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公開番号2025106356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-15
出願番号2025060956,2023514911
出願日2025-04-02,2021-09-06
発明の名称夾雑リパーゼ活性を検出する方法
出願人ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
代理人弁理士法人 津国
主分類C12Q 1/34 20060101AFI20250708BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】組換えタンパク質のサンプル中の夾雑リパーゼ活性を検出する方法およびそのためのキットを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのサンプルを、(i)約pH4から約pH9のpHを有する緩衝液、(ii)エステル結合を有しない非変性性界面活性剤(非イオン性又は双性イオン性界面活性剤である)、(iii)発色団4-メチルウンベリフェリル(4-MU)を、4-MUエステルの形で含む基質(飽和非分岐鎖脂肪酸(C6~C16)4-MUエステルである)、及び(iv)任意選択的に、非緩衝性塩を含む反応溶液と接触させる工程;前記サンプル及び前記基質を、前記反応混合物中でインキュベートする工程;並びに4-MUエステルの加水分解を測定すると共に、放出された発色団4-MUの蛍光強度を検出することによって、夾雑リパーゼ活性を検出する工程を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
組換えタンパク質を含むサンプル中のリパーゼ活性を検出する方法であって、下記(a)~(d):
(a)真核細胞中で産生された組換えタンパク質を含む少なくとも1つのサンプルを提供する工程;
(b)前記少なくとも1つのサンプルを反応溶液と接触させて、反応混合物を形成する工程であって、前記反応溶液は、下記(i)~(iv):
(i)約pH4から約pH9のpHを有する緩衝液、
(ii)エステル結合を有しない非変性性界面活性剤(前記界面活性剤は、非イオン性又は双性イオン性界面活性剤である)、
(iii)発色団4-メチルウンベリフェリル(4-MU)を、4-MUエステルの形で含む基質(前記4-MUエステルは、飽和非分岐鎖脂肪酸(C

~C
16
)4-MUエステルである)、及び
(iv)任意選択的に、非緩衝性塩
を含む工程;
(c)前記サンプル及び前記基質を、前記反応混合物中でインキュベートする工程;
(d)前記4-MUエステルの加水分解を測定すると共に、前記放出された発色団4-MUの蛍光強度を検出することによって、リパーゼ活性を検出する工程;
任意選択的に、工程(c)にしたがって前記サンプル及び前記基質を前記反応混合物中でインキュベートしながら、前記放出された発色団4-MUの蛍光強度を経時的に検出することによって、加水分解を測定する工程
を含む方法。
続きを表示(約 3,300 文字)【請求項2】
前記混合物中の前記サンプル及び前記基質が、2分と5時間未満の間、2分と3時間未満の間、2分と2時間未満の間、又は2分と0.5時間未満の間のいずれかの時間インキュベートされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基質が、4-メチルウンベリフェリル オクタノアート、4-メチルウンベリフェリル ノナノアート、4-メチルウンベリフェリル デカノアート(4-MUD)、4-メチルウンベリフェリル ウンデカノアート及び4-メチルウンベリフェリル ドデカノアートからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
先行する請求項のいずれか1項に記載の方法であって、
(a)前記界面活性剤が、その前記反応混合物中の臨界ミセル濃度よりも高い、前記反応混合物中の最終濃度を有する;及び/又は
(b)前記界面活性剤が、
(i)CHAPS、CHAPSO、及びZwittergentからなる群より選択され、好ましくはCHAPSである;又は
(ii)CHAPSであり、且つ約8mMから約20mM、好ましくは約8mMから約15mM、より好ましくは約10mMの、前記反応混合物中の最終濃度で提供される;又は
(iii)ポリエチレングリコールtert-オクチルフェニルエーテル(TritonX-100)ではなく、且つポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(NP-40)ではない、方法。
【請求項5】
前記緩衝液が、ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、グリシン、グリシルグリシン、コハク酸、TES(2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸))、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、トリス塩基、トリス、ビス-トリス、ビス-トリス-プロパン、ビシン(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン)、HEPES(4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、TAPS(3-([トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸)、トリシン(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)、Na

