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公開番号2025145657
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-03
出願番号2024045950
出願日2024-03-22
発明の名称血液凝固第XIII因子活性値決定方法
出願人KMバイオロジクス株式会社
代理人個人,個人
主分類C12Q 1/32 20060101AFI20250926BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】FXIII-GLDH法を前提とすることで第XIII因子活性値に応じた物性値の測定に要する作業性の改善を図りながらも、血漿に比して第XIII因子が精製された状態や濃縮された状態にある製品や中間品の第XIII因子活性値を検体組成の影響を受けることなく正確に決定できる方法を提供する。
【解決手段】被験試料に含まれる未知の第XIII因子活性値を、既知の基準試料と被験試料の物性値の比較により決定する方法であって、前記物性値は、FXIII-GLDH法において消費されるNAD(P)H若しくはNAD(P)H類縁体又は生成されるNAD(P)若しくはNAD(P)類縁体の単位時間あたりの変化量に相応する物性値であり、前記基準試料及び被験試料には、2.0~4.0mg/mLの濃度でフィブリノゲンを含有させることとした。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
血漿以外の被験試料に含まれる未知の血液凝固第XIII因子(第XIII因子)活性値を、第XIII因子活性既知の基準試料と被験試料の物性値の比較により決定する方法であって、
前記物性値は、グルタミン残基を有する第XIII因子の所定の基質とグリシンエチルエステルとをカルシウムイオンとトロンビンとの存在下で前記被験試料又は基準試料中の第XIII因子により反応させてアンモニアを生成させつつ、同アンモニアとα-ケトグルタル酸とをNAD(P)H又はNAD(P)H類縁体の存在下でグルタミン酸デヒドロゲナーゼにより反応させることで消費されるNAD(P)H若しくはNAD(P)H類縁体又は生成されるNAD(P)若しくはNAD(P)類縁体の単位時間あたりの変化量に相応する物性値であり、
前記基準試料及び被験試料には、2.0~4.0mg/mLの濃度でフィブリノゲンを含有させたことを特徴とする第XIII因子活性値決定方法。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
被験物品(ただし、血漿を除く。)より調製した被験試料(ただし、血漿を除く。)に含まれる未知の血液凝固第XIII因子(第XIII因子)活性値に応じた物性値を測定して、基準試料に含まれる既知の第XIII因子活性値に応じた物性値と比較することにより、前記被験物品又は前記被験試料中の第XIII因子活性値を決定する方法であって、
前記被験試料及び基準試料における第XIII因子活性値に応じた物性値は、グルタミン残基を有する前記第XIII因子の所定の基質とグリシンエチルエステルとをカルシウムイオンとトロンビンとの存在下で前記被験試料又は基準試料中の第XIII因子により反応させてアンモニアを生成させつつ同アンモニアとα-ケトグルタル酸とをNAD(P)H又はNAD(P)H類縁体の存在下でグルタミン酸デヒドロゲナーゼにより反応させることで消費されるNAD(P)H若しくはNAD(P)H類縁体又は生成されるNAD(P)若しくはNAD(P)類縁体の単位時間あたりの変化量に相応する物性値であり、
前記基準試料は、1mLの正常血漿中の第XIII因子の活性を1単位とした場合に、予め設定した測定点試料活性目標値に合致させた既知の第XIII因子活性値を有する1つの測定点試料又は複数のそれぞれ異なる測定点試料活性目標値に合致させた既知の第XIII因子活性値を有する複数の測定点試料により構成し、
前記被験物品及び被験試料は第XIII因子活性値が予め予測されたものであり、前記測定点試料が1つの場合には当該測定点試料の第XIII因子活性値を被験試料活性目標値とする一方、前記測定点試料が複数の場合には前記基準試料のうち最大の第XIII因子活性を有する測定点試料の活性値から最小の第XIII因子活性を有する測定点試料の活性値までの範囲内より選択される値を被験試料活性目標値として、前記第XIII因子活性の予測値が前記被験試料活性目標値となるよう前記被験試料を調製し、
前記基準試料及び被験試料には、2.0~4.0mg/mLの濃度でフィブリノゲンを含有させたことを特徴とする第XIII因子活性値決定方法。
【請求項3】
前記測定点試料活性目標値は1.0単位/mLに設定し、
前記基準試料は、第XIII因子活性値を1.0単位/mLとした1つの測定点試料にて構成することを特徴とする請求項2に記載の第XIII因子活性値決定方法。
【請求項4】
前記測定点試料活性目標値は0.5単位/mLと、1.0単位/mLと、1.5単位/mLに設定し、
前記基準試料は、第XIII因子活性値を0.5単位/mLと、1.0単位/mLと、1.5単位/mLとした3つの測定点試料にて構成することを特徴とする請求項2に記載の第XIII因子活性値決定方法。
【請求項5】
前記反応は、37℃にて行うことを特徴とする請求項2に記載の第XIII因子活性値決定方法。
【請求項6】
前記被験試料及び基準試料における第XIII因子活性値に応じた物性値は、前記反応により消費されるNADHの波長340nmにおける1分間あたりの吸光度の変化量であり、
同変化量は、前記反応の開始5分後と10分後にそれぞれ測定した吸光度の差を5で割った商として求めることを特徴とする請求項2に記載の第XIII因子活性値決定方法。
【請求項7】
