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公開番号2025130261
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-08
出願番号2024027314
出願日2024-02-27
発明の名称正極活物質の再生方法
出願人川崎重工業株式会社
代理人弁理士法人有古特許事務所
主分類H01M 10/54 20060101AFI20250901BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】使用済みのリチウムイオン二次電池の正極活物質の再生処理において、水熱処理中の正極活物質の細粒化を抑制することにより、再生された正極活物質の比容量の低下を抑制する。
【解決手段】正極活物質の再生方法は、リチウムと遷移金属の複合酸化物を含む正極活物質、導電材、及び、熱可塑性フッ素樹脂を含むバインダーからなる正極合材に、粉砕を含む前処理をすること、前処理後の正極合材を、バインダーの熱分解により発生するフッ化水素と正極活物質との反応を抑制しながら、リチウムイオンを含む水溶液中で水熱処理すること、水熱処理後の正極合材を洗浄すること、洗浄後の正極合材を焼成すること、及び、焼成後の正極合材を冷却すること、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
使用済みのリチウムイオン二次電池の正極活物質を再生する方法であって、
リチウムと遷移金属の複合酸化物を含む前記正極活物質、導電材、及び、熱可塑性フッ素樹脂を含むバインダーからなる正極合材に、粉砕を含む前処理をすること、
前記前処理後の前記正極合材を、前記バインダーの熱分解により発生するフッ化水素と前記正極活物質との反応を抑制しながら、リチウムイオンを含む水溶液中で水熱処理すること、
前記水熱処理後の前記正極合材を洗浄すること、
洗浄後の前記正極合材を焼成すること、及び、
焼成後の前記正極合材を冷却すること、を含む、
正極活物質の再生方法。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記前処理で前記正極合材から前記バインダーを除去して、前記水熱処理中の前記フッ化水素の発生を抑制することにより、前記水熱処理中の前記フッ化水素と前記正極活物質との反応を抑制する、
請求項1に記載の正極活物質の再生方法。
【請求項3】
前記正極活物質が溶解せず且つ前記バインダーが溶解する溶剤で前記正極合材を洗浄することにより、前記正極合材から前記バインダーを除去する、
請求項2に記載の正極活物質の再生方法。
【請求項4】
前記正極合材を前記バインダーの熱分解温度以上の温度で焼成することにより、前記正極合材から前記バインダーを除去する、
請求項2に記載の正極活物質の再生方法。
【請求項5】
前記水熱処理において前記水溶液中の前記リチウムイオンを前記正極活物質を再生するための量に対し過剰として、前記水熱処理中に発生した前記フッ化水素を前記リチウムイオンと反応させることにより、前記水熱処理中の前記フッ化水素と前記正極活物質との反応を抑制する、
請求項1又は2に記載の正極活物質の再生方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、使用済みリチウムイオン二次電池の正極活物質の再生方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、一般に、コバルト酸リチウムなどのリチウムと遷移金属の複合酸化物を正極活物質とする正極と、炭素系材料を負極活物質とする負極と、負極と正極の間に満たされた電解質と、正極、負極及び電解質を封入したハウジングとを備える。正極及び負極の各電極は、集電体となるアルミニウム箔や銅箔などの金属箔に電極合材が塗工されたものである。電極合材は、活物質、導電材、及びバインダーから構成される。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂からなる熱可塑性樹脂が例示される。
【0003】
資源保全の観点から、使用済みリチウムイオン二次電池のリサイクル技術の開発が活発である。近年では、ダイレクトリサイクルと称される使用済みリチウムイオン二次電池のリサイクルプロセスが提案されている。ダイレクトリサイクルでは、使用済みリチウムイオン二次電池を分解して電池の構成要素を個別に取り出し、構成要素の一つである正極活物質を出発原料に戻さずに再生してリユースする。
【0004】
リチウムイオン二次電池が充放電を繰り返すと、正極活物質は、結晶の構造が一部崩れて、本来Li

のあるサイトに遷移金属元素が入り込むことで比容量が低下する。ダイレクトリサイクルにおける正極活物質の再生では、結晶構造を修復することによって正極活物質の機能を回復させる。このような正極活物質の再生を含む、使用済みリチウムイオン二次電池のリサイクル方法が特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1に開示された使用済みリチウムイオン二次電池の正極活物質のリサイクル方法は、(i)正極をアルカリ性媒体中で機械的に粉砕することにより、集電体から正極合材を分離するとともに正極合材を粒子状に粉砕する工程、(ii)粉砕された正極合材に由来する固体を収集して液体で濯ぐことにより、収集された固体からアルカリ性媒体及び電解質を除去する工程、(iii)濯いだ固体を乾燥及び粉砕する工程、(iv)粉砕された固体を濃縮された水酸化リチウム水溶液中で水熱処理する工程、(v)水熱処理後の固体を水酸化リチウム水溶液から分離する工程、(vi)水酸化リチウム水溶液から分離された固体をアルカリ性液体で濯ぐ工程、(vii)濯いだ固体を乾燥及び粉砕したのち焼成する工程、(viii)焼成した固体を不活性雰囲気中で冷却することにより再生された正極活物質を得る工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
米国特許第9825341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の発明者らにより、特許文献1の使用済みリチウムイオン二次電池の正極活物質のリサイクル方法において、水熱処理中に正極活物質が意図せずに細粒化され、その結果、再生された正極活物質の比容量が使用前のリチウムイオン二次電池の正極活物質と比べて著しく低下するケースが確認されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の発明者らは、再生された正極活物質の比容量の低下の原因について鋭意検討を行った結果、正極合材の水熱処理において、バインダーとしてのフッ化樹脂が高温且つアルカリ性条件下で熱分解して脱フッ化水素反応が生じ、脱フッ化水素反応で生成したフッ化水素が正極活物質を侵食し、正極活物質の細粒化を引き起こしていることを見出した。
【0009】
本開示は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用済みリチウムイオン二次電池の正極活物質のリサイクル方法において、水熱処理中の正極活物質の細粒化を抑制することにより、再生された正極活物質の比容量の低下を抑制することにある。
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る使用済みリチウムイオン二次電池の正極合材を再生する方法は、
リチウムと遷移金属の複合酸化物を含む前記正極活物質、導電材、及び、熱可塑性フッ素樹脂を含むバインダーからなる正極合材に、粉砕を含む前処理をすること、
前記前処理後の前記正極合材を、前記バインダーの熱分解により発生するフッ化水素と前記正極活物質との反応を抑制しながら、リチウムイオンを含む水溶液中で水熱処理すること、
前記水熱処理後の前記正極合材を洗浄すること、
洗浄後の前記正極合材を焼成すること、及び、
焼成後の前記正極合材を冷却すること、を含むものである。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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