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公開番号
2025074000
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-13
出願番号
2024162473
出願日
2024-09-19
発明の名称
高分子樹脂の回収方法、回収装置、及びリサイクル製品
出願人
東洋紡株式会社
代理人
主分類
B29B
17/02 20060101AFI20250502BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約
【課題】本発明の目的は、シリコーン樹脂の除去にアルカリ水溶液の使用を必須とせず、また操作が簡便な、高分子樹脂製エアバッグ布からの高分子樹脂の新たな回収方法を提供することにある。
【解決手段】少なくとも片面にシリコーン樹脂が塗布された高分子樹脂製エアバッグ布から高分子樹脂を回収する方法であって、水中保持部材により前記エアバッグ布の全体を水中に浸漬し、前記水中保持部材による水中浸漬を維持した状態で、180℃以上の温度、且つ当該温度での飽和水蒸気圧以上の圧力下において熱処理する工程、及び前記熱処理によりシリコーン樹脂と分離した高分子樹脂を回収する工程とを含むことを特徴とする、高分子樹脂の回収方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも片面にシリコーン樹脂が塗布された高分子樹脂製エアバッグ布から高分子樹脂を回収する方法であって、
水中保持部材により前記エアバッグ布の全体を水中に浸漬し、前記水中保持部材による水中浸漬を維持した状態で、160℃以上の温度、且つ当該温度での飽和水蒸気圧以上の圧力下において熱処理する工程、及び
前記熱処理によりシリコーン樹脂と分離した高分子樹脂を回収する工程とを含むことを特徴とする、高分子樹脂の回収方法。
続きを表示(約 760 文字)
【請求項2】
前記熱処理で生じる水流によって高分子樹脂が水面に浮遊する一方、水中保持部材でシリコーン樹脂を水中に留めることで、高分子樹脂とシリコーン樹脂とが分離する、請求項1に記載の回収方法。
【請求項3】
前記水中保持部材がフィルター部材であって、前記フィルター部材により前記エアバッグ布の移動を制限することでエアバッグ布の全体を水中に保持する、請求項1に記載の回収方法。
【請求項4】
前記水中保持部材がエアバッグ布の端部の形状を保持する形状保持部材であって、前記形状保持部材を前記エアバッグ布の外周の少なくとも一部に設けることでエアバッグ布の全体を水中に保持する、請求項1に記載の回収方法。
【請求項5】
前記エアバッグ布として、使用済みのエアバッグを裁断又は破砕して得た布片を用いる、請求項1に記載の回収方法。
【請求項6】
前記エアバッグ布の大きさが、1mm2~2500cm2である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項7】
前記エアバッグ布の大きさが、縦1mm~500mm、且つ横1mm~500mmの範囲内である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項8】
前記高分子樹脂がポリアミド系樹脂、又はポリエステル系樹脂である、請求項1に記載の回収方法。
【請求項9】
前記ポリアミド系樹脂がナイロン66であり、前記ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートである、請求項8に記載の回収方法。
【請求項10】
前記熱処理工程において、処理温度が180℃~240℃、処理圧力が1.0MPa~3.6MPaである、請求項1に記載の回収方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ布からの高分子樹脂の回収方法、回収装置、及び回収した高分子樹脂を用いたリサイクル製品に関するものである。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷低減の観点から、廃棄物等の再資源化に注目が集まっている。
エアバッグ布は一般的に、ポリアミド布やポリエステル布等の高分子樹脂を原料(原糸)とする基布の表面に、耐熱性、気密性、難燃性等の向上を目的としてシリコーン樹脂が塗布されている。このため、エアバッグ布をリサイクルする、特に基布を構成する高分子樹脂を回収してリサイクルする場合には、高分子樹脂から構成される基布からシリコーン樹脂を除去する必要があった。
【0003】
エアバッグ布から高分子樹脂を回収する方法としては、例えば、アルカリ水溶液でエアバッグ布を処理して基布からシリコーン樹脂を除去する方法が知られている。具体的には、エアバッグ布を第3級アミン及び界面活性剤を含有するアルカリ水溶液に浸漬した後に、撹拌、静置することにより、シリコーン樹脂を除去する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2001-180413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エアバッグ布をアルカリ水溶液で処理すると、高分子樹脂から構成される基布、及びシリコーン樹脂の層に処理液が吸収されているため、これらを回収してリサイクルに供するためには、該処理液を除去する工程が必要であり操作が煩雑であった。またアルカリ水溶液での処理により基布を構成する高分子樹脂が分解等の損傷を受ける恐れがあるため、回収した高分子樹脂のリサイクル性が十分に高い方法ではなかった。