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公開番号2025151642
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024053177
出願日2024-03-28
発明の名称方向性電磁鋼板の製造方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
主分類C21D 8/12 20060101AFI20251002BHJP(鉄冶金)
要約【課題】低鉄損の方向性電磁鋼板を安定して製造する方法を提案する。
【解決手段】鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施すことなく、1回目の冷間圧延と1回目の中間焼鈍を施した後、さらに1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延をして最終板厚の冷延板とし、該冷延板に一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、二次再結晶させる仕上焼鈍を施す一連の工程を含む方向性電磁鋼板の製造方法において、上記1回目の冷間圧延の圧下率を20%以上60%未満とし、上記1回目の中間焼鈍後の鋼板の圧延方向に垂直な断面をEBSDで観察したときのGAM値が0.5以下の結晶粒の面積率を80%以上とすることで方向性電磁鋼板の磁気特性を改善する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施すことなく、1回目の冷間圧延と1回目の中間焼鈍を施した後、さらに1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延をして最終板厚の冷延板とし、該冷延板に一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した後、二次再結晶させる仕上焼鈍を施す一連の工程を含む方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記1回目の冷間圧延の圧下率を20%以上60%未満とし、
上記1回目の中間焼鈍後の鋼板の圧延方向に垂直な断面をEBSDで観察したときのGAM値が0.5以下の結晶粒の面積率を80%以上とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
上記1回目の中間焼鈍の加熱過程における400℃~700℃間の昇温速度を5℃/s以上100℃/s以下とすることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】
上記鋼スラブは、C:0.01~0.10mass%、Si:2.0~4.5mass%、Mn:0.01~0.5mass%、sol.Al:0.0100~0.0400mass%、N:0.0050~0.0120mass%、SおよびSeのうちの少なくとも1種:合計で0.01~0.05mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項4】
上記鋼スラブは、C:0.01~0.10mass%、Si:2.0~4.5mass%、Mn:0.01~0.5mass%、sol.Al:0.0100mass%未満、S:0.0100mass%未満、Se:0.0100mass%未満およびN:0.0050mass%未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項5】
上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、下記A~C群のうちの少なくとも1群の成分を含有することを特徴とする請求項3または4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。

・A群;Sb:0.005~0.500mass%、Cu:0.01~1.50mass%、P:0.005~0.500mass%、Cr:0.005~1.50mass%、Ni:0.005~1.500mass%、Sn:0.005~0.500mass%、Nb:0.0005~0.0200mass%、Mo:0.005~0.500mass%、Co:0.001~0.500mass%、B:0.00001~0.007000mass%およびBi:0.0005~0.500mass%のうちから選ばれる少なくとも1種
・B群;Ti:0.0005~0.0400mass%、V:0.001~0.020mass%およびW:0.001~0.020mass%のうちから選ばれる少なくとも1種
・C群;Zn:0.0005~0.020mass%、Zr:0.001~0.020mass%、Pb:0.0001~0.0100mass%、As:0.001~0.020mass%、Ag:0.001~0.050mass%、Au:0.001~0.050mass%、Ga:0.0001~0.0050mass%、Ge:0.0001~0.0050mass%、Ca:0.0005~0.020mass%、Mg:0.0005~0.020mass%、REM:0.0005~0.0200mass%およびHf:0.001~0.020mass%のうちから選ばれる少なくとも1種