請求項2に記載の第XIII因子活性値決定方法にて使用する前記被験試料の調製方法であって、
前記被験物品は、第XIII因子活性の予測値が1.5単位/mLを上回る高活性被験物品であり、
前記被験試料は、オーレンベロナール緩衝液に2.0~4.0mg/mLの濃度でフィブリノゲンを含有させたフィブリノゲン試液を使用して前記高活性被験物品を希釈し調製することを特徴とする被験試料の調製方法。
【請求項8】
前記高活性被験物品の第XIII因子活性の予測値が10.0単位/mLを上回る場合には、
オーレンベロナール緩衝液に0.5w/v% HSA及び/又は0.1v/v%Tween20を含有させた検体希釈液により第XIII因子活性の予測値が前記被験試料活性目標値の10倍となるよう希釈して被験中間希釈試料を調製し、
次いで、第XIII因子活性の予測値が前記被験試料活性目標値となるよう前記被験中間希釈試料を前記フィブリノゲン試液により10倍希釈して被験試料を調製することを特徴とする請求項7に記載の被験試料の調製方法。
【請求項9】
前記フィブリノゲン試液のフィブリノゲン濃度は2.5mg/mLであることを特徴とする請求項7に記載の被験試料の調製方法。
【請求項10】
請求項2に記載の第XIII因子活性値決定方法にて使用する前記測定点試料の調製方法であって、
前記測定点試料は、オーレンベロナール緩衝液に2.0~4.0mg/mLの濃度でフィブリノゲンを含有させたフィブリノゲン試液を使用して前記測定点試料活性目標値よりも大きな既知の第XIII因子活性値を有する標準物質を希釈し調製することを特徴とする測定点試料の調製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、血液凝固第XIII因子(以下、単に第XIII因子ともいう。)の活性値決定方法、被験試料の調製方法、測定点試料の調製方法及び血液製剤の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
第XIII因子は、血液の止血機構においてフィブリンの安定化に寄与する重要な因子である。
【0003】
第XIII因子は、主に血漿、血小板及び胎盤に存在しており、これを製剤化した第XIII因子製剤は、臨床適用での止血作用における重要因子として、先天性ないしは後天性の第XIII因子欠損症及び減少症への補充とともに、一般外科手術後の創傷治癒促進に大きな効果をもたらしている。
【0004】
また第XIII因子は、単剤としての第XIII因子製剤だけではなく、手術において組織の接着・閉鎖に用いられる生体組織接着剤の有効成分の一つとしても医薬品化されている。
【0005】
第XIII因子の活性値の代表的な測定方法(決定方法)としては、フィブリン凝塊の溶解度(クロット溶解)に基づく方法や、取り込まれたアミン量に基づく方法(アミン取り込み法)、生成したアンモニア量に基づく方法の3つが挙げられる。その他にも、フィブリノゲンがトロンビンによりフィブリンとなり、活性化第XIII因子によりフィブリンが架橋されフィブリン塊となる反応を第XIII因子活性に依存した凝固時間として測定する方法も報告されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、上記代表的な3つの方法のうち、クロット溶解に基づく方法(非特許文献1)は、血漿サンプルを塩化カルシウム又はトロンビンで凝固させたクロット(フィブリン塊)が5mol/L尿素液、2%酢酸又は1%モノクロール酢酸によって溶解するか否かを評価することによる定性的な結果、またサンプルの希釈系列作製後に評価を行っても半定量的な結果しか得られないため、一般的にはアミン取り込み法か、生成したアンモニア量に基づく方法が使用される。
【0007】
アミン取り込み法は、イアトロ(登録商標)-FL FXIIIキットとして商品化実績のある方法(特許文献2)だが、このキットは既に販売を終了している。従って、被験試料中の第XIII因子活性値の決定に際しては、カゼイン溶液、トロンビンとモノダンシルカダベリンとカルシウムとの混合溶液、およびマレイミド溶液の調製が必要である。
【0008】
各試薬の調製後は、まず被験試料とカゼイン溶液を混合し、56℃にて4分間処理を行うことで被験試料中のフィブリノゲンの変性除去を行い、次に氷冷後、トロンビンとモノダンシルカダベリンとカルシウムとの混合溶液を添加し、37℃にて10分間反応させることで第XIII因子を活性化させ、蛍光物質であるモノダンシルカダベリンをカゼインに取り込ませる。次に、マレイミドの添加で反応を停止させ、ゲルろ過カラムにより遊離のモノダンシルカダベリンからモノダンシルカダベリン-ジメチルカゼインの複合体を溶出液として分取し、同複合体に取り込まれたモノダンシルカダベリンに由来する蛍光強度(emission 510 nm;excitation 335 nm)を測定することで、同様に標準ヒト血漿を用いて測定した蛍光強度に基づく検量線と対比して活性値を計算し決定する。
【0009】
このように、アミン取り込み法は、第XIII因子活性値に応じた物性値として複合体に取り込まれたモノダンシルカダベリンに由来する蛍光強度の値を測定する方法であり、物性値として得たこの蛍光強度の値に基づいて第XIII因子活性値の決定が行われる。
【0010】
また、上記3番目の生成したアンモニア量に基づく方法(特許文献3)は、Siemens Healthineers社により、「ベリクローム(登録商標)FXIII/Berichrom(登録商標) FXIII」の商品名で、測定の対象を血漿に特化させたキットとして商品化されている(非特許文献2)。
(【0011】以降は省略されています)

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