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公開番号2025134630
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-17
出願番号2025006790
出願日2025-01-17
発明の名称チョウ目昆虫におけるRNAi効率の向上剤、及びチョウ目昆虫の防除剤
出願人国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 15/113 20100101AFI20250909BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】経皮投与によっても効果が得られる、チョウ目昆虫におけるRNAi効率の向上剤、及びチョウ目昆虫の防除剤を提供すること。
【解決手段】チョウ目昆虫における、目的遺伝子に対するRNAi効率の向上剤であり、所定の遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含有し、上記所定の遺伝子が、チョウ目昆虫の目的遺伝子、二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、並びに、PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子、及び/又は、皮膚のキチン合成に関与する酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子を含む、向上剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
チョウ目昆虫における、目的遺伝子に対するRNAi効率の向上剤であり、
所定の遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含有し、前記所定の遺伝子が、
前記目的遺伝子、
二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、並びに、
PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子、及び/又は、
皮膚のキチン合成に関与する酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子を含む、向上剤。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記所定の遺伝子が、
前記目的遺伝子、前記二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、及び前記PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子を含むか、又は、
前記目的遺伝子、前記二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、前記PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子、及び前記皮膚のキチン合成に関与する酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子を含む、請求項1に記載の向上剤。
【請求項3】
前記二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子が3種類以上である、請求項1に記載の向上剤。
【請求項4】
前記二本鎖RNA分解酵素が、dsRNaseを含む、請求項1に記載の向上剤。
【請求項5】
前記PINドメインを有する核酸分解酵素が、REase並びに/又はPINドメイン及び膜貫通ドメイン含有タンパク質(PTDCP)を含む、請求項1に記載の向上剤。
【請求項6】
前記皮膚のキチン合成に関与する酵素が、キチン合成酵素A、及びUDP-N-アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを含む、請求項1に記載の向上剤。
【請求項7】
前記ナノ粒子がカーボン系ナノ粒子を含む、請求項1に記載の向上剤。
【請求項8】
前記ナノ粒子がキトサン系ナノ粒子を含む、請求項1に記載の向上剤。
【請求項9】
前記界面活性剤がカチオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の向上剤。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の向上剤において、
前記目的遺伝子が、チョウ目昆虫の発育、生存、発生及び/又は生殖に関与する少なくとも一つの遺伝子である、前記チョウ目昆虫の防除剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、チョウ目昆虫におけるRNAi効率の向上剤、及びチョウ目昆虫の防除剤に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
チョウ目昆虫は農業害虫の約70%を占める重要害虫であり、近年化学農薬に対する抵抗性を発達させた個体群も出現している。生産性向上と環境への安全性を両立する新規防除法として、化学農薬より標的種への特異性が高いRNA農薬の開発が期待されている。しかし、チョウ目害虫はコウチュウ目及びカメムシ目害虫に比較して、RNA干渉(RNAi)の効果が著しく低く、また、経口投与以外の方法、例えば皮膚に二本鎖RNAを塗布する経皮投与法も未開発である。
【0003】
食害性のチョウ目害虫では、餌に混ぜて二本鎖RNAを経口摂取させる方法が試みられているが、消化管又は細胞内での強いRNA分解活性に阻害され、十分な致死効果は得られにくい。消化管内での分解を避ける手段として、二本鎖RNAの経皮投与がある。吸汁性害虫では単に作物表面にRNAを散布しても摂取しないため、ナノ粒子や界面活性剤を用いて害虫に直接dsRNAを皮膚に塗布する方法が開発中であり、一部のカメムシ目昆虫で成功例が報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
ZhangYH, et al., “Nanocarrier-delivered dsRNA suppresseswing development of green peach aphids.” Insect Sci.2022 Jun;29(3):669-682. Epub2021 Oct 13.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、チョウ目害虫の皮膚に、非特許文献1に記載の方法で二本鎖RNAを塗布しても、RNAiの効果は得られない。また、チョウ目害虫による作物の食害は90%が終齢幼虫によるものであり、終齢以前に致死させることが防除に重要である。しかしながら、経口摂取によるRNAiでは、チョウ目幼虫の発育遅延や蛹化阻害の効果は報告されるものの、若齢幼虫期に致死させる効果は低く、食害を低減する防除法が不十分である。
【0006】