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
方向性電磁鋼板は、主として変圧器や発電機の鉄心材料等に用いられる軟磁性材料であり、鉄の磁化容易軸である{110}<001>方位(Goss方位)が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有する、磁気特性に優れた鋼板である。
【0003】
Goss方位への集積度を高める技術として、例えば特許文献1には、冷間圧延中の冷延板を低温で熱処理して時効処理を施す方法が開示されている。また、特許文献2には、熱延板焼鈍または最終冷間圧延前の中間焼鈍の冷却速度を30℃/s以上とし、さらに、最終冷間圧延中に、板温150~300℃で2min間以上のパス間時効を2回以上施す方法が開示されている。また、特許文献3等には、圧延中の鋼板温度を高めて圧延する温間圧延をして圧延時に導入された転位をCやNで直ちに固着する動的歪時効を利用する方法が開示されている。
【0004】
これら特許文献1~3の技術は、いずれも冷間圧延前もしくは、冷間圧延中あるいは冷間圧延のパス間で鋼板温度を適正温度に高めることによって、固溶元素である炭素(C)や窒素(N)の拡散を促進して冷間圧延で導入された転位を固着し、それ以降の圧延での転位の移動を妨げ、圧延時の剪断変形を促進することによって圧延集合組織を改善しようとするものである。これらの技術の適用によって、一次再結晶組織中にゴス方位粒を数多く形成することができ、その後の二次再結晶時にそれらのゴス方位粒が優先的に粒成長するので、二次再結晶後のGoss方位への集積度を高めることができる。
【0005】
また、上記歪時効の効果をさらに高める技術として、特許文献4には、冷間圧延工程の最終冷間圧延直前の焼鈍工程で鋼中に微細カーバイドを析出させておき、続く最終冷間圧延を前半と後半の二つに分け、前半では圧下率30~75%の範囲で140℃以下の低温にて圧延し、後半では少なくとも2回の圧延パスを150~300℃の高温にて行い、かつ、前半と後半を合わせた総圧下率を80~95%とすることで、ゴス方位に高度に集積した鋼板を安定して得る方法が開示されている。また、特許文献5には、タンデム圧延機で行う冷間圧延の前に、0.5kg/mm

以上の張力付与下において50~150℃×30s~30min間の熱処理を施すことで鋼中に微細カーバイドを析出させる方法が開示されている。
【0006】
ところで、上記の特許文献1~5の技術は、いずれも熱間圧延時に形成されたαファイバー組織と呼ばれる{100}<011>組織の再結晶を促進する効果がある。{100}<011>組織は、その後の冷間圧延や一次再結晶焼鈍を経ても未再結晶組織として残留し易く、Goss方位粒の粒成長を阻害する組織として知られている。従って、良好な磁気特性を得るためには、上記{100}<011>組織の再結晶を促進する必要がある。
【0007】
上記{100}<011>組織の再結晶促進に着目した技術として、例えば特許文献6には、冷間圧延工程の総圧下率が50%以下の段階において、歪速度150
-1
以下の低歪速度の圧延を最低1パス以上行う方法が開示されている。この技術の適用により、圧延中のCおよびNの拡散が難しく、歪時効の効果を十分に得られないタンデム圧延でも{100}<011>組織の再結晶を促進することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開昭50-016610号公報
特開平08-253816号公報
特開平01-215925号公報
特開平09-157745号公報
特開平04-120216号公報
特開2012-184497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年、省エネルギーに対する要求の高まりから、低鉄損の方向性電磁鋼板への要求は高まる一方であり、より低鉄損の方向性電磁鋼板を製造する技術の開発が強く求められるようになってきている。
【0010】
より低鉄損の方向性電磁鋼板を製造するためには、{100}<011>組織の再結晶をさらに促進させる必要がある。しかし、特許文献1~3の技術のように、冷間圧延中に鋼板を加熱する技術では、鋼板温度の上昇によって圧延時の潤滑不足が起こり、鋼板形状の悪化による歩留まり低下を招く。そのため、鋼板温度を高めるには限界があり、磁気特性の大きな改善効果は期待できない。また、特許文献4および5のように、最終冷延前の焼鈍工程でカーバイドの析出処理を施す技術は、歪時効の効果を高めるには有効であるが、{100}<011>組織の再結晶を促進する点では好ましくない。というのは、{100}<011>組織は、冷間圧延で歪が導入され難く、転位が十分に蓄積されないという性質がある。しかし、歪時効は、加工組織内の転位を析出サイトとして炭化物もしくは窒化物を析出させる技術である。そのため、{100}<011>組織内に十分な量の炭化物や窒化物を析出させることが難しいからである。また、特許文献6の技術は、冷間圧延中の歪速度を低下させる技術であるため、必然的に圧延速度が遅くなり、生産性の低下を招くという問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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