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公開番号2025068815
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-30
出願番号2023178838
出願日2023-10-17
発明の名称糖蛋白質の検出または定量方法
出願人住友ベークライト株式会社
代理人個人,個人
主分類G01N 33/53 20060101AFI20250422BHJP(測定;試験)
要約【課題】動脈硬化性疾患などの疾患の検出または判定に用いることができる糖蛋白質の検出または定量方法、および当該方法に使用できる試薬を提供すること。
【解決手段】生体試料中の配列番号1で示されるアミノ酸配列、または配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、1~5個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるペプチドと、該ペプチドに結合した下記式(I):

(Hex)a(HexNAc)b(Deoxyhex)c(NeuAc)d+(Man)3(GlcNAc)2 (I)

[式中の各記号は、明細書に記載のとおりである。]
で示される糖鎖を含む糖蛋白質を検出または定量するための方法であって、
(1)該糖蛋白質中の該糖鎖を検出または定量することによって該糖蛋白質を検出または定量することを含む方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
生体試料中の配列番号1で示されるアミノ酸配列、または配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、1~5個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるペプチドと、該ペプチドに結合した下記式(I):
(Hex)
a
(HexNAc)
b
(Deoxyhex)
c
(NeuAc)
d
+(Man)
3
(GlcNAc)
2
(I)
[式中、Manは、マンノースであり、
GlcNAcは、N-アセチルグルコサミンであり、
Hexは、ヘキソースであり、
HexNAcは、N-アセチルヘキソサミンであり、
Deoxyhexは、デオキシヘキソースであり、
NeuAcは、N-アセチルノイラミン酸であり、
aは、0~4であり、
bは、0~3であり、
cは、0または1であり
dは、0~3であり、
ただし、
aが2、bが1である場合、dは1ではなく、
aが3、bが1である場合、dはOまたは1ではない。]
で示される糖鎖を含む糖蛋白質を検出または定量するための方法であって、
(1)該糖蛋白質中の該糖鎖を検出または定量することによって該糖蛋白質を検出または定量することを含む方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記糖鎖の検出または定量を、液体クロマトグラフィー法、キャピラリー電気泳動法、質量分析法、NMR法、および該糖鎖に特異的に結合する結合体を用いる方法からなる群から選択される少なくとも1種の方法を用いて行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記糖鎖に特異的に結合する結合体が、レクチン、抗体、およびアプタマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記糖鎖に特異的に結合する結合体を用いる方法が、レクチンブロット法、レクチンアレイ法、レクチンアフィニティクロマトグラフィー法、酵素免疫測定法、蛍光酵素免疫測定法、化学発光酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法、電気化学発光測免疫測定法、蛍光抗体法、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット法、イムノブロット法、ラテックス凝集法、およびイムノクロマトグラフィー法からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記レクチンが、マンノース認識レクチンを含む、請求項3または4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記マンノース認識レクチンが、GNA(Galanthus nivalis)レクチン、NPA(Narcissus pseudonarcissus)レクチン、HHL(Hippeastrum Hybrid)レクチン、Artocarpin(Artocarpus integrifolia)レクチン、CCA(Castanea crenata,Japanese chestnut)レクチン、およびCalsepa(Calystegia sepium)レクチンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記糖鎖が、
前記式(I)中、aが0、bが1、cが0または1、dが0である糖鎖(Ia)、
前記式(I)中、aが2、bが0、cが0または1、dが0である糖鎖(Ib)、および
前記式(I)中、aが2、bが2、cが0または1、dが2である糖鎖(Ic)
からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
(2)該糖蛋白質が健常者と比較して多く検出または定量された場合、動脈硬化性疾患または動脈硬化関連疾患と判定すること、
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記動脈硬化性疾患が、急性冠症候群、脳梗塞および大動脈解離からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
配列番号1で示されるアミノ酸配列、または配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、1~5個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるペプチドと、該ペプチドに結合した下記式(I):
(Hex)
a
(HexNAc)
b
(Deoxyhex)
c
(NeuAc)
d
+(Man)
3
(GlcNAc)
2
(I)
[式中、Manは、マンノースであり、
GlcNAcは、N-アセチルグルコサミンであり、
Hexは、ヘキソースであり、
HexNAcは、N-アセチルヘキソサミンであり、
Deoxyhexは、デオキシヘキソースであり、
NeuAcは、N-アセチルノイラミン酸であり、
aは、0~4であり、
bは、0~3であり、
cは、0または1であり
dは、0~3であり、
ただし、
aが2、bが1である場合、dは1ではなく、
aが3、bが1である場合、dはOまたは1ではない。]
で示される糖鎖を含む糖蛋白質を検出または定量するための試薬であって、該糖鎖に特異的に結合する結合体を含む、試薬。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、動脈硬化性疾患などの疾患に関連する糖蛋白質の検出または定量方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
リポ蛋白リパーゼ(Lipoprotein Lipase:LPL、以下単に「LPL」ともいう。)は、脂肪組織などで合成・分泌され、毛細血管の血管内皮細胞表面に存在すると考えられている。LPLは、アポ蛋白C-IIを賦活因子として、循環血液中のリポ蛋白粒子内のTGを分解し、遊離脂肪酸を生成する働きをしている。
【0003】
