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公開番号
2025116885
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-12
出願番号
2024010746
出願日
2024-01-29
発明の名称
位相差測定方法、原子波干渉計、角速度測定方法、原子波干渉計型ジャイロスコープ
出願人
国立大学法人東京科学大学
,
日本航空電子工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
G01C
19/64 20060101AFI20250801BHJP(測定;試験)
要約
【課題】ロックイン検波による原子干渉波の位相信号抽出はすぐれた測定方法だが、原子波干渉計の位相信号抽出方法にはさらなる改善が望まれる。
【解決手段】上記課題を解決する位相差測定方法は、原子波を第1のラマンビームで分離し、第2のラマンビームで反射し、第3のラマンビームで再び分離して干渉させる原子波干渉計を用いた位相差測定方法である。第2のラマンビームにオフセット位相と、振幅β、角周波数ωの振動位相を与えて原子波の位相を変調する。原子数測定器で原子干渉波の強度信号Iを測定する。強度信号Iのω成分と2ω成分と振幅βから観測位相差Φを算出する。観測位相差Φからオフセット位相を差し引いた値を測定位相差として算出する。cosΦ=-1となるようにオフセット位相をフィードバック制御する。
【選択図】図11
特許請求の範囲
【請求項1】
原子波を第1のラマンビームで分離し、第2のラマンビームで反射し、第3のラマンビームで再び分離して干渉させる原子波干渉計を用いた位相差測定方法であって、
前記第2のラマンビームにオフセット位相と、振幅β、角周波数ωの振動位相を与えて原子波の位相を変調し、
原子数測定器で原子干渉波の強度信号Iを測定し、
前記強度信号Iのω成分と2ω成分と前記振幅βから観測位相差Φを算出し、
前記観測位相差Φから前記オフセット位相を差し引いた値を測定位相差として算出し、
cosΦ=-1となるように前記オフセット位相をフィードバック制御する
位相差測定方法。
続きを表示(約 870 文字)
【請求項2】
ラマンビーム生成部と、
原子線源と、
原子数測定器と、
信号処理部と、を備え、
前記ラマンビーム生成部は、
レーザー光源と、分波器と、周波数シフタと、変調器と、を備え、
前記信号処理部は、
基本波成分抽出部と、二倍波成分抽出部と、位相演算部と、変調信号生成部と、
を備える原子波干渉計。
【請求項3】
原子波を第1のラマンビームで分離し、第2のラマンビームで反射し、第3のラマンビームで再び分離して干渉させる原子波干渉計を二重に用いた角速度測定方法であって、
前記第2のラマンビームにオフセット位相と、振幅β、角周波数ωの振動位相を与えて原子波の位相を変調し、
第1原子数測定器で第1原子干渉波の強度信号I
R
を測定し、
前記強度信号I
R
のω成分と2ω成分と前記振幅βから第1観測位相差Φ
R
を算出し、
cosΦ
R
=-1となるように前記オフセット位相をフィードバック制御し、
第2原子数測定器で第2原子干渉波の強度信号I
L
を測定し、
前記強度信号I
L
のω成分と2ω成分と前記振幅βから第2観測位相差Φ
L
を算出し、
前記第2観測位相差Φ
L
から角速度Ωを算出する
角速度測定方法。
【請求項4】
ラマンビーム生成部と、
2つの原子線源と、
2つの原子数測定器と、
信号処理部と、を備え、
前記ラマンビーム生成部は、
レーザー光源と、分波器と、周波数シフタと、変調器と、を備え、
前記信号処理部は、
2つの基本波成分抽出部と、2つの二倍波成分抽出部と、2つの位相演算部と、変調信号生成部と、角速度算出部と、
を備えるジャイロスコープ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
開示技術は、原子線を用いた、マッハ・ツェンダー型原子波干渉計と、それを応用したジャイロスコープに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
[波の干渉]
図1を用いて波の干渉について説明する。
図1(a)は、波の山と谷がそろった波を重ね合わせると、2つの波が強めあう様子を示す。図1(b)は波の山と谷が反対向きの波を重ね合わせると、2つの波が打ち消し合う様子を示す。
このように、波のタイミング(=位相)がずれると、強め合いや打ち消し合いが起こる。これを「波の干渉」という。重なった波の大きさにより位相差を精密測定できる装置を干渉計という。
【0003】
[レーザー干渉計型ジャイロスコープ]
図2を用いてレーザー干渉計型ジャイロスコープについて説明する。なお、ジャイロスコープとは角速度を測定する装置であり、図2のx-y平面内での干渉計の回転を検知することができる。
レーザー光源の出力が式(1)だったとする。
TIFF
2025116885000002.tif
13
169
E
0
は光の振幅、ωは光の角周波数である。
