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公開番号2025086708
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-09
出願番号2023200917
出願日2023-11-28
発明の名称炭素繊維造粒体の製造方法
出願人大阪ガスケミカル株式会社
代理人弁理士法人R&C
主分類D06M 15/59 20060101AFI20250602BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】比較的繊維長の長い炭素繊維であっても、フィーダーでの安定供給及び繊維飛散防止性に優れている炭素繊維造粒体及び製造方法が簡便である炭素繊維造粒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】平均繊維径が5μm以上20μm以下、平均繊維長が0.10mm以上1.50mm以下の炭素繊維と、当該炭素繊維の質量に対して固形分換算で2.0質量%以上12.0質量%以下含有するバインダーと、を含む炭素繊維造粒体であって、外径が1.0mm以上10.0mm以下、長さが2mm以上15mm以下、圧縮強度が10N以上20N以下である炭素繊維造粒体。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
平均繊維径が５μｍ以上２０μｍ以下、平均繊維長が０．１０ｍｍ以上１．５０ｍｍ以下の炭素繊維と、当該炭素繊維の質量に対して固形分換算で２．０質量％以上１２．０質量％以下含有するバインダーと、を含む炭素繊維造粒体であって、
外径が１．０ｍｍ以上１０．０ｍｍ以下、長さが２ｍｍ以上１５ｍｍ以下、圧縮強度が１０Ｎ以上２０Ｎ以下である炭素繊維造粒体。
続きを表示（約 770 文字）【請求項２】
前記炭素繊維は、Ｘ線回析法による結晶格子面間隔ｄ（００２）が３．５７６ｎｍ以上３．５７９ｎｍ以下の等方性ピッチ系炭素繊維である請求項１に記載の炭素繊維造粒体。
【請求項３】
前記バインダーは、ナイロン系エマルジョン樹脂である請求項１または２に記載の炭素繊維造粒体。
【請求項４】
平均繊維径が５μｍ以上２０μｍ以下、平均繊維長が０．１０ｍｍ以上１．５０ｍｍ以下、水分率が３質量％以上１５質量％以下の炭素繊維に水とバインダーとを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を押出造粒して造粒体を得る工程と、
前記造粒体を１３０℃以上１５０℃以下に昇温して乾燥する工程と、からなる炭素繊維造粒体の製造方法。
【請求項５】
前記混合物に対する前記炭素繊維の割合が７６．２質量％以上８１．６質量％以下、前記水の割合が１５．２質量％以上１６．３質量％以下、前記バインダーの割合は、固形分換算で２．０質量％以上８．６質量％以下、水を含有した状態で５．０質量％以上２１．４質量％以下であり、前記炭素繊維造粒体の外径が１．０ｍｍ以上１０．０ｍｍ以下、長さが２ｍｍ以上１５ｍｍ以下、圧縮強度が１０Ｎ以上２０Ｎ以下である請求項４に記載の炭素繊維造粒体の製造方法。
【請求項６】
前記炭素繊維は、引張強度が１００ＭＰａ以上８００ＭＰａ以下の炭素繊維集綿体を粉砕して得られ、Ｘ線回析法による結晶格子面間隔ｄ（００２）が３．５７６ｎｍ以上３．５７９ｎｍ以下の等方性ピッチ系炭素繊維である請求項４または５に記載の炭素繊維造粒体の製造方法。
【請求項７】
前記バインダーは、ナイロン系エマルジョン樹脂である請求項４または５に記載の炭素繊維造粒体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、フィーダーでの安定供給及び粉体飛散防止性に優れた炭素繊維造粒体及びその製造方法に関する。
続きを表示（約 2,000 文字）【背景技術】
【０００２】
樹脂添加用フィラーとして樹脂の耐摩耗性、導電性等の付与を目的として炭素繊維は使用される。炭素繊維は、ポリアクリロニトリル（ＰＡＮ）を原料とするＰＡＮ系炭素繊維と、コールタールピッチや石油系ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維がある。また、炭素繊維の形状としては、短くカット（３～６ｍｍ）したチョップ炭素繊維、細かく粉砕（３ｍｍ未満）したミルド炭素繊維がある。ミルド炭素繊維は樹脂と混合したときの流動性が高いため、樹脂添加用フィラーとして用いられている。