HPO

及びNaH

PO

からなる群より選択される1つ以上の緩衝性物質を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記緩衝液が、
(a)約5から約7.5のpHを有し、好ましくは、前記緩衝液は、約5.5から約7.5のpHを有する;及び/又は
(b)少なくとも約pH5から少なくとも約pH7.5、好ましくは少なくとも約pH4から少なくとも約pH8の緩衝範囲を有する多成分緩衝液である、
先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
先行する請求項のいずれか1項に記載の方法であって、
(a)前記非緩衝性塩が、NaCl、KCl及びCaCl

からなる群より選択され、好ましくは、前記非緩衝性塩が、NaCl又はKClである;及び/又は
(b)前記非緩衝性塩が、前記反応混合物中で約100mM~約200mM、好ましくは約130mMから約170mM、より好ましくは約140mMから約150mMの濃度を有する;及び/又は
(c)前記非緩衝性塩のイオン強度が、前記反応混合物中で約200mM以下、好ましくは反応混合物中で約150mM以下である;及び/又は
(d)前記反応混合物中の前記緩衝液及び前記非緩衝性塩の累積イオン強度が約450mM以下、好ましくは前記反応混合物中で約400mM以下、より好ましくは約350mM以下である、方法。
【請求項8】
先行する請求項のいずれか1項に記載の方法であって、
(a)前記少なくとも1つのサンプルが、採取した細胞培養液(HCCF)、工程内管理(IPC)サンプル、原薬サンプル又は医薬品サンプルである;及び/又は
(b)前記組換えタンパク質が、リパーゼではなく、且つ/又はリパーゼ活性を有する酵素ではない;及び/又は
(c)前記組換えタンパク質が、抗体、抗体断片、抗体由来分子及び融合タンパク質からなる群より選択される、方法
【請求項9】
関心対象の組換えタンパク質を製造する方法であって、下記工程(i)~(v):
(i)細胞培養において関心対象の組換えタンパク質を発現する真核細胞を培養する工程;
(ii)前記組換えタンパク質を採取する工程;
(iii)前記組換えタンパク質を精製する工程;及び
(iv)任意選択的に、前記組換えタンパク質を、投与に適した薬学的に許容され得る製剤に製剤化する工程;及び
(v)工程(ii)、(iii)及び/又は(iv)において、前記組換えタンパク質を含む少なくとも1つのサンプルを得る工程
を含み、
前記方法が、前記組換えタンパク質を含むサンプル中のリパーゼ活性を検出する工程をさらに含み、この工程が、下記工程(a)~(d):
(a)工程(v)の、真核細胞中で産生された前記組換えタンパク質を含む少なくとも1つのサンプルを提供する工程;
(b)前記少なくとも1つのサンプルを反応溶液と接触させて、反応混合物を形成する工程であって、前記反応溶液は、下記(i)~(iv):
(i)約pH4から約pH9のpHを有する緩衝液、
(ii)エステル結合を有しない非変性性界面活性剤(前記界面活性剤は、非イオン性又は双性イオン性界面活性剤であり、好ましくは、前記界面活性剤は、ポリエチレングリコールtert-オクチルフェニルエーテル(TritonX-100)ではなく、且つポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(NP-40)ではない))、
(iii)発色団4-メチルウンベリフェリル(4-MU)を、4-MUエステルの形で含む基質(前記4-MUエステルは、飽和非分岐鎖脂肪酸(C

