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公開番号2025166832
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-06
出願番号2025112713,2022531466
出願日2025-07-03,2020-11-27
発明の名称生理学的鉄過剰の処置
出願人カイマブ・リミテッド
代理人個人,個人
主分類C07K 16/40 20060101AFI20251029BHJP(有機化学)
要約【課題】ベータ・サラセミアおよび骨髄異形成症候群(MDS)などの状態を有する患者における鉄過剰を低減させる薬剤を提供する。
【解決手段】酵素マトリプターゼ-2(MTP-2)に対する抗体が提示される。MTP-2の阻害は食事性鉄の取り込みを低減させ、体内の細胞貯蔵からの鉄の放出を低減させる。MTP-2の阻害剤(セリンプロテアーゼドメインに対する抗体など)は、ベータ・サラセミアおよび他の様式で鉄の毒性蓄積を生じさせる疾患などの疾患の特徴である鉄過剰を処置するために使用することができる。MTP-2阻害剤と、アクチビン受容体リガンドトラップとの、またはエリスロポエチンとの組合せは、さらなる治療効果をもたらす。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ヒトMTP-2に結合し、その酵素活性を阻害する、単離されたバインダーポリペプチド。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
MTP-2のセリンプロテアーゼ触媒性ドメインに結合する、請求項1に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項3】
MTP-2への結合部位が免疫グロブリンドメインのループ領域によって形成されている免疫グロブリンドメインを含む、請求項1または請求項2に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項4】
抗体、場合によりヒト抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項5】
ヒトMTP-2およびマウスMTP-2に結合し、これらの酵素活性を阻害する、請求項1から4のいずれか1項に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項6】
残基253がKまたはEであり、残基736がVまたはAである配列多型を含むヒトMTP-2に結合する、請求項1~5のいずれか1項に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項7】
MTP-1に結合せず、場合により、II型膜貫通セリンプロテアーゼファミリーの他のメンバーに結合しない、請求項1~6のいずれか1項に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項8】
MTP-2細胞外ドメインおよび50μMの最終濃度の蛍光MTP-2基質を用いる酵素アッセイにおいて、MTP-2セリンプロテアーゼ活性の用量依存性の阻害を示す、請求項1~7のいずれか1項に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項9】
ヒトMTP-2細胞外ドメインおよび50μMの最終濃度の蛍光MTP-基質に対する酵素アッセイにおいて100nM未満のIC50を有する、ならびに/または、マウスMTP-2細胞外ドメインおよび50μMの最終濃度の蛍光MTP-基質に対する酵素アッセイにおいて100nM未満のIC50を有する、請求項8に記載のバインダーポリペプチド。
【請求項10】
マウスMTP-2細胞外ドメインを用いる酵素アッセイにおいて、ヒトMTP-2細胞外ドメインを用いる前記アッセイにおけるそのIC50と100倍未満異なるIC50を有する、請求項9に記載のバインダーポリペプチド。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ベータ・サラセミアおよび骨髄異形成症候群(MDS)などの状態を有する患者における鉄過剰を低減させる薬剤に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
