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公開番号
2025178251
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-05
出願番号
2025140358,2024225318
出願日
2025-08-26,2024-05-22
発明の名称
ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法
出願人
積水化学工業株式会社
代理人
弁理士法人WisePlus
主分類
C08F
16/38 20060101AFI20251128BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】樹脂中の異物が少なく、機械的強度が高いセラミックグリーンシートを得ることができ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを作製可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いたポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法、セラミックグリーンシート用スラリー、セラミックグリーンシート及び積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】0.2質量%のエタノール-トルエン(エタノール:トルエン=50:50)混合溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(MIX)、0.2質量%のエタノール溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(EOH)とした場合、P(MIX)が1~20000個/10mlであり、かつ、P(EOH)/P(MIX)が1.2~7.0であり、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3050~3750cm
-1
の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100-(100-X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、低波数側の波数をA、高波数側の波数をBとした場合、前記A、B及び
1
H-NMRで測定された水酸基量を用い、式(1)で求められる水酸基量換算波数幅が8.31以上である、ポリビニルアセタール樹脂。
水酸基量換算波数幅(cm
-1
/mol%)=[(B-A)/水酸基量] (1)
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
0.2質量%のエタノール-トルエン(エタノール:トルエン=50:50)混合溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(MIX)、0.2質量%のエタノール溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(EOH)とした場合、P(MIX)が1~20000個/10mlであり、かつ、P(EOH)/P(MIX)が1.2~7.0であり、
赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3050~3750cm
-1
の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100-(100-X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、低波数側の波数をA、高波数側の波数をBとした場合、前記A、B及び
1
H-NMRで測定された水酸基量を用い、式(1)で求められる水酸基量換算波数幅が8.31以上である、ポリビニルアセタール樹脂。
水酸基量換算波数幅(cm
-1
/mol%)=[(B-A)/水酸基量] (1)
続きを表示(約 660 文字)
【請求項2】
P(EOH)が4000~60000個/10mlである、請求項1に記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項3】
式(1)で求められる波数幅が8.45以上である、請求項1又は2に記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項4】
示差屈屈折率検出器を用いたGPC測定における、移動相にTHFを使用して得られるz平均分子量をMz(THF)、移動相にNMPを使用して得られるz平均分子量をMz(NMP)とした場合、Mz(THF)/Mz(NMP)が1.7~2.0である、請求項1又は2記載のポリビニルアセタール樹脂。
【請求項5】
請求項1又は2記載のポリビニルアセタール樹脂を用いたポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法であって、
エタノール含有量が70重量%以上のエタノール/トルエン混合溶剤を用いて前記ポリビニルアセタール樹脂を溶解後、ろ過工程によりパーティクル除去を行い、その後トルエンを追加する工程を有する、ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のポリビニルアセタール樹脂と、有機溶剤と、セラミック粉末とを含有する、セラミックグリーンシート用スラリー。
【請求項7】
請求項6に記載のセラミックグリーンシート用スラリーを用いてなる、セラミックグリーンシート。
【請求項8】
請求項7に記載のセラミックグリーンシートを用いて得られる、積層セラミックコンデンサ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法、セラミックグリーンシート用スラリー、セラミックグリーンシート及び積層セラミックコンデンサに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、種々の電子機器に搭載される電子部品の小型化、積層化が進んでおり、多層回路基板、積層コイル、積層セラミックコンデンサ等の積層型電子部品が広く使用されている。
なかでも、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造されている。
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ビーズミル、ボールミル等の混合装置により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。このスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、又はSUSプレート等の支持体面に流延して、これを加熱等により、溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次に、得られたセラミックグリーンシート上に、内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を作製する。その後、積層体中に含まれるバインダー樹脂成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行い、焼成して得られるセラミック焼結体の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
【0003】
例えば、特許文献1には、セラミック・バインダーとして好適なポリビニルアセタール樹脂として、所定の重合度、ビニルエステル単位の含有率、アセタール化度を有し、アセトアルデヒドによりアセタール化された部分とブチルアルデヒドによってアセタール化された部分とのモル比が所定の範囲であるポリビニルアセタール樹脂が記載されている。
また、特許文献2には、所定の重合度、ビニルエステル単位の含有率、アセタール化度を有し、特定の構成単位を有するポリビニルアセタール樹脂が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-236304号公報