~C
16
)4-MUエステルである)、及び
(iv)任意選択的に、非緩衝性塩
を含む工程;
(c)前記サンプル及び前記基質を、前記反応混合物中でインキュベートする工程;及び
(d)前記4-MUエステルの加水分解を測定すると共に、前記放出された発色団4-MUの蛍光強度を検出することによって、リパーゼ活性を検出する工程;
任意選択的に、工程(c)にしたがって前記サンプル及び前記基質を前記反応混合物中でインキュベートしながら、前記放出された発色団4-MUの蛍光強度を経時的に検出することによって、加水分解を測定する工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記組換えタンパク質を含む少なくとも1つのサンプルを、
前記サンプルが、採取した細胞培養液(HCCF)又は細胞溶解物である、工程(ii);
前記サンプルが、工程内管理(IPC)サンプルである、工程(iii);及び/又は
前記サンプルが、原薬サンプル又は医薬品サンプルである、工程(iv)
において得る工程を含み、
好ましくは、前記組換えタンパク質を含む少なくとも1つのサンプルを、工程(iii)において得る工程を含み、前記工程(iii)が、少なくとも1つのサンプルを、アフィニティークロマトグラフィーの前後、酸処理の前後、深層濾過の前後、及び/又はイオン交換クロマトグラフィーの前後に、好ましくは陰イオン交換クロマトグラフィー又は陽イオン交換クロマトグラフィーの前後に得る工程を含む、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えタンパク質のサンプル中の夾雑リパーゼ活性を検出する方法に関する。より具体的には、前記方法は、少なくとも1つのサンプル(IPCサンプルなど)を、(i)約pH4から約pH9のpHを有する緩衝液、(ii)エステル結合を有しない非変性性界面活性剤(前記界面活性剤は、非イオン性又は双性イオン性界面活性剤である)、(iii)発色団4-メチルウンベリフェリル(4-MU)を、4-MUエステルの形で含む基質(前記4-MUエステルは、飽和非分岐鎖脂肪酸(C6~C16)4-MUエステルである)、及び(iv)任意選択的に、非緩衝性塩を含む反応溶液と接触させる工程;並びに前記4-MUエステルの加水分解を測定すると共に、前記放出された発色団4-MUの蛍光強度を検出することによって、夾雑リパーゼ活性を検出する工程を含む。さらに、IPCサンプルのような、組換えタンパク質を含むサンプル中の夾雑リパーゼ活性を測定するためのキットであって、(i)約4から約9のpHを有する緩衝液、(ii)エステル結合を有しない非変性性界面活性剤(前記界面活性剤は、非イオン性又は双性イオン性界面活性剤である)、及び(iii)発色団4-メチルウンベリフェリル(4-MU)を4-MUエステルの形で含む基質(前記基質は、飽和非分岐鎖脂肪酸(C6からC16)4-MUエステルである)を含むキットが提供される。
続きを表示(約 4,600 文字)【背景技術】
【0002】
治療薬としてのタンパク質は、ここ数十年で増々一般的になってきている。モノクローナル抗体のような、治療用タンパク質を含む製剤は、しばしば100mg/mL以上の高タンパク質濃度を含有し、そしてしばしば界面活性剤の存在を必要とする。その生体適合性と低毒性のために、バイオ医薬品産業において最も広く使用されている界面活性剤は、ポリソルベート(PS)、例えばポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン モノラウラート、Tween20(商標登録))又はポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタン モノオレアート、Tween80(商標登録))である。
【0003】
ポリソルベートは、部分的に脂肪酸でエステル化された約20個の重合したエチレンオキシド部分を伴う、ソルビトール及びその無水物の不均一な混合物である。しかし、ポリソルベートは分解されやすく、そのことが製品の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。分解は、結果としてもたらされる製剤中の減少したポリソルベート濃度だけでなく、ポリソルベート分解物(脂肪酸及びポリオキシエチレン側鎖等)の不溶性物質由来の肉眼で見える粒子や肉眼では見えない(sub-visible)粒子の形成によっても、製品の品質に影響を及ぼす場合がある。ポリソルベートは、化学的又は酵素的に分解される可能性がある。化学的なポリソルベートの分解は主に酸化反応によって引き起こされ、これはとりわけアルデヒド、ケトン及び脂肪酸の生成をもたらす。酵素的なポリソルベートの分解は、ポリエトキシ化ソルビタンと脂肪酸とを結合しているエステル結合の加水分解によって特徴づけられる(Dwivedi et al., 2018, International Journal of Pharmaceutics 552:442-436)。ポリソルベートの酸化分解は長い間知られていたが、抗体製剤中のポリソルベートの酵素的加水分解は、最近になってようやく主要な分解経路の1つと考えられるようになった。近年、ポリソルベートの分解は、バイオ医薬品業界における主要な課題として浮上している。
【0004】
最終的な医薬品(drug product)(DP)中に含有される、宿主細胞タンパク質(HCP)のリパーゼ又は他の酵素の残存する加水分解活性は、ポリソルベートの分解をもたらしうることが報告されている。抗体製剤中のポリソルベートの分解におけるリパーゼの役割は、Chiuらによってさらに強調されており、この中では、リポタンパク質リパーゼ(LPL)ノックアウトCHO細胞から採取した細胞培養液(HCCF)が、PS20及びPS80の分解を野生型と比較して減少させている(Chui et al., 2017, Biotechnol. Bioeng. 114, 1006-1015)。ポリソルベートの分解に対する、個々の精製工程及び条件の影響を測定するには数週間を要するため、治療用タンパク質の生産における、上流及び特に下流の生産プロセスに、必要な変更及び適応を行うことは困難である。