ヒトLPLはLPL遺伝子のエキソン1から10の翻訳領域から作られ、その構造は公知であり、例えばGenBank Accession No. NP_000228に登録されているものは、アミノ酸残基数475個からなる前駆体LPL蛋白の配列である。これは、アミノ酸残基数27個のシグナルペプチドとアミノ酸残基数448個の成熟LPLからなるものである。さらに、ヒトLPLの糖鎖がN末部位のアスパラギン残基43およびC末部位のアスパラギン残基359が糖鎖付加部位であることが報告されている(非特許文献1)。本明細書においては成熟LPLのN末端アミノ酸残基を1番としたときの番号で記載する。
【0004】
本発明者らにより、ヒト血液中にLPL蛋白のC末部分である20kDa(LPL-20)と21kDa(LPL-21)の分子が存在することが見出され、これら2種類の分子の違いは、主にLPL蛋白部分に結合している糖鎖に由来することが明らかにされた。また、LPL―20とLPL―21の存在比率が、動脈硬化既往歴者と健常者とで異なり、動脈硬化既往歴者においては、LPL―20の比率が高くなることを見出した。これらの2種の分子をバイオマーカーとして、検出または定量することにより動脈硬化性疾患を検査しうることが発案された(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、これまでLPL蛋白の糖鎖の構造解析は行われておらず、具体的な糖鎖構造は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2010-17107号公報
【非特許文献】
【0007】
J Lipid Research; 35; 1511-1523 (1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、動脈硬化性疾患などの疾患の検出または判定に用いることができる糖蛋白質の検出または定量方法、および当該方法に使用できる試薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の糖鎖を有する糖蛋白質を検出または定量することで、動脈硬化性疾患、動脈硬化関連疾患等の疾患の検出または判定を行うことができること、すなわち、当該糖蛋白質をバイオマーカーとして用いることができること、当該糖蛋白質を検出または定量するための方法、および当該方法に使用できる試薬を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] 生体試料中の配列番号1で示されるアミノ酸配列、または配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、1~5個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるペプチドと、該ペプチドに結合した下記式(I):
(Hex)
a
(HexNAc)
b
(Deoxyhex)
c
(NeuAc)
d
+(Man)
3
(GlcNAc)
2
(I)
[式中、Manは、マンノースであり、
GlcNAcは、N-アセチルグルコサミンであり、
Hexは、ヘキソースであり、
HexNAcは、N-アセチルヘキソサミンであり、
Deoxyhexは、デオキシヘキソースであり、
NeuAcは、N-アセチルノイラミン酸であり、
aは、0~4であり、
bは、0~3であり、
cは、0または1であり
dは、0~3であり、
ただし、
aが2、bが1である場合、dは1ではなく、
aが3、bが1である場合、dはOまたは1ではない。]
で示される糖鎖を含む糖蛋白質を検出または定量するための方法であって、
(1)該糖蛋白質中の該糖鎖を検出または定量することによって該糖蛋白質を検出または定量することを含む方法。
[2] 前記糖鎖の検出または定量を、液体クロマトグラフィー法、キャピラリー電気泳動法、質量分析法、NMR法、および該糖鎖に特異的に結合する結合体を用いる方法からなる群から選択される少なくとも1種の方法を用いて行う、[1]に記載の方法。
[3] 前記糖鎖に特異的に結合する結合体が、レクチン、抗体、およびアプタマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[2]に記載の方法。
[4] 前記糖鎖に特異的に結合する結合体を用いる方法が、レクチンブロット法、レクチンアレイ法、レクチンアフィニティクロマトグラフィー法、酵素免疫測定法、蛍光酵素免疫測定法、化学発光酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法、電気化学発光測免疫測定法、蛍光抗体法、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット法、イムノブロット法、ラテックス凝集法、およびイムノクロマトグラフィー法からなる群から選択される少なくとも1種である、[2]または[3]に記載の方法。
[5] 前記レクチンが、マンノース認識レクチンを含む、[3]または[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記マンノース認識レクチンが、GNA(Galanthus nivalis)レクチン、NPA(Narcissus pseudonarcissus)レクチン、HHL(Hippeastrum Hybrid)レクチン、Artocarpin(Artocarpus integrifolia)レクチン、CCA(Castanea crenata,Japanese chestnut)レクチン、およびCalsepa(Calystegia sepium)レクチンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[5]に記載の方法。
[7] 前記糖鎖が、
前記式(I)中、aが0、bが1、cが0または1、dが0である糖鎖(Ia)、
前記式(I)中、aが2、bが0、cが0または1、dが0である糖鎖(Ib)、および
前記式(I)中、aが2、bが2、cが0または1、dが2である糖鎖(Ic)
からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[6]のいずれか1項に記載の方法。
[8] さらに、
(2)該糖蛋白質が健常者と比較して多く検出または定量された場合、動脈硬化性疾患または動脈硬化関連疾患と判定すること、
を含む、[1]~[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9] 前記動脈硬化性疾患が、急性冠症候群、脳梗塞および大動脈解離からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[8]に記載の方法。
[10] 配列番号1で示されるアミノ酸配列、または配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、1~5個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるペプチドと、該ペプチドに結合した下記式(I):
(Hex)
a
(HexNAc)
b
(Deoxyhex)
c
(NeuAc)
d
+(Man)
3
(GlcNAc)
2
(I)
[式中、Manは、マンノースであり、
【発明の効果】
【0010】
本発明における糖蛋白質は、ヒトの血液中に存在し、動脈硬化性疾患などの疾患を患う患者において、健常者と異なる糖鎖を有する。当該糖蛋白質は、その糖鎖に基づいて検出または定量することができるので、蛋白質の分子量を測定して検出または定量する必要はない。
したがって、本発明によれば、当該糖蛋白質を、動脈硬化性疾患などの疾患のバイオマーカーとして使用することができる。
さらに、本発明によれば、当該糖蛋白質を検出または定量することにより、簡便に、動脈硬化性疾患などの疾患の発症を検出することができ、また、当該疾患の初期病変、進展、重症化を判定することができる。さらに、当該疾患に対する治療効果や予防・治療薬の薬効などの評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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