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公開番号2025089341
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-12
出願番号2025043048,2021093798
出願日2025-03-18,2021-06-03
発明の名称化粧組成物
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人南青山国際特許事務所
主分類A61K 8/81 20060101AFI20250605BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】無機顔料を使用しなくとも、隠蔽性及び発色性に優れる化粧塗膜を形成することができる化粧組成物、該化粧組成物を用いる化粧方法、及び該化粧組成物から形成されてなる化粧塗膜を提供する。
【解決手段】溶媒A、溶媒B、ポリマーC、及び着色剤を含有する化粧組成物であり、該溶媒Aが、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上であり、該溶媒Bの沸点が150℃以上であり、かつ該溶媒Bの水に対するハンセン溶解度パラメータの距離Raが40以上であり、該溶媒Bが該溶媒Aと相溶し、かつ該ポリマーCが該溶媒Aに可溶で該溶媒Bには不溶である化粧組成物、該化粧組成物を用いる化粧方法、及び該化粧組成物から形成されてなる化粧塗膜である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
溶媒A、溶媒B、ポリマーC、及び着色剤を含有する化粧組成物であり、
該溶媒Aが、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上であり、
該溶媒Bの沸点が150℃以上であり、かつ該溶媒Bの下記式(1)で表される水に対するハンセン溶解度パラメータの距離Raが40以上であり、
該溶媒Bが該溶媒Aと相溶し、かつ該ポリマーCが該溶媒Aに可溶で該溶媒Bには不溶であり、
該化粧組成物中の溶媒Aの含有量が、30質量%以上90質量%以下であり、
該化粧組成物中の溶媒Bの含有量が、15質量%以上25質量%以下である、化粧組成物。
Ra=(4×ΔD

