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公開番号
2025069197
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-30
出願番号
2025006237,2020112547
出願日
2025-01-16,2020-06-30
発明の名称
ゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶、および分子構造決定方法
出願人
国立大学法人東京科学大学
代理人
個人
主分類
C07D
487/16 20060101AFI20250422BHJP(有機化学)
要約
【課題】細孔径が大きく、構造的揺らぎを抑制できるゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体、結晶構造解析用試料の作製方法及び分子構造決定方法の提供。
【解決手段】ゲスト分子を内包する細孔が形成されており、三次元ネットワーク構造は、三座配位子2およびコネクター分子4が遷移金属3に配位されてなり、三座配位子2は、3-ピリジニル基の窒素原子がそれぞれ配位子として機能する下記一般式(I)で表される3分岐構造のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。(Wはヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族基)
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【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
ゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶であって、
三次元ネットワーク構造を有し、ゲスト分子を内包する細孔が形成されており、
前記三次元ネットワーク構造は、三座配位子およびコネクター分子が遷移金属に配位されてなり、
前記三座配位子は、3-ピリジニル基の窒素原子がそれぞれ配位子として機能する下記一般式(I)で表される3分岐構造の化合物であり(但し、Wはヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族基)、
JPEG
2025069197000017.jpg
37
81
前記コネクター分子は二座配位子であり、前記二座配位子のそれぞれの配位子と当該コネクター分子の重心との成す角度が70~180°であり、
前記3-ピリジニル基の軸の自由回転が抑制されたゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記遷移金属には、更に溶媒分子が配位しており、前記遷移金属と前記溶媒分子の配位結合は、前記遷移金属と前記三座配位子および前記遷移金属と前記コネクター分子の配位結合よりも弱い請求項1に記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
【請求項3】
前記遷移金属は2価の金属である請求項1または2に記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
【請求項4】
前記細孔は、ハニカム状の孔部と、前記ハニカム状の孔部同士を連通させる、当該ハニカム状の孔部よりもサイズの小さい孔部を含む請求項1~3のいずれかに記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
【請求項5】
前記三座配位子が一般式(II)で表される請求項1~4のいずれかに記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
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2025069197000018.jpg
54
87
但し、一般式(II)中のXは、一般式(III)で表される化合物および化合物(IV)で表される化合物から選択され、Y
1
~Y
3
はそれぞれ独立に、Xと前記3-ピリジニル基が直結する単結合、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合から選択される。
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2025069197000019.jpg
41
79
但し、一般式(III)中のZ
1
~Z
6
はそれぞれ独立に、C-HまたはNである。
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2025069197000020.jpg
51
87
【請求項6】
前記ゲスト分子の分子量が500~3000の中分子である請求項1~5のいずれかに記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
【請求項7】
解析対象化合物を溶媒に溶解した試料を用意し、
前記試料に、
請求項1~6のいずれか1項に記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶を分散させ、
前記細孔性ネットワーク錯体結晶の細孔内に、前記解析対象化合物を取り込む結晶構造解析用試料の作製方法。
【請求項8】
請求項7に記載の結晶構造解析用試料の作製方法により得られた結晶構造解析用試料を用いて、結晶構造解析を行うことを特徴とする解析対象化合物の分子構造決定方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶に関する。更に、前記細孔性ネットワーク錯体結晶を利用した結晶構造解析用試料の作製方法および分子構造決定方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
金属イオンと有機配位子からなる細孔性ネットワーク錯体(PCN(Porous Coordination Network))は、溶媒を取り除いても構造を維持できる無限構造であり、その細孔を活用した技術が提案されている。例えば、細孔内のゲストの吸脱着に応じて可逆的に構造変化を起こすPCN(非特許文献1)、2,4,6-トリス(4-ピリジル)トリアジンの配位子とZnBr
2
とを組み合わせたPCN(非特許文献2,3)、トリピリジルヘキサアザフェナレネート(K
+
TPHAP
-
)の配位子とZnI
2
とを組み合わせたPCNが報告されている(非特許文献4)。また、本発明者らは、先般、2,4,6-トリス(3-ピリジル)ヘキサアザフェナレネートの配位子と塩化コバルト(II)、テレフタル酸を用いたPCNの合成例を報告した(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Sujit K. Ghosh et al., Angew. Chem., 2013, 125, 1032
Masaki Kawano et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 1269 -1271
Makoto Fujita et al. NATURE CHEMISTRY, VOL 3, 2011
Masaki Kawano, et al. CrystEngComm., 2014, 16, 6335
