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公開番号2025072584
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-09
出願番号2025019854,2022553859
出願日2025-02-10,2021-09-22
発明の名称積層熱収縮性フィルム
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類B32B 27/20 20060101AFI20250430BHJP(積層体)
要約【課題】 主収縮方向である幅方向に高い熱収縮率を有し、透明性、印刷性、良好な外観のフィルムロールを得られるようにフィルム表面の突起を一定の範囲になるようにした熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供すること。
【解決手段】 以下の(1)~(5)の要件を満足することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム幅方向でにおいて40%以上80%以下
(2)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム長手方向でにおいて-5%以上10%以下
(3)少なくとも一方のフィルム面の最大突起高さSpが0.8μm以上3.0μm以下
(4)少なくとも一方のフィルム面の算術平均高さSaが0.03μm以上0.2μm以下
(5)フィルム表裏面同士での空気抜け時間が14秒以下
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
平均粒径が1.0μm以上5.0μm以下の微粒子を、350ppm以上20000ppm以下含むポリエステル樹脂層を少なくとも表裏面に有し、ポリスチレン樹脂層を中間層に有する積層熱収縮性フィルムで、以下の(1)~(6)の要件を満足することを特徴とする積層熱収縮性フィルム。
(1)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム幅方向において40%以上80%以下
(2)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム長手方向において-5%以上10%以下
(3)少なくとも一方のフィルム面の最大突起高さSpが0.8μm以上3.0μm以下
(4)少なくとも一方のフィルム面の算術平均高さSaが0.03μm以上0.2μm以下
(5)フィルム表裏面同士での空気抜け時間が12秒以下
(6)フィルムの厚みが30μm以上50μm以下
続きを表示(約 280 文字)【請求項2】
フィルム厚み30μmでのヘイズが2%以上11%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層熱収縮性フィルム。
【請求項3】
ポリエステル系フィルム層を少なくとも2層以上積層している積層熱収縮性フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層熱収縮性フィルム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の積層熱収縮性フィルムを用いた熱収縮性ラベル。
【請求項5】
請求項4に記載の熱収縮性ラベルで、包装対象物の少なくとも外周の一部を被覆して熱収縮させて形成されることを特徴とする包装体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するもので、詳しくは透明性を有し、かつロール状でのシワが少なく、印刷等の加工に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルム、熱収縮性ラベル、及び包装体に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、ガラス瓶またはプラスチックボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、キャップシール、集積包装等の用途に、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮ラベルとして広範に利用されるようになってきており、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル容器等の増大に伴って、使用量が増加している傾向にある。
これまではPETボトル被覆用ラベルとしては、厚物の熱収縮性フィルムが用いられてきた。しかし、包装用に用いられる熱収縮性フィルムは、内容物を利用した後は、ただのゴミとなる。そこで、なるべくゴミを減らそうという環境意識の高まりを受け、ラベルの厚みを薄くする為 フィルムメーカーも熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みも薄くすることを試みている。
しかし、フィルムの厚みを薄くするとフィルムの腰感が低下し、かつロール状に巻くときに空気が入り易くなってフィルムの空気抜けが悪いとロール状でシワが発生する不具合が生じることを本発明者らは見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許5240387号公報
特開2020-117700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な熱収縮性フィルムは一軸延伸されてなり、延伸方向である主収縮方向の引張り破断強度が高く、非収縮方向(主収縮方向と直交する方向)の引張り破断強度が低い。それに対し特許文献1では 熱収縮ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の両方向の引張り破断強度を二軸延伸して高くする事で、フィルム強度が高いフィルムを製膜した。しかし、一般的な熱収縮フィルムの生産方法と比較して、フィルムの生産方法が非常に複雑で有り、設備を大きくする必要が有る、初期投資費用が高い等の課題が有る。
また特許文献2では 二軸延伸ポリエステルフィルムの表面粗さや無機粒子含有量を規定している。特許文献2は結晶性の二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものであり、非晶性の原料を用い、かつ一軸延伸しか行わない熱収縮性ポリエステルフィルムは、表面突起による粗さやロール状にした時の空気抜けの状況が二軸延伸ポリエステルフィルムとは異なる。
そこで、本発明では、厚みが15μm~50μmでも、空気抜けが良好で巻き品質が良くシワが発生し難く、かつ印刷性も良好な熱収縮性ポリエステル系フィルムの提供を課題として掲げた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決してなる本発明は、以下の構成からなる。
1.以下の(1)~(5)の要件を満足することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム幅方向において40%以上80%以下
(2)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム長手方向において-5%以上10%以下
(3)少なくとも一方のフィルム面の最大突起高さSpが0.8μm以上3.0μm以下
(4)少なくとも一方のフィルム面の算術平均高さSaが0.03μm以上0.2μm以下
(5)フィルム表裏面同士での空気抜け時間が14秒以下
2.フィルムの厚みが15μm以上50μm以下であることを特徴とする1.に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム
3.フィルム厚み30μmでのヘイズが2%以上11%以下であることを特徴とする1.又は2.に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
4.少なくとも2層以上積層している積層熱収縮性ポリエステル系フィルムであることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
5.前記1.~4.のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いた熱収縮性ラベル。
6.前記5.に記載の熱収縮性ラベルで、包装対象物の少なくとも外周の一部を被覆して熱収縮させて形成されることを特徴とする包装体。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、表面粗さや空気抜けを一定の範囲にすることで透明性や印刷性を維持し、かつフィルム厚みが薄くても、ロール状に巻き取った場合のシワや印刷性を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の空気抜け時間の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムについて詳しく説明する。なお、熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法は、後に詳述するが、熱収縮性フィルムは通常、ロール等を用いて搬送し、延伸することにより得られる。このとき、フィルムの搬送方向(製膜方向)を長手方向と称し、前記長手方向に直交する方向をフィルム幅方向と称する。
【0009】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、 以下の(1)~(5)の要件を満足することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
(1)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム幅方向において40%以上80%以下
(2)90℃の温水にフィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム長手方向において-5%以上10%以下
(3)少なくとも一方のフィルム面の最大突起高さSpが0.8μm以上3μm以下
(4)少なくとも一方のフィルム面の算術平均高さSaが0.03μm以上0.2μm以下
(5)フィルム表裏面同士での空気抜け時間が14秒以下
【0010】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とするものである。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステルの構成ユニット100モル%中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。
本発明のポリエステルを構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
また、3価以上の多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)をポリエステルに含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
(【0011】以降は省略されています)

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