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公開番号
2025098837
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-02
出願番号
2023215229
出願日
2023-12-20
発明の名称
フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法、フェライト系ステンレス熱延焼鈍鋼板、焼鈍温度決定装置並びに情報処理プログラム
出願人
日鉄ステンレス株式会社
代理人
弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20250625BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】優れた耐リジング特性および加工性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼板を提供する。
【解決手段】フェライト系ステンレス鋼板は、質量%で、C:0.01~0.10%、Si:0.1~1.0%、Mn:0.1~1.0%、P:0.005~0.050%、S:0.01%以下、Cr:12.0~18.0%、N:0.01~0.10%およびAl:0.05~0.25%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、γp値が15~30、Cr当量が17.0~19.5、平均結晶粒径が9μm以上、結晶粒径が8μm以下の結晶粒の占める割合が35%未満、結晶粒径が15μm以上の結晶粒の占める割合が20%以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.1%以上1.0%以下、Mn:0.1%以上1.0%以下、P:0.005%以上0.050%以下、S:0.01%以下、Cr:12.0%以上18.0%以下、N:0.01%以上0.10%以下およびAl:0.05%以上0.25%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板であって、
下記式(1)で表されるγp値が15以上30以下、下記式(2)で表されるCr当量が17.0以上19.5以下である化学組成を有し、
圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面において、
平均結晶粒径が9μm以上であり、かつ、
結晶粒径が8μm以下の第1の結晶粒の占める割合が35%未満、結晶粒径が15μm以上の第2の結晶粒の占める割合が20%以上である、フェライト系ステンレス鋼板。
γp=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr-11.5Si-12Mo-23V-47Nb-49Ti-52Al+189・・・(1)
Cr当量=Cr+1.72Mo+2.09Si+4.86Nb+8.29V+1.77Ti+21.4Al+40B-7.14C-8.0N-3.28Ni-1.89Mn-0.51Cu・・・(2)
ここで、前記式(1)および(2)の元素記号の箇所には各元素の含有量(質量%)の値が代入され、無添加の元素については0が代入される。
続きを表示(約 3,100 文字)
【請求項2】
質量%で、C:0.030%以上0.060%以下、Si:0.15%以上0.40%以下、Mn:0.25%以上0.45%以下、P:0.035%以下、S:0.0070%以下、Cr:15.0%以上17.0%以下、N:0.01%以上0.05%以下およびAl:0.05%以上0.15%以下を含有する化学組成を有する、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
【請求項3】
質量%で、Cu:0.01%以上0.50%以下、Ni:0.01%以上0.20%以下、Mo:0.001%以上0.100%以下、Nb:0.001%以上0.100%以下、V:0.01%以上0.15%以下、Ti:0.001%以上0.100%以下、B:0.0001%以上0.0025%以下、Sn:0.005%以上0.500%以下、Co:0.05%以上0.50%以下、W:0.05%以上1.00%以下、Sb:0.005%以上0.500%以下、Zr:0.05%以上0.50%以下、Y:0.001%以上0.100%以下、Mg:0.0001%以上0.0050%以下、Ca:0.0001%以上0.0050%以下、および、REM(希土類金属):合計で0.001%以上0.100%以下、からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
【請求項4】
耐力が370MPa以下であり、かつ、
圧延方向に16%の引張歪みを付与したときの表面のリジング高さが15μm以下である、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
【請求項5】
前記断面において、マルテンサイト相の面積率が2.0%以下である、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼板。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法であって、
鋼スラブを熱間圧延した熱延板を、下記式(3)においてM値が2以上5未満の範囲の熱延板焼鈍温度にて焼鈍する熱延板焼鈍工程と、
前記熱延板焼鈍工程により得られた熱延焼鈍板を冷間圧延した冷延板を、前記断面においてマルテンサイト相の面積率が2.0%以下となるように焼鈍する最終焼鈍工程と、を含む、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
熱延板焼鈍温度=Ac1+28.17×M-9.3×γp+34.1×Ht+7.21・・・(3)
(ここで、
前記Mは、前記熱延焼鈍板における圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面のマルテンサイト相の面積率を表す指標であり、
前記Htは、前記熱延板の板厚(単位:mm)であり、
Ac1=35×Cr当量+310
である。)
【請求項7】
質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.1%以上1.0%以下、Mn:0.1%以上1.0%以下、P:0.005%以上0.050%以下、S:0.01%以下、Cr:12.0%以上18.0%以下、N:0.01%以上0.10%以下およびAl:0.05%以上0.25%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記式(1)で表されるγp値が15以上30以下、下記式(2)で表されるCr当量が17.0以上19.5以下である化学組成を有し、
圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面において、マルテンサイト相の面積率が2.0%以上5.0%未満であり、
25℃でのシャルピー衝撃試験値が15J/cm
2
以上である、フェライト系ステンレス熱延焼鈍鋼板。
γp=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr-11.5Si-12Mo-23V-47Nb-49Ti-52Al+189・・・(1)
Cr当量=Cr+1.72Mo+2.09Si+4.86Nb+8.29V+1.77Ti+21.4Al+40B-7.14C-8.0N-3.28Ni-1.89Mn-0.51Cu・・・(2)
ここで、前記式(1)および式(2)の元素記号の箇所には各元素の含有量(質量%)の値が代入され、無添加の元素については0が代入される。
