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公開番号2025163455
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-29
出願番号2024066728
出願日2024-04-17
発明の名称溶鉄の製造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C21C 5/30 20060101AFI20251022BHJP(鉄冶金)
要約【課題】バイオマス由来の炭材を装入する場合において、炭材の歩留まりを向上させることが可能な溶鉄の製造方法を提供する。
【解決手段】炉内に溶銑とともに含鉄冷材を装入した後、酸素吹き吹錬する溶鉄の製造方法であって、酸素吹き吹錬の開始前から終了までの間で、バイオマス由来の炭材を炉内に装入すること、及び、溶銑の酸素吹き吹錬による発生熱および該酸素吹き吹錬の酸素によるバイオマス由来の炭材の燃焼熱ならびに溶銑の顕熱により含鉄冷材を溶解すること、を含み、バイオマス由来の炭材の装入量は、装入後の溶銑中の炭素濃度が飽和炭素量以下となる量とされている溶鉄の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
炉内に溶銑とともに含鉄冷材を装入した後、酸素吹き吹錬する溶鉄の製造方法であって、
酸素吹き吹錬の開始前から終了までの間で、バイオマス由来の炭材を前記炉内に装入すること、及び、
前記溶銑の酸素吹き吹錬による発生熱および該酸素吹き吹錬の酸素による前記バイオマス由来の炭材の燃焼熱ならびに前記溶銑の顕熱により前記含鉄冷材を溶解すること、を含み、
前記バイオマス由来の炭材の装入量は、装入後の前記溶銑中の炭素濃度が飽和炭素量以下となる量とされている
溶鉄の製造方法。
続きを表示(約 280 文字)【請求項2】
前記バイオマス由来の炭材を、複数回に分けて前記炉内に装入する、
請求項1に記載の溶鉄の製造方法。
【請求項3】
前記バイオマス由来の炭材の各回の装入量は、以下の関係式(1)を満たすように設定されている、
請求項2に記載の溶鉄の製造方法。

coal
≦1/2n
O2
・・・(1)
ここに、

coal
:一回に装入される炭材に含まれる炭素モル量

O2
:一つ前の炭材の装入から送酸済みの酸素モル量

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶鉄の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保護及び地球温暖化防止の目的から、CO
2
ガス排出量の削減が重要な課題となっている。特に、製鉄所においては、CO
2
ガスの排出量削減は、企業の存続にも関わる最重要の課題となっている。一方、省資源及び環境問題の観点から、近年になって発生量の多い鉄スクラップを製鉄所でリサイクル使用して、鋼製品を製造することが技術課題となっている。これは、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するために多大なエネルギーを要するのに対し、鉄スクラップは溶解熱のみを必要としており、鉄スクラップを利用することで、鉄鉱石の還元熱分のエネルギー使用量を少なくすることができ、省エネルギー及びCO
2
ガス削減を実現できるという利点があるからである。
【0003】
ところで、鉄スクラップを用いて溶融鉄を製造する精錬装置として、従来、一般的にアーク炉が使用されていた。しかし、従来のアーク炉の場合は、鉄スクラップの溶解に多くの電力を消費することから、我が国のように電力価格が高い場合には、製造コストが高くなる。そこで、アーク炉を使用することなく鉄スクラップを経済的に溶解する方法として、酸素ガス供給能力の高い転炉型精錬炉を用い、安価な炭材を酸素ガスで燃焼させ、炭材の燃焼熱を熱源として鉄スクラップを溶解し、溶融鉄を製造する方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、鉄スクラップ及び溶銑を鉄源として精錬炉内に装入し、次いで、該精錬炉内に酸素ガスを供給し、精錬炉内の鉄スクラップを精錬炉内に供給した炭材の酸素ガスによる燃焼熱及び溶銑の顕熱によって溶解するとともに、鉄スクラップの溶解によって生成する溶融鉄を炭材中の炭素及び溶銑中の炭素によって加炭し、炭素濃度が3.0質量%以上の高炭素溶鉄を精錬炉内で製造する方法であって、炭材の全部としてバイオマス由来の炭材を使用するとともに、バイオマス由来の炭材の総添加量をX(kg-炭材/t-溶鉄)、該炭材の硫黄濃度をa(質量%)、精錬前の溶銑及び鉄スクラップの硫黄濃度の加重平均値をb(質量%)、精錬終了時の高炭素溶鉄の許容最大硫黄濃度をc(質量%)としたとき、炭材の総添加量Xを下記の(1)式で算出される値と同一またはそれ未満とし、且つ、この炭材の総添加量Xに基づいて鉄スクラップの装入量を決定し、製造される高炭素溶鉄の硫黄濃度を許容最大硫黄濃度c以下に制御することを特徴とする、鉄スクラップを用いた高炭素溶鉄の製造方法が記載されている。
X=[(c-b)/a]×1000 ・・・(1)
【0005】
また、特許文献2には、植物系バイオマスを炭化した炭化物と、バインダーとで成型してなる転炉用昇熱材であって、乾燥状態での組成が、固定炭素分70質量%以上、揮発成分20質量%以下、硫黄分0.1質量%以下、残部灰分であり、炭化物は3mm以下の粒径を有する、転炉用昇熱材が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、炭素質還元剤と酸化鉄含有物質を含む原料混合物を加熱し、還元して金属鉄を製造する方法において、炭素質還元剤は20~60質量%の揮発分を含有し、炭素質還元剤由来の気体がCO-CO2-H2系ガスであり、CO-CO2-H2系ガスを含む雰囲気下で原料混合物を加熱することにより固体Fe3Cを生成する工程、この固体Fe3Cを溶融する工程、及び溶融Fe3Cを介して還元鉄を浸炭する工程を含むことを特徴とする金属鉄の製法が記載されている。
【0007】
また、特許文献4には、転炉型容器内に溶銑とともに含鉄冷材を装入したのち脱珪のための予備処理を行ない、次いで、その脱珪のための予備処理時に生成したスラグの少なくともその一部を排出する中間排滓の処理を行ない、この処理の後、該転炉型容器内に炭材を装入すると共に酸素を吹精することによる熱源の供給によって前記含鉄冷材の溶解促進処理を行なうことを特徴とする転炉型容器による製鋼精錬方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第5942425号
特許第5846289号
特開2010-261101号公報
特許第6744586号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1及び2では、鉄スクラップを用いて高炭素溶鉄を製造するにあたり、カーボンニュートラルであるバイオマス由来の炭材を、コークスや石炭などの化石燃料由来の炭材に替わる熱源及び加炭材として有効利用し、これによって温室効果ガス発生量を削減することのできる、鉄スクラップを用いている。
【0010】
また、上記特許文献3では、回転炉床方式による直接還元製鉄法において炭素質物質を還元剤として投入している。また、上記特許文献4では、スクラップ等を溶銑と共に転炉にて溶解する製鋼精錬においては、該スクラップ等の溶解を促進するために、溶湯中のC分の確保および浸炭時間の確保を目的として、多量の炭材を使用している。
(【0011】以降は省略されています)

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