【0005】
ポリソルベートの含有量及び分解は、様々な分析技術を用いて研究することができる。ポリソルベートの定量に最も一般的に使用される方法は、逆相液体クロマトグラフィー(RP-HPLCなど)であり、これは、蒸発光散乱検出器(ELSD)及び荷電エアロゾル検出器(CAD)とさらに組み合わせてよい。ポリソルベートの含有量の測定が可能な他の技術は、蛍光ミセルアッセイ(FMA)又はソルビタン環のチオシアン酸コバルト若しくはチオシアン酸鉄(III)との化学的錯体生成からなる。しかし、精製プロセスにおける変更が、ポリソルベート分解の原因となる加水分解活性を減少させるという点で成功したかどうかを決定するためには、関心対象のサンプルにポリソルベートをスパイクし、その分解を前記のように分析する必要がある。したがって、典型的には、ポリソルベートの分解は、ポリソルベート含有量の減少を経時的に監視することによって評価される。しかし、ポリソルベートの分解は遅いプロセスであり、数週間又は数カ月かかる場合がある。さらに、前記分析は、複雑であり且つ時間がかかる。
【0006】
前記医薬品におけるポリソルベートの酵素的分解を最小にする精製条件を開発するために、様々なサンプルに容易に適合でき、且つ医薬品サンプルの原薬中のポリソルベートの分解の原因となる加水分解活性についての予測情報を提供する、高感度であり、高速で信頼性のある自動化されたハイスループットアッセイが必要とされている。そのようなアッセイは、標的タンパク質と共に共精製された、ポリソルベートの分解活性が最小化されるため、製品の品質が向上した原薬を製造するためのプロセス開発を導くツールとして有用である。
【0007】
蛍光基質を用いたインビトロでのリパーゼの加水分解活性の検出は、当該技術分野で知られているが、これらの従来技術のアッセイは、組換えタンパク質調製物中の夾雑リパーゼ活性(前記組換えタンパク質(関心対象のタンパク質)と共に、真核細胞から共精製されただけのもの)を短時間で確実に検出するのに十分な感度がない。例えば、都築ら(Biosci. Biotechnol. Biochem, 2001, 65(9): 2078-2082)は、微生物由来のいくつかのリパーゼの活性を、蛍光基質を使用して高濃度で分析し、特定のリパーゼの疎水性の強い基質の加水分解を、DMSOが増加させることを見出している。DMSOは、ミセルを形成する界面活性剤ではない、基質を可溶化するために常用される有機溶媒である。Sulcieneら(Acta Paediatrica, supplement, 2018, 116:1049-1055)は、エポキシ化油を生産するための、酵母由来の固定化された脂肪分解酵素の使用を開示し、蛍光基質を用いる、これらの濃縮されたリパーゼ-ナノ粒子コンジュゲートのリパーゼ活性の検出を記載しているが、正確な条件は開示していない。同様に、Yooら(Cell Chemical Biology, 2020, 27: 143-157)は、リパーゼ活性を検出するための蛍光基質アッセイを開示し、分析の前に、高濃度のリパーゼrPfMAGLLPを可溶化するためにTritonX-100を使用しているが、反応溶液の一部としては使用していない。国際公開公報第2010/024924号は、蛍光基質を用いて大腸菌中で発現したリパーゼをスクリーニングするためのアッセイを開示しているが、ここでもまた、前記アッセイは、真核細胞から精製された組換えタンパク質サンプル中の夾雑リパーゼ活性を検出するためには使用されていない。これらの先行技術のアッセイのいずれもまだ、真核細胞において産生された組換えタンパク質サンプル中の夾雑リパーゼ活性を測定していない。
【0008】
Mendenら,2019(Journal of Enzyme Inhibition of Medicinal Chemistry, 34(1): 1474-1480)は、4-メチルウンベリフェリル ブチラート(4-MUB)及びパルミタート(4-MUP)を基質として用い、Candida rugosaリパーゼ(CRL)アイソフォームの規定された酵素抽出物のリパーゼ活性を検出して、阻害剤トロポロンの作用機序を検証する、リパーゼ活性アッセイを報告している。疎水性である脂肪酸尾部の、長さに伴う本質的な溶解性の低下、及び塩基性のpH範囲における前記基質の自己触媒作用を含む、前記アッセイに対する限界が報告されている。さらに、前記アッセイでは界面活性剤が使用されていない。より最近では、Jahnら,2020(Pharm. Res. 37(118): 2-13)が、4-メチルウンベリフェリル オレアート(4-MuO)を基質として用いる、採取した細胞培養液のサンプル中のポリソルベート分解を測定するのに使用するための、発色団ベースのリパーゼ活性アッセイを報告している。しかし、感度が中程度で、24時間以上のインキュベーション時間が未だに必要である。
【0009】
したがって、関連するサンプル中のリパーゼ活性を短時間で測定できる、高感度の改良された方法が未だに必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、組換えタンパク質を含むサンプル中の(夾雑)リパーゼ活性を検出する方法であって、(a)真核細胞中で産生された組換えタンパク質を含む少なくとも1つのサンプルを提供する工程;(b)前記少なくとも1つのサンプルを反応溶液と接触させて、反応混合物を形成する工程(前記反応溶液は、(i)約pH4から約pH9のpHを有する緩衝液、(ii)エステル結合を有しない非変性性界面活性剤(前記界面活性剤は、非イオン性又は双性イオン性界面活性剤である)、(iii)発色団4-メチルウンベリフェリル(4-MU)を、4-MUエステルの形で含む基質(前記4-MUエステルは、飽和非分岐鎖脂肪酸(C

