許文献2によれば、触媒式再結合装置を原子炉建屋内に設置することで、原子炉格納容器内で発生した可燃性ガスである水素や酸素は、触媒に含まれる触媒層によって再結合されて水になる。この結果、可燃性ガス濃度は可燃限界未満に抑制され、全電力喪失時においても受動的に可燃性ガスの燃焼を防ぐことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2015-232492号公報
特開2011-174773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1においては、原子炉建屋内の小部屋に漏洩した水素を処理する場合、対象とする小部屋から離れた位置からダクトを経由し、間接的に小部屋内の水素を排気する必要があるため、直接的な水素処理はできないという課題がある。
【0010】
また、上述した特許文献2においては、原子炉建屋内の小部屋に触媒式再結合装置を設置した場合、小部屋の容積が小さいことから水素の燃焼又は再結合の反応熱により、小部屋内の温度が上昇しやすく、作業員の立ち入りや機器へ悪影響を及ぼす可能性がある。
(【0011】以降は省略されています)

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