鉄は、赤血球生成、すなわち、肺から身体の他の組織に酸素を輸送する赤血球の産生に必須である。しかし、過剰な鉄は、反応性酸素種を生成するその能力が理由で毒性であり、したがって、十二指腸によるその吸収はしっかりと調節されなくてはならない。肝臓ペプチドホルモンであるヘプシジンは、鉄吸収を身体の鉄要求に合わせることにおいて、中心的な役割を有する。ヘプシジンは、唯一の公知の鉄排出物質であるフェロポーチンの分解を促進することによって、細胞の鉄排出を負に調節する。フェロポーチンは、マクロファージなどの鉄の主要な貯蔵区画である細胞、および十二指腸細胞の側底側で発現する。ヘプシジンによるフェロポーチンの負の調節は、したがって、十二指腸の鉄吸収、およびマクロファージなどの鉄貯蔵細胞からの鉄の放出を制限する。BMPリガンド(主にBMP6)の分泌を介する肝細胞におけるBMP-SMADシグナル伝達経路の活性化がヘプシジン発現を刺激することは、良く明らかにされている。遺伝子Tmprss6によってコードされるII型膜貫通トリプシン様セリンプロテアーゼであるマトリプターゼ-2(MTP-2)は、肝細胞によって発現され、HJVなどのBMP共受容体を潜在的に切断することによってBMP-SMADシグナル伝達を阻害し(非特許文献1)、これによって、ヘプシジンの発現を低減させ、食事性鉄の取り込みおよび細胞貯蔵からの鉄の放出を増大させる。MTP-2の発現は、ヘプシジンの発現に必須のBMP6によって、および過剰な鉄によって、誘導される(非特許文献2)。したがって、BMP6はヘプシジンの発現を刺激するが、BMP6はまた、鉄の異常調節を防ぐための負のフィードバックメカニズムを維持する負の調節因子の発現も増大させる(非特許文献3)。図1。
【0003】
血液中の正常よりも高いトランスフェリン鉄飽和度として顕在化する鉄過剰は、ベータ・サラセミア、骨髄異形成症候群(MDS)、ブラックファン・ダイアモンド貧血、鎌状赤血球症、真性多血症、およびヘモクロマトーシスを含む多くの遺伝子疾患および他の状態の罹患率の原因である。
【0004】
ベータ・サラセミアは、ベータグロビン遺伝子における遺伝的欠陥によって生じる、遺伝性の異常ヘモグロビン症である。成人において、ヘモグロビンは、通常、4つのポリペプチド(グロビン)鎖、すなわち、2つのアルファグロビンサブユニットおよび2つのベータグロビンサブユニットから構成され、各グロビンサブユニットは、その中心の鉄が酸素に可逆的に結合するヘム基を有している。ベータ・サラセミアでは、ヘモグロビンの不完全な産生が、無効な赤血球生成を、およびその結果として貧血(酸素運搬赤血球の欠乏)を生じさせる。貧血に応答して上方調節されるエリスロポエチン(epo)の過剰な産生、ならびに/または、異常に増えたおよび無効な赤血球生成の結果生じる赤芽球ホルモンであるエリスロフェロンのレベルの上昇は、鉄調節因子であるヘプシジンに対する抑制的な影響を有し、消化管からの鉄吸収および内部貯蔵からの鉄放出を増大させ、鉄過剰を生じさせる。興味深いことに、ベータ・サラセミアにおいて余命を短縮させると考えられているのは、貧血自体ではなく、鉄過剰である。鉄利用能の増大はトランスフェリン飽和度およびヘム産生を増大させ、この増大は、アルファグロビン発現の代償的な増大と共に、ヘミクロームの形成、ならびに活性酸素ストレスおよび赤血球前駆細胞のアポトーシスの増大をもたらす。この非常に刺激されているが無効な赤血球生成により、多くの成熟赤血球が生存しなくなり、その結果、同様にこの疾患の特徴である脾臓の肥大化または脾腫を生じさせる。
【0005】
3つのタイプのベータ・サラセミアがあり、ベータ鎖合成の低減の程度に従って分類されている。ホモ接合性形態、すなわちベータ・サラセミア・メジャーは、最も重度な形態の先天的溶血性貧血であり、機能的ベータ鎖の合成が存在しないことまたは極度に抑制されていることを特徴とする。患者は、非常に頻繁な輸血を必要とする(「輸血依存性ベータ・サラセミア」)。ベータ・サラセミア中間型の患者は、一方、定期的な輸血を必要とせず、遺伝的にヘテロ接合型である(「輸血非依存性ベータ・サラセミア」)。ベータ・サラセミア・マイナーと呼ばれる第3の形態のベータ・サラセミアがあり、これは、中程度のベータ鎖合成抑制のみがある、穏やかな無症候状態である。
