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公開番号2025100927
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2025073272,2023036885
出願日2025-04-25,2014-03-25
発明の名称シロドシンの苦味をマスキングした経口投与製剤
出願人キッセイ薬品工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 31/404 20060101AFI20250626BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】
極めて苦味の強い薬剤であるシロドシンを、異物感なく、水なしでも服用でき、かつ前立腺肥大症に伴う排尿障害等の治療に有効な血中濃度を再現できる溶出性を備えた、新規な経口投与製剤を提供する。
【解決手段】
本発明は、シロドシンの微粉末を含有する薬物粒子を、非腸溶性高分子を含有するコーティング剤で造粒又は被覆して得られるマスキング粒子であって、非腸溶性高分子含量が、シロドシン100質量部に対して80質量部~400質量部である、マスキング粒子及び該マスキング粒子を含有する新規な経口投与製剤に等に関するものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
シロドシンの微粉末を含有する薬物粒子を、非腸溶性高分子を含有するコーティング剤で造粒又は被覆して得られるマスキング粒子であって、非腸溶性高分子含量が、シロドシン100質量部に対して80質量部~400質量部である、マスキング粒子。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
該マスキング粒子を含有する経口投与製剤のpH6.8における15分後の溶出率が、85%以上である、請求項1記載のマスキング粒子。
【請求項3】
該マスキング粒子を含有する経口投与製剤のヒト苦味官能試験における苦味を感じ始める時間が、30秒以上である、請求項1又は2記載のマスキング粒子。
【請求項4】
シロドシンの微粉末を含有する薬物粒子が、シロドシンと添加剤との混合物である、請求項1~3のいずれかに記載のマスキング粒子。
【請求項5】
シロドシンの微粉末を含有する薬物粒子が、シロドシンと添加剤との造粒物である、請求項4記載のマスキング粒子。
【請求項6】
添加剤が、糖又は糖アルコール及びデンプン類から選択される少なくとも1つの添加剤である、請求項4又は5記載のマスキング粒子。
【請求項7】
非腸溶性高分子が、胃溶性高分子である、請求項1~6のいずれかに記載のマスキング粒子。
【請求項8】
非腸溶性高分子が、エチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート又はアミノアルキルメタアクリレートコポリマーEである、請求項1~6のいずれかに記載のマスキング粒子。
【請求項9】
非腸溶性高分子含量が、シロドシン100質量部に対して100質量部~200質量部である、請求項1~8のいずれかに記載のマスキング粒子。
【請求項10】
該マスキング粒子中のシロドシン含量が、5~25質量%である、請求項1~9のいずれかに記載のマスキング粒子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、極めて苦味の強い薬剤であるシロドシンを、異物感なく水なしでも服用でき、かつ前立腺肥大症に伴う排尿障害等の治療に有効な血中濃度を再現できる溶出性を備えた、新規な経口投与製剤に関するものである。
続きを表示(約 5,600 文字)【背景技術】
【0002】
シロドシンは、選択的な尿道平滑筋収縮抑制作用を有し、強力な血圧低下作用を惹起することのない排尿障害治療薬であり(例えば、特許文献1参照)、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療剤として、広く用いられている。シロドシンを含有する医薬品製剤としては、カプセル剤及び錠剤(例えば、特許文献2及び3参照)が使用されているが、これらの製剤は、水と共に服用することが必要である。近年、高齢者などの嚥下困難な患者等でも服用し易い製剤として、水なしでも簡便に服用できる製剤の開発が求められている。
薬物が苦味を有する場合、その苦味を抑制する方法としては、薬物自体の化学修飾や包接化といった化学的マスキング手法(例えば、特許文献4参照)、甘味剤、香料などを添加することによる官能的マスキング手法(例えば、特許文献5及び非特許文献1参照)、胃溶性高分子又は腸溶性高分子等のコーティング剤により薬物をコーティングする物理的マスキング手法(例えば、特許文献6~9参照)等が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、苦味の強い薬物の場合、官能的マスキング手法では苦味を十分抑制できない場合があり、物理的マスキング手法ではコーティング剤の被覆量を多くしなければならず、それにより、消化管内での薬物の溶出性が低下するという問題が生じるなど、苦味の抑制と種々の液性における溶出性との両立が困難であった。
【0003】
特開2008-231029(特許文献6)には、部分アルファー化デンプンにレバミピド及びメチルセルロースを噴霧して造粒物とし、胃溶性高分子であるポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートでコーティングしたレバミピドの苦味マスキング顆粒が開示されている。
特表2005-513008(特許文献7)には、フェキソフェナジン及び沈降シリカの混合物を、オイドラギット(登録商標)E100を用いて顆粒化した後、更に沈降シリカを含有するオイドラギット(登録商標)E100のポリマー分散物で被覆して得られる、フェキソフェナジンの被覆された顆粒が開示されている。
