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公開番号2024052607
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2023168418
出願日2023-09-28
発明の名称ポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法
出願人学校法人早稲田大学,松蔵技建株式会社
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類G21F 9/10 20060101AFI20240404BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】除染土壌から効率よくポリマー成分を除去し、土壌中の放射性物質濃度を低減するとともに、ポリマー成分、土壌有機物の除去により土壌の脱水性を改善することのできる新規の方法を提供する。
【解決手段】ポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌のスラリーを調製する調製工程と、調製工程で得られたスラリーを加圧浮上処理する処理工程と、処理工程で分離されたポリマーを含有する浮上物を回収する回収工程とを備えた。好ましくは、調製工程において、固形分濃度5~30質量%のスラリーを調製し、処理工程における固形分濃度が1~7質量%である。また、加圧浮上処理が行われる槽内の水流の線速度が0.3cm/秒以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌のスラリーを調製する調製工程と、この調製工程で得られたスラリーを加圧浮上処理する処理工程と、この処理工程で分離されたポリマーを含有する浮上物を回収する回収工程とを備えたことを特徴とするポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記調製工程において、固形分濃度5~30質量%のスラリーを調製することを特徴とする請求項1に記載のポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法。
【請求項3】
前記処理工程における固形分濃度が1~7質量%であることを特徴とする請求項2に記載のポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法。
【請求項4】
前記処理工程において注入される加圧水の注入圧力は0.3~0.8MPa、注入速度は加圧浮上処理が行われる槽の容量に対して0.1~0.5体積%/分であることを特徴とする請求項3に記載のポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法。
【請求項5】
前記処理工程において加圧浮上処理が行われる槽内の水流の線速度が0.3cm/秒以上であることを特徴とする請求項3に記載のポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法。
【請求項6】
前記処理工程における滞留時間は1~10分であることを特徴とする請求項4に記載のポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法。
【請求項7】
前記調製工程において、酸化剤を添加すること、あるいは除染土壌のスラリーを酸化装置により処理することを特徴とする請求項2に記載のポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか記載のポリマーを含有する改質材が添加された除染土壌の放射性物質濃度低減方法による、除染土壌に含まれるポリマー成分、有機物の除去方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧浮上法による除染土壌の放射性物質濃度低減、および除染土壌に含まれる有機物質、ポリマー成分の除去による土壌改質に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質は、広い地域に拡散して環境汚染を引き起こし、平成24年には16万人以上の市民が避難を行った。放射能汚染による環境被害を修復するために、これまで福島県内では除染作業が行われてきた。
【0003】
除染等で生じた除去土等については、中間貯蔵施設に一定期間保管した後、30年以内に福島県外で最終処分を行うことが定められている。除染作業から発生した除染土壌等の量は、1,400万m

と膨大な量になると推定されている。このため、環境省は除染土壌を放射性物質濃度範囲で区分し、処理方法、貯蔵方法を検討している。そして、除染土壌のうち放射性物質濃度15,000~62,000Bq/kgの範囲の土壌について、土壌Cという名が付けられており、物量134万m

が存在する。土壌Cについては、湿式分級処理により減容化処理を行い、放射性物質濃度を低減した粒径75μm~2mmの範囲の砂質土については、公共事業などで再生利用し、また、濃縮した細粒土を中間貯蔵する方針が発表されている。このような背景により、経済性と安全性に優れた除染土の減容化処理技術が求められている。
【0004】
一方、最近では、中間貯蔵施設内で20mmの乾式分級により、除染土壌から草木、枝葉、石などの異物除去処理が行われている。乾式分級では、除染土壌が高含水であれば土壌が団結して異物に付着するために処理が困難となる。この問題を解消するため、現在、ほとんどの除染土壌に、高吸水性ポリマー(SAP)、あるいは高分子凝集剤などのポリマー成分を含む改質材が添加されている。
【0005】
すなわち、改質材を除染土壌に加えることで、土壌中の水分を改質材に含まれるポリマー成分に吸着させることにより、団結して粘性の高い土壌が流動性の良い土壌に改質される。中間施設では、改質材を添加し、土を改質した後に乾式分級処理が行われている。
【0006】
前記のとおり、土壌Cの除染土壌については、湿式分級により減容化処理を行う方針となっているが、改質材が添加された除染土壌は湿式分級が難しくなる。すなわち、ポリマー成分を含む改質材を加えた土壌は粘着質で容易に凝集するため、無添加の土壌と比べて75μmサイズのふるいを通過することが困難になる。また、改質材を添加された除染土壌は、分級処理後の土にもポリマー成分が残留し、これに放射性物質を保持する細粒土粒子が付着するために放射性物質濃度が高くなる。発明者らの試験によれば、改質材を添加した除染土壌は、改質材を添加しない土壌に比べて、湿式分級処理後の土の放射性物質濃度が高く、さらに高含水となり軟弱化する傾向が認められた。
【0007】
改質材が加えられた除染土壌は、前記のように湿式分級後も放射性物質濃が残留し、さらに高含水となるために締固め強度の不足を引き起こし、再生利用を行うための障害となる。また、土壌中に残存した有機物は、セメントなどのアルカリ固化材による強度改良の阻害要因となる。これらの問題を解決するには、除染土壌から有機物質、ポリマー成分と、これに付着する放射性物質を保持した微細土を除去すれば良いと考えられる。
【0008】
除染土壌から、ポリマーを除去するためには、土壌とポリマーとの比重差が大きいことから、湿式比重選別法を用いることが好適であると考えられる。湿式比重選別法にはジグ選別、薄流選別、WILFLEYテーブルなどの手法がある。これらの手法はおもに鉱業分野で開発・実用化され、現在では、リサイクル分野でも活用されている。しかしながら、これらの手法は適用できる粒径範囲が0.5~1mm以上となり、この1/10レベルの粒径の土の比重選別が必要となる除染土壌の処理に利用することは困難である。
【0009】
ここで、特許文献1には、粒径10~50μmのマイクロバブルを利用した放射性セシウムを含有する汚染スラリーの浮選による処理方法について記載されている。この文献に記載された方法では、マイクロバブルによる浮選時に、処理水にゼオライト、カオリンなどのセシウム捕捉剤を添加し、さらに起泡剤として低級アルコールを使用する。これにより処理コストが高価になってしまう課題がある。
【0010】
また、特許文献2には、最頻粒子径が500nm以下のナノバブル水を用いた放射性物質汚染物の汚染除去方法について記載されている。この文献では、放射性物質が表面に付着して汚染された放射性物質汚染物を前記ナノバブル水に浸漬して放射性物質を溶出し、若しくは、放射性物質汚染物の表面に前記ナノバブル水を流動させて放射性物質を洗浄する方法が示されている。しかし、原発事故後10年以上を経過した現在では、放射性セシウムは粘土の細孔に吸着されており、汚染土壌の除染への適用は困難であると思われる。
(【0011】以降は省略されています)

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