+ΔP

+ΔH


0.5
(1)
ΔD:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける分散成分の差
ΔP:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける極性成分の差
ΔH:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける水素結合成分の差
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
該化粧組成物中の溶媒Aの含有量が、40質量%以上80質量%以下である、請求項1記載の化粧組成物。
【請求項3】
前記着色剤が分散性ポリマーDで分散されてなる、請求項1又は2に記載の化粧組成物。
【請求項4】
分散性ポリマーDが、溶媒Aに可溶で溶媒Bには不溶である、請求項3に記載の化粧組成物。
【請求項5】
ポリマーCが、酸性基を有するモノマー、塩基性基を有するモノマー、及びベタインモノマーから選ばれる少なくとも1種を構成単位として含むポリマーを含有する、請求項1~4のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項6】
溶媒Bが、揮発性の炭化水素油及び揮発性のシリコーン油から選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項7】
水の含有量が5質量%以下である、請求項1~6のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項8】
ポリマーCの含有量が、0.5質量%以上15質量%以下である、請求項1~7のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項9】
前記着色剤の含有量が、1質量%以上15質量%以下である、請求項1~8のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項10】
毛髪用化粧組成物である、請求項1~9のいずれかに記載の化粧組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧組成物、該化粧組成物を用いる化粧方法、及び該化粧組成物から形成されてなる化粧塗膜に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、メイクアップ化粧料には肌(皮膚)のしみ、くすみ、毛穴のカバーや塗布仕上がりの明度を向上させるため、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の隠蔽力の高い無機顔料を配合することが行われている。
例えば、特許文献1には、高い白色度や隠ぺい力を付与させてなる化粧料の提供を目的として、平均粒子径が0.2μm以上の酸化チタンと、平均粒子径が0.01~100μmの樹脂微粒子を含有する化粧料が記載されている。
また、特許文献2には、皮膚の欠点等の隠蔽効果を長期持続させることを目的として、生理学的媒体中に、所定の屈折率及び粒径を有するプレートタイプフィラー、シリコーンエラストマー、及び1ml/g以上の吸油能を有するフィラーを含む、化粧料組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016-121137号公報
特表2015-520120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、主に肌の色調整を目的とするファンデーション、コンシーラー等のベースメイクアップ化粧料では、肌のしみ、あざ、毛穴を隠蔽し、化粧料に配合されている着色剤本来の色に着色することができる高い発色性を有することが求められる。
また、アイシャドウ、チーク、ネイルエナメル等の顔の部位や爪に塗布し、色彩を部分的に施して強調するポイントメイクアップ化粧料では、陰影を付け立体感を付与する目的や色彩を施し部分的に強調する目的で用いられるため、肌や爪の本来の色味を隠蔽すると共に、化粧料に配合されている着色剤本来の色に着色することができる高い発色性を有することが求められる。
さらに、ヘアマスカラ等の一時染毛剤は、毛髪へのダメージが少なく、気軽に毛染めを楽しむことができるものとして好まれており、特にファッション性向上のため、毛髪に鮮やかな色を付与する目的で用いられている。しかしながら、一時染毛剤は、毛髪上に着色塗膜を形成させることにより毛髪を着色させるものであるため、毛髪本来の色味を隠蔽すると共に、一時染毛剤に配合されている着色剤本来の色に着色することができる高い発色性を有することが求められる。
特許文献1及び2の技術では、高屈折率の無機顔料を配合することにより隠蔽力を発現している。しかしながら、近年、酸化亜鉛、酸化チタンに関しては各種の法規制により使用の制限が厳しくなりつつある。
そのため、無機顔料を使用しなくとも、隠蔽性及び発色性に優れる化粧塗膜を形成することができる化粧組成物の開発が望まれている。
さらに、一時染毛剤の中には、毛髪をメッシュ状に染毛する使用形態でも用いられているため、所望する一部の毛髪のみに色彩を施す簡便な化粧方法も望まれている。
本発明は、無機顔料を使用しなくとも、隠蔽性及び発色性に優れる化粧塗膜を形成することができる化粧組成物、該化粧組成物を用いる化粧方法、及び該化粧組成物から形成されてなる化粧塗膜を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、2種類の溶媒、ポリマー、及び着色剤を含有し、これら2種類の溶媒のうちの第1の溶媒がエタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上であり、第2の溶媒の沸点及び水に対するハンセン溶解度パラメータの距離がそれぞれ特定の値以上であり、これら2種類の溶媒の相溶性と該ポリマーの溶媒に対する溶解性をそれぞれ特定の関係とする化粧組成物により、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[3]を提供する。
[1]溶媒A、溶媒B、ポリマーC、及び着色剤を含有する化粧組成物であり、
該溶媒Aが、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上であり、
該溶媒Bの沸点が150℃以上であり、かつ該溶媒Bの下記式(1)で表される水に対するハンセン溶解度パラメータの距離Raが40以上であり、
該溶媒Bが該溶媒Aと相溶し、かつ該ポリマーCが該溶媒Aに可溶で該溶媒Bには不溶である、化粧組成物。
Ra=(4×ΔD

+ΔP

+ΔH


0.5
(1)
ΔD:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける分散成分の差
ΔP:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける極性成分の差
ΔH:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける水素結合成分の差
[2]前記[1]に記載の化粧組成物を用いる化粧方法であって、
工程1:前記化粧組成物を皮膚、毛髪、又は爪に塗布する工程、及び、
工程2:皮膚、毛髪、又は爪上に塗布された化粧組成物に、水を含有する液体Eの液滴を付与する工程、を含む、化粧方法。
[3]前記[1]に記載の化粧組成物から形成されてなる、化粧塗膜。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無機顔料を使用しなくとも、隠蔽性及び発色性に優れる化粧塗膜を形成することができる化粧組成物、該化粧組成物を用いる化粧方法、及び該化粧組成物から形成されてなる化粧塗膜を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[化粧組成物]
本発明の化粧組成物は、溶媒A、溶媒B、ポリマーC、及び着色剤を含有する化粧組成物であり、該溶媒Aが、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上であり、該溶媒Bの沸点が150℃以上であり、かつ該溶媒Bの下記式(1)で表される水に対するハンセン溶解度パラメータの距離Raが40以上であり、該溶媒Bが該溶媒Aと相溶し、かつ該ポリマーCが該溶媒Aに可溶で該溶媒Bには不溶である。
Ra=(4×ΔD