【０００３】
ミルド炭素繊維単体を樹脂と混合すると、繊維が飛散し、所望の量の炭素繊維と樹脂とを混合することが難しい。そこで、炭素繊維を造粒体に形成して炭素繊維の飛散を防ぐ必要がある。
【０００４】
特許文献１には、湿式押出造粒法を用いて製造される炭素繊維集合体に関する技術であり、エポキシ系サイジング材を用いることにより、リサイクル炭素繊維に対しても、炭素繊維集合体を形成した際に、良好な形状保持能を発揮できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開２０２０－１９６８８２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
炭素繊維が長いほど樹脂の力学特性、導電性、耐熱性、耐腐食性、耐摩耗性を飛躍的に向上することができる。しかし、炭素繊維が長すぎると、嵩高くなり、造粒体を作ることが難しい。また、バインダーの配合量を多くすると炭素繊維造粒体が固くなり、樹脂と混合したときの分散性が悪くなる。一方、バインダーの配合量を低くすると造粒体の強度が低く、造粒体としての形状を保つことができず、樹脂との混合性が悪くなる。さらに、バインダーは樹脂の成形性、強度、耐摩耗性や導電性等に影響を及ぼす可能性があるため、バインダーの含有量が低い炭素繊維造粒体が望まれている。
【０００７】
押出機から安定した量の炭素繊維造粒体を得るには、一定の量の混合粉体をフィーダーにより押出機に供給することが重要となる。しかし、炭素繊維の物性や、バインダーの種類及び配合量によっては、混合粉体がホッパーの排出口上部でアーチ構造を形成して固まり、押出機への供給が止まるブリッジ現象が生じる可能性がある。また、ホッパーの排出口上部の限定された領域だけ混合粉体の流路ができるファネルフローが生じた場合、ホッパー内壁近くの混合粉体が新しい混合粉体に入れ替わらないため、ホッパー内壁近くの混合粉体が固着層を形成して変質する可能性もある。これらの現象が生じた場合、一定の量及び品質の炭素繊維造粒体を得ることができない。
【０００８】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的繊維長の長い炭素繊維であっても、フィーダーでの安定供給及び繊維飛散防止性に優れている炭素繊維造粒体、及び製造方法が簡便である炭素繊維造粒体の製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するための本発明に係る炭素繊維造粒体の特徴構成は、平均繊維径が５μｍ以上２０μｍ以下、平均繊維長が０．１０ｍｍ以上１．５０ｍｍ以下の炭素繊維と、当該炭素繊維の質量に対して固形分換算で２．０質量％以上１２．０質量％以下のバインダーと、からなる炭素繊維造粒体であって、
外径が１．０ｍｍ以上１０．０ｍｍ以下、長さが２ｍｍ以上１５ｍｍ以下、圧縮強度が１０Ｎ以上２０Ｎ以下である点にある。
【００１０】
平均繊維径が２０μｍより大きいと樹脂との分散性が悪い。平均繊維長が１．５０ｍｍより長いと嵩高く、圧縮されないため造粒体ができない。また、炭素繊維の質量に対するバインダーの割合が固形分換算で１２．０質量％より多い場合は押出造粒時に形状不良となり、２．０質量％より低い場合は乾燥後の造粒体の強度が弱く、炭素繊維が飛散してハンドリング性が劣る。また、圧縮強度が２０Ｎより高い場合は、樹脂と混合したときの分散性が悪く、圧縮強度が１０Ｎより低い場合は、造粒体の形状を保つことができず、炭素繊維が飛散してハンドリング性が劣る。また、外径が１０ｍｍより大きい場合は造粒体の強度が不十分となり、造粒体の形状を保つことができず、外径が１．０ｍｍより小さい場合は造粒体の取り扱い性が悪くなる。さらに、長さが１５ｍｍより長い場合は、造粒体の強度が不十分となり、造粒体の形状を保つことができず、長さが２ｍｍより短い場合は、炭素繊維同士が接着できず、造粒体を得ることができない。
従って、上記特徴構成を備える炭素繊維造粒体は、繊維長が比較的長い炭素繊維で構成されており、フィーダーでの安定供給及び繊維飛散防止性に優れている。
（【００１１】以降は省略されています）

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