簡単のため、ハーフミラー21で光は等分されるものとする。経路1を通ってハーフミラー23から出力する光が式(2)、経路2を通ってハーフミラー23から出力する光が式(3)だったとする。
TIFF
2025116885000003.tif
20
169
TIFF
2025116885000004.tif
20
169
φ1、φ2は経路1と経路2の長さによる位相変化を表す。出力光は次のようになる。
TIFF
2025116885000005.tif
20
169
ここで、Δφ=φ1-φ2とおいた。式(4)の包絡線強度Ienvは、
TIFF
2025116885000006.tif
22
169
つまり、干渉計から出力される光は、経路1と経路2の位相差Δφに従って明滅する。
【0004】
[サニャック効果]
経路1と経路2の長さを等しくして、ジャイロスコープを光経路面内で(x-y平面内で)回転させることを考える。光の波長をλ、速度をc、干渉計の面積をA、前記回転運動の角速度をΩとすると、干渉計で観測される位相差Δφは次式で与えられる(非特許文献1)。
TIFF
2025116885000007.tif
20
169
この位相差はサニャック位相と呼ばれる。式(5)、式(6)から、光の強度Ienvを測定することで、角速度Ωが次のように計算できる。
TIFF
2025116885000008.tif
23
169
【0005】
[原子波]
音や光は波の性質を示すことがよく知られているが、量子力学によれば、原子もまた波の性質を示す。λを物質波の波長λ
M
で、cを原子の速度vで置き換えれば、式(7)は原子波についても成り立つ。
さて、式(7)を見ると、λ×cの値が小さいほど、角速度Ωの分解能が高いことが分かる。光の波長の例としてλ=500nm(緑色光)とすると、光速c=3×10
8
m/sなので、
TIFF
2025116885000009.tif
14
169
原子の質量をM、速度をvとすると、
TIFF
2025116885000010.tif
22
169
ただし、hはプランク定数(6.63×10
-34
Js)である。
カルシウム原子(M=6.66×10
-26
kg)についてh/Mを計算してみると、およそ1×10
-8
m
2
/sとなる。つまり、レーザー光に代えて原子波を使うと、10桁ほど度高感度なジャイロスコープが実現できる。
【0006】
[原子波干渉計]
ラマン散乱による原子の反跳を利用すると、原子波を用いたマッハ・ツェンダー干渉計を構成することができる(非特許文献1)。
【0007】
<ラマン散乱>
ラマン散乱は光子と原子の非弾性衝突である。図3を用いて説明する。
図3(a)は、原子が周波数ω
1
の光子を吸収し、周波数ω
2
(ω
1
>ω
2
)の光子を放出する過程を示す。散乱の結果、原子は(h/2π)(k
1
+k
2
)=(h/2πc)(ω
1
+ω
2
)の運動量を獲得する。なお、
TIFF
2025116885000011.tif
20
169
は、いわゆるディラック定数であるが、明細書の表記の都合により、数式以外では(h/2π)と表記する。
図3(b)は、原子が周波数ω
2
の光子を吸収し、周波数ω
1
(ω
1
>ω
2
)の光子を放出する過程を示す。散乱の結果、原子は(h/2π)(k
1
+k
2
)の運動量を失う。
【0008】
以下、原子線源で生成された原子の量子力学的状態を|g>、ラマン散乱で励起され、かつ運動量(h/2π)(k
1
+k
2
)を獲得した原子の量子力学的状態を|e>と表す。
|g>から|e>または|e>から|g>への遷移確率は、ラマンビームと原子の相互作用時間により調整できる(非特許文献1)。
【0009】
<マッハ・ツェンダー干渉計>
上記のラマン散乱を利用してマッハ・ツェンダー干渉計を構成する。図4を用いて説明する。
原子線源41と干渉波検出器42の間に、ラマンビームを3つ配置する。
原子線源41からは、x方向に運動量Mv
0
を持つ状態|g>の原子波が供給されるものとする。各ラマンビームは、周波数ω
1
のレーザー光と周波数ω
2
のレーザー光を対向させて形成する。
第1ラマンビーム43は、状態|g>の原子波を「部分的に」状態|e>に遷移させる。状態|e>となった原子波は、y方向に運動量(h/2π)(k
1
+k
2
)を得て、P→Q方向に進む。状態|g>にとどまった原子波は、運動量が変わらないので、P→R方向に進む。つまり、第1ラマンビームは、原子波のスプリッタとして機能する。
【0010】
第2ラマンビーム44は、状態|e>の原子波を「完全に」状態|g>に遷移させる。また、状態|g>の原子波を「完全に」状態|e>に遷移させる。
状態|g>に遷移した原子波は、y方向に運動量(h/2π)(k
1
+k
2
)を失って、Q→S方向に進む。状態|e>に遷移した原子波は、y方向に運動量(h/2π)(k
1
+k
2
)を得て、R→S方向に進む。つまり、第2ラマンビームは、原子波のミラーとして機能する。
(【0011】以降は省略されています)
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