WO2008/018371(特許文献8)には、ミチグリニド及び結晶セルロースの混合物にアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを噴霧して得られる造粒物が開示されている。
特開2007-63263(特許文献9)には、ベシル酸アムロジピンと軽質無水ケイ酸の混合物に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含有するコーティング液を噴霧して得られるアムロジピン含有粒子が開示されている。
しかしながら、いずれの文献にも、シロドシンの苦味抑制と、種々の液性における溶出性を両立した水なしでも服用できる製剤は記載されておらず、新たな製剤開発が望まれていた。
【0004】
PHARM TECH JAPAN Vol.23, p1413-1417, 2007年
PHARM TECH JAPAN Vol.28, No.2, 2012年臨時増刊号「すべてがわかる口腔内崩壊錠ハンドブック」 PLCM(耕薬)研究会 編集
特開平6-220015号公報
国際公開WO2004/054574号パンフレット
特開2008-44960号公報
特開2008-44870号公報
特開2008-94837号公報
特開2008-231029号公報
特表2005-513008号公報
国際公開WO2008/018371号パンフレット
特開2007-63263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、極めて苦味の強い薬剤であるシロドシンを、異物感なく水なしでも服用でき、かつ前立腺肥大症に伴う排尿障害等の治療に有効な血中濃度を再現できる溶出性を備えた、新規な経口投与製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の経口投与製剤を作製する上においては、シロドシンの特性上、様々な克服すべき点があった。まず、シロドシンは、医薬品添加物として汎用される賦形剤等により分解しやすい化学的性質を有している。また、極めて強い苦味を有する上、針状結晶性の物質であるため、苦味を抑制するために多くのコーティング剤を必要とし、溶出性が低下したり、水なしで服用した際に異物感が残るなどの問題がある。更に、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療剤として、既に使用されているシロドシン製剤が有効性を発揮する血中濃度を、適切に再現できる製剤でなければならない。
本発明者らは、これらの点を克服しつつ上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。例えば、ココアパウダーや乳酸カルシウムなどによる官能的マスキング手法、カラギーナンなどによる化学的マスキング手法では、シロドシンの強烈な苦味をマスキングすることができなかった。また、一般に物理的マスキング手法に用いられる腸溶性基剤(腸溶性高分子)は、シロドシンと配合変化を起こし、使用できないことが判明した。更に種々検討を行った結果、本発明のマスキング粒子を用いることにより、驚くべきことに、強い苦味を感じることなく水なしでも服用でき、所望の溶出特性によりヒトでの有効な血中濃度を実現し得ること等、極めて望ましい性能を発揮する経口投与製剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、
[1]シロドシンの微粉末を含有する薬物粒子を、非腸溶性高分子を含有するコーティング剤で造粒又は被覆して得られるマスキング粒子であって、非腸溶性高分子含量が、シロドシン100質量部に対して80質量部~400質量部である、マスキング粒子;
[2]該マスキング粒子を含有する経口投与製剤のpH6.8における15分後の溶出率が、85%以上である、前記[1]記載のマスキング粒子;
[3]該マスキング粒子を含有する経口投与製剤のヒト苦味官能試験における苦味を感じ始める時間が、30秒以上である、前記[1]又は[2]記載のマスキング粒子;
[4]シロドシンの微粉末を含有する薬物粒子が、シロドシンと添加剤との混合物である、前記[1]~[3]のいずれかに記載のマスキング粒子;
[5]シロドシンの微粉末を含有する薬物粒子が、シロドシンと添加剤との造粒物である、前記[4]記載のマスキング粒子;
[6]添加剤が、糖又は糖アルコール及びデンプン類から選択される少なくとも1つの添加剤である、前記[4]又は[5]記載のマスキング粒子;
[7]非腸溶性高分子が、胃溶性高分子である、前記[1]~[6]のいずれかに記載のマスキング粒子;
[8]非腸溶性高分子が、エチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート又はアミノアルキルメタクリレートコポリマーEである、前記[1]~[6]のいずれかに記載のマスキング粒子;
【0008】
[9]非腸溶性高分子含量が、シロドシン100質量部に対して100質量部~200質量部である、前記[1]~[8]のいずれかに記載のマスキング粒子;
[10]該マスキング粒子中のシロドシン含量が、5~25質量%である、前記[1]~[9]のいずれかに記載のマスキング粒子;
[11]該マスキング粒子中の非腸溶性高分子含量が、15~30質量%である、前記[1]~[10]のいずれかに記載のマスキング粒子;
[12]非腸溶性高分子含量が、薬物粒子100質量部に対して20質量部~40質量部である、前記[1]~[10]のいずれかに記載のマスキング粒子;
[13]前記[1]~[12]のいずれかに記載のマスキング粒子を含有する経口投与製剤;
[14]剤形が錠剤である、前記[13]記載のマスキング粒子を含有する経口投与製剤;及び
[15](a)シロドシンの微粉末と添加剤を混合又は造粒して薬物粒子を調製する工程、及び(b)工程(a)で得られた薬物粒子に非腸溶性高分子を含有するコーティング剤で造粒又は被覆して、非腸溶性高分子含量が、シロドシン100質量部に対して80質量部~400質量部である、マスキング粒子を調製する工程を包含することを特徴とする、マスキング粒子を製造する方法;等に関するものである。
