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公開番号
2025150038
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-09
出願番号
2024050695
出願日
2024-03-27
発明の名称
ナス科の雄性稔性回復植物、ナス科植物の雄性稔性回復方法、ナス科の雄性稔性回復植物の製造方法及びナス科植物の雄性稔性回復判別方法
出願人
国立大学法人 筑波大学
,
公益財団法人かずさDNA研究所
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
15/11 20060101AFI20251002BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】新規な、ナス科の細胞質雄性不稔回復技術を提供する。
【解決手段】ナス科の雄性稔性回復植物は、(a)~(r)のうちの少なくとも1つの塩基配列を含む。(a)~(r)の塩基配列は、雄性稔性回復機能を有する塩基配列である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
以下の(a)~(r)のうちの少なくとも1つの塩基配列を核ゲノムDNAに含む、ナス科の雄性稔性回復植物。
(a)トマト野生種のSolanum pimpinellifoliumの核ゲノム第1染色体の5’末端から83.29Mbp~84.65Mbpの領域の塩基配列、
(b)前記(a)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(c)前記(a)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有するDNA配列、
(d)ミニトマト種のSolanum lycopersicum var. cerasiformeの核ゲノム第1染色体の5’末端から80.03Mbp~80.65Mbpの領域の塩基配列、
(e)前記(d)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(f)前記(d)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(g)配列番号1に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(h)配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(i)配列番号1に示すアミノ酸配列と60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(j)配列番号2に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(k)配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(l)配列番号2に示すアミノ酸配列と60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(m)Solanum pimpinellifoliumの核ゲノム第2染色体の5’末端から38Mbp~47Mbpの領域の塩基配列、
(n)前記(m)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(o)前記(m)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(p)トマト野生種のSolanum cheesmaniaeの核ゲノム第1染色体の5’末端から81.89Mbp~83.21Mbpの領域の塩基配列、
(q)前記(p)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(r)前記(p)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列。
続きを表示(約 3,100 文字)
【請求項2】
ナス属である、請求項1に記載のナス科の雄性稔性回復植物。
【請求項3】
トマトである、請求項2に記載のナス科の雄性稔性回復植物。
【請求項4】
ジャガイモである、請求項2に記載のナス科の雄性稔性回復植物。
【請求項5】
細胞質雄性不稔性を有するナス科植物の核ゲノムに、以下の(a)~(r)のうちの少なくとも1つの塩基配列を導入することを含む、ナス科植物の雄性稔性回復方法。
(a)トマト野生種のSolanum pimpinellifoliumの核ゲノム第1染色体の5’末端から83.29Mbp~84.65Mbpの領域の塩基配列、
(b)前記(a)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(c)前記(a)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有するDNA配列、
(d)ミニトマト種のSolanum lycopersicum var. cerasiformeの核ゲノム第1染色体の5’末端から80.03Mbp~80.65bpの領域の塩基配列、
(e)前記(d)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(f)前記(d)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(g)配列番号1に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(h)配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(i)配列番号1に示すアミノ酸配列と60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(j)配列番号2に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(k)配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(l)配列番号2に示すアミノ酸配列と60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(m)Solanum pimpinellifoliumの核ゲノム第2染色体の5’末端から38Mbp~47Mbpの領域の塩基配列、
(n)前記(m)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(o)前記(m)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(p)トマト野生種のSolanum cheesmaniaeの核ゲノム第1染色体の5’末端から81.89Mbp~83.21Mbpの領域の塩基配列、
(q)前記(p)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(r)前記(p)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列。
【請求項6】
前記ナス科植物が、ナス属である、請求項5に記載のナス科植物の雄性稔性回復方法。
【請求項7】
前記ナス科植物が、トマトである、請求項6に記載のナス科植物の雄性稔性回復方法。
【請求項8】