国際公開第2012/023517号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、近年では、電子機器の多機能化、小型化に伴い、積層セラミックコンデンサは、大容量化小型化が求められており、セラミックグリーンシートにも更なる薄層化が求められている。
しかしながら、従来のポリビニルアセタール樹脂を薄層セラミックグリーンシートに用いた場合、樹脂中に異物が存在すると、積層セラミックコンデンサのショート不良や各種電気特性の低下が生じるという問題がある。
また、得られるセラミックグリーンシートの強度が不充分なものになるという問題もある。
【0006】
本発明は、樹脂中の異物が少なく、機械的強度が高いセラミックグリーンシートを得ることができ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを作製可能なポリビニルアセタール樹脂、及び、該ポリビニルアセタール樹脂を用いたポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法、セラミックグリーンシート用スラリー、セラミックグリーンシート及び積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示1は、0.2質量%のエタノール-トルエン(エタノール:トルエン=50:50)混合溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(MIX)、0.2質量%のエタノール溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(EOH)とした場合、P(MIX)が1~20000個/10mlであり、かつ、P(EOH)/P(MIX)が1.2~7.0であり、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3050~3750cm
-1
の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100-(100-X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、低波数側の波数をA、高波数側の波数をBとした場合、前記A、B及び
1
H-NMRで測定された水酸基量を用い、式(1)で求められる水酸基量換算波数幅が8.31以上である、ポリビニルアセタール樹脂である。
水酸基量換算波数幅(cm
-1
/mol%)=[(B-A)/水酸基量] (1)
本開示2は、P(EOH)が4000~60000個/10mlである、本開示1に記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示3は、式(1)で求められる波数幅が8.45以上である、本開示1又は2に記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示4は、示差屈屈折率検出器を用いたGPC測定における、移動相にTHFを使用して得られるz平均分子量をMz(THF)、移動相にNMPを使用して得られるz平均分子量をMz(NMP)とした場合、Mz(THF)/Mz(NMP)が1.7~2.0である、本開示1~3の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示5は、本開示1~4の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂を用いたポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法であって、エタノール含有量が70重量%以上のエタノール/トルエン混合溶剤を用いて前記ポリビニルアセタール樹脂を溶解後、ろ過工程によりパーティクル除去を行い、その後トルエンを追加する工程を有する、ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法である。
本開示6は、本開示1~4の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂と、有機溶剤と、セラミック粉末とを含有する、セラミックグリーンシート用スラリーである。
本開示7は、本開示6に記載のセラミックグリーンシート用スラリーを用いてなる、セラミックグリーンシートである。
本開示8は、本開示7に記載のセラミックグリーンシートを用いて得られる、積層セラミックコンデンサである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、エタノール-トルエン混合溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数に対するエタノール溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数が所定の範囲内であり、かつ、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて3050~3750cm
-1
の範囲内でのピークの波数幅が所定の範囲内であるポリビニルアセタール樹脂は、樹脂中の異物が少なく、機械的強度が高いセラミックグリーンシートを得ることができ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、0.2質量%のエタノール-トルエン(エタノール:トルエン=50:50)混合溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(MIX)、0.2質量%のエタノール溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数をP(EOH)とした場合、P(EOH)/P(MIX)が1.2~7.0である。
上記0.5~1.0μmサイズのパーティクル数は、所定の溶液(0.2質量%のエタノール-トルエン混合溶液、0.2質量%のエタノール溶液)を調製した後、パーティクルカウンターを用いて直径0.5~1.0μmの粒子の個数を測定する。
上記P(EOH)/P(MIX)が上記範囲内であると、スラリーの均一性が良好となり、より平滑なセラミックグリーンシートを作製することができ、クラック等のシート欠陥が生じにくくなる。すなわち、得られる積層セラミックコンデンサの信頼性が向上するという利点がある。
上記P(EOH)/P(MIX)は、3.3以上であることが好ましく、4.3以上であることがより好ましい。また、上記P(EOH)/P(MIX)は、6.5以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましい。
本発明において、P(EOH)/P(MIX)は、エタノール中でのパーティクル析出のし易さの指標となる。
上記パーティクルカウンターとしては、例えば、リオン社製「KS-42C」を用いることができる。
例えば、上記パーティクルカウンターを用いたパーティクル測定は、23℃のクリーンルームで測定することが好ましい。
【0010】
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、0.2質量%のエタノール溶液における0.5~1.0μmサイズのパーティクル数P(EOH)が4000~60000個/10mlであることが好ましく、5000個/10ml以上50000個/10ml以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることで、樹脂溶液中のパーティクルを効率よく除去することができる。上記P(EOH)は、7000個/10ml以上であることが更に好ましく、40000個/10ml以下であることが更に好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
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