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公開番号2025131001
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-09
出願番号2024028456
出願日2024-02-28
発明の名称化合物及びそれを含んでなる発光材料
出願人学校法人神奈川大学,公立大学法人大阪
代理人個人
主分類C07F 3/06 20060101AFI20250902BHJP(有機化学)
要約【課題】炭素架橋型p-フェニレンビニレン骨格が二次元的に規則配置された化合物。
【解決手段】一般式(1)で表される繰り返し単位を備えた化合物。
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(Mは遷移金属元素;A及びBはフェニレンビニレン骨格)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記一般式(1)で表す繰り返し単位を備えた化合物。
TIFF
2025131001000013.tif
76
162
(一般式(1)中、Mは、周期表第4周期から第6周期の遷移金属元素のいずれかであり、A構造及びB構造は、それぞれ独立に、下記一般式(X)で表される。また、上記一般式(1)で表す繰り返し単位を備えた化合物は、その電荷数に合わせて必要なカウンターアニオンを含む。)
TIFF
2025131001000014.tif
37
147
(上記一般式(X)中、各Rは、それぞれ独立に、鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の炭素鎖、置換基を有してもよい炭素数4~20のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数5~30のアリール基、トリアルキルシリル基、アリールアルキル基、アルキルアリールアルキル基、又は互いに隣り合った2つのRが互いに連結して環状構造を形成するものであり、各R

は、それぞれ独立に、カルバゾリル基、-NR


、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいフェニル基であり、各R

は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~30のアルキル基であり、pは、1~10の整数であり、各mは、それぞれ独立に0~2の整数であり、各nは、それぞれ独立に0~2の整数である。)
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
一般式(X)が、下記一般式(X1)で表される請求項1記載の化合物。
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2025131001000015.tif
31
152
(上記一般式(X1)中、各Rは、それぞれ独立に、鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の炭素鎖、置換基を有してもよい炭素数4~20のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数5~30のアリール基、トリアルキルシリル基、アリールアルキル基、アルキルアリールアルキル基、又は互いに隣り合った2つのRが互いに連結して環状構造を形成するものである。)
【請求項3】
一般式(X)が、下記一般式(X2)で表される請求項1記載の化合物。
TIFF
2025131001000016.tif
46
156
(上記一般式(X2)中、各Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基である。)
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の化合物を含んでなる発光材料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物及びそれを含んでなる発光材料に関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、有機発光材料は、スマートデバイスにおける表示部を構成するOLED(Organic Light Emitting Diode)の発光素子や、各種のイメージング用途に用いられつつある。このような発光材料は、蛍光色素と呼ばれる分子で構成され、その分子が電場や紫外線等の作用により励起状態となり、次いで基底状態に戻る際に特定波長の光を発する。このため、光の三原色等のように様々な波長の発光に対応すべく、有機発光材料における分子設計ではπ共役系の長さや、電子供与基(ドナー)や電子受容基(アクセプタ)の選択や配置等といった分子設計が重要になる。また、こうした分子は、電場が印加された場合には高度な酸化又は還元環境に曝されたり、用途によっては高温状態に曝されたりするため、化学的な安定性も求められる。さらには、こうした分子には、発光材料としての有用性を高めるために、高い量子収率も求められる。
【0003】
こうした課題を解決するため、非特許文献1には、炭素架橋型p-フェニレンビニレンの重合体が本発明者らにより提案されている。この重合体では、繰り返し単位である炭素架橋型p-フェニレンビニレンユニットが長い共役系を備えたドナーとして機能し、必要に応じてこれにアクセプタとなる基を結合させることで様々な波長の可視光を発光する。また、この重合体では、p-フェニレンビニレンユニットにおける炭素架橋が分子内回転を抑制して量子収率の向上に寄与し、π共役系の上方と下方にせり出した嵩高い置換基がπ共役系に対する分子種の攻撃を抑制して色素分子の化学的安定性ならびに熱安定性を高めるとされる。
【0004】
また、特許文献1には、単独の又は複数連結した炭素架橋型フェニレンビニレンをドナー部位(D)とし、1つの化合物として独立で存在したときにLUMOが0~-5eVとなる置換基をアクセプタ部位(A)としたとき、D-A-D、又はA-D-Aのように置換基群を結合させた化合物によれば、非特許文献1に記載される重合体のように大きなπ共役系を備えなくとも、可視光領域に様々な波長の蛍光を良好な量子収率で発し得ることが本発明者らにより示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-016207号公報
【非特許文献】
【0006】
Xiaozhang Zhu, Hayato Tsuji, Juan T. Lopez Navarrete, Juan Casado, Eiichi Nakamura J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 46, 19254-19259
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1や非特許文献1に記載された炭素架橋型p-フェニレンビニレン骨格を備える化合物は、炭素架橋型p-フェニレンビニレン骨格に由来する剛直で直線的なπ共役系を持ち、そのπ共役系が強い光吸収と高い量子収率での蛍光発光をもたらす。そして、こうしたπ共役系を備えた分子を規則的に整列させることにより、π共役ユニット同士でエネルギーのやり取りを生じ、より高い量子収率での蛍光発光がもたらされる可能性がある。
【0008】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、炭素架橋型p-フェニレンビニレン骨格が二次元的に規則配置された新規な化合物を提供することを目的とする。なお、本発明の化合物は、良好な蛍光発光を示すものではあるが、蛍光発光のみを目的とするものではなく、ドナーとしての性質を備えた炭素架橋型p-フェニレンビニレン骨格を二次元的に整列させることで、エネルギー移動に関する様々な機能を備える可能性のある新規化合物を提供すること主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、炭素架橋型p-フェニレンビニレン骨格を備えた化合物の分子両端に二座配位子であるカルボキシ基を結合させ、これを配位子として周期表第4周期から第6周期までの遷移金属イオンのいずれかに配位させると、下記一般式(1)のような繰り返し単位を備えた、炭素架橋型p-フェニレンビニレン骨格が二次元的に規則配置された化合物が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下のようなものを提供する。
【0010】
(1)本発明は、下記一般式(1)で表す繰り返し単位を備えた化合物である。
TIFF
2025131001000001.tif
76
162
(一般式(1)中、Mは、周期表第4周期から第6周期の遷移金属元素のいずれかであり、A構造及びB構造は、それぞれ独立に、下記一般式(X)で表される。また、上記一般式(1)で表す繰り返し単位を備えた化合物は、その電荷数に合わせて必要なカウンターアニオンを含む。)
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2025131001000002.tif
37
147
(上記一般式(X)中、各Rは、それぞれ独立に、鎖中にヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の炭素鎖、置換基を有してもよい炭素数4~20のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数5~30のアリール基、トリアルキルシリル基、アリールアルキル基、アルキルアリールアルキル基、又は互いに隣り合った2つのRが互いに連結して環状構造を形成するものであり、各R

は、それぞれ独立に、カルバゾリル基、-NR


、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいフェニル基であり、各R

は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~30のアルキル基であり、pは、1~10の整数であり、各mは、それぞれ独立に0~2の整数であり、各nは、それぞれ独立に0~2の整数である。)
(【0011】以降は省略されています)

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