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公開番号2025160862
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-23
出願番号2024161035
出願日2024-09-18
発明の名称放射線遮蔽材用焼結体粒子、その製造方法及びその使用方法
出願人国立大学法人 筑波大学,株式会社大興製作所
代理人個人,個人
主分類G21F 1/06 20060101AFI20251016BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】
高密度、高均質な放射線遮蔽材用焼結体粒子を、安定的に、安価に提供すること。
【解決手段】
LiF、又は、LiFにMgF2、CaF2、NaF、AlF3、及び、又はBaF2の内から選ばれた1種以上のフッ化物が混合され、粒径比1.2以下の球形状に成形、焼成された放射線遮蔽材用焼結体粒子を放射線遮蔽治具用に提供する。
【選択図】図2


特許請求の範囲【請求項1】
LiF、又は、LiFにMgF
2
、CaF
2
、NaF、AlF
3
、及び、又はBaF
2
の内から選ばれた1種以上のフッ化物が混合され、粒径比1.2以下の球形状に成形、焼成、あるいは成形、焼成に加えて磨砕されたものであることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
LiF、又は、LiFにMgF
2
、CaF
2
、NaF、AlF
3
、BaF
2
の内から選ばれた1種以上のフッ化物を含む多元系フッ化物に対し、さらに、B



、B(OH)


LiB



又はLi





の内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体
10
Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、粒径比1.2以下の球形状に成形、焼成、あるいは成形、焼成に加えて磨砕されたものであることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子。
【請求項3】
LiF、又は、LiFにMgF
2
、CaF
2
、NaF、AlF
3
、BaF
2
の内から選ばれた1種以上のフッ化物を含む多元系フッ化物に対し、さらに、Gd
2

3
、Gd(OH)
3
又はGdF
3
の内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体
157
Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、粒径比1.2以下の球形状に成形、焼成、あるいは成形、焼成に加えて磨砕されたものであることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子。
【請求項4】
LiF、又は、LiFにMgF
2
、CaF
2
、NaF、AlF
3
、BaF
2
の内から選ばれた1種以上のフッ化物を含む多元系フッ化物に対し、さらに、B
2

3
、B(OH)
3

LiB
3

5
又はLi
2

4

7
の内から選ばれたホウ素化合物が、ホウ素同位体
10
Bとして外掛けで、0.1~5wt.%の割合で添加され、さらに、Gd
2

3
、Gd(OH)
3
又は
GdF
3
の内から選ばれたガドリニウム化合物が、ガドリニウム同位体
157
Gdとして外掛けで、0.1~2wt.%の割合で添加され、粒径比1.2以下の球形状に成形、焼成、あるいは成形、焼成に加えて磨砕されたものであることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子。
【請求項5】
焼結体粒子焼成前の状態、すなわち、粒子状の成形体の相対密度が40%以上80%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体粒子。
【請求項6】
粒子径が0.5mm以上7mm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体粒子。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体粒子に、フッソプラコート、又はポリイミドワニス、又はTFEコート、又はシリコンワニスなどのフッ素系、又は樹脂系、又はポリイミド系、又はシリコン系のうちから選ばれたコーティング剤が塗布されたものであることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかの項に記載の放射線遮蔽材用焼結体粒子が、中性子遮蔽材用であることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子。
【請求項9】
高純度LiF原料、又は、高純度LiF原料にいずれも高純度のMgF
2
、CaF
2

