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公開番号
2025171637
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-11-20
出願番号
2024077163
出願日
2024-05-10
発明の名称
血液試料中のTHBS4陽性細胞数を測定する工程を含む、癌の診断を補助するための方法
出願人
公立大学法人大阪
代理人
弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類
G01N
33/48 20060101AFI20251113BHJP(測定;試験)
要約
【課題】新たな癌診断用バイオマーカーの提供。
【解決手段】対象から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数を測定する工程を含み、前記THBS4陽性細胞数が閾値以上である場合には、前記対象が癌に罹患している可能性が高いことが示唆され、前記THBS4陽性細胞数が前記閾値未満である場合には、前記対象が癌に罹患している可能性が低いことが示唆される、癌の診断を補助するための方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
癌の診断を補助するための方法であって、
対象から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数を測定する工程を含み、
前記THBS4陽性細胞数が閾値以上である場合には、前記対象が癌に罹患している可能性が高いことが示唆され、前記THBS4陽性細胞数が前記閾値未満である場合には、前記対象が癌に罹患している可能性が低いことが示唆される、癌の診断を補助するための方法。
続きを表示(約 590 文字)
【請求項2】
前記閾値が、全細胞中0.5~2%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閾値が、CD45陽性細胞を除く全細胞中0.3~1.5%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が胃癌、大腸癌、及び食道癌からなる群より選択される少なくとも1種の癌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記THBS4陽性細胞数を測定する工程が、蛍光標識された抗THBS4抗体又は蛍光標識された抗THBS4抗体の抗原結合性断片と、前記血液試料との接触を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記THBS4陽性細胞数を測定する工程が、フローサイトメトリーによる前記血液試料の分析を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
THBS4と特異的に結合可能な物質を含む試薬を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法に用いるための試薬キット。
【請求項8】
前記THBS4と特異的に結合可能な物質が、抗THBS4抗体又はその抗原結合性断片である、請求項7に記載の試薬キット。
【請求項9】
前記抗THBS4抗体又はその抗原結合性断片が蛍光標識されている、請求項7又は8に記載の試薬キット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、血液試料中のTHBS4陽性細胞数を測定する工程を含む、癌の診断を補助するための方法、及び当該方法に用いるための試薬キットなどに関する。
続きを表示(約 5,600 文字)
【背景技術】
【0002】
癌の治療成績を向上させるためには、早期に癌を発見し、治療を開始することが重要である。近年、癌の早期診断技術として、血液や尿などの体液を検体として利用するリキッドバイオプシーが注目されている。画像診断や組織を検体とする癌診断と比較して、リキッドバイオプシーは一般的に対象への負担が少なく、また多数の検体を短時間で解析可能であるといった利点がある。このため、これまでに様々なリキッドバイオプシーに適したバイオマーカーが検討されており、既に臨床現場で実用化されている腫瘍マーカーもある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Kuroda K, Yashiro M, Sera T, Yamamoto Y, Kushitani Y, Sugimoto A, et al. (2019) The clinicopathological significance of Thrombospondin-4 expression in the tumor microenvironment of gastric cancer. PLoS ONE 14(11): e0224727. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0224727
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の癌診断用バイオマーカーは精度が十分とは言えなかった。特に早期の癌はリキッドバイオプシーによる検出が困難であった。また、単一のバイオマーカーよりも複数のバイオマーカーを組み合わせた方が、癌診断の精度がより高まることが期待される。そこで本発明者らは、新たな癌診断用バイオマーカーの提供を主な目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ところで、癌組織(癌微小環境)には癌細胞だけでなく間質細胞も存在すること、間質細胞のなかでも特に癌関連線維芽細胞(CAF: cancer-associated fibroblasts)は、癌の早期段階で癌組織に出現する癌特異的な細胞であることが知られている。本発明者らは、癌早期に出現するCAFを血液試料から検出できれば、癌の早期診断に役立つのではないかと考えた。
【0006】
そこでまず、本発明者らは癌患者の組織からCAF細胞株及び正常部線維芽細胞株(NF)を樹立し、CAF特異的に発現上昇している遺伝子を網羅的に解析した。その結果、THBS4遺伝子がCAF特異的に顕著に発現上昇していることを見出した。また、タンパク質レベルでもTHBS4がCAF特異的に発現上昇していることを確認した(試験1)。当該結果から、本発明者らはTHBS4が新規なCAF検出マーカーとして有用である可能性を見出した。
【0007】
次に、本発明者らはTHBS4をマーカーとして血液試料中のCAFを検出することにより、当該血液が由来する対象が癌に罹患している可能性を評価することを試みた。その結果、癌患者由来の血液試料の方が、健常者由来の血液試料と比較して有意にTHBS4陽性細胞数が多いことを見出した。そしてさらに改良を重ね、本開示を完成させるに至った。
【0008】
本開示は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
癌の診断を補助するための方法であって、
対象から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数を測定する工程を含み、
前記THBS4陽性細胞数が閾値以上である場合には、前記対象が癌に罹患している可能性が高いことが示唆され、前記THBS4陽性細胞数が前記閾値未満である場合には、前記対象が癌に罹患している可能性が低いことが示唆される、癌の診断を補助するための方法。
項2.
前記閾値が、全細胞中0.5~2%である、項1に記載の方法。
項3.
前記閾値が、CD45陽性細胞を除く全細胞中0.3~1.5%である、項1に記載の方法。
項4.
前記癌が胃癌、大腸癌、及び食道癌からなる群より選択される少なくとも1種の癌である、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項5.