本発明は、経皮投与によっても効果が得られる、新規なチョウ目昆虫における目的遺伝子に対するRNAi効率の向上剤、及びチョウ目昆虫の防除剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、チョウ目昆虫の発育に関与する遺伝子を含む、所定の遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を形成し、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua、和名:シロイチモジヨトウ)の皮膚に滴下したところ、チョウ目昆虫の発育に関与する遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAのみ導入した場合と比べて、スポドプテラ・エクシグアの死亡率が向上することを見出した。本発明はこの新規な知見に基づくものである。
【0008】
すなわち、本発明は、例えば以下の各発明に関する。
[1]
チョウ目昆虫における、目的遺伝子に対するRNAi効率の向上剤であり、
所定の遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含有し、上記所定の遺伝子が、
上記目的遺伝子、
二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、並びに、
PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子、及び/又は、
皮膚のキチン合成に関与する酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子を含む、向上剤。
[2]
上記所定の遺伝子が、
上記目的遺伝子、上記二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、及び上記PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子を含むか、又は、
上記目的遺伝子、上記二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、上記PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子、及び上記皮膚のキチン合成に関与する酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子を含む、[1]に記載の向上剤。
[3]
上記二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子が3種類以上である、[1]又は[2]に記載の向上剤。
[4]
上記二本鎖RNA分解酵素が、dsRNaseを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の向上剤。
[5]
上記PINドメインを有する核酸分解酵素が、REase並びに/又はPINドメイン及び膜貫通ドメイン含有タンパク質(PTDCP)を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の向上剤。
[6]
上記皮膚のキチン合成に関与する酵素が、キチン合成酵素A、及びUDP-N-アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを含む、[1]~[5]のいずれかに記載の向上剤。
[7]
上記ナノ粒子がカーボン系ナノ粒子を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の向上剤。
[8]
上記ナノ粒子がキトサン系ナノ粒子を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の向上剤。
[9]
上記界面活性剤がカチオン性界面活性剤を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の向上剤。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の向上剤において、
上記目的遺伝子が、チョウ目昆虫の発育、生存、発生及び/又は生殖に関与する少なくとも一つの遺伝子である、上記チョウ目昆虫の防除剤。
[11]
チョウ目昆虫における、目的遺伝子に対するRNAi効率を向上させる方法であり、
所定の遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含有する組成物を、チョウ目昆虫に導入することを含み、上記所定の遺伝子が、
上記目的遺伝子、
二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、並びに、
PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子、及び/又は、
皮膚のキチン合成に関与する酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子である、上記標的の遺伝子に対するRNAi効率を向上させる方法。
[12]
植物体においてチョウ目昆虫を防除する方法であり、
所定の遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含有する組成物を、チョウ目昆虫に導入することを含み、上記所定の遺伝子が、
チョウ目昆虫の発育、生存、発生及び/又は生殖に関与する少なくとも一つの遺伝子、
二本鎖RNA分解酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子、並びに、
PINドメインを有する核酸分解酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子、及び/又は、
皮膚のキチン合成に関与する酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子である、植物体においてチョウ目昆虫を防除する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、経皮投与によっても効果が得られる、新規なチョウ目昆虫におけるRNAi効率の向上剤、及びチョウ目昆虫の防除剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含む溶液を塗布した場合の、シロイチモジヨトウの死亡率を評価した結果を示すグラフである。
二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含む溶液を塗布した場合の、シロイチモジヨトウの死亡率を評価した結果を示すグラフである。
二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含む溶液を塗布した場合の、シロイチモジヨトウの死亡率を評価した結果を示すグラフである。
二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含む溶液を塗布した場合の、シロイチモジヨトウの死亡率を評価した結果を示すグラフである。
二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含む溶液を塗布した場合の、ハスモンヨトウの死亡率を評価した結果を示すグラフである。
二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含む溶液を塗布した場合の、シロイチモジヨトウの死亡率を評価した結果を示すグラフである。
二本鎖RNAと、ナノ粒子と、界面活性剤との複合体を含む溶液を塗布した場合の、シロイチモジヨトウの死亡率を評価した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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