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公開番号
2025146195
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-03
出願番号
2024046847
出願日
2024-03-22
発明の名称
プラスチック用添加材、樹脂複合材及びこれらの製造方法
出願人
国立大学法人愛媛大学
,
愛媛県
,
AIPA株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C08L
1/08 20060101AFI20250926BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】簡単に製造でき、添加により樹脂複合材の機械強度を向上させることができるパルプ繊維をベースとしたプラスチック用添加材、この添加材を含有する樹脂複合材及びこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】プラスチックと混ぜて使用されるパルプであって、前記パルプは、繊維表面の少なくとも一部に酸変性樹脂からなる酸変性樹脂層が形成された表面処理パルプである。表面が疎水性を有するプラスチックとの相容性を向上させることができるので、プラスチックとともに添加し加熱混練することにより、プラスチックの強度を向上させることができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
プラスチックと混ぜて使用されるパルプであって、
前記パルプは、
繊維表面の少なくとも一部に酸変性樹脂からなる酸変性樹脂層が形成された表面処理パルプである
ことを特徴とするプラスチック用添加材。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記酸変性樹脂は、
前記パルプのヒドロキシ基に対して化学的相互作用をする官能基を有し、かつプラスチックに対して分子間相容性を発揮するポリマー鎖を有する樹脂である
ことを特徴とする請求項1記載のプラスチック用添加材。
【請求項3】
前記表面処理パルプは、
酸変性樹脂層のコーティング率が、0.25以下であり、
該コーティング率は、
常温の水に所定の量の前記表面処理パルプを加え混合し、24時間静置した後、水に沈降する表面処理パルプの割合を、前記水に混合する表面処理パルプに対する質量比(沈降する表面処理パルプの質量/水に混合する表面処理パルプの質量)で算出される値である
ことを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック用添加材。
【請求項4】
前記官能基は、カルボキシ基、アミノ基、酸無水物基、アミド基、アルデヒド基、ニトロ基、リン酸基、硝酸エステル基からなる群から選ばれる1種又は2種以上である
ことを特徴とする請求項2記載のプラスチック用添加材。
【請求項5】
前記ポリマー鎖は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS、ABS、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂ならびにこれらの低分子量の樹脂からなる群から選ばれるものである
ことを特徴とする請求項2記載のプラスチック用添加材。
【請求項6】
前記酸変性樹脂は、融点が220℃以下である
ことを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック用添加材。
【請求項7】
前記酸変性樹脂が、
マレイン酸変性樹脂および/またはアクリル酸変性樹脂である
ことを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック用添加材。
【請求項8】
プラスチックと、プラスチック用添加材と、を含み、
前記プラスチック用添加材が、
繊維表面の少なくとも一部に酸変性樹脂からなる酸変性樹脂層が形成された表面処理パルプである
ことを特徴とする樹脂複合材。
【請求項9】
前記酸変性樹脂は、
前記表面処理パルプのパルプ表面のヒドロキシ基に対して化学的相互作用をする官能基を有し、かつプラスチックに対して分子間相容性を発揮するポリマー鎖を有する樹脂である
ことを特徴とする請求項8記載の樹脂複合材。
【請求項10】
前記表面処理パルプは、
酸変性樹脂層のコーティング率が、0.25以下であり、
該コーティング率は、
常温の水に所定の量の前記表面処理パルプを加え混合し、24時間静置した後、水に沈降する表面処理パルプの割合を、前記水に混合する表面処理パルプに対する質量比(沈降する表面処理パルプの質量/水に混合する表面処理パルプの質量)で算出される値である
ことを特徴とする請求項8または9記載の樹脂複合材。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック用添加材、樹脂複合材及びこれらの製造方法に関する。さらに詳しくは、プラスチックと混ぜて使用されるプラスチック用添加材、この添加材を含有する樹脂複合材及びこれらの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
天然資源である木質材料(例えば、木粉やパルプなど)をプラスチックと混合した複合材(例えば、木粉とプラスチックの複合材はWPCと称する。)は、木材に比べ高い耐候性を有し、プラスチックや金属より高い木質感を付与できることからエクステリア用として利用されている。
近年、エクステリア用途以外のプラスチック製品分野からもプラスチック使用量削減、すなわち脱プラ用途の観点からも注目されている素材である。また、複合材の対象となる製品は多岐に渡っており、要求される特性も様々である。
【0003】
このような複合材において、木粉添加による補強効果等の機能を最大限に発揮するためには、親水性である木粉と疎水性であるプラスチックの界面密着が最も重要となることから、木粉とプラスチックの相容性に関しての研究が多く行われている。例えば、両者(木粉とプラスチック)の相容性を向上させる様々な樹脂(相容化樹脂)の研究が行われている(例えば、特許文献1、2)。そして、このような相容化樹脂としては、一般的に、親水性及び疎水性の両方の特性を持つマレイン酸変性樹脂がして広く用いられている。また、木質材料であるパルプは、木粉よりも繊維状であることから、複合材の強度向上を目的とした研究が進められている。一方、パルプ繊維は、嵩高さがあり、比表面積も大きということから、加熱混練時に単にパルプと相容化樹脂を混練してもパルプ繊維を適切に相容化させることが難しい。このため、加熱混練時にパルプ繊維の凝集が生じてしまい補強強度を十分に発揮できていないというのが実情である。
【0004】