NaF、AlF
3
、BaF
2
の内から選ばれた1種以上のフッ化物を含む多元系フッ化物を、各々個別に一次粉砕して各々の粒径をメディアン径で8μm以下とし、
その後、これら一次粉砕した個別の原料を所定の割合で混合し、
さらに、二次粉砕して粒径を同6μm以下とし、混錬する工程(原料配合工程)、
打錠機を用い、モールド内径が0.6~8mmで、粒径比1.2以下の球形状、又は球形近似の成形粒子とする工程(成形工程)、
粒径比1.2以下の球形状の成形体粒子を常圧大気雰囲気中で、350℃から
1000℃の温度範囲で加熱して焼結させる工程(焼結工程)、
を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の放射線遮蔽材用焼結体粒子の製造方法に、
さらに、ポットミルを用いて焼結体粒子を磨砕する工程(磨砕工程)、
を備えていることを特徴とする放射線遮蔽材用焼結体粒子の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線遮蔽材用焼結体粒子、その製造方法及びその使用方法に関し、より詳細には、中性子を含む放射線を用いた放射線治療において、患者患部の位置決め精度を向上させ、且つ、放射線照射口と患者患部との隙間から漏洩する放射線量を低減し、更に
は、患部以外の健全部位に照射される放射線量を低減または除去し、人体及び、又はこの治療装置の周辺機器類の被ばくを低減させることができる放射線遮蔽治具に使用される放射線遮蔽材用焼結体粒子、その製造方法及びその使用方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
放射線医療分野において特定の元素の放射線遮蔽効果を利用する新たな用途の開発が進みつつある。
代表的な放射線の一つである中性子は電荷を持たず、原子核と衝突したときに吸収され易い。このように中性子を吸収することを“中性子捕獲”または“中性子捕捉”と言い、この性質を利用した医療分野への応用例が“ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:以下、BNCTと記す)”である。近年、わが国を始めとする主要国で積極的にその治療法の開発や実用化が進められている最先端の難治性がん用の治療法である。
【0003】
中性子は、半減期が約15分と短く、短時間で崩壊して“電子”と“ニュートリノ”を放出して“陽子”に変わり、また、中性子は電荷を持たず、水素(H)、リチウム(Li)、ホウ素(B)、炭素(C)や窒素(N)などの比較的軽元素の原子核と衝突したときに、中性子の持つエネルギーの全て、又はその大半を放出して吸収される特性を有する。
一方、他の種類の原子核、具体的には、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)やフッ素(F)などの原子核と衝突した場合は、所有エネルギーの一部を放出してエネルギーレベルの低い中性子となる。この現象を“中性子の減速”と称し、この“他の種類の原子核”を有する物質は、“中性子減速材”として使用され得る。中性子のエネルギーはその飛翔速度に依存する。
【0004】
このBNCTでは、まず、注射や点滴によって体内に注入されたホウ素同位体
10
Bを含むホウ素薬剤と悪性がんなどの腫瘍細胞とを反応させ、この腫瘍部分にホウ素化合物の反応生成物を形成しておく。
この反応生成物に、人体の健全部に影響の少ないエネルギーレベルの中性子(主として熱外中性子など、中程度のエネルギーレベルの中性子で構成されたものであることが望ましい)を、好適な広さに面照射し、“事前に、腫瘍部分に高濃度に偏析させておいたホウ素化合物”との間で、直径約10マイクロメーター、すなわち、人の細胞1個分に相当する範囲だけに核反応を生じさせ、核反応で生じた
7
Liイオンとα線によって腫瘍細胞だけを死滅させる。
【0005】
元来、がん細胞は、盛んに増殖する過程でホウ素をその腫瘍細胞内に取り込みやすく、BNCTでは、この性質を利用して効果的に腫瘍部分だけを破壊する方法で治療を行う。健全部に影響の少ないエネルギーレベルの中性子を主体とする照射ビームを、面形状で腫瘍部分を包含する大きさで照射する。これによって、従来の放射線治療でのピンポイント照射と比べて、照射時間を飛躍的に短縮することができ、しかも、未照射部分(照射漏れ)を無くすことができる。
【0006】
中性子は、100MeVを超える高エネルギーから0.002eV未満の低エネルギーまでの広範囲のエネルギーレベルを有し、高エネルギー側から順に“高速中性子”、“熱外中性子”、“熱中性子”などと称されている。この中でBNCTに望ましいものは“熱外中性子(そのエネルギーレベルは0.025eV~10keV)”であるが、すべてを熱外中性子に制御することは困難であり、照射ビームはエネルギーレベル10keV以上の高速中性子やエネルギーレベル0.025eV未満の熱中性子が混入したものとなる。
【0007】
BNCTシステムの初期の開発段階における中性子発生源としては、主として試験用原子炉が用いられたが、治療用装置として“原子炉”を病院に置くことは現実的には不可能なため、1990年頃から中性子発生源として小型の“加速器”の開発が始まり、近年、BNCT用の加速器が完成の域に近づいてきている。
【0008】
BNCT装置は、“加速器系”、“減速体系”、“治療治具系”から成り、加速器の方式としては、現状、“サイクロトロン型”、“直線型”、“静電型”の3種がある。この加速器で加速された陽子を、リチウム(Li)、又は、ベリリウム(Be)などから成る“ターゲット”に衝突させ、発生した主として高速中性子からなる高エネルギーの中性子を各種の“減速材”を通過させる過程で、エネルギーを適度に低下(減速)させ、その減速された中性子を治療用ビームとして、同装置外周部の端部に設けられた照射ビーム口(すなわち、コリメータの開口部)から患者の患部に照射する。
【0009】
〔発明が解決しようとする課題〕
ここで問題になるのは、
(イ)BNCT装置の外周部位から同装置構造物を透過した中性子などの放射線が漏れ出て、患者や医療従事者、同装置周辺機器を被ばくすること、
(ロ)患者の患部へ照射するビームの一部が、BNCT装置の照射ビーム口と患者患部との隙間から漏れ、患者の健全部や医療従事者、同装置周辺機器を被ばくすること、
である。
【0010】
そこで、本発明者らは、上記の問題(イ)の解決策として、この治療に使用する主として中程度以下のエネルギーレベルの中性子などに優れた遮蔽性能を有する放射線遮蔽材に関する研究開発を行い、出願をした(特許文献1)。
また、上記の問題(ロ)の解決策としては、非特許文献1に示すように、照射ビーム口と患者患部との間に、樹脂製の風袋内部(文献中では、この風袋を「吸引バック」と称している)にポリエチレン(以下、「PE」と称す)製粒子とLiF粒子との混合物を詰めた「遮蔽治具」に関する研究結果が報告されている。この中で、この風袋の中に「ビーズ形状の遮蔽材」を詰めること、適宜、PE製粒子とLiF粒子の配合割合を変えること、などで“中性子及びγ線の遮蔽性能は高くなった”とされている。
(【0011】以降は省略されています)

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