前記ナス科植物が、ジャガイモである、請求項6に記載のナス科植物の雄性稔性回復方法。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか1項に記載のナス科植物の雄性稔性回復方法により、雄性稔性を回復したナス科植物を得ることを含む、ナス科の雄性稔性回復植物の製造方法。
【請求項10】
ナス科植物の細胞質雄性不稔の稔性が回復しているか否かを判別する方法であって、
ナス科植物が、以下の(a)~(r)のうちの少なくとも1つの塩基配列を含むか否かを確認する工程を含む、ナス科植物の雄性稔性回復判別方法。
(a)トマト野生種のSolanum pimpinellifoliumの核ゲノム第1染色体の5’末端から83.29Mbp~84.65Mbpの領域の塩基配列、
(b)前記(a)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(c)前記(a)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有するDNA配列、
(d)ミニトマト種のSolanum lycopersicum var. cerasiformeの核ゲノム第1染色体の5’末端から80.03Mbp~80.65bpの領域の塩基配列、
(e)前記(d)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(f)前記(d)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(g)配列番号1に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(h)配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(i)配列番号1に示すアミノ酸配列と60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(j)配列番号2に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(k)配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(l)配列番号2に示すアミノ酸配列と60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(m)Solanum pimpinellifoliumの核ゲノム第2染色体の5’末端から38Mbp~47Mbpの領域の塩基配列、
(n)前記(m)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(o)前記(m)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(p)トマト野生種のSolanum cheesmaniaeの核ゲノム第1染色体の5’末端から81.89Mbp~83.21Mbpの領域の塩基配列、
(q)前記(p)の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列、
(r)前記(p)の塩基配列と60%以上の配列同一性を有する塩基配列を含み、且つ、雄性稔性回復機能を有する塩基配列。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナス科の雄性稔性回復植物、ナス科植物の雄性稔性回復方法、ナス科の雄性稔性回復植物の製造方法及びナス科植物の雄性稔性回復判別方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
野菜などの作物の交配において、種子親、花粉親の2つの異なる親系統を交配させるF1採種の作業が行われている。このとき、種子親の系統からの自花受粉を防ぐために、種子親から葯を除く除雄と呼ばれる作業が行われている。しかし、この除雄の作業は現在、主に手作業で行われており、労働力を要するので、コストがかかり、採種で得られる種子価格の高騰を招いている。さらに、多数の労働者を介することで、貴重な知財である親系統が流出するおそれも考えられる。また、手作業による除雄は一定の失敗の可能性があり、この場合は種子親の花粉が混入し、目的の系統の交配が行われなかった種子が混入する可能性もある。
【0003】
これらの対策として、種子親を雄性不稔化する、すなわち、花粉を生じなくするか、又は、不稔性の、すなわち交配しない不活性な花粉を生じるようにすることで、手作業による徐雄の作業を行わなくとも、種子親の花粉が受粉する可能性を除くことができる。
【0004】
例えばイネにおいては、細胞質雄性不稔性(CMS、Cytoplasmic Male Sterility)を利用した交配の技術が知られている。細胞質雄性不稔の一例としては、細胞の核とミトコンドリアの遺伝子産物の不親和により、花粉が不活性化し交配できず、種子及び果実が生じなくなる現象が挙げられる。多くの植物種では細胞質が雌性側のみから伝達されるため、異種の細胞質に置換した細胞質置換系統を用いて、CMS系統が製造される。
【0005】
特許文献1には、トマト植物より単離し細胞質因子不治化処理されたプロトプラストと、ナス属植物より単離し核遺伝物質不治化処理されたプロトプラストと、を融合させて、融合物質より雄性不稔トマトを再生させることを特徴とする雄性不稔トマト植物の簡易作出法が開示されている。この技術は、プロトプラストの融合によって雄性不稔性を有する系統を作成し、目的とするトマト植物の雄性不稔性以外の形質に何等変化を与えることなく、目的とするトマト植物を短期間に効率よく雄性不稔化しようとするものである。
【0006】
特許文献2には、一定のDNAを含むイネRT型細胞質雄性不稔性の原因遺伝子と、それを用いた不稔性の判別方法等が記載されている。この技術では、イネRT型細胞質雄性不稔性の原因となるミトコンドリア遺伝子が同定され、この遺伝子をDNAマーカーとすることにより細胞質雄性不稔のイネ系統の判別にも用いることができるものである。
【0007】
特許文献3には、形質が改変された植物を作出する方法であって、特定の配列番号のDNA、又はその一部の配列を有し、小胞子および任意に葯の開裂組織に、特異的なプロモーター活性を示すDNAのいずれかを含むプロモーターと、このプロモーターに作動可能に連結された異種遺伝子とを含む、植物発現カセットを利用する方法等を開示している。この技術は、ナス科のペチュニア等の園芸植物について、雄性不稔に代表される植物形質の改変に有用な、花粉に特異的な遺伝子を利用する遺伝子工学的手法を提供しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第2824841号公報
国際公開第2014/027502号
特開2003-92937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、ナス科のトマトにおいては雄性不稔性を有する系統を得ることはできるものの、その細胞質雄性不稔性の遺伝子は明らかになっていない。そのため、前述の不稔性を有する系統を用いて、ナス科の果実をつけない植物を生産することはできるものの、その種子を作ることができないため、増殖することができない。雄性不稔性を有する系統を応用するには、細胞質雄性不稔性の原因遺伝子を明らかにし、そのオン/オフを操作可能とすることが望まれる。
【0010】
特許文献2には、イネ科における細胞質雄性不稔性の遺伝子が開示されているが、ナス科の植物についての細胞質雄性不稔性の原因遺伝子は開示されていない。
(【0011】以降は省略されています)
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