【請求項8】
質量%で、Cu:0.01%以上0.50%以下、Ni:0.01%以上0.20%以下、Mo:0.001%以上0.100%以下、Nb:0.001%以上0.100%以下、V:0.01%以上0.15%以下、Ti:0.001%以上0.100%以下、B:0.0001%以上0.0025%以下、Sn:0.005%以上0.500%以下、Co:0.05%以上0.50%以下、W:0.05%以上1.00%以下、Sb:0.005%以上0.500%以下、Zr:0.05%以上0.50%以下、Y:0.001%以上0.100%以下、Mg:0.0001%以上0.0050%以下、Ca:0.0001%以上0.0050%以下、および、REM(希土類金属):合計で0.001%以上0.100%以下、からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、請求項7に記載のフェライト系ステンレス熱延焼鈍鋼板。
【請求項9】
質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.1%以上1.0%以下、Mn:0.1%以上1.0%以下、P:0.005%以上0.050%以下、S:0.01%以下、Cr:12.0%以上18.0%以下、N:0.01%以上0.10%以下およびAl:0.05%以上0.25%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記式(1)で表されるγp値が15以上30以下、下記式(2)で表されるCr当量が17.0以上19.5以下である化学組成を有する鋼スラブを熱間圧延した熱延板に対して行われる熱延板焼鈍の焼鈍温度範囲を決定する焼鈍温度決定装置であって、
前記鋼スラブの化学組成における各元素の含有量(質量%)および前記熱延板の板厚の値を取得する情報取得部と、
前記熱延板焼鈍における焼鈍温度範囲を決定する温度決定部とを備え、
前記温度決定部は、前記各元素の含有量(質量%)および前記板厚の値を用いて、下記式(4)におけるMが2以上5未満となるように前記焼鈍温度範囲を決定する、焼鈍温度決定装置。
γp=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr-11.5Si-12Mo-23V-47Nb-49Ti-52Al+189・・・(1)
Cr当量=Cr+1.72Mo+2.09Si+4.86Nb+8.29V+1.77Ti+21.4Al+40B-7.14C-8.0N-3.28Ni-1.89Mn-0.51Cu・・・(2)
M={0.0033×γp+0.000355(AT-Ac1)-0.0121×Ht-0.00256}×100・・・(4)
(ここで、
前記式(1)および式(2)の元素記号の箇所には各元素の含有量(質量%)の値が代入され、無添加の元素については0が代入され、
前記式(4)において、
前記ATは前記熱延板焼鈍における焼鈍温度(℃)であり、
前記Htは、前記熱延板の板厚(mm)であり、
Ac1=35×Cr当量+310
である。)
【請求項10】
請求項9に記載の焼鈍温度決定装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライト系ステンレス鋼板等に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
フェライト系ステンレス鋼は、耐食性および耐熱性に優れており、家電製品、調理器具、建築用途等の様々な分野で使用されている。一方で、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて延性に劣る。また、一般に、フェライト系ステンレス鋼には、成形加工時にリジングが生じ易く、表面の美観が求められる用途の場合、成形加工後のリジングを除去するための研磨工程が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-184660号公報
特許第5884211号公報
特許第7241545号公報
国際公開第2022/085708号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェライト系ステンレス鋼における耐リジング特性を向上させるために各種の対策が検討されている(特許文献1~4を参照)。
【0005】
しかし、例えば、特許文献1~4に記載の技術においては、特定の化学組成を実現するための製造コスト若しくは原料コスト、または、製造性若しくは加工性の点で、改良の余地がある。
【0006】
本発明の一態様は、優れた耐リジング特性および加工性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフェライト系ステンレス鋼板は、質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.1%以上1.0%以下、Mn:0.1%以上1.0%以下、P:0.005%以上0.050%以下、S:0.01%以下、Cr:12.0%以上18.0%以下、N:0.01%以上0.10%以下およびAl:0.05%以上0.25%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記式(1)で表されるγp値が15以上30以下、下記式(2)で表されるCr当量が17.0以上19.5以下である化学組成を有し、圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面において、平均結晶粒径が9μm以上であり、かつ、結晶粒径が8μm以下の第1の結晶粒の占める割合が35%未満、結晶粒径が15μm以上の第2の結晶粒の占める割合が20%以上である:
γp=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr-11.5Si-12Mo-23V-47Nb-49Ti-52Al+189・・・(1)
Cr当量=Cr+1.72Mo+2.09Si+4.86Nb+8.29V+1.77Ti+21.4Al+40B-7.14C-8.0N-3.28Ni-1.89Mn-0.51Cu・・・(2)
ここで、前記式(1)および(2)の元素記号の箇所には各元素の含有量(質量%)の値が代入され、無添加の元素については0が代入される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、優れた耐リジング特性および加工性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一実施形態におけるフェライト系ステンレス鋼板の断面について説明するための模式図である。
本発明の一実施形態におけるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態における焼鈍温度決定装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において、フェライト系ステンレス鋼(鋼板)の化学組成における各元素の含有率に関する「%」は、「質量%」を意味する。「鋼板」の用語は、格別の記載が無い限り、鋼帯を含む意味で用いる。数値X1および数値X2(ただし、X1<X2)について、「X1~X2」は、「X1以上かつX2以下」を意味する。また、本明細書では、後述する方法によって算出(評価)される、金属組織におけるマルテンサイト相の面積率を、説明の便宜上、単に「マルテンサイト量」と略記することがある。
(【0011】以降は省略されています)
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