河野正規ら、「多点相互作用配位子の置換基制御によるネットワーク錯体合成」、日本結晶学会年会予稿集、2018年11月,PB-I-04。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PCNはゼオライトや活性炭と比較して非常に大きな表面積を有しており、構造のカスタマイズにより等構造を生成できることから、触媒担体・吸着・分離精製の分野において注目されている。また、ゲスト分子の解析に利用できるPCN結晶を提供できれば、特に、これまで解析が難しいとされてきた中分子(分子量が500~3000程度の分子)の解析が可能なPCN結晶を提供できれば、医薬品開発の飛躍的な加速化が期待できる。しかし、中分子をゲスト分子として取り込むためには、細孔径を大きくすることが求められる。また、解析精度向上のために、PCN結晶の構造的揺らぎを抑制することが望ましい。
【0005】
なお、上記においてはゲスト分子として中分子を用いる場合について説明したが、分子量によらず同様の課題が生じ得る。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、細孔径が大きく、且つ構造的揺らぎを抑制できるゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶、結晶構造解析用試料の作製方法および分子構造決定方法を提供することを第一の目的とする。また、解析用以外の用途にも利用できる細孔性ネットワーク錯体結晶を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]: ゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶であって、
三次元ネットワーク構造を有し、ゲスト分子を内包する細孔が形成されており、
前記三次元ネットワーク構造は、三座配位子およびコネクター分子が遷移金属に配位されてなり、
前記三座配位子は、3-ピリジニル基の窒素原子がそれぞれ配位子として機能する下記一般式(I)で表される3分岐構造の化合物であり(但し、Wはヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族基)、
JPEG
2025069197000002.jpg
37
81
前記コネクター分子は二座配位子であり、前記二座配位子のそれぞれの配位子と当該コネクター分子の重心との成す角度が70~180°であり、
前記3-ピリジニル基の軸の自由回転が抑制されたゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
[2]: 前記遷移金属には、更に溶媒分子が配位しており、前記遷移金属と前記溶媒分子の配位結合は、前記遷移金属と前記三座配位子および前記遷移金属と前記コネクター分子の配位結合よりも弱い[1]に記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
[3]: 前記遷移金属は2価の金属である[1]または[2]に記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
[4]: 前記細孔は、ハニカム状の孔部と、前記ハニカム状の孔部同士を連通させる、当該ハニカム状の孔部よりもサイズの小さい孔部を含む[1]~[3]のいずれかに記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
[5]: 前記三座配位子が一般式(II)で表される[1]~[4]いずれかに記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
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2025069197000003.jpg
54
87
但し、一般式(II)中のXは、一般式(III)で表される化合物および化合物(IV)で表される化合物から選択され、Y
1
~Y
3
はそれぞれ独立に、Xと前記3-ピリジニル基が直結する単結合、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合から選択される。
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2025069197000004.jpg
41
79
但し、一般式(III)中のZ
1
~Z
6
はそれぞれ独立に、C-HまたはNである。
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2025069197000005.jpg
51
87
[6]: 前記ゲスト分子の分子量が500~3000の中分子である[1]~[5]のいずれかに記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶。
[7]: 解析対象化合物を溶媒に溶解した試料を用意し、
前記試料に、
[1]~[6]のいずれかに記載のゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶を分散させ、
前記細孔性ネットワーク錯体結晶の細孔内に、前記解析対象化合物を取り込む結晶構造解析用試料の作製方法。
[8]: [7]に記載の結晶構造解析用試料の作製方法により得られた結晶構造解析用試料を用いて、結晶構造解析を行うことを特徴とする解析対象化合物の分子構造決定方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、細孔径が大きく、且つ構造的揺らぎを抑制できるゲスト分子解析用の細孔性ネットワーク錯体結晶、結晶構造解析用試料の作製方法および分子構造決定方法を提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
(a)従来の三座配位子の模式的説明図。(b)本実施形態に係る三座配位子の模式的説明図。
本実施形態のPCN結晶の構造単位の一例を示す模式的構造図。
本実施形態のPCN結晶の一例を示す模式的構造図。
本実施形態に係るPCNにおける三座配位子の3-ピリジニル基の窒素の立体的配置の一例を説明するための模式図。
本実施形態に係るPCNの遷移金属と層間コネクターの結合状態の一例を示す模式的構造図。
(a)実施例1に係るPCN結晶の粉末X線プロファイル。(b)実施例1に係るPCN結晶を乳鉢で粉砕した後の粉末X線プロファイル。(c)シミュレーションにより得られた実施例1に係るPCN結晶のX線プロファイル。
実施例1に係るPCN結晶の顕微鏡写真。
実施例1に係るPCN結晶のX線構造解析により求められたc軸方向からみた構造図。
図8から三座配位子を隠したPCN結晶のX線構造解析により求められたc軸方向からみた構造図。
実施例1に係るPCN結晶において、三座配位子を隠し、且つb軸方向からみたX線構造解析により求められた構造図。
実施例1に係るPCN結晶のDMFの一部を水分子に置換したX線構造解析により求められた構造の部分拡大図。
実施例1に係るPCN結晶のDTG-DTAプロファイルを示す図。
実施例2に係るPCN結晶の細孔に捕捉されたゲスト分子(アントラセン)のX線構造解析により求められた構造図。
ヨウ素のDMF溶液にPCN結晶を加えた後の経時的な吸収スペクトル図。
ヨウ素をゲストとして取り込んだPCN結晶に紫外光を照射したときの経時的な吸光度変化を示す図。
実施例4に係るPCN結晶の細孔に捕捉されたゲスト分子(トリフェニレン)のX線構造解析により求められた構造図。
実施例5に係るPCN結晶の細孔に捕捉されたゲスト分子(ベニバナ色素カルタミン)のX線構造解析により求められた構造図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれる。また、以降の図における各部のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、これに限定されるものではない。
(【0011】以降は省略されています)
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