前記THBS4陽性細胞数を測定する工程が、蛍光標識された抗THBS4抗体又は蛍光標識された抗THBS4抗体の抗原結合性断片と、前記血液試料との接触を含む、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記THBS4陽性細胞数を測定する工程が、フローサイトメトリーによる前記血液試料の分析を含む、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
項7.
THBS4と特異的に結合可能な物質を含む試薬を含む、項1~6のいずれか一項に記載の方法に用いるための試薬キット。
項8.
前記THBS4と特異的に結合可能な物質が、抗THBS4抗体又はその抗原結合性断片である、項7に記載の試薬キット。
項9.
前記抗THBS4抗体又はその抗原結合性断片が蛍光標識されている、項7又は8に記載の試薬キット。
項10.
前記対象が癌に罹患している場合において、
さらに、前記THBS4陽性細胞数が全細胞中3.6~7.2%以上である場合には、前記対象が低分化癌に罹患している可能性が高いことが示唆され、前記THBS4陽性細胞数が全細胞中3.6~7.2%未満である場合には、前記対象が分化癌に罹患している可能性が高いことが示唆される、項1~6のいずれか一項に記載の方法又は項7~9のいずれか一項に記載の試薬キット。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、新たな癌診断用バイオマーカーが提供される。当該バイオマーカーは、既に臨床現場で実用化されている腫瘍マーカーよりも高い精度で血液試料から対象の癌を検出できる可能性がある。特に、従来の癌診断用バイオマーカーでは検出が困難であった早期の癌であっても、本開示の技術によれば高い精度で検出できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
試験1:グループ1のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ1のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ1のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ1のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ2のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ2のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ2のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ2のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ2のRNA-seqの結果を示す。
試験1:グループ2のRNA-seqの結果を示す。
試験1:ウェスタンブロッティングの結果を示す。なお、β-アクチンは内在性コントロールである。
試験3-1:健常者群の代表的な5例について、フローサイトメトリーの結果を示す。各グラフ中の垂直方向の線は、1×10
2
個/全細胞10
4
個を示す。
試験3-2-1:胃癌患者群について、各ステージの代表的なフローサイトメトリーの結果を示す。各グラフ中の垂直方向の線は、1×10
2
個/全細胞10
4
個を示す。
試験3-2-2:健常者群(試験3-1)から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、胃癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-2-2:健常者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、胃癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の各ステージごとの平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-2-2で作成したROC曲線を示す。
試験3-2-2:健常者群及び各ステージの胃癌患者群について、THBS4陽性細胞数がカットオフ値(1×10
2
個)以上となる対象の割合(陽性率)を示す。
試験3-2-3:健常者群(試験3-1)から採取された血液試料中のCEA値の平均と、各ステージの胃癌患者群から採取された血液試料中のCEA値の平均との比較を示す。グラフ中の水平線は、CEA値5.0を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-2-3:健常者群及び各ステージの胃癌患者群について、CEA値がカットオフ値(5.0)以上となる対象の割合(陽性率)を示す。
試験3-2-3:健常者群(試験3-1)から採取された血液試料中のCA19-9値の平均と、各ステージの胃癌患者群から採取された血液試料中のCA19-9値の平均との比較を示す。グラフ中の水平線は、CA19-9値37.0を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-2-3:健常者群及び各ステージの胃癌患者群について、CA19-9値がカットオフ値(37.0)以上となる対象の割合(陽性率)を示す。
試験3-3-1:大腸癌患者群について、各ステージの代表的なフローサイトメトリーの結果を示す。各グラフ中の垂直方向の線は、THBS4発現のカットオフ値としたFITC値1×10
2
を示す。
試験3-3-2:健常者群(試験3-1)から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、大腸癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-3-2:健常者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、大腸癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の各ステージごとの平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-3-2で作成したROC曲線を示す。
試験3-3-2:健常者群及び各ステージの大腸癌患者群について、THBS4陽性細胞数がカットオフ値(1×10
2
個)以上となる対象の割合(陽性率)を示す。
試験3-4-1:食道癌患者群について、各ステージの代表的なフローサイトメトリーの結果を示す。各グラフ中の垂直方向の線は、THBS4発現のカットオフ値としたFITC値11×10
2
を示す。
試験3-4-2:健常者群(試験3-1)から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、食道癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-4-2:健常者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、食道癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の各ステージごとの平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験3-4-2で作成したROC曲線を示す。
試験3-4-2:健常者群及び各ステージの食道癌患者群について、THBS4陽性細胞数がカットオフ値(1×10
2
個)以上となる対象の割合(陽性率)を示す。
試験4:健常者群の代表的な1例のフローサイトメトリーの結果を示す。矢印左側の各グラフ中の垂直方向の線は、THBS4発現のカットオフ値としたFITC値1×10
2
を示す。矢印の右側のグラフはCD45によるゲーティング後の結果を示し、当該グラフ中の左上の枠で囲んだ領域に存在するプロットがTHBS4陽性CD45陰性細胞を示す。
試験4:胃癌患者群の代表的な1例のフローサイトメトリーの結果を示す。矢印左側の各グラフ中の垂直方向の線は、THBS4発現のカットオフ値としたFITC値11×10
2
を示す。矢印の右側のグラフはCD45によるゲーティング後の結果を示し、当該グラフ中の左上の枠で囲んだ領域に存在するプロットがTHBS4陽性CD45陰性細胞を示す。
試験4:健常者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、胃癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験4:健常者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、胃癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の各ステージごとの平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
試験4で作成したROC曲線を示す。
試験5:健常者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の平均と、胃癌患者群から採取された血液試料中のTHBS4陽性細胞数の分化度ごとの平均との比較を示す。棒グラフの上端は各群の平均値を示し、エラーバーは標準誤差を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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