+ΔP

+ΔH


0.5
(1)
ΔD:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける分散成分の差
ΔP:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける極性成分の差
ΔH:溶媒Bと水とのハンセン溶解度パラメータにおける水素結合成分の差
【0008】
本発明において、「相溶」とは、溶媒A及び溶媒Bを含む混合系において、溶媒Aと溶媒Bが互いに溶け合う現象をいう。溶媒Aと溶媒Bとを混合して静置したときに多相に分離しない場合、又は、混合して撹拌操作を行ったときに相分離して白濁が生じない場合を、溶媒A及び溶媒Bが相溶状態にあると判断する。
また、ポリマーCは溶媒Aに可溶で溶媒Bには不溶であり、化粧組成物中においては溶解してなるものである。
本発明において「ポリマーCが溶媒Aに可溶である」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーCを25℃の溶媒A100gに溶解させたときの溶解量が5g以上であることをいう。ポリマーCの溶媒Aへの前記溶解量は、隠蔽性及び発色性を向上させる観点から、好ましくは10g以上である。
本発明において「ポリマーCが溶媒Bに不溶である」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーCを25℃の溶媒B100gに飽和するまで溶解させたときの溶解量が5g未満であることをいう。ポリマーCの溶媒Bへの前記溶解量は、隠蔽性及び発色性を向上させる観点から、好ましくは2g未満である。
上記の「相溶」又は「可溶」であるか否かの判断は25℃で行う。
【0009】
本発明において「ハンセン溶解度パラメータ」は、Hildebrandによって導入された溶解度パラメータ(SP値)を3成分(分散成分D、極性成分P、水素結合成分H)に分割して表される。各溶媒のD、P、Hは"HANSEN SOLBILITY PARAMETERS" A User's Handbook Second Editionに詳しく記載されている。また、多くの溶媒や樹脂についてのHSP値はWesley L.Archer著、Industrial Solvents Handbook等にも記載されている。 各溶媒のD、P、Hは、Charles Hansen Consulting, Inc.(Horsholm, Denmark, hansen-solubility.com)のソフトウェアHSPiPを用いて求めることもできる。
本発明においては、HSPiPバージョン4.1.03のデータベースに登録されている溶媒(各種HSPの文献参照)に関してはその値を使用し、データベースにない溶媒に関しては、前記HSPiPにより推算される値を使用する。
また、本発明において「ハンセン溶解度パラメータ」の単位は、「(MPa)0.5」である。
【0010】
本発明によれば、無機顔料を使用しなくとも、隠蔽性及び発色性に優れる化粧塗膜を形成することができる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の化粧組成物は、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上の溶媒Aと、沸点が150℃以上であり、かつ前記式(1)で表される水に対するハンセン溶解度パラメータの距離Raが40以上である溶媒Bと、該溶媒Aに可溶で該溶媒Bには不溶であるポリマーCと、着色剤とを含有する。
このような化粧組成物を皮膚、毛髪又は爪に塗布すると、塗布膜内の溶媒Aの揮発により気化熱が奪われ、塗布膜表面に大気中の水分が凝縮して微小な水滴となって付着する。本発明においては、溶媒Aが特定のアルコールから選ばれる1種以上であり、溶媒Bの水に対する溶解度パラメータの距離Raが特定の値以上であるため、この微小な水滴の塗布膜表面への付着により溶媒Aと相溶していた溶媒Bは相分離する。そして、ポリマーCは溶媒Bには不溶であるため、相分離した溶媒BをポリマーCが被覆し、溶媒Bの合一が抑制されることにより、溶媒BをコアとしてポリマーCをシェルとするコアシェル構造を有する着色剤を含有する一次粒子が形成されると考えられる。更に、溶媒Aの揮発と形成された一次粒子の表面整列に伴い、塗布膜内で規則的に区切られたセル状の対流構造、いわゆるベナールセル(Benard Cells)が発生し、各セル内でのベナール対流により、一次粒子が集積して二次粒子が形成された着色剤を含有する化粧塗膜が得られると考えられる。その結果、化粧塗膜内に形成された粒子構造により光が散乱され、高い隠蔽性及び発色性が発現すると推察される。
(【0011】以降は省略されています)

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