~C
16
)4-MUエステルである)、及び(iv)任意選択的に、非緩衝性塩を含む);(c)前記サンプル及び前記基質を、前記反応混合物中でインキュベートする工程;並びに(d)前記4-MUエステルの加水分解を測定すると共に、前記放出された発色団4-MU(これは、4-MUエステルの加水分解生成物である)の蛍光強度を検出することによって、(夾雑)リパーゼ活性を検出する工程を含み;任意選択的に、工程(c)にしたがって前記サンプル及び基質を前記反応混合物中でインキュベートしながら、前記放出された発色団4-MUの蛍光強度を経時的に検出することによって、加水分解を測定する方法に関する。前記方法は、インビトロでの方法を指すものと理解されるべきである。特定の実施態様では、反応混合物中の前記サンプル及び基質は、2分と5時間未満の間、及び2分と3時間未満、2分と2時間未満、又は2分と0.5時間未満の間のいずれかの時間、インキュベートされる。前記少なくとも1つのサンプルは、採取した細胞培養液(HCCF)、工程内管理(in-process control)(IPC)サンプル、原薬サンプル又は医薬品サンプルであってよい。リパーゼ活性を検出するための前記サンプル中の組換えタンパク質は、好ましくは、抗体、抗体断片、抗体由来分子又は融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)などの治療用タンパク質である。本発明によれば、リパーゼ活性を検出するための前記サンプル中の組換えタンパク質は、リパーゼではなく、且つ/又はリパーゼ活性を含まない。したがって、前記少なくとも1つのサンプル中で検出されるあらゆるリパーゼ活性は、夾雑リパーゼ活性であり、且つ/又は、真核細胞由来の宿主細胞タンパク質(HCP)のような、リパーゼ活性を有する少なくとも1つの夾雑タンパク質に由来している。
(【0011】以降は省略されています)

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