そこで、近年、繊維状の木質材材料でありながら相容性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献3、4)。特許文献3、4には、セルロース繊維の表面に存在する親水性のヒドロキシ基を疎水性の官能基(例えば、カルバメート基)に置換処理した化学変性セルロース繊維を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2003-113280号公報
国際公開第2022/014539号
特開2023-142300号公報
特開2019-01876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3,4の技術では、セルロース繊維を化学変性処理するための特別な施設が必要となり、しかも化学変性セルロース繊維の製造が非常に煩雑であり、コストも高くなるといった問題がある。
このため、コストの安いパルプを用いながら、簡単な方法で相容性を向上させながら、適切な補強強度を発揮させることができるパルプとプラスチックの複合材(樹脂複合材)の開発が望まれている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、簡単に製造でき、添加により樹脂複合材の機械強度を向上させることができるパルプ繊維をベースとしたプラスチック用添加材、この添加材を含有する樹脂複合材及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべき鋭意検討を重ねた結果、繊維表面を樹脂で表面処理したパルプを用いることによりに上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
第1発明のプラスチック用添加材は、プラスチックと混ぜて使用されるパルプであって、前記パルプは、繊維表面の少なくとも一部に酸変性樹脂からなる酸変性樹脂層が形成された表面処理パルプであることを特徴とする。
第2発明のプラスチック用添加材は、前記酸変性樹脂は、前記パルプのヒドロキシ基に対して化学的相互作用をする官能基を有し、かつプラスチックに対して分子間相容性を発揮するポリマー鎖を有する樹脂であることを特徴とする。
第3発明のプラスチック用添加材は、第1発明または第2発明において、前記表面処理パルプは、酸変性樹脂層のコーティング率が、0.25以下であり、該コーティング率は、常温の水に所定の量の前記表面処理パルプを加え混合し、24時間静置した後、水に沈降する表面処理パルプの割合を、前記水に混合する表面処理パルプに対する質量比(沈降する表面処理パルプの質量/水に混合する表面処理パルプの質量)で算出される値であることを特徴とする。
第4発明のプラスチック用添加材は、第2発明において、前記官能基は、カルボキシ基、アミノ基、酸無水物基、アミド基、アルデヒド基、ニトロ基、リン酸基、硝酸エステル基からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
第5発明のプラスチック用添加材は、第2発明において、前記ポリマー鎖は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS、ABS、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂ならびにこれらの低分子量の樹脂からなる群から選ばれるものであることを特徴とする。
第6発明のプラスチック用添加材は、第1発明または第2発明において、前記酸変性樹脂は、融点が220℃以下であることを特徴とする。
第7発明のプラスチック用添加材は、第1発明または第2発明において、前記酸変性樹脂が、マレイン酸変性樹脂および/またはアクリル酸変性樹脂であることを特徴とする。
第8発明の樹脂複合材は、プラスチックと、プラスチック用添加材と、を含み、前記プラスチック用添加材が、繊維表面の少なくとも一部に酸変性樹脂からなる酸変性樹脂層が形成された表面処理パルプであることを特徴とする。
第9発明の樹脂複合材は、第8発明において、前記酸変性樹脂は、前記表面処理パルプのパルプ表面のヒドロキシ基に対して化学的相互作用をする官能基を有し、かつプラスチックに対して分子間相容性を発揮するポリマー鎖を有する樹脂であることを特徴とする。
第10発明の樹脂複合材は、第8発明または第9発明において、前記表面処理パルプは、酸変性樹脂層のコーティング率が、0.25以下であり、該コーティング率は、常温の水に所定の量の前記表面処理パルプを加え混合し、24時間静置した後、水に沈降する表面処理パルプの割合を、前記水に混合する表面処理パルプに対する質量比(沈降する表面処理パルプの質量/水に混合する表面処理パルプの質量)で算出される値であることを特徴とする。
第11発明の樹脂複合材は、第8発明または第9発明において、木粉を含んでおり、前記表面処理パルプの含有量が、前記木粉に対して、質量比(表面処理パルプの質量/木粉の質量)で0.1以上であり、前記木粉と前記表面処理パルプの合計含有量が、前記プラスチックに対して、質量比((木粉+表面処理パルプの合計質量)/プラスチックの質量)で4.0以下であることを特徴とする。
第12発明の樹脂複合材は、第8発明または第9発明において、70日吸水後における破断伸び減少率(%)が15%以下であることを特徴とする。
第13発明の樹脂複合材は、第8発明または第9発明において、せん断速度132(1/s)における、粘度増粘が2倍以下であることを特徴とする。
第14発明のプラスチック用添加材の製造方法は、プラスチックと混ぜて使用される請求項1記載のプラスチック用添加材の製造方法であって、パルプと酸変性樹脂を加熱混練しパルプの繊維表面に酸変性樹脂層を形成する表面処理工程を含み、前記表面処理工程において、前記酸変性樹脂の配合割合が、前記パルプ100質量部に対して、1質量部以上25質量部以下となるように調整することを特徴とする。
第15発明の樹脂複合材の製造方法は、プラスチックと、パルプと、相容化樹脂と、を加熱混練するコンパウンド工程を含み、前記パルプが、繊維表面に樹脂層を有する表面処理パルプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプラスチック用添加材によれば、表面が疎水性を有するプラスチックとの相容性を向上させることができるので、プラスチックとともに添加し加熱混練することにより、プラスチックの強度を向上させることができる。そして、本発明のプラスチック用添加剤の製造方法を用いれば、本発明のプラスチック用添加材を適切に製造することができる。
本発明の樹脂複合材によれば、プラスチック中にSTパルプ繊維が均一に分散しているので、加熱時における流動性を向上させることができる。そして、本発明の樹脂複合材の製造方法を用いれば、本発明の樹脂複合材を適切に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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