さらにアルカリ水溶液での処理には水酸化ナトリウム等の薬剤を用いるので、廃液処理等の煩雑な後処理が必要であり、環境負荷も懸念されるものであった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリコーン樹脂の除去にアルカリ水溶液の使用を必須としない、高分子樹脂製エアバッグ布からの高分子樹脂の新たな回収方法を提供することにある。また、操作の煩雑さが低減された、簡便な高分子樹脂の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも片面にシリコーン樹脂が塗布された高分子樹脂製エアバッグ布の全体を、水中保持部材によって水中に浸漬して、前記水中保持部材による水中浸漬を維持した状態で、160℃以上の温度、且つ当該温度での飽和水蒸気圧以上の圧力下において熱処理する工程、及び前記熱処理によりシリコーン樹脂と分離した高分子樹脂を回収する工程とを含む、高分子樹脂の回収方法によれば、アルカリ水溶液の使用を必須とせずに、また簡便にエアバッグ布から高分子樹脂を回収できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 少なくとも片面にシリコーン樹脂が塗布された高分子樹脂製エアバッグ布から高分子樹脂を回収する方法であって、
水中保持部材により前記エアバッグ布の全体を水中に浸漬し、前記水中保持部材による水中浸漬を維持した状態で、160℃以上の温度、且つ当該温度での飽和水蒸気圧以上の圧力下において熱処理する工程、及び
前記熱処理によりシリコーン樹脂と分離した高分子樹脂を回収する工程とを含むことを特徴とする、高分子樹脂の回収方法。
[2] 前記熱処理で生じる水流によって高分子樹脂が水面に浮遊する一方、水中保持部材でシリコーン樹脂を水中に留めることで、高分子樹脂とシリコーン樹脂とが分離する、[1]に記載の回収方法。
[3] 前記水中保持部材がフィルター部材であって、前記フィルター部材により前記エアバッグ布の移動を制限することでエアバッグ布の全体を水中に保持する、[1]又は[2]に記載の回収方法。
[4] 前記水中保持部材がエアバッグ布の端部の形状を保持する形状保持部材であって、前記形状保持部材を前記エアバッグ布の外周の少なくとも一部に設けることでエアバッグ布の全体を水中に保持する、[1]又は[2]に記載の回収方法。
[5] 前記エアバッグ布として、使用済みのエアバッグを裁断又は破砕して得た布片を用いる、[1]~[4]のいずれかに記載の回収方法。
[6] 前記エアバッグ布の大きさが、1mm2~2500cm2である、[1]~[5]のいずれかに記載の回収方法。
[7] 前記エアバッグ布の大きさが、縦1mm~500mm、且つ横1mm~500mmの範囲内である、[1]~[6]のいずれかに記載の回収方法。
[8] 前記高分子樹脂がポリアミド系樹脂、又はポリエステル系樹脂である、[1]~[7]のいずれかに記載の回収方法。
[9] 前記ポリアミド系樹脂がナイロン66であり、前記ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートである、[8]に記載の回収方法。
[10] 前記熱処理工程において、処理温度が180℃~240℃、処理圧力が1.0MPa~3.6MPaである、[1]~[9]のいずれかに記載の回収方法。
[11] 前記高分子樹脂がナイロン66であって、前記熱処理工程において、処理温度
が180℃~240℃、処理圧力が1.0MPa~3.6MPaである、[9]に記載の回収方法。
[12] 前記高分子樹脂がポリエチレンテレフタレートであって、前記熱処理工程において、処理温度が210℃~240℃、処理圧力が2.0MPa~3.6MPaである、[9]に記載の回収方法。
[13] 前記熱処理工程の後であって前記回収工程の前に、冷却工程を含む、[1]~[12]のいずれかに記載の回収方法。
[14] 前記フィルター部材が複数の貫通孔を有し、前記貫通孔の開口面積が前記エアバッグ布の面積に対して0.05%~25%である、[3]に記載の回収方法。
[15] 前記フィルター部材が、金属から構成される、[3]又は[14]に記載の回収方法。
[16] 前記形状保持部材が、アルミニウム、及びステンレスからなる群から選択される金属から構成される、[4]に記載の回収方法。
[17] [8]、[9]、[11]、[12]のいずれかに記載の回収方法により得られたポリアミド系樹脂、又はポリエステル系樹脂を原料の少なくとも一部に含む、リサイ
クル製品。[18] 高圧熱水処理装置を備える高分子樹脂の回収装置であって、前記高圧熱水処理
装置が反応槽を仕切るように嵌装された着脱可能なフィルター部材を有する、回収装置。
[19] 広角X線測定により得られる結晶完全度が95%以上である、ポリアミド樹脂。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高分子樹脂製エアバッグ布からの高分子樹脂の回収にアルカリ水溶液の使用を任意とする、新たな回収方法を提供することができる。本発明の回収方法ではアルカリ水溶液を使用しないか、その程度を低減できるため、アルカリ処理による高分子樹脂の損傷を抑制でき、また環境負荷が少ないプロセスで、シリコーン樹脂が除去された高分子樹脂を回収することが可能である。また本発明によれば、回収操作の煩雑さが低減された簡便な高分子樹脂の回収方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態に係る高圧熱水処理装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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