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公開番号2025139685
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-29
出願番号2024038647
出願日2024-03-13
発明の名称ポリマー材料、成型体又は重合性半製品の製造方法
出願人学校法人神奈川大学
代理人個人
主分類C08F 2/46 20060101AFI20250919BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】ビニルモノマーの光重合反応を利用するものであって、光重合開始剤を用いず、かつ波長172~254nmの短波長UV光では製造できない厚さとなる成形体の製造方法、及びそのような製造方法を応用したポリマー材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ビニルモノマーの光重合反応を利用するものであり、ビニルモノマーを含む反応材料を下記条件(a)から(c)の全てを満足する条件で光重合させることを特徴とするポリマー材料又は成形体や重合性半製品の製造方法である。
(a)上記反応材料中に光重合開始剤及び光増感剤のいずれも実質的に含まないこと
(b)光重合反応が容器内で行われること
(c)照射される光の波長が300nm以上であること
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
ビニルモノマーの光重合反応を利用するものであり、ビニルモノマーを含む反応材料を下記条件(a)から(c)の全てを満足する条件で光重合させることを特徴とするポリマー材料又は成形体の製造方法。
(a)前記反応材料中に光重合開始剤及び光増感剤のいずれも実質的に含まないこと
(b)光重合反応が容器内で行われること
(c)照射される光の波長が300nm以上であること
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
さらに、下記条件(d)を満足する請求項1記載の製造方法。
(d)前記容器に収容された状態にて、前記反応材料へ照射される光路長が1mm以上であること
【請求項3】
前記ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、スチレン類、ビニルエステル類、ビニルアミド類、ビニルエーテル類、エテン類からなる群より選択される少なくとも1つを前記ビニルモノマー全体の質量に対して50質量%を超えて含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記容器が、槽型又は管型である請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
光重合反応のための光源が発光ダイオードである請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
ビニルモノマーの光重合反応を利用するものであり、ビニルモノマーを含む反応材料を下記条件(a)から(c)の全てを満足する条件で光重合させることを特徴とする重合性半製品の製造方法。
(a)前記反応材料中に光重合開始剤及び光増感剤のいずれも実質的に含まないこと
(b)光重合反応が容器内で行われること
(c)照射される光の波長が300nm以上であること
【請求項7】
さらに、下記条件(d)を満足する請求項6記載の製造方法。
(d)前記容器に収容された状態にて、前記反応材料へ照射される光路長が1mm以上であること

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料、成型体又は重合性半製品の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、自動車のヘッドランプ、テールランプ、室内照明等、意匠性の変化や電気自動車の増加によりライトガイドを用いた照明が広く用いられるようになっている。これらは、光路長による光の減衰を抑えるため極めて高い光透過率が要求され、(メタ)アクリルエステル等を重合したポリマーが主に使用されている。また、類似の光学部品として、マイクロレンズやプリズムシート等の製造方法として光硬化樹脂を用いた成型方法が広く実用化されており、様々な製品が製造されている。しかしながら、これらの製品に使われる光重合開始剤や光増感剤の分解物や未反応物がポリマー中に残存し透過率を低下させるため、光硬化樹脂ではライトガイドで要求される光透過率を実現できないのが実情である。また、光硬化樹脂では上記分解物による臭気の発生、着色、耐久性の低下等の問題を生じる場合もあり、さらには人体への影響が懸念されること等の課題があった。
【0003】
光重合開始剤による欠点を回避するため光重合開始剤や光増感剤を用いない光重合はいくつかの報告がある。例えば、特許文献1、非特許文献1及び2には172nm~254nmの短波長紫外光を用いた重合反応が記載されている。しかしながら、ライトガイドのような厚みのある成形体の場合、反応混合物に照射された光は、ランベルト・ベールの法則に従って照射面から内部に進むにつれて減衰するため、反応混合物の吸光度が大きいこれらの波長において、光化学反応は、光照射面近傍でのみ進行し、内部では進行しない。よって、これら短波長紫外光を用いた重合反応は、薄膜の硬化に限られ厚みを有する成形体の製造は困難である。また、JIS Z8812に規定された紫外線暴露許容量と波長による有害作用によると、300nm以下の短波長紫外光の使用は、人体に有害であり作業環境としても好ましくない。
【0004】
光学部品の製造方法として、アクリルエステルなどのビニル化合物を反応器中で重合しあらかじめポリマーとした後、射出成型等により成型する方法も利用されている。この場合、熱重合開始剤を用いた重合反応によってポリマーを製造することが一般的である。熱重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物がよく用いられるが、これらの開始剤も光透過性を低下させる要因となる。よって、より高い透過率を得るために熱重合開始剤なしで重合させることは有効であると考えられる。このような例の一つとして、特許文献2には重合開始剤を用いずに235℃~310℃という高温での塊状重合による透過率の高いポリマー製造方法が記載されているが、この方法では製造できる製品の溶融粘度に制限があり、組成と分子量の範囲が限定されるため、光学用反応材料製造に適するポリマーを得ることはできない。また、この方法は、非常に高温高圧な反応条件を必要とするため特殊な装置が必須であり、設備投資が高額となる課題がある。
【0005】
ところで、アクリル系モノマーの重合反応を利用した成型方法として、RTM成形、RIM成形、モノマーキャスト法等が知られている。例えばメチルメタクリレートを用いたモノマーキャスト法で大型の成形体が作られているが、メチルメタクリレートモノマーは低粘度であり、直接金型に導入するとエアベントから漏れだしたり、エアベント中で硬化してこれを塞いだりすることがあり、一旦、金型とは別の反応容器で予備重合を行うか、別途重合したポリマーと混合して粘稠性のシロップとした後に金型へ導入される(例えば特許文献3及び4を参照)。そして、このシロップの製造において光重合を用いる方法が報告されている(特許文献5を参照)。ところで、光重合開始剤を用いたこのシロップ製造では、特許文献5の記載によれば、反応速度が速くて生産性が大きいが、反応が爆発的に起こり、所望のレベルの転換率を有するアクリルシロップを均一に製造し難いため、それを解決するために分子量調節剤等が必要とされる。すなわち、この方法では、反応制御が難しいだけでなく、各種添加剤による光透過性の低下もあることから、実用性として不十分だった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第6292242号公報
米国特許第4414370号
特許第7146154号
特開2021-172775号公報
特許第6523442号公報
【非特許文献】
【0007】
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B, 236(1-4), pp.195-200.
Polymer International, 68(1), pp.79-82.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ビニルモノマーの光重合反応を利用するものであって、光重合開始剤を用いず、かつ172~254nmの短波長紫外光では製造できない厚さとなる成形体の製造方法、及びそのような製造方法を応用したポリマー材料や重合性半製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、光化学反応を利用したポリマー材料又は成形体の製造において、光重合開始剤及び光増感剤のいずれも実質的に含有せず、人体への有害性が比較的低い波長300nm以上の紫外又は短波長可視光を用いて、反応混合物の深部において光化学反応が効率よく進行する方法を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0010】
(1)本発明は、ビニルモノマーの光重合反応を利用するものであり、ビニルモノマーを含む反応材料を下記条件(a)から(c)の全てを満足する条件で光重合させることを特徴とするポリマー材料又は成形体の製造方法である。
(a)上記反応材料中に光重合開始剤及び光増感剤のいずれも実質的に含まないこと
(b)光重合反応が容器内で行われること
(c)照射される光の波長が300nm以上であること
(【0011】以降は省略されています)

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