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公開番号
2025121040
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-19
出願番号
2024016204
出願日
2024-02-06
発明の名称
蟻酸生成装置
出願人
飯田グループホールディングス株式会社
,
公立大学法人大阪
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07C
51/00 20060101AFI20250812BHJP(有機化学)
要約
【課題】反応溶液に効率的に光照射を行うことができ、蟻酸生成効率を向上させることができる蟻酸生成装置を提供する。
【解決手段】有機物質を含む溶液と光触媒機能を有する金属酸化物粉末を投入する原料投入部10と、有機物質と金属酸化物粉末の混合溶液に対して太陽光又は光を照射して反応させる人工光合成反応部20と、反応後の混合溶液から蟻酸を回収する蟻酸回収部30を備え、人工光合成反応部20は、少なくとも光が照射される面が光透過性の部材で形成された板状の容器であり、容器は接地面に対して傾斜しており、容器の内部に混合溶液を流すことによって人工光合成反応を行うことを特徴とする蟻酸生成装置50である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
有機物質を含む溶液と光触媒機能を有する金属酸化物粉末を投入する原料投入部と、
前記有機物質と前記金属酸化物粉末の混合溶液に対して太陽光又は光を照射して反応させる人工光合成反応部と、
反応後の前記混合溶液から蟻酸を回収する蟻酸回収部
を備え、
前記人工光合成反応部は、少なくとも光が照射される面が光透過性の部材で形成された板状の容器であり、該容器は接地面に対して傾斜しており、該容器の内部に前記混合溶液を流すことによって人工光合成反応を行うことを特徴とする蟻酸生成装置。
続きを表示(約 990 文字)
【請求項2】
前記人工光合成反応部では、前記傾斜の上流側に位置する前記容器内部の上面に前記混合溶液を吹き付けるノズルを備え、吹き付けられた前記混合溶液は、表面張力によって前記容器の上面に付着しながら前記傾斜により下流へと流れるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蟻酸生成装置。
【請求項3】
前記人工光合成反応部では、前記傾斜の上流側に位置する前記容器内部の底面に前記混合溶液を流すノズルを備え、前記混合溶液は、前記容器の底面を傾斜に沿って下流へと流れるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蟻酸生成装置。
【請求項4】
前記人工光合成反応部では、前記傾斜の下流側に位置する前記容器内部の底面に前記混合溶液を供給するノズルを備え、該ノズルの供給圧力によって前記混合溶液を前記傾斜の下流側から上流側へと送るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蟻酸生成装置。
【請求項5】
前記蟻酸回収部では、反応後の前記混合溶液の気相を回収し、冷却する設備を備えることで、還流して液体としての蟻酸を回収することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蟻酸生成装置。
【請求項6】
前記混合溶液に空気を供給する空気供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蟻酸生成装置。
【請求項7】
前記混合溶液の電気伝導度と温度を測定し、予め蟻酸濃度と電気伝導度の関係をグラフ化することによって、リアルタイムで蟻酸生成量を連続測定することができる制御部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蟻酸生成装置。
【請求項8】
前記光透過性の部材は、エンボス加工が施されたガラスであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蟻酸生成装置。
【請求項9】
前記傾斜が水平面となす角度は10°以上15°以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蟻酸生成装置。
【請求項10】
前記有機物質はグルコースを含み、前記光触媒機能は酸化チタン微粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蟻酸生成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を利用して有機物質から蟻酸を生成する蟻酸生成装置に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)
【背景技術】
【0002】
水素を燃料として利用する「水素社会」のアイデアは以前から提案されているが、水素を貯蔵・運搬することの難しさやエネルギー変換効率の点から現在でも普及するに至っているとは言い難い。例えば、エネルギー密度の低い水素を自動車の燃料として持ち運ぶには、数百気圧もの高圧をかけなければならない。液体水素にする方法もあるが、超低温にする必要があるため、一般的ではない。そこで、蟻酸(HCOOH)を水素源の中間物質として生成し、貯蔵する技術が研究されている。蟻酸は常温で液体であり、エネルギー密度も高いため、貯蔵物質として優れている。
【0003】
自然エネルギーとして太陽光を活用し、比較的安定した有機物質から活性度の高い有機物を生成することは、薬品製造から輸送燃料や発電に至る多くの分野において、人類が今のうちに獲得しておくべき重要な技術であり、このような人工光合成手法は、その確立とより効率的な収率が希求されている。
【0004】
このような状況から、化学エネルギーとして水素に比較的容易に転換可能であり、かつ人類にとって有用な化学物質である蟻酸生成を太陽光エネルギーを使って行える手段を、低コストで提供することが必要とされている。
【0005】
出願人らは、過去に特許文献1に記載の蟻酸生成方法及び蟻酸生成システムを提案している。特許文献1に記載の発明は、有機物質を含む溶液に、光触媒機能を有する金属酸化物粉末を混合して混合溶液とし、該混合溶液に光照射することで蟻酸を生成させることを特徴とする蟻酸生成方法である。
【0006】
出願人らは、特許文献1に記載の発明を提案した後も、さらなる蟻酸生成量の向上を目指して鋭意検討を行ってきた。例えば、特許文献1に記載の発明では、光を透過するチューブ状ないし任意形状の筒状の部材であって、建物の屋根又は屋上に敷設され、混合溶液を部材内で循環させることにより人工光合成反応を行うことを提案していた。しかしながら、太陽光は溶液の液面付近でほぼすべて吸収されてしまっており、溶液の内部にまで十分に太陽光が届いていないため、蟻酸生成反応が十分に起こっていないことが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第7076113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、反応溶液に効率的に光照射を行うことができ、蟻酸生成効率を向上させることができる蟻酸生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、有機物質を含む溶液と光触媒機能を有する金属酸化物粉末を投入する原料投入部と、有機物質と金属酸化物粉末の混合溶液に対して太陽光又は光を照射して反応させる人工光合成反応部と、反応後の混合溶液から蟻酸を回収する蟻酸回収部を備え、人工光合成反応部は、少なくとも光が照射される面が光透過性の部材で形成された板状の容器であり、容器は接地面に対して傾斜しており、容器の内部に混合溶液を流すことによって人工光合成反応を行うことを特徴とする蟻酸生成装置である。
【0010】
本発明の一態様によれば、傾斜した板状の容器内に反応溶液を供給することにより、適度な速さで流しながら反応溶液に効率的に光照射を行うことができ、蟻酸生成効率を向上させた蟻酸生成装置とすることができる。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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