【0006】
輸血依存性の患者における輸血の残念な影響は、各輸血が少なくとも200mgの鉄を含有しており、したがって、鉄過剰、およびトランスフェリン非結合型の鉄によって生じる毒性の組織ダメージという問題を悪化させ、鉄キレート化療法を必要とすることである。鉄キレート剤は、循環中のトランスフェリン非結合型の鉄と複合体を形成し、平衡をずらし得、そして、組織から鉄を解放して、組織ダメージを予防し得る。しかし、キレート剤はトランスフェリン飽和度を低減させず、そのため、ヘミクローム形成の増大およびアポトーシスの増大は予防しない。患者は輸血に依存性のままである。さらに、鉄キレート剤は、腎不全、中毒性好中球減少症、および下痢などの副作用を有し得る。輸血および鉄キレート化は輸血依存性の患者の予後を改善したが、一部の患者が有していた鉄過剰は今日も依然として、解決されていない臨床的必要性のままである。
【0007】
同様に、他の鉄過剰貧血および関連する障害と診断された患者の治療では、解決されていない臨床的必要性が存在する。骨髄異形成症候群(MDS)は、1種類またはそれ以上の血球減少を生じさせる無効なおよび形成異常の造血、ならびに急性骨髄性白血病(AML)を発症する様々な傾向を特徴とする、クローン性幹細胞障害群である。染色体欠失5q-を伴うMDS(5q-MDS)および環状鉄芽球を伴う難治性貧血(RARS)を含むいくつかの形態のMDSが、貧血および赤血球前駆体内の毒性鉄沈着に関連している。これらの形態のMDSは、ヘプシジンレベルの低下に関連することが多い。多くの場合、MDSは定期的な輸血で管理することができるが、この輸血は、二次的な鉄過剰およびベータ・サラセミアのような全生存期間の短縮をもたらし得る。MDS患者は、したがって、鉄過剰がある特定の閾値に達したら、通常は鉄キレート剤で処置される。
【0008】
別の鉄過剰疾患は、遺伝性ヘモクロマトーシスである。これは、白人における最も一般的な遺伝子疾患であり、ヘプシジンの欠乏または不感受性に起因する過剰な鉄の吸収および蓄積を生じさせる遺伝子突然変異を特徴とする。1型ヘモクロマトーシスは、HFE遺伝子の突然変異の結果生じる。2型ヘモクロマトーシスは、HJV遺伝子またはHAMP遺伝子のいずれかにおける突然変異の結果生じる。3型ヘモクロマトーシスは、TFR2遺伝子の突然変異の結果生じる。4型ヘモクロマトーシスは、SLC40A1遺伝子の突然変異の結果生じる。疾患の症候としては、関節痛、腹痛、疲労、および衰弱が挙げられる。未処置のままであれば、疾患は、肝硬変、肝臓がん、心疾患および/または心不全、ならびに糖尿病に進行し得る。現在の処置は、静脈切開術である。
【0009】
稀な形態の貧血もまた、鉄低減療法の利益を受けることが、動物モデルにおいて示されている。これらの貧血としては、ブラックファン・ダイアモンド貧血および鎌状赤血球貧血が挙げられる。肝臓(主に実質細胞)内の鉄沈着もまた、ヘモクロマトーシスおよびC型肝炎感染のような疾患ならびに鉄負荷性貧血における酸化ストレスおよび線維症を促進することが分かっている。鉄代謝の調節もまた、肝線維症および肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFDL)、ならびに非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発症において重要であると考えられている。肝線維症は多くの場合、肝機能の喪失および肝臓がんへの進行を伴う肝硬変に変化する。
【0010】
上記のもののような状態を有する患者のための新規な医学的処置が求められている。全生存期間は輸血および鉄キレート化によって改善し得るが、これらの処置は、根底にある疾患病理に対処しておらず、記載されているような望ましくない副作用を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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