【0009】
本発明において、「非腸溶性高分子」とは、腸溶性高分子以外の水に不溶な高分子をいい、例えば、胃溶性高分子又は水不溶性高分子が挙げられる。胃溶性高分子としては、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(例えば、オイドラギット(登録商標)EPO、オイドラギット(登録商標)E100)等のメタクリル酸メチル-メタクリル酸ブチル-メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、メタクリル酸メチル-メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体(例えば、コリコート(登録商標)スマートシール 30D)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(例えば、AEA(登録商標))等の胃溶性ポリビニル誘導体等が挙げられる。
水不溶性高分子としては、例えば、アクリル酸エチル-メタクリル酸メチルコポリマー分散液(例えば、オイドラギット(登録商標)NE30D)等のアクリル酸エチル-メタクリル酸メチル共重合体、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(例えば、オイドラギット(登録商標)RS100、オイドラギット(登録商標)RSPO、オイドラギット(登録商標)RL、オイドラギット(登録商標)RLPO)、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS水分散液(例えば、オイドラギット(登録商標)RS30D、オイドラギット(登録商標)RL30D))等のアクリル酸エチル-メタクリル酸メチル-メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等の水不溶性アクリル酸系共重合体、エチルセルロース(例えば、エトセル(登録商標))、エチルセルロース水分散液(例えば、アクアコート(登録商標))等の水不溶性セルロースエーテル、酢酸ビニル樹脂(例えば、コリコート(登録商標)SR、コリコート(登録商標)SR30D)等が挙げられる。該非腸溶性高分子は、好ましくはエチルセルロース又は胃溶性高分子であり、より好ましくはエチルセルロース、メタクリル酸メチル-メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE又はポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートであり、より好ましくはエチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE又はポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートであり、より好ましくはエチルセルロース又はアミノアルキルメタクリレートコポリマーEであり、より好ましくはアミノアルキルメタクリレートコポリマーEである。これらの非腸溶性高分子は、必要に応じて、2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0010】
本発明に用いられる非腸溶性高分子を含有するコーティング剤は、上記非腸溶性高分子のほか、必要に応じて、添加剤、水溶性高分子等を含んでいてもよい。水溶性高分子を用いる場合、非腸溶性高分子及び水溶性高分子の合計質量に対する水溶性高分子の質量の割合は20%以下が好ましい。添加剤としては、例えば、可塑剤、滑沢剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ステアリン酸、トリアセチン、クエン酸トリエチル、マクロゴール、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ヒマシ油、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート等が挙げられる。水溶性高分子としては、例えば、ヒプロメロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、カルメロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの添加剤及び水溶性高分子は、2つ以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明において、非腸溶性高分子の含量は、例えば、シロドシン100質量部に対して、例えば、80~400質量部、80~300質量部、80~200質量部、100~400質量部、100~300質量部、100~200質量部等を挙げることができ、より好ましくは100~200質量部である。
本発明のマスキング粒子中の非腸溶性高分子の含量は、好ましくは、15~30質量%であり、より好ましくは15~25質量%である。
本発明において、非腸溶性高分子の含量は、例えば、薬物粒子100質量部に対して、概ね20~50質量部であり、好ましくは20~40質量部であり、より好ましくは30~40質量部である。
本発明において、「平均粒子径」とは、50%粒子径(質量基準メジアン径)を意味する。この50%粒子径は、ふるい分け粒度分布測定機(例えば、ロボットシフターRPS-205型、セイシン企業製)により測定することができる。
本発明のマスキング粒子の平均粒子径は、例えば、概ね300μm以下であり、好ましくは、約100~250μmである。
(【0011】以降は省略されています)

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