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公開番号2025083624
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-02
出願番号2023197092
出願日2023-11-21
発明の名称ラケット用ストリング
出願人住友ゴム工業株式会社
代理人弁理士法人有古特許事務所
主分類A63B 51/02 20150101AFI20250526BHJP(スポーツ;ゲーム;娯楽)
要約【課題】反発性能及び耐久性が改善されたラケット用ストリングの提供。
【解決手段】このラケット用ストリングは、フィラメントを備えている。このフィラメントは、ポリマーマトリックスと、このポリマーマトリックスに分散されたカーボンナノチューブと、を含んでいる。このポリマーマトリックスは、1種、又は、相溶性を有する2種以上の熱可塑性ポリマーから構成されている。ラケットは、このラケット用ストリングを備えている。このラケット用ストリングの製造方法は、カーボンナノチューブを第一の熱可塑性ポリマーに混合分散する工程、カーボンナノチューブが分散した第一の熱可塑性ポリマーと、第一の熱可塑性ポリマーと相溶性を有する第二の熱可塑性ポリマーとを混合して、熱可塑性組成物を得る工程、この熱可塑性組成物を溶融紡糸してフィラメントを得る工程を含む。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項１】
フィラメントを備えており、
上記フィラメントは、ポリマーマトリックスと、このポリマーマトリックスに分散されたカーボンナノチューブと、を含んでおり、
上記ポリマーマトリックスは、１種、又は、相溶性を有する２種以上の熱可塑性ポリマーから構成されている、ラケット用ストリング。
続きを表示（約 1,200 文字）【請求項２】
上記ポリマーマトリックスが１種の熱可塑性ポリマーから構成されており、
上記ポリマーマトリックスに、上記カーボンナノチューブの濃度勾配が形成されている、請求項１に記載のラケット用ストリング。
【請求項３】
上記ポリマーマトリックスが２種以上の熱可塑性ポリマーから構成されており、
上記ポリマーマトリックスには、島領域と海領域との界面において、上記島領域をなすポリマー成分と、上記海領域をなすポリマー成分とが混和する海島構造が形成されており、
上記島領域から上記海領域に向かって、上記カーボンナノチューブが拡散する濃度勾配が形成されている、請求項１に記載のラケット用ストリング。
【請求項４】
上記カーボンナノチューブは、以下の方法で求められる相対充填量減少率が４％以下である、請求項１に記載のラケット用ストリング。
（相対充填量減少率の測定方法：蒸留水１８０ｍＬとｔ－ブチルアルコール９００ｍＬとの混合溶媒に、試料であるカーボンナノチューブ１．６４ｇを投入して、スターラーを用いて４００ｒｐｍで１５時間撹拌した後、２週間静置し、静置前のカーボンナノチューブが占める体積を１００％として、静置後のカーボンナノチューブが占める体積の比率を、相対充填量減少率（％）として求める。）
【請求項５】
上記フィラメントを１００質量％としたとき、上記カーボンナノチューブの含有量が０．００１質量％以上１．０質量％以下である、請求項１に記載のラケット用ストリング。
【請求項６】
上記フィラメントを１００質量％としたとき、上記島領域をなす熱可塑性ポリマーと上記カーボンナノチューブとの合計含有量が０．１質量％以上１０．０質量％以下であり、上記海領域をなす熱可塑性ポリマーの含有量が９０．０質量％以上９９．９質量％以下である、請求項３に記載のラケット用ストリング。
【請求項７】
上記海領域をなす熱可塑性ポリマーのＳＰ値と、上記島領域をなす熱可塑性ポリマーのＳＰ値との差の絶対値が３．０以下である、請求項３に記載のラケット用ストリング。
【請求項８】
上記海領域をなす熱可塑性ポリマーがナイロンであり、
上記島領域をなす熱可塑性ポリマーがマレイン酸変性ポリエチレンである、請求項３に記載のラケット用ストリング。
【請求項９】
上記海領域をなす熱可塑性ポリマーがナイロンであり、
上記島領域をなす熱可塑性ポリマーが、上記海領域をなす熱可塑性ポリマーとは異なる種類のナイロンである、請求項３に記載のラケット用ストリング。
【請求項１０】
上記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド６、ポリアミド６６、ポリアミド１１、ポリアミド１２及びマレイン酸変性ポリエチレンからなる群から選択される、請求項１に記載のラケット用ストリング。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本開示は、硬式テニス、ソフトテニス、スカッシュ、バドミントン等のラケットに使用されるストリングに関する。
続きを表示（約 1,500 文字）【背景技術】
【０００２】
テニス、バドミントン、スカッシュ等のラケットは、フレームとストリング（ガットと称される場合もある）とを備えている。近年、合成樹脂製のフィラメントから構成されたストリングが多く用いられている。
【０００３】
フレームに張られたストリングには引張テンションが負荷されている。そのため、ストリングの外表面に生じる小さなクラック又はノッチが起点となって、破断に至ることがある。特に、単一ポリマー材料又はポリマーアロイ材料からなるモノフィラメント構造のストリングの場合に、このような破断が発生しやすいことが知られている。耐久性の観点から、単純なモノフィラメント構造に替えて、例えば、芯になるモノフィラメント又はマルチフィラメントの外側に小径のモノフィラメントを巻き付けたストリングや、編組（製紐）したストリングが用いられる。
【０００４】
特表２０１０‐５１０４００号公報（特許文献１）には、複数の小径マルチフィラメントで包まれたモノフィラメントコアと、マルチフィラメント間のギャップを満たすバッファ層と、これら全体を被覆する外部被覆物とから構成されたストリングが開示されている。特許文献１では、外部被覆材料として、ナイロン及びカーボンナノチューブの複合材料が用いられている。特開２００７‐１８１５５３号公報（特許文献２）には、外周表面に樹脂コーティング層を備えるラケット用ストリングが開示されている。この樹脂コーティング層は、合成樹脂と、この合成樹脂に含有された、グラフェンシート筒が同心円筒状に筒中心部まで積層している中実同軸多層構造型の極細炭素繊維とを含んでいる。
【０００５】
特許文献１及び２で提案されたように、ストリングの外表面を樹脂コーティングする技術によれば、ストリングの表面特性を変えることはできる。しかし、ストリングの弾性率を十分に制御することができないという課題があった。
【０００６】
特開２０２３－０１７５２６号公報（特許文献３）には、カーボンナノチューブが分散された熱可塑性ポリマーと、母材の熱可塑性ポリマーとがブレンドされて溶融紡糸されたフィラメントで構成されたラケット用ストリングが提案されている。カーボンナノチューブが分散された熱可塑性ポリマーと、母材の熱可塑性ポリマーとは非相溶であり、母材の熱可塑性ポリマーが海成分、カーボンナノチューブが分散された熱可塑性ポリマーが島成分となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
特表２０１０－５１０４００号公報
特開２００７－１８１５５３号公報
特開２０２３－０１７５２６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
特許文献３によればストリングの弾性率を制御して、打球感及び飛び性能を改善することができる。しかし、ストリングの耐久性及び反発性能には、未だ改善の余地がある。
【０００９】
本開示の目的は、耐久性及び反発性能が改善されたラケット用ストリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
ラケット用ストリングは、フィラメントを備えている。フィラメントは、ポリマーマトリックスと、このポリマーマトリックスに分散されたカーボンナノチューブと、を含む。ポリマーマトリックスは、１種、又は、相溶性を有する２種以上の熱可塑性ポリマーから構成されている。
（